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システム開発のV字モデルとは?未経験からシステムエンジニアを目指す方法
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システム開発のV字モデルとは?未経験からシステムエンジニアを目指す方法

アンドエンジニア編集部
2024.12.02
この記事でわかること
V字モデルは品質重視の開発手法で、各開発工程に対応するテスト工程がある
V字モデルは各工程の成果物が明確で可視化され、計画的な開発が可能である
V字モデルは柔軟性に欠け、要件変更に弱く後工程での手戻りが発生しやすい

システム開発のV字モデルとは

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システム開発におけるV字モデルとは、開発工程とテスト工程がリンクする形で進められるモデルです。開発中に生じた要件や設計を、対応するテスト工程で検証し、品質を確保します。工程全体がV字型に配置されるため、この名が付けられました。

この記事では、ITエンジニアを目指す方に向けて、V字モデルの概要や、デメリットとメリット、アジャイル開発との違い、V字モデルの学習法などについて解説します。

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V字モデルの仕組みと開発工程

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システム開発のV字モデルは、システム開発の品質向上と効率的なプロジェクト推進に役立つ開発手法の1つです。ここでは、V字モデルの考え方と、各工程について見ていきます。

【参考】:システム開発のV字モデルとは?流れやW字モデルとの違いを解説 - マイナビ | 開発プロジェクトを構想からグロースまで支援 【参考】:ソフトウェア開発の標準プロセス | IPA (独立行政法人 情報処理推進機構)

V字モデルの特徴

V字モデルの考え方は、「開発段階から品質を意識する」ということです。従来のウォーターフォールモデルのように、開発が完了してからテストを行うのではなく、開発の各段階でテストを行うことで、品質を確保しようとするものです。

V字モデルの特徴は次の通りであり、自動車開発のプロセスモデルとして知られる「V字プロセス」も同じ考え方で成り立っています。

■ 開発とテストの対応関係が明確 各開発工程に対応するテスト工程が明確に定義されているため、テスト漏れを防ぎ、品質の向上に繋がります。

■ 計画的な開発が可能 各工程の成果物が明確になるため、プロジェクトの進捗を把握しやすく、計画的な開発が可能です。

■ 問題の早期発見 開発の早い段階からテストを行うことで、問題を早期に発見して修正できます。

■ 品質重視 各工程でテストを実施することで、品質を確保しながら開発を進められます。

■ ウォーターフォールモデルとの関係 ウォーターフォールモデルをベースにしているため、計画性が高く、工程間の依存関係が明確です。V字モデルはウォーターフォールモデルの1種であることから、古いモデルという見方もありますが、今でも適用分野は決して少なくはありません。

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V字モデルの具体的な流れ

V字モデルは、開発工程が左から右へ進むにつれて詳細度が増し、テスト工程が右から左へ進むにつれて、より具体的なテストが行われます。以下、V字モデルの具体的な流れについて解説します。

■ 要求定義 = 受け入れテスト 要求定義ではユーザの要求するソフトウェアのイメージを明らかにし、受け入れテストでは開発されたシステムを実際に動かしてみて、使用できるかの確認、要求通りのシステムになっているかを確認します。

■ 要件定義 = システムテスト 要件定義ではシステムに求められる機能や性能、制約条件などを明確にします。システム開発が済むと、開発環境下で当初の要件を満たしているかを確認するために、全体テストの一環としてシステムテストを行います。

■ 基本設計 = 統合テスト 基本設計では、システム全体の構造、各機能間の関係などを設計し、ソフトウェアの全体像を明確にします。統合テストでは、個別のモジュールが連携して動作すること、正常に動作するかを検証します。

■ 詳細設計 = 単体テスト 詳細設計では、システムの各機能の詳細な設計を行います。アルゴリズムやデータ構造などが具体的に決まります。単体テストでは、個々のモジュールが仕様通り動作するかを確認します。

■ コーディング 設計書に基づいて、実際にプログラムを作成します。設計書に基づき、モジュール単位でコーディングを行い、完成後にレビューやデバッグを行います。

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V字モデルのデメリットと課題

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V字モデルはウォーターフォール型開発の改良版的位置づけにありますが、ウォーターフォールモデルのデメリットも引き継いでいます。主なデメリットや課題を見てみましょう。

