デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとは、デジタルデータを活用するマーケティング(売れる仕組みづくり)です。
マーケティングという言葉が登場したのは、インターネットが存在しない20世紀初頭でした。それから約100年間、マーケティングは市場調査や統計学などを使って「顧客の行動」を可視化しようと試みてきました。
しかし、〇月〇日に打った「テレビCМ」や「新聞折り込みチラシ」に何%の消費者が反応したかを明確に数字化することは困難で、まして、その年齢層・職業・趣味・嗜好などを知ることは不可能でした。
このようなアナログマーケティングからデジタルマーケティングへの転換を象徴するのが、2003年の「Google広告」と2005年の「Google アナリティクス」のリリースです。それによって、PV(ページビュー)、CTR(クリック率)、CVR(コンバージョン率)などが重要なマーケティング指標として広く認識されるようになりました。
デジタルマーケティングには、大きく分けると次の2つの意味があります。 ●Webコンテンツ、Web広告の効果をデジタルデータで解析する ●広い意味のデジタルデータをマーケティングに活用する
狭義のデジタルマーケティングーWebマーケティング
Webマーケティングは、WebサイトやWeb広告を通して行われるマーケティングです。具体的な活動として、WebサイトのSEO(検索エンジン最適化)対策、Web広告の効果の解析と改善などがあります。
最近では、SNSで情報発信して顧客とのコミュニケーションを図るSNSマーケティングや、Youtube広告の活用も重要なWebマーケティングに位置づけられています。
スマホの普及によって、常にスマホやタブレットを片手に行動する人々の消費行動に視点を合わせる「モバイルマーケティング」もWebマーケティングの重要な切り口になりました。
広義のデジタルマーケティングーあらゆるオンラインデータの活用
デジタルテクノロジーの進歩が、音声認識・画像認識などのAI開発に結びつくことによって、IoT(もののインターネット)などからもデジタル情報が蓄積されるようになりました。ビッグデータの利用が可能になり、「情報爆発」と言われる状況が出現したのです。
このような状況でマーケティングは、「Webマーケティング」というカテゴライズでは重要なチャネルを見落とす可能性があり、より包括的な概念である「デジタルマーケティング」という言葉が使われるようになりました。
また、デジタルマーケティングという概念が一般的になることによって、WebマーケティングがWebサイト、Web広告に関するマーケティングに限定して使われる傾向も生じました。例えば「Webマーケティング+SNSマーケティング+モバイルマーケティング+α=デジタルマーケティング」という把握です。
オムニチャネル戦略
実店舗とECサイトなど、ネットとリアルの世界を結びつける「オムニチャネル」もデジタルマーケティングの重要な戦略になっています。
「スマホを片手にLINEやTwitterの情報をチェックしながら行動する消費者」にどうリーチしていくかは、今後ますます重要性を増していくと考えられます。
デジタルマーケティングのチャネル
デジタルマーケティングには、自社Webサイト・Web広告・E-mail・SNSなど、多様なチャネルがあります。主なものは次の通りです。
オウンドメディア / SEO
オウンドメディア(自社Webサイト)は、Web広告やSNSでリーチした見込み客を誘導する、デジタルマーケティングのいわばベース基地です。その出来次第で、見込み客を逃がすこともあれば、コンバージョンにまで結びつけることもできます。
オウンドメディアの運用ではSEO対策が必須ですが、Googleなどの検索エンジンはそのアルゴリズムを公開していないので、手探りの試行錯誤が必要な場合も少なくありません。また、Web広告と違ってSEO対策の効果を明確な数字で確認することもできません。
地道にコンテンツを充実させ、検索順位の上昇とランディングしたユーザーの心を捕まえる魅力あるWebサイトの構築を目指す必要があります。
Web広告
GoogleやYahoo!のプラットフォームを通じて配信するWeb広告は、見込み客を集めるために重要なチャネルです。 Web広告には次の3つの種類があります。
検索連動型広告 : 検索結果画面に表示されるテキスト広告 ディスプレイ広告 : Webサイト内に表示されるバナー広告など 動画広告(Youtube広告):動画内に流れるCM広告など
Web広告は管理画面からクリック率やコンバージョン率などの詳細な情報が得られるのがメリットで、明確な数字に基づいた広告戦略が可能です。リターゲティングなどさまざまターゲティングの機能も備えています。
