JavaScriptとTypeScriptの基礎知識
まず、JavaScriptとTypeScriptの基礎知識についてまとめました。それぞれの言語が誕生した理由や主な役割について解説していきます。
JavaScriptとは?
JavaScriptはWebアプリ開発におけるフロントエンドで使えるプログラミング言語です。WebページのHTMLを変更しWebページに動きをつけるために開発された言語です。
たとえばアニメーションやスライドショーを作ったり、アラートやウィンドウを表示したり、フォームに入力された内容を確認したりすることができます。JavaScriptは長年に渡り現役で活躍し続けている言語であり、Webアプリ開発に欠かせないものとなっています。
長年活躍している分ライブラリやフレームワークも豊富にあり、より開発効率を上げることができています。
TypeScriptとは?
TypeScriptはJavaScriptを拡張して開発した新しいプログラミング言語です。2012年にオープンソースとして発表され、現在はGoogleの標準言語として認められています。TypeScriptはJavaScriptよりも大規模なWebアプリ開発で使いやすいように設計されています。
大規模アプリはソースコードが複雑化してしまいやすいのですが、TypeScriptではソースの可読性・再利用性を保ちやすくなっており、ソースの修正・管理が楽になっています。現状ではTypeScriptを扱う企業は少ないものの、将来性は高いと言われています。
JavaScriptとTypeScriptの違い
TypeScriptとJavaScriptの違いについてまとめました。JavaScriptに比べTypeScriptはどのような点が優れているのか分かるように解説しています。
変数の型定義が可能
TypeScriptは変数の型定義が可能です。「この変数には数値が入ります」と示すことができるため、ソースコードの可読性も上がりミスを減らすことに繋がります。定義した型とは違う値が入った場合にエラーを出してくれます。また、TypeScriptではオブジェクト形式の型定義も可能です。
なお型定義は強制ではなく、しなくてもエラーは発生しません。型定義をしない場合は自動的に型を推論して宣言してくれます。
インターフェース機能がある
TypeScriptはインターフェースを利用し、独自ルールを作ることが可能です。たとえば「クラスを作成する際、インターフェースで定義したプロパティを必ず利用する」というルールを作ることで、プロパティを使わなかった場合にエラーを出すことが可能です。
クラス利用に関して制約を設けることで、クリティカルなバグを防ぐことができ、安心してクラスを利用できるようになります。このような機能は大規模開発において特に重宝するでしょう。
モジュールがある
モジュールとは他のものと組み合わせて使う部品のことです。1つ1つの部品は使い回しが可能なためモジュール化することでソースコード作成が効率化されます。
TypeScriptではグローバルモジュールの他に、内部モジュールなども使えます。グローバルモジュールは一般的なメソッド・引数のことで、プログラム内のどこからでも呼び出すことが可能です。一方内部モジュールは、メソッド・変数を外部に置きたくない場合に用いられます。
グローバルモジュールは外部からの参照を自由に行えますが、内部モジュールでは「export」をつけない限り参照ができなくなり、文字通り内部からの参照のみとなります。
TypeScriptのメリット
続いて、TypeScriptのメリットについて解説します。なぜTypeScriptが最近注目されているのか、理由についてみていきましょう。
JavaScriptのフレームワーク・ライブラリが使える
JavaScriptのフレームワーク・ライブラリはTypeScriptでも引き続き活用することが可能です。JavaScriptにはReactやVue.js、Angularといった優秀なフレームワーク・ライブラリが多くあり、これらを使うことで開発作業を効率化させることができます。
JavaScriptのフレームワーク・ライブラリが使えるため、移植もスムーズに行えるでしょう。
JavaScriptで学んだことを活用できる
TypeScriptとJavaScriptは互換性があり、そこまで大きく文法などは変わらないため、JavaScriptで学んだことはTypeScriptでも基本的には活かせます。JavaScriptをすでにマスターしている方なら、そこまで学習時間はかからないでしょう。相違点のみを重点的に学習していけば使いこなすことが可能です。
ソースコードの可読性が高い
TypeScriptはJavaScriptの上位互換とも言われています。TypeScriptには上記で解説した変数の型定義やインターフェース、モジュールといった機能があるため、ソースコードの可読性が高いのが特徴です。
JavaScriptの欠点である「大規模アプリで使いにくい」という弱点をカバーしており、TypeScriptを使うことで開発コストを削減することが可能です。
また、JavaScriptはundefinedが発生しトラブルに繋がりやすいという問題もありましたが、TypeScriptではこちらも改善されています。TypeScriptではコンパイラオプションを使うことで、変数がundefinedかチェックできます。
動作が速い
TypeScriptは動作が高速であるのもメリットです。TypeScriptは静的型付け言語であり、ソースコード内で型を宣言できるためです。また、TypeScriptはこれまで何度かアップデートしており速度改善が行われています。
TypeScriptのデメリット
続いて、TypeScriptのデメリットを解説します。次の2つのデメリットは重要なのでTypeScriptを学ぶ前に知っておきましょう。
現状は求人数が少ない
TypeScriptはまだ日本企業で普及しておらず求人数も少なめです。TypeScriptの優秀性は認められている反面、JavaScriptからの移植はコストもかかる上にプログラマへの負担も増えるため、そう簡単ではないです。TypeScriptを学んでも、今すぐに実務で役立たせるのは難しいでしょう。
日本語の情報が少ない
TypeScriptは英語の情報が多いため、英語が読めないと学ぶのに苦労しやすいです。基本的にこれから流行する技術は日本語の情報が少ないことが多いです。TypeScriptを学ぶ必要性があるレベルまで到達しているのであれば、最先端技術を学ぶためにエンジニアは英語を勉強しておいた方が良いでしょう。
TypeScriptを学習するためのおすすめ本
最後に、TypeScriptを学習するためのおすすめ本を紹介します。TypeScriptは日本語の情報がネット上に少ないため、参考書を購入して勉強を進めるのがもっともおすすめと言えます。
プログラミングTypeScript ―スケールするJavaScriptアプリケーション開発
【参考】:プログラミングTypeScript ―スケールするJavaScriptアプリケーション開発
本書はTypeScript入門者向けの内容となっています。TypeScriptの型に関することやエラー処理の手法、フレームワークの活用方法など基礎が網羅されています。また、JavaScriptからの移植方法も解説されています。
TypeScript実践プログラミング Programmer's SELECTION
【参考】:TypeScript実践プログラミング Programmer's SELECTION
本書はTypeScriptの実績的なプログラミングスキルを磨けます。TypeScriptを実務でどのように活かし、JavaScriptでは解決できない問題を解決するのかが書かれています。
速習 TypeScript 第2版 速習シリーズ
本書はTypeScriptを手軽かつ素早く学べます。TypeScriptの基礎を9つに分け、各単元にサンプルコードと詳しい解説が掲載されています。サンプルコードはダウンロードして活用が可能です。コンパクトに分かりやすくまとまった1冊であり、TypeScriptを早くマスターしたい方におすすめです。
TypeScriptはJavaScriptを習得した方におすすめの言語
本記事ではJavaScriptとTypeScriptの違いについて解説しました。なぜTypeScriptが注目されているのか理由がお分かりいただけたかと思います。TypeScriptは現状では利用企業は少ないものの、優秀性は認められている言語であり今後流行っていく可能性も高いです。
特に大規模Webアプリの開発においてTypeScriptは力を発揮します。JavaScriptを扱うエンジニアは今のうちにTypeScriptの基礎を学び、言語の移植に対応できるようにしておくことをおすすめします。
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