Pythonを活かせる用途とは?
Pythonは平易な文法とシンプルなコードで、プログラミングの初心者にも学びやすいのが特徴です。今話題のAI関連の開発では、欠かせない言語として注目が集まっています。
ソフトウェアの品質評価や追跡を行っているオランダの「TIOBE Software」の2022年10月版「TIOBEインデックス」では、プログラミング言語の検索数ランキングでPythonが1位を獲得しています。2位はC、3位にJavaがランクインし、定番のプログラミング言語を抑えて1位です。日本のみならず、世界的に人気の高いプログラミング言語ということが分かります。
【参考】:TIOBE Index for October 2022
この記事では、Pythonに興味があり、これから進みたい分野でPythonが役に立つのかどうかを知りたい方に向けて、Pythonでできることや実用例などの用途を紹介し、将来性や学習方法についても解説します。
【参考】Python.org
Pythonでできること・実用例
Pythonは汎用性の高いプログラミング言語であり、シンプルで使いやすいことからさまざまな用途で利用されています。ここでは、Pythonでできることと実用例について解説します。
Webアプリケーションの開発
Pythonは、AIに関わる機械学習や深層学習の開発に適したプログラミング言語というイメージが強いですが、元々はWebサービスの開発分野で使われることが多く、特に大規模Webサービス分野において顕著な成果を上げています。Pythonによる開発事例では、YouTube・Dropbox・Instagram・Pinterestなどがあります。
PythonはWebアプリの開発に関するフレームワークやライブラリが充実しており、これらを活用することでさらに開発の生産性を向上させています。また、Webアプリは改変の頻度が高いため、コードがシンプルで判読しやすいことが重要ですが、シンプルで判読しやすいPythonはまさにその条件を満たしています。
AIと聞くと、SF映画の影響からヒューマノイド型のロボットがイメージされますが、実は身近なところにAIが溢れています。以下はAI技術が活用されている一例です。
・Googleの検索エンジン ・画像認証 ・SiriやAlexaの音声認識 ・車の半自動運転(プロパイロットなど)
すでに私たちの日常生活には、AI技術が多く使われており、AIは身近な存在であると言えます。
ビッグデータと分析
Pythonが得意とするAIでは、ビッグデータの処理が重要です。ビッグデータには大量の画像・Webページ・人物の画像などがあり、Pythonにはデータの大量処理に関するフレームワークがあるため、効率的にAIの開発ができます。
データ分析工程は大きく分けると「クローリング(収集)」「スクレイピング(抽出)」「データ前処理(収集したデータの整理)」の3つがあります。それぞれの工程にライブラリが用意され、Pythonによるデータ処理や分析の助けとなります。
大量データの自動収集
AIでは、大量のデータを効率的に集める必要があります。Web上にある大量のデータを抽出するには、Pythonの特徴でもある「自動化」が効果的です。Pythonには自動抽出に関するライブラリがあり、AI開発のベースとなるビッグデータ収集に手間暇かける必要がなくなります。
例えば、Amazonや楽天などは何千万、何億というユーザを抱えていますが、AIを活用することでユーザ情報や行動を抽出し、マーケティングやコンテンツ改善に役立てることができます。
ブロックチェーンの開発
ビットコインで一躍有名になったブロックチェーン業界でも、Pythonは活用されています。ブロックチェーンは「分散型台帳技術」とも呼ばれ、分散型のコンピュータネットワーク上に取引に関するすべての情報や履歴を記録するものです。ブロックチェーン技術は暗号通貨の領域以外にも、さまざまな分野で応用が期待されています。
・スマートコントラクト(ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組み) ・トレーサビリティ(商品の購買追跡や履歴の保存) ・本人確認、身分証明の簡略化など
上記のような技術によって、インターネット社会は根底から変わる可能性を秘めているため、Pythonはブロックチェーンの開発分野でも最重要言語と言えるでしょう。また、昨今このような分野の求人数が増えており、Pythonを扱えるエンジニアの需要が年々増しています。ITエンジニアとして活躍するためには、Pythonは習得しておきたい言語の1つです。
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そもそもPythonとは
Pythonがどのような用途で活用されるのかを実用例を参考に解説しましたが、そもそもPythonはどういった経緯で作成された言語なのでしょうか。ここでは、Pythonの歴史や得意分野、Pythonエンジニアの年収についてまとめました。
Pythonの名前の由来はコメディ番組
実はPythonの歴史は古く、1991年にオランダのグイド・ヴァン・ロッサム氏によって創り出され、リリースされました。当時グイド氏が参加していた分散システム開発プロジェクトでは、開発が思うように進まず、その打開策として、シンプルかつ使いやすい言語であるPythonを創り出しました。
Pythonの読み方は「パイソン」で、ニシキヘビのPythonと同じスペルです。Pythonのネーミングは、グイド氏が好きだったTVのコメディ番組『空飛ぶモンティ・パイソン(Monty Python's Flying Circus)』に由来しています。
