「やめとけ」と言われるデータサイエンティスト
企業の経営やシステム開発において欠かせない存在であるデータサイエンティストですが、高いスキルと知識を持ったエンジニアであるにもかかわらず、ネット上では「データサイエンティストはやめとけ」という声が上がっています。
昨今、データ分析が盛んになってきていることで注目されるようになったデータサイエンティストですが、どのような部分でネガティブな印象を持たれているのでしょうか。
この記事では、データサイエンティストの仕事内容・年収・スキルなどを紹介した後に、「やめとけ」と言われてしまう具体例を紹介します。また、メリットや向いている人についてもまとめたので、データサイエンティストを目指している方はぜひ参考にしてください。
データサイエンティストは大変な反面メリットも多い
データサイエンティストは、膨大なデータと数字を取り扱うため仕事量が多く、基本的には多忙な毎日です。しかし、自分が出した改善策が良いシステム・サービスを作る要因になるので、データサイエンティストの功績は大きいものになります。
特に、難しい課題をクリアして良い結果に繋がった場合は、周りから高い評価が得られ、やりがいも感じられるでしょう。また、近年データサイエンティストはさまざまな業界で求められる存在となり、非常に需要の高い職種です。
一部では、「AIの登場により飽和状態になるのではないか」という意見があるものの、データ分析の分野は今後も大きな成長や発展が予測されることから、今後も将来性が見込まれる職種であると言えます。
そもそもデータサイエンティストとは?
そもそもデータサイエンティストとは、具体的にどのような仕事を担当するのでしょうか?ここでは、データサイエンティストの仕事内容や年収について解説します。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストの仕事内容は、企業が抱える問題や課題についてさまざまなデータに基づいて改善策を提示することです。
仕事はIT業界のみならず、金融・広告・不動産・通販などあらゆる業界に渡るため、プログラミングやIT、データ分析はもちろん、担当する業界に関する幅広い知識が求められます。
混同されやすいデータアナリストとの違いは、業務の目的です。どちらもデータを収集・分析する点は同じですが、アナリストはデータ収集・分析に特化した職種であり、統計学を用いて企業の課題解決までを目指すのがデータサイエンティストです。
データサイエンティストの年収
データサイエンティストの年収についてですが、類似職種であるアナリストの年収を参考にすると、「マイナビエージェント職業別年収ランキング」での平均年収は824万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、データサイエンティストは一般平均年収よりも、かなり高めであることが分かります。
データサイエンティストはデータ分析に特化したIT職であるため、スキルや実績によって年収が変化します。専門的な知識を要する職種なので、他のIT職よりも高い年収が期待できるでしょう。また、キャリアパスとしてプロジェクトマネージャーなどの上位職を目指せるなど、スキルを活かした転職がしやすいのも特徴です。
【参考】:マイナビエージェント 職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
データサイエンティストに必要なスキルや資格
データサイエンティストに必要なスキルは、以下の通りです。
■統計学のスキル バラツキのあるデータを元に推測を立てる方法論です。確率論や行列などの数学的知識とともに統計学を身につけることで、データから作られた仮説が正しいかどうかを「検定」することができます。
■ITのスキル データを抽出・加工・分析する際にITスキルは必要不可欠で、データベースの構築にも必要です。主に使うプログラミング言語は、統計解析に使う「R言語」、AIでの統計処理(機械学習)に使う「Python」、データベースの定義や操作を行う「SQL」です。
■ビジネスのスキル
データサイエンティストは統計学とITのスキルをビジネスに活かさねばなりません。自社のビジネスをよく理解し、ビジネスに使えるデータ処理・加工・システム設計が必要です。
上記スキルの他、データサイエンティストにおすすめの資格として、「ORACLE MASTER」「オープンソースデータベース技術者認定試験」「Python 3 エンジニア認定基礎試験」があります。