柔軟性の欠如

一旦開発工程が進んだ後では、要件変更に対応するのが難しく、手戻りが発生しやすい面があります。また、 ITは変化が激しい世界ですが、V字モデルは計画に基づいた開発モデルのため、市場や環境の変化に柔軟に対応することが難しい場合があります。

複雑なシステムに不向き

複雑なシステムの開発では、工程間の連携が複雑になるため管理が難しくなる可能性があります。そのため、大規模で複雑なシステムの開発にV字モデルを適用するのはリスクがあります。

開発者間のコミュニケーション不足

V字モデルでは工程ごとに担当者が分かれるため、開発者間同士のコミュニケーション不足が生じやすく、誤解や漏れが発生する可能性があります。

高品質なシステム開発を実現するV字モデルの利点

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V字モデルにはいくつかのデメリットはありますが、それらを覆すだけのメリットが豊富にあります。ここではV 字モデルのメリットを1つずつ見ていきましょう。

品質の向上

V字モデルでは各開発工程に対応するテスト工程が設定されており、開発の早い段階からテストを実施します。これにより、不具合を早期に発見し、修正することが可能となるため、最終的な製品の品質向上に繋がります。

計画性の高さ

V字モデルでは各工程の成果物が明確になっており、成果物の内容からプロジェクトの進捗を把握しやすくなります。これにより、計画的な開発が可能となり、納期遅延のリスクを減らすことができます。

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問題の早期発見

V字モデルでは開発の早い段階からテストを行うことで、設計ミスや誤りを早期に発見できます。これにより、後工程で大きな問題に発展するのを防ぎ、結果的にトータルコストの削減につながります。

工程間の連携が円滑

V字モデルでは各工程の役割が明確になることで、開発の抜けが生じにくく、開発チーム全体の連携がスムーズになります。これにより、情報の共有が円滑に行われ、開発効率が向上します。

ドキュメントの充実

V字モデルでは、各工程で必要なドキュメントを必ず作成するため、知識や情報共有、トラブル時の対応が容易になります。また、将来的なシステムの改修や保守の際にもドキュメント不足で困るというケースが減ります。

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システムエンジニアの年収

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ここでは、システム開発の中心を担うシステムエンジニアの年収を見てみましょう。

一般的なシステムエンジニアの平均年収は「マイナビエージェント職種図鑑」によると、431万円(※2024年11月執筆時点)と算出されています。また、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」における「エンジニア/プログラマ」の平均年収を参考にすると、592万円でした。

国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円ですので、システムエンジニアの平均年収は一般の年収よりも、やや高めであると言えます。

システムエンジニアはITスキル以外に、コミュニケーション能力やマネジメント力、問題解決能力などが求められます。キャリアパスとしては、プロジェクトマネージャやITコンサルタントなど、高年収の職種がありますので、キャリアアップによって年収アップを目指しましょう。

【参考】:マイナビエージェント職種図鑑/システムエンジニア ※【平均年収 調査対象者】2019年12月~2020年5月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

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他の開発手法との比較

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V字モデルとアジャイル開発は、どちらもソフトウェア開発の手法ですが、大きく異なる特徴を持っています。またV字モデルの進化系であるW字モデルもあります。ここでは、それぞれの違いについて確認しておきましょう。

V字モデル

V字モデルについて、改めておさらいしておきましょう。主に、アジャイル開発と大きく異なる部分について挙げていきます。V字モデルは計画性が高く、ドキュメント重視の特徴があります。一方、柔軟性は低く、顧客との連携シーンはさほど多くはありません。

要件定義で顧客のニーズが確定すると、それに基づいて各工程が進んでいきます。また、開発サイクルは長く、開発には時間が掛かります。V字モデルが向いているケースとしては、要求が明確で変更が少ない場合、品質を重視する場合、大規模なシステム開発が挙げられます。

アジャイル開発

アジャイル開発は、顧客との密なコミュニケーションを重視し、短いサイクルで開発を進める手法です。柔軟性が高く、顧客のフィードバックを基に開発計画を柔軟に変更できます。また顧客と密に連携しながら開発を進めます。開発サイクルは短く、短期間で機能を開発し、リリースを繰り返します。

