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ニューラルネットワークとは?仕組みや関連用語をわかりやすく解説
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ニューラルネットワークとは?仕組みや関連用語をわかりやすく解説

アンドエンジニア編集部
2023.01.31
この記事でわかること
ニューラルネットワークは人間の脳をモデルにした仕組みのこと
ニューラルネットワークは自動運転など幅広い分野で既に使われている
ニューラルネットワークはディープニューラルネットワークなどいくつかの種類がある

ニューラルネットワークとは?

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ニューラルネットワークとは何かについてまずは解説します。ニューラルネットワークがどのような原理で動いているのかについても説明します。

ニューラルネットワークは人間の脳を模した仕組み

ニューラルネットワークは、人間の脳細胞の仕組みをモデルにした人工知能アルゴリズムのことです。入力されたデータのパターンを認識し、ラベリングしたりクラスタリングしたりといった分類分けを行うことが可能です。

人間の脳には神経細胞と呼ばれるものがたくさんあり、それらが電気信号を伝達することで、脳内で情報処理を行っています。この電気信号の仕組みを参考にしたのがニューラルネットワークです。

ニューラルネットワークは、テキストや画像、音声など、コンピュータに読み込ませられるさまざまなデータの解析を行うことが可能です。すでに私達の生活のいたるところでニューラルネットワークは活用されています。

ニューラルネットワークの原理

ニューラルネットワークは3つの層によって構成されています。「入力層」「中間層」「出力層」がそれぞれ協力してデータに対する計算結果を出力しています。

入力層ではデータを収集する役割を担っています。ニューラルネットワークにスムーズにデータを読み込ませるにはデータの加工が必要な場合もあります。

中間層ではパターン認識に必要な計算をすべて行います。中間層は何層にも分かれていることもあり、それによって複雑な計算も可能にしています。出力層では中間層で行った計算の結果を出力します。

各層を繋ぐ構成要素

ニューラルネットワークの入力層、中間層、出力層の間には各層を繋ぐ「シナプス」があります。このシナプスの結合の強さを「重み(W:Weight)」と言います。重みとはわかりやすく言うと重要性のことです。重みの値が大きいほど、その情報の重要度が増します。

また、入力される値とは別にニューラルネットワーク自身が持っている値をバイアスと言います。バイアスは、ニューラルネットワークを構成する1つ1つのニューロン(人間の脳における神経細胞)の値を調整します。

ニューラルネットワークの学習は、出力層において正しい値を導き出せるように適切な重みやバイアスに調整していく作業です。

ニューラルネットワークに関連する用語

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ニューラルネットワークに関連する用語を解説します。人工知能関連の用語は意味を混同している方も多いです。これらの用語の意味を正しく理解することで、機械学習関連の参考書なども読みやすくなるでしょう。

人工知能(AI)

人工知能(AI)は人間の知的能力をコンピュータで再現する技術の総称を指します。人工知能が発展することで、コンピュータに人間がやるべき仕事や作業を担当させることが可能になります。IT技術の中でも人工知能は流行している技術分野です。

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機械学習

機械学習はコンピュータに大量のデータを読み込ませて学習させる、人工知能の1分野です。データを読み込ませることで、コンピュータはそれらからパターンを認識できるようになります。ニューラルネットワークは、機械学習を機能させるための技術の1つです。

機械学習を行うには読み込ませるためのデータが必要です。最近ではインターネットの発達でデータの入手が容易になったため、機械学習は人工知能の中でも活用例が多くあります。たとえば、画像認識や自然言語処理、データ分析などに応用されています。

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教師あり学習・教師なし学習

教師あり学習・教師なし学習は、ニューラルネットワークで使われる学習手法のことです。教師あり学習では、何が正解なのかコンピュータに教えた状態でデータを読み込ませます。

教師なし学習では、正解・不正解の情報をまったく与えずにコンピュータにデータを読み込ませます。どちらの手法が優れているなどはなく、分析したいデータの種類などによって使い分けるのが肝心です。

ディープラーニング

ニューラルネットワークを多層に結合させ、学習能力を高めたものをディープラーニングと呼びます。ディープラーニングは現在もっとも多く導入されている手法であり、ニューラルネットワークは知らないがディープラーニングは知っているという方も多いです。しかし、厳密にはディープラーニングはニューラルネットワークの分野の1つです。

まとめると、ディープラーニングはニューラルネットワークの1部、ニューラルネットワークは機械学習の1部、機械学習は人工知能(AI)の一部ということになります。

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ニューラルネットワークの種類

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一口にニューラルネットワークといってもさまざまな種類があります。代表的なニューラルネットワークを3種類紹介します。

ディープニューラルネットワーク

ディープニューラルネットワークはもっとも使われているモデルであり、ニューラルネットワークを多層に積み重ねたものを指します。コンピュータの計算処理能力向上によって、より複雑に積み重ねることができるようになり、画像処理やデータ分析などで実用化されています。

畳み込みニューラルネットワーク

畳み込みニューラルネットワークは、画像認識処理や自然言語処理で多く使われるモデルです。従来のニューラルネットワークに畳み込み層を導入し、精度の向上を実現しています。人間の視覚神経を参考にしたアルゴリズムを応用して作られています。

再帰型ニューラルネットワーク

再帰型ニューラルネットワークは、時系列データを扱うことが得意なモデルです。翻訳や音声認識などに多く使われています。文章を読み込み、直前の言葉から次の言葉の出現確率を予想することなどができます。

