Visual Studio 2022の登場
本年4月にバージョン17としてリリース予定が発表されたVisual Studio 2022ですが、これまでのプレビュー版に続き正式版がリリースされました。いつリリースされるのかと待たれていましたが、11月8日(現地時間)に正式リリースとなりました。 参考:Join us November 8 for the Launch of Visual Studio 2022 参考:Visual Studio 2022 now available 参考:Microsoft Visual Studio 2022 が利用可能になりました
エディションは有償版と無償版があり、有償版発売日はリリース日と同一です。正式リリースを迎えるとともに提供を開始しています。
Visual Studioとは?
Visual Studioは、マイクロソフト社が開発提供している統合開発環境(IDE)です。マイクロソフト製品や開発ツールとの相性が良く、広く開発工程で用いられています。さらに、マルチプラットフォーム開発環境としてLinuxやモバイル端末向けアプリケーション開発でも利用が拡大しています。
マイクロソフトのプレビュー版とは?
マイクロソフト社のプレビュープログラムとは、開発者をターゲットとしてリリース予定の製品を事前に公表し、テスト・評価できる仕組みです。プレビュー版とはプレビュープログラムを通じて公開された先行モジュールを指します。11月7日にはすでにVisual Studio 2022 version 17.1の情報が、プレビューリリースノートに掲載されています。 参考:Visual Studio 2022 version 17.1 Preview Release Notes
Visual Studio 2022の概要
Visual Studio 2022はマイクロソフト社の統合開発環境(IDE)の最新バージョンです。シリーズ初の64ビット化により多くのメリットが期待されています。11月8日に正式リリースとなり、バージョン番号は17.0です。
最新のバージョンは11月16日に17.0.1がマイナーリリースされており、バグフィックスが主な変更点です。サポートされる.NET Frameworkは、4.5.2から4.8までサポートとなります。Visual Studio 2022の新機能やサポートOS等の詳細情報は、以降で詳しくお話しします。
Visual Studio 2022のエディション
Visual Studio 2022は、規模と用途に応じて3種類のエディションが提供されています。 参考:Visual Studio 2022 の各エディションの比較 参考:Visual Studio の購入
具体的なエディションは以下の通りです。 ・Visual Studio Community エディション 個人向けのエディションです。5人までの企業ユーザも利用できます。 学習目的の利用や研究用途の場合はユーザ数の制限はありません。 ライセンス条件に従い、無償で利用可能です。
・Visual Studio Professional エディション 5人以上の小規模な企業向けのエディションです。 Visual Studio Community エディションと同等の機能に、CodeLens機能がサポートされます。 有償で、月額Professional サブスクリプションと標準Professional サブスクリプションがあります。
・Visual Studio Enterprise エディション 250台を超えるPC保有、または年間収入100万米ドル超の企業向けエディションです。 アーキテクチャ検証やテストツール・デバッグ機能を含むVisual Studioのフル機能が利用できます。 有償で、月額Enterprise サブスクリプションと標準Enterprise サブスクリプションがあります。
Visual Studio 2022のサポートOS
Visual Studio 2022はリリースされたばかりなため、Windows版のみ公開されています。具体的なサポートOSは以下の通りです。 ・Windows 11 version 21H2以降 Home・Pro・Pro Education・Pro for Workstations・Enterprise・Educationの各エディション ・Windows 10 version 1909以降 Home・Professional・Education・Enterpriseの各エディション ・Windows Server 2022 Standard・Datacenterの各エディション ・Windows Server 2019 Standard・Datacenterの各エディション ・Windows Server 2016 Standard・Datacenterの各エディション
Visual Studio 2022は今回のリリースで64ビット化したことに伴い、64ビットOS上でのみサポートされます。従来同様、日本語もサポートされます。 参考:Visual Studio 2022 Product Family System Requirements
なお、Visual Studio 2022 for Macは現在プレビュー3まで開発が進んでおり、Mac版も時間を空けずに登場する見込みです。 参考:Visual Studio 2022 for Mac version 17.0 Release Notes
Visual Studio 2022のロードマップ
マイクロソフトは、今後のリリース予定をロードマップとして公開しています。 参考:Visual Studio 2022 Roadmap
Visual Studio 2022の注力ポイントは、以下の3点となります。 ・個人とチームの生産性 必要とされるスケールとパワーを活かす開発環境を提供し、利便性向上と設定の柔軟性を高めます。 ・モダンな開発手法 モダンアプリケーションを迅速に開発するツールを提供します。 ・着実なイノベーション 開発のコラボレーションとコード診断やアシスタンスへ投資します。
ロードマップ上にはすでにプレビューとして進められている17.1に加えて、17.2が計画されています。
Visual Studio 2022の利用方法
Visual Studio 2022は無償版は、公式サイトからvs_community.exeをダウンロードしインストール可能です。ファイル名は ”vscommunity_2002818536.1612665077.exe” のようにバージョン番号や識別情報が含まれます。
有償版についてもvs_professional.exeやvs_enterprise.exeをエディション別に用意しており、ライセンス条項を確認しインストールすることができます。こちらもファイル名にバージョン番号や識別情報が含まれます。 参考:Microsoft Visual Studio ダウンロード
Visual Studio 2022の新機能
Visual Studio 2022はロードマップで提示している戦略とリリース計画に基づき、機能改善と追加を進めています。その情報はリリースノートにまとめられています。 参考:Visual Studio 2022 version 17.0 Release Notes
以下は Visual Studio 2022の主要な新機能と改善点です。 ・メインプロセスの64 ビット化 devenv.exeを今回64ビット化したことが最大のポイントです。従来の32ビットプロセスの限界である4GBのメモリ制限から解放されます。そのためコンピューターの全リソースを活用してメモリ不足に陥ることなく、大規模で複雑なワークロード向けのプロジェクト開発に活用できます。もちろん32 ビットアプリケーションの実行とデバッグもサポートされます。
・Azure Azure Cloud Service(classic)と Azure Cloud Service(extended support)のプロジェクトがサポートされます。
・C++とC# C++20とC#10のサポートや各種ツールの連携等多数の改善がされています。CMakeをはじめとする最新ビルドツールがサポートされています。
・デバッグと診断機能 ブレークポイントの改善と新しい種類が増えています。ドラッグアンドドロップでブレークポイントが設定可能です。メモリダンプの解析やプロセス診断の改善がされています。
・IntelliCode ラインコンプリーション機能により、C#コードの次のチャンクを予測してくれますので効率的なコーディングが可能です。
・.NET 6 SDK .NET 6 SDKはVisual Studio 2022と同時にリリースされたフレームワークです。Visual Studio 2022ではその.NET 6 SDKが同梱されています。.NET 6はWindows・Linux・macOS・Android・iOSでサポートされるため、.NET 6活用による生産性向上が期待できます。
Visual Studio 2022を試して新しい開発環境に慣れましょう
Visual Studio 2022は、今後マイクロソフト社の統合開発環境の主要製品と位置付けられています。この新開発環境に早めに慣れておくと、今後予測されるモダン開発の波に乗り効率的なコード開発が可能になるためおすすめです。
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