「ORACLE MASTER」はデータベースの基礎知識を体系的に身に付けることができ、「オープンソースデータベース技術者認定試験」はデータベースの設計・開発・導入・運用の基本スキルが学べます。
「Python 3 エンジニア認定基礎試験」は、データの整形整理などに必須のプログラミング言語であるPythonについて基本的なスキルを身に付けることができます。
【参考】:ORACLE MASTER Bronze DBA 【参考】:オープンソースデータベース技術者認定試験 【参考】:Python 3 エンジニア認定基礎試験
データサイエンティストがやめとけと言われる理由
データサイエンティストは需要が高い職種であるにも関わらず、なぜ「やめとけ」と言われてしまうのでしょうか?主な理由について、以下の3つにまとめてみました。
ミスをしてはいけないプレッシャーがある
データサイエンティストは細かい数字を取り扱うことが多く、企業や商品企画のために正確なデータを分析・提出しなければなりません。数字に誤りがあれば本来の分析とは異なる結果が生まれるため、何桁もの数字を全てミスなく扱う必要があります。
そういったことがプレッシャーとなり、精神的につらいと感じる場面が多くなると考えられます。しかし、数学が得意で数字を扱うのが好きな方にとっては、一般的に「難しい」と感じる場面でも、1つずつタスクをクリアしていくことに楽しみを見い出せるでしょう。
また、それによる達成感ややりがいを感じられる職種でもあるため、プレッシャーの中でこそ得られるものもあります。
相手からの期待が大きい
データサイエンティストはデータ分析の専門家ですが、分析結果を100%の精度で出せる訳ではありません。基本的には、データの収集・分析をし、仮説を立ててトライ&エラーを繰り返すことで、ある程度の結果に辿り着きます。
「データサイエンティスト=分析のプロが解決策を出してくれる」という誤った認識により、企業や上層部から大きな期待をかけられることもあります。そういった周囲からの大きすぎる期待により、焦り・プレッシャー・無理な要求など、疲れを感じてしまうことも珍しくありません。
勉強量が多い
データサイエンティストが取り扱うデータには、分析の知識はもちろん、日々アップデートされ続けるIT知識が欠かせません。そのため、業務時間外などのスキマ時間を駆使して新しい情報を学ぶ必要性があります。日々仕事で忙しい中、勉強の時間を取らなければならないことをつらいと感じる方もいるでしょう。勉強量が多いことでデータサイエンティストになったことを後悔する人もいます。
しかし、大変な反面、そういった日々の学習が自身の市場価値を高めています。寝る間を惜しんで得たスキルが、将来の糧となります。
データサイエンティストになるメリット
データサイエンティストが大変な面もある職種であることは分かりましたが、実際にデータサイエンティストになることでどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは2つに絞って紹介します。
社会を動かす一因になれる
データサイエンティストは、企業が生み出すサービスやシステムを構築するために必要なデータを分析・提供します。それを元にシステムが改良されたり構築されたりすることで、社会がより良い方向へ進むきっかけになることもあります。社会を動かす一因になれることは、データサイエンティストならではのメリットではないでしょうか。
年収が高め
データサイエンティストは前述の通り、他のIT職と比較すると年収が高い傾向にあります。上級職であるシニアデータサイエンティストになったり、現場のマネジメントを行うプロジェクトマネージャーなどに転身したりすることで、さらに高い年収が期待できます。スキルや実績を活かせば、さらなる活躍が望める職種です。
また、将来的にフリーランスのデータサイエンティストとして活躍する道もあるので、働き方次第では会社員時代よりも年収を上げることも可能です。
データサイエンティストに向いている人の特徴
上述したように、大変な反面さまざまなメリットがあるデータサイエンティストですが、実際に向いているのはどのような人なのでしょうか。ここでは、データサイエンティストに向いている人の主な特徴を3つ紹介します。
数字が好きで、論理的な思考が得意