ニューラルネットワークの歴史

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ニューラルネットワークの歴史について解説します。ニューラルネットワークは最近誕生したものではなく、実は50年以上もの歴史がある技術です。

1957年にニューラルネットワークが誕生する

1957年にパーセプトロンというニューラルネットワークが誕生しました。パーセプトロンは一定の人気を集めていました。しかし、線形分離不可能なデータを解析できないなどの問題がありました。

ニューラルネットワークが徐々に進化していく

1985年ごろになると、パーセプトロンを進化させたマルチレイヤーパーセプトロンが誕生しました。マルチレイヤーパーセプトロンは従来はできなかった複雑な学習を可能とします。

しかしインターネットがまだない時代のため、機械学習のためのデータが収集できないうえに実用性にも乏しいため、ブームにはなりませんでした。

2000年代にディープラーニングが登場する

2000年代に入るとディープラーニングが登場しました。さらに、2010年代ではスマホやSNSが普及し、インターネット上に多くの情報が蓄積されるようになったため、機械学習で活用できるデータが増えました。現代になり、ようやくニューラルネットワークは実用化されてきています。

ニューラルネットワークの活用事例

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最後に、ニューラルネットワークの活用事例を解説します。すでに私達の身の回りでニューラルネットワークは多く活用されています。

SNS

動画配信サイトやSNSのコメントの解析にニューラルネットワークが活用されています。SNSは不特定多数の人が書き込めるため、不適切なコメントも多くあります。それらのコメントを人間が1つずつ確認して削除すると時間がかかってしまいます。

そこでコンピュータに不適切なコメントのパターンを学習させ、自動的にコメントを削除できるようにしています。このように、業務効率化に大きく貢献するのが人工知能のメリットです。ただし、人工知能はまだ発展途上のため、不適切ではないコメントが削除されてしまうなどの問題もあります。

翻訳

Google翻訳などではニューラルネットワークが導入されています。従来の機械学習では翻訳の精度が悪く実用化が難しかったのですが、ニューラルネットワークの導入により精度が大きく向上しています。

さきほども解説した畳み込みニューラルネットワークを活用し、文章のパーツごとではなく全体を把握することで、より正確な翻訳を実現しています。日本語は文章が単語で区切られていないなどの理由でまだ翻訳の精度は低いですが、英語はすでに多数の自動翻訳サービスが登場しています。

【参考】:Google翻訳

自動運転

自動運転は現在注目されている分野の1つです。自動運転を実現するには、コンピュータが周囲の状況を瞬時に認識する必要があります。そこでニューラルネットワークを多数組み合わせることで、画像認識の精度を向上させる取り組みが行われています。

農業

農業分野は今高齢化が問題となっているためロボットの導入が検討されています。ロボットを導入すれば農薬を撒く作業や農作物の収穫が自動化されます。農業ロボットにはニューラルネットワークの導入が進められています。

ニューラルネットワークを導入することで、害虫がいる箇所のみに農薬を撒くなど、人間では難しい対応を行うことも可能と言われています。今後さらに人工知能が発展することで、農作物の質が向上したり農薬の使用が減ったりする可能性があります。

機械学習におすすめの参考書

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機械学習に関する書籍はたくさんありますが、今回は機械学習やニューラルネットワークについて基礎知識を身に付けるのに役立つ参考書を紹介します。

図解即戦力 機械学習・ディープラーニングのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書

これから機械学習を始める初心者におすすめの1冊です。機械学習とはどのようなものか、その概要から用いられる技術まで丁寧に解説されています。図解なので文章のみを読むよりも直感的にわかりやすく、初心者でも読みやすい一冊です。

▪著者:株式会社アイデミー 山口達輝,松田洋之 ▪ページ数:240ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2019年9月2日

【参考】:https://gihyo.jp/book/2019/978-4-297-10640-9

ゼロから作るディープラーニング

入門書の位置づけではありますが、基礎的な大枠にとどまらず、より本質的な部分を実践を通して学ぶことができます。タイトルに「ゼロから」とあるように、ライブラリやフレームワークなどのツールを使用せずに構築する方法を解説しています。

2016年の出版なので最新の情報は載っていませんが、図解も多く基礎から丁寧に解説されているため、演習をしながらしっかり学んでいけば確実に技術を身に付けることができます。初心者だけでなく、中級者以上の学び直しにもおすすめです。

▪著者:斎藤 康毅 ▪ページ数:320ページ ▪出版社:オライリージャパン ▪発売日:2016年9月

【参考】:https://www.oreilly.co.jp/books/9784873117584/

機械学習が学べるおすすめの本12選!初心者から上級者まで厳選してご紹介!

ニューラルネットワークは私達の生活を変える可能性を秘めている

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本記事ではニューラルネットワークについて解説しました。ニューラルネットワークの仕組みや種類、活用事例などがお分かりいただけたかと思います。ニューラルネットワークは今後さらに進化を遂げることが予想されます。ニューラルネットワークは私達の生活を変える可能性を秘めている技術分野と言えるでしょう。

ニューラルネットワークに興味があるなら、まずは機械学習の勉強を行ってみましょう。機械学習関連の参考書は数多く出版されているため、それらで基礎知識を得ると良いです。本記事がニューラルネットワークに興味ある方にとって有意義なものとなれば幸いです。

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