Pythonの得意分野
元々Pythonは統計処理や数値計算などを得意とし、AI開発分野の機械学習・深層学習(ディープラーニング)・データ解析処理などで利用されることが多い言語です。前述の通り、Webアプリケーション開発でもよく利用されており、世界でも有名なYouTube・Instagram・DropBoxは主にPythonで作られています。
また、最近ではWebアプリの開発でPythonのシェアが急上昇しています。その理由は、Webアプリは改変の頻度が高いため、読み書きしやすく少ないコードの記述で開発できるPythonが適していること、C言語との相性が良いことなどが挙げられます。
Pythonの利用範囲は幅広く、ほかにもゲームアプリの開発やデスクトップアプリの開発にも活用されています。
Pythonエンジニアの年収
ここでは、Pythonを扱うエンジニアの年収について紹介します。参考例として、今回はシステムエンジニアの年収を記載しています。
「マイナビエージェント 職種図鑑」でのシステムエンジニアの平均年収は431万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のSE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装)を参考にすると、平均年収593万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムエンジニアは一般平均年収と比較すると、同程度かやや高めであることが分かります。
Pythonは様々な開発で需要の高い言語のため、Pythonが使えることをアピールすることで採用時に有利に働くケースがあります。Pythonを専門的に扱うエンジニアとしてさらに高収入を狙うのであれば、スキルや実績を積むことはもちろん、資格取得などにも励むことが重要です。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
Pythonの弱み
人気の高いPythonにもデメリットがあります。Pythonを活用できるエンジニアを目指す方は、Pythonのデメリットも理解しておきましょう。
実行スピードが少し遅め
Pythonはインタプリタ型言語です。つまり、実行時にコンパイル(機械語に翻訳)しながら動作するため、Javaといったコンパイラ型言語と比較するとコンパイルの時間分だけ実行スピードが遅くなります。
そのため、スピードが要求されるようなゲームや、処理速度が要求される基幹システム・大規模システムなどの開発には不向きとされています。プログラミング言語にはそれぞれ向き不向きがあるため、どういったシステム開発に関わりたいかを見極めることで、習得するべき言語が分かるようになります。
インデントが必須のため注意が必要
Pythonでは同じインデントを1つのまとまりと認識するため、インデントを揃えることが必要です。インデントとは行頭の位置のことであり、Pythonでは行頭の位置が同じ構文を1つのまとまりとして処理します。そのため、インデントがずれているとエラーとなり、プログラムが正しく動かないといったことが起こります。
メソッドの引数にはselfが必須
Pythonはメソッドを定義する際に、第一引数に必ずselfが必要です。Python以外のプログラミング言語ではselfは必須ではないため、Python独自のルールと言えます。少々手間がかかるように感じてしまいそうな部分がデメリットとして挙げられますが、とは言え実際そこまで不便さを感じることはほとんどありません。
Pythonのメリット
先ほどPythonのデメリットについて紹介しましたが、以降では、Pythonの人気がここまで高まっている理由とメリットについて解説します。
言語がシンプルで初心者でも覚えやすい
Pythonの人気の理由として、コードが少なくシンプルで書きやすいことが挙げられます。Webサイト・Webアプリケーションによく利用されるJavaと比べると、予約語の数がJavaの半分以下の35しかありません。覚えることが少ないため、初心者でも習得しやすい言語として人気です。
環境構築が簡単
Pythonは環境構築が簡単なことも人気の理由です。Pythonに対応しているOSとネットワークがあれば、すぐに開発・動作環境を構築できます。
Pythonの公式ホームページにアクセスすると、Pythonの環境構築のためのプログラムをダウンロードできます。画面上部のメニューから「Download」にマウスを合わせるとメニューが表示されるため、メニューから使用するOSに合ったPythonをダウンロードします。
ダウンロードする際は、必ず最新のプログラムをダウンロードしましょう。ダウンロードしたファイルをダブルクリックするとインストールが開始されます。
【参考】Python.org
読み書きが簡単でライブラリが豊富
Pythonはシンプルで読み書きがしやすいだけではなく、ライブラリも豊富です。シンプルでライブラリが豊富なことから、コーディングがしやすいこともPythonの大きな強みです。また、他人が書いたコードもすぐに解読できるため、メンテナンスやバグ修正がしやすいことも開発者にとっては大きなメリットです。
プラットフォームが豊富にある
PythonはWindows・MacOS・iOS・Android・UNIXなどのさまざまなOSで動作が可能です。また、クラウド環境ではブラウザ上で Pythonをコーディングし、直ちに実行ができるサービスとして「Google Colaboratory」があります。対応しているOSが多いこともPythonの大きな強みです。