アジャイル開発が向いているケースとしては、要求が頻繁に変更される場合、市場変化が激しい場合、小規模なチームで開発する場合などが挙げられます。

アジャイル開発の特徴、メリット・デメリット、DXとの関係など

W字モデル

W字モデルは、ソフトウェア開発における品質向上を目的とした開発モデルの1つで、従来のV字モデルをさらに発展させたものです。V字モデルでは開発工程が全て完了してからテスト工程に移行するのに対し、W字モデルでは開発工程の早い段階からテストが開始されます。

具体的には、設計段階からテスト計画を立案し、実装段階では単体テストだけでなく、結合テストも並行して行うなど、開発とテストが同時進行していく点が特徴です。

V字モデルの習得法

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V字モデルは要件定義から始まり、設計、実装、そして各段階に対応するテストを実施することで、高品質なソフトウェア開発を目指します。ここでは、V字モデルの習得法について紹介します。

書籍による学習

V字モデルは伝統的なウォーターフォール型モデルの発展型です。V字モデルを学ぶには、ウォーターフォール型開発の基本を知ることが前提となります。以下に、初心者向けのシステム開発に関する参考書を紹介します。

■ システム設計のセオリー II 本書は、システム設計に関する理論や実践的なアプローチを詳しく解説している書籍です。この本は、システム設計の基本から応用まで幅広くカバーしており、システムアーキテクチャ、データベース設計、ネットワーク設計などの分野について学ぶことができます。

▪著者:赤 俊哉・川又眞綱・中西良明 共著 ▪ページ数:388ページ ▪出版社:リックテレコム ▪発売日:2023年6月下旬

【参考】:システム設計のセオリー II ―クラウドベース開発

■ 図解即戦力 システム設計のセオリーと実践⽅法がこれ1冊でしっかりわかる教科書 本書は、システム設計の基本から応用までをわかりやすく図解で説明した教科書です。システム設計の理論と実践的な方法をバランスよくカバーしており、初心者から上級者まで幅広く活用できます。

この本は、システム設計の各ステップを図解で示し、具体的な事例を交えながら理論を理解しやすくしています。また、実際のプロジェクトで役立つヒントやコツも豊富に含まれています。

▪著者:石黒直樹 ▪ページ数:232ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2023年10月7日

【参考】:図解即戦力 システム設計のセオリーと実践⽅法がこれ1冊でしっかりわかる教科書

オンライン講座による学習

参考書やテキストによる学習が苦手という方には、オンライン学習がおすすめです。モバイルからのアクセスも可能なため、スキマ時間や移動時間にも学習ができます。ここでは、オンライン学習でよく知られたUdemyから、ソフトウェア開発における超初心者向けのコースを紹介します。

■ エンジニアとして活躍するための知識・スキルを明確化!【現場を知る】 システム開発の基本から学び、エンジニアとして活躍するためのスキルを身につけることを目指しています。初心者向けに作られており、システム開発の流れをわかりやすく解説しています。

本ースでは、システム開発の基本概念、プログラミングの基礎、データベースの使い方、データベースの基本的な操作方法や設計について学びます。また、ソフトウェア開発に役立つツールやフレームワークの使い方も学べます。

【参考】:【超初心者向け】【システム開発の流れから学ぶ】エンジニアとして活躍するための知識・スキルを明確化!【現場を知る】

Udemyでおすすめの講座は何?ジャンルごとに詳しく紹介

研修制度の整った企業に転職する

システム開発のスキルを身に着けるには、OJTや社内研修制度が整った企業に転職するのが早道です。こうした企業では未経験者でも積極採用し、基礎からじっくり教育してくれます。

また、資格取得に熱心な企業が多く、エンジニア関係の資格を取得すると、奨励金や資格手当を支給されるケースも少なくありません。

有力な転職エージェントを活用して、転職先を探してみましょう。

SE・システムエンジニアの転職・求人情報を見る >

未経験からシステムエンジニアやプロジェクトマネージャーを目指すなら

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ここまでシステム開発手法の1つ「V字モデル」をテーマに、V字モデルの概要や、デメリットとメリット、アジャイル開発との違い、学習法などについて紹介してきました。

未経験からシステムエンジニア、さらにはプロジェクトマネージャを目指すためには、研修制度の整った企業への転職が不可欠と言えます。相性が良く、研修制度の整った企業と出会うには、転職に関してノウハウと実績があり、サポートが優れた転職エージェントとの出会いが大きな鍵です。

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