また、検索連動型広告にもディスプレイ広告にも「レスポンシブ広告」と呼ばれる機能があります。これは、AIによる広告枠への最適化を自動的に行なうサービスで、広告制作にかかる時間と費用が軽減されています。
E-mailは既存客や資料請求などでメールアドレスを獲得した見込み客に働きかける、デジタルマーケティングの重要なチャネルです。E-mailのメリットは配信費用が安いことで、送信先をAIに選別させるマーケティングオートメーションも可能です。
SNS
SNSは利用者の急激な増大によって、極めて重要なマーケティングチャネルになりました。Facebookページなど無料のアカウントで自由にコンテンツをアップロードでき、それを有料のFacebook広告と連動させることもできます。これは、WebサイトとWeb広告の関係と同じです。
何よりの特徴は「バズる」という言葉が象徴する、拡散力の大きさです。「炎上」のリスクと表裏一体ですが、今後ますます重要性を増すチャネルと言えます。
デジタルマーケティングの業績評価指標
デジタルマーケティングの各チャネルの業績評価指標には次のようなものがあります。
Webサイトの評価指標
Webサイトの評価指標には次のようなものがあります。
オーガニック検索(自然検索)流入数 : キーワード検索でサイトを訪れた人の数 広告検索 : 広告からサイトを訪れた人の数 直帰率 : 1ページしか見ずにサイトから出た人の割合 離脱率 : そのページを最後にサイトから出た人の割合 回遊率 : 1度の訪問でユーザーが何ページのビュー数をカウントしたか
これらの指標をWeb広告の指標と組み合わせることで、立体的なデジタルマーケティングを行なうことができます。
Web広告の評価指標
Web広告の評価指標には次のようなものがあります。
インプレッション : 広告が表示された回数 クリック数 : 広告がクリックされた回数 コンバージョン数 : 「資料請求」「予約」など広告目的が達成された回数 CTR(クリック率) : クリック数÷インプレッション CVR(コンバージョン率) : コンバージョン数÷インプレッション CPC(クリック単価) :広告費÷ クリック数 CPA (コンバージョン単価): 広告費÷コンバージョン数
広告管理画面から、上記の指標を各キャンペーンごと、各広告ごとに確認することができます。
SNSの評価指標
SNSの企業ページの評価指標はFacebook、Twitterなど各メディアによって用語の違いがあります。主なものは次の通りです。
フォロワー数 「いいね」数 ユーザー投稿数 コメント/リプライ数 リツイート/シェア数
SNSの広告では、Web広告と同じCTR(クリック率)、CVR(コンバージョン率)などの指標を用いることができます。
デジタルマーケティングの目標はカスタマージャーニーの把握
デジタルマーケティングのチャネルと指標を適切に組み合わせることで、カスタマージャーニー(顧客と商品の最初のコンタクトから購入までのプロセス)を把握することが可能です。
指標(数字)プラス共感力で顧客の行動を追跡する
アナログマーケティングで要求された想像力や共感力は、デジタルマーケティングでも重要です。デジタルな情報(数字)から、生身の人間であるカスタマーの心理や行動を再構築する必要があります。
顧客と商品のさまざまなタッチポイントで顧客の心理がどのように変化したか、何が購入のトリガーになったのかを可視化し、次の施策・戦略に結びつけるのがデジタルマーケティングの最終目的だと言ってよいでしょう。
重要性を増すモバイルとSNSのマーケティング
カスタマージャーニーの把握で今後ますます重要性を増すのがモバイルマーケティングとSNSマーケティングです。
スマホやSNSが消費者の購買行動にどのようなタッチポイントでどのような影響を与えているかは、まだまだマーケターに把握されていない部分があると考えるべきで、それだけに稔り多い成果をもたらす可能性をはらんでいます。
エンジニアとデジタルマーケティング
デジタルマーケティングの概要を述べてきました。ここまで読まれたエンジニアの方は、システム開発はまさにデジタルマーケティングそのものだと思われたのではないでしょうか?システム開発において、カスタマージャーニーマップや共感マップの作成が重要とされているのが、その何よりの証拠です。
成果物にデジタルマーケティングの視点が行き届いているほど、マーケターはその後の仕事がしやすくなります。また、エンジニアがプロジェクトマネジャーやデータサイエンティスト、IТコンサルタントなどの次のキャリアを目指すときも、デジタルマーケティングの知見は大きな武器になります。
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