高い汎用性で活躍範囲が広い
Pythonの用途は幅広く、AIの機械学習分野・ビッグデータの収集と解析・Webアプリ開発・仮想通貨のプロックチェーンなどがあります。他にもAI技術によるIoT開発・ロボット制御・デスクトップアプリ・ゲームアプリなどで活用されており、あらゆる分野にPythonが浸透しています。
Pythonの学習方法
ここでは、Pythonの学習方法について説明します。比較的習得が簡単であるとされるPythonですが、プログラミング初心者にとってはどう勉強すればいいのか分からない方も多いでしょう。
現在では参考書のほかに、オンライン学習やスマートフォンアプリといったさまざまな学習方法があります。自分に合った学習方法を選んでPythonを習得しましょう。
オンライン学習サイトで勉強する
仕事や学業の合間に学習するなら、オンライン学習サイトが便利です。家にいながら学習できるため、時間がない人でも効率的に勉強できます。オンライン学習サイトは種類が多く、実際にゲームを作れるものや初心者向けに短い動画が用意されているものなど、さまざまな特長があります。
無料のものもあるので「学習したいけど何で勉強すればいいのか分からない」といった方は、オンライン学習サイトから学習をスタートし、そのあと参考書で理解を深めるといった方法もおすすめです。
スマートフォンの学習アプリで勉強する
Pythonを学習できるスマートフォンアプリは、通勤時間や休憩時間といった隙間時間で勉強するのに便利です。忙しくてまとまった学習時間が確保できない方も、スマートフォンアプリなら毎日少しずつ勉強できます。
しかしスマートフォンアプリは便利な反面、学習できる範囲が偏っていることが難点です。基礎に特化しているアプリや、応用部分が大半なものもあります。そのため、1つのスマートフォンアプリだけで勉強するのではなく、複数のアプリを使ったり参考書とセットで勉強するのがおすすめです。
参考書で勉強する
基礎から応用までPythonをきっちり学びたい方には、参考書での勉強がおすすめです。参考書は初心者向けから上級者向けのものまで種類が豊富で、自分に合ったものを選べますが、参考書での学習は独学になるため、人によっては挫折することもあります。
挫折しないためには、1冊目に簡単な内容の本を選んで基礎知識を学び、2冊目以降は応用編の参考書で実践的な使い方を勉強する、という流れにすると良いでしょう。挫折しないためのポイントは、わからないことをそのままにせず、すべて理解してから次に進むことです。
プログラミングスクールで勉強する
Pythonの基礎から実務で通用する開発スキルまで学びたい方は、プログラミングスクールに通うと良いでしょう。プログラミングスクールではさまざまなカリキュラムが用意されており、自分に合ったペースで学習できます。また、対面式のため分からないことをすぐ質問できるため、疑問点をすぐ解決できるのも魅力的です。
学習サイトや参考書などに比べると費用が高いですが、プログラミングスクールによっては無料体験や無料相談できるところもあるため、内容をしっかり確認してから入会するかどうか検討しましょう。
Pythonエンジニアの将来性
Pythonエンジニアとして活躍するためには、Pythonの将来性について気になる要素ですよね。結論から言うと、Pythonには将来性があり、Pythonエンジニアの活躍の可能性は非常に高いと言えます。ここではPythonの将来性と、Pythonエンジニアの活躍の可能性について解説します。
Pythonエンジニアの将来性が高い理由
Pythonエンジニアに対する求人状況を見ると、言語別求人件数ではPythonはJavaやPHPの後塵を拝していますが、Pythonの求人件数は急激に増えています。その背景にはAIやDX、IoTブームがあると考えられますが、求人数の増加はそれだけ需要があり、将来性の高さを意味しています。
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Pythonを第2言語にしよう
Javaの人気は依然として高いものがあります。しかし、Javaエンジニアは非常に数が多く、案件が豊富でも年収面では頭打ちという指摘もあります。Javaを取るか、Pythonにするか悩むところですが、できれば両方マスターすることをおすすめします。
第1言語のC言語やJavaに加え、第2言語としてPythonが扱えれば重宝されるでしょう。フルスタック・エンジニアも選択肢として検討してください。ビジネスシーンでは、マルチ・バイリンガルが活躍しているのと同様に、エンジニアの世界でもマルチ言語エンジニアへの期待はさらに高まっていくことでしょう。
Pythonの用途を理解して活躍できるエンジニアになるには
この記事では、Pythonの用途を実用例を参考に解説し、メリットや将来性についても述べました。Pythonは人気や注目度の高いプログラミング言語の1つで、ますますシェアが広がっています。
今後Pythonエンジニアとして活躍するためには、スキルの向上や実績作りが欠かせませんが、それを評価してくれる企業選びも重要です。「Python 求人」で検索した際に数多くの募集がヒットしますが、その中で自分に合う企業を見極めなければなりません。数が多すぎると精査するのも一苦労です。
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