数学的なデータを扱うことが多いことから、まずは数字に苦手意識がないことが絶対条件と言えます。線形代数や微積分といった知識を用いて、地道にコツコツと細かい数字を分析し続ける必要があるため、数字に苦手意識がある方には難しいでしょう。
また、複雑な問題を論理的に解決する能力も必要です。問題の根本原因を冷静に見つけ出し、データから意味のある施策を導き出せるような、論理的思考力がある人が向いています。
コミュニケーション能力が高い
データサイエンティストは一人で黙々と分析を行う業種と思われがちですが、実は周囲とのコミュニケーションが必要な場面も多くあります。いくら精度の高い分析結果が得られても、それをわかりやすく説明できなければ、ビジネスの成功には繋げられません。
経営陣や他部署のメンバーなど、データ分析に関する専門的な知識がない人に対しても、シンプルかつ説得力のある説明が必要です。このことから、データサイエンティストには高いコミュニケーション能力が求められます。
好奇心旺盛で、学習意欲がある
常に新しい技術が登場する分野であるため、未知のデータや課題に対する好奇心と、継続的に学び続ける意欲が必要です。「どうしてこうなるのかを知りたい」「新しいことを学びたい」という探求心がある人は、データサイエンティストに向いています。
逆に、「できるだけ毎日同じルーティンで仕事をしたい」「イレギュラーな対応は苦手」という人にとって、トライアンドエラーの繰り返しが必要なデータサイエンティストの仕事は苦痛に感じるかもしれません。
データサイエンティストになるには?
データサイエンティストになるには、具体的に何から始めればいいのでしょうか。ここでは、データサイエンティストになるための方法を3つ紹介します。
【参考】:データサイエンティストになるには何が必要?求められるスキルや資格を紹介:マイナビIT エージェント
大学や専門学校を卒業する
データサイエンティストになるための手段として、データサイエンスを学べる大学や専門学校を卒業することが挙げられます。データサイエンスの知識は、主に情報工学科・情報システム工学科・情報理学科などの学科で学ぶことができます。
また、社会人が通えるデータサイエンスのスクールなどもあるため、学生でない方はスクールに通うのがおすすめです。データサイエンティストにはプログラミングの知識やビジネスの知識も必要となってくるので、それらも併せて学習しましょう。
マーケターやアナリストからキャリアチェンジする
データサイエンティストに近い職種であるマーケターやアナリストからキャリアチェンジする方法もあります。
マーケターとは、マーケティング業務をメインとしている職種で、市場調査・商品企画・販売戦略に至るまで幅広い業務を担当します。アナリストは、国や企業などの経済状況を分析する専門職のことで、一般的には証券会社や銀行などの金融機関、または投資会社などに所属しています。どちらもデータを扱う職種がデータサイエンティストと似通っています。
データサイエンティストへキャリアチェンジをする際は、プラスアルファでプログラミングの知識やエンジニアとしての知識を身につけなければなりません。
他のエンジニア職から転職する
データサイエンティストになるには、他のエンジニア職からの転職もおすすめです。実際にシステム開発がメインであるシステムエンジニアから転職するエンジニアも多くいます。
特に、データサイエンティストになる上で欠かせないPythonやR言語を扱える場合は、実務ですぐに活かせるなどの利点が多いため、転職が有利になります。
仕事に対して適性があるかどうか不安な場合は、以下の厚生労働省が公表している職業情報提供サイトを利用するのも一つの方法です。適性診断も無料で行えるので、ぜひ利用してみましょう。
【参考】:職業情報サイトjobtag データサイエンティスト
企業が求めるデータサイエンティストになろう
データサイエンティストは、さまざまなデータを分析し、それを基に課題解決のための策を提案する、企業の成長に欠かせないエンジニアの一種です。
エンジニア達からは「やめとけ」と言われることもありますが、大変な反面やりがいや大きな達成感を得られる上、高収入が期待できるなど大きなメリットもあります。
データサイエンティストになるには、専門学科に通ったりエンジニア職から転職したりと、さまざまな方法がありますが、後悔しないためには企業選びが重要です。とはいえ、数ある求人の中から自分に合う企業を探すのはそう簡単なことではありません。
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