Windows11でコマンドプロンプトは使える?
Windows11は、企業のオフィスワークから個人向けエンターテイメントまで、グラフィカルな操作を活用して多様な用途に対応します。また操作に必要な設定も「設定」アプリと呼ばれるGUIで操作できるため、マウス操作やタッチ操作で多くの作業が完結します。
ところが何か問題が生じたり、詳細確認やシステム設定の修復が必要だったりすると、いまだにコマンド操作が必要となります。そこで役立つのが、コマンドプロンプトです。
既定のアプリがWindowsターミナルに変更となり、「Windows11でコマンドプロンプトは使えないのでは」と誤解している方も多いでしょう。実際には、コマンドプロンプトは正式サポートされており、Windows11が起動しない場合もシステム管理で必要となる重要なツールです。ここでは、コマンドプロンプトの起動方法を学んでいきます。
【参考】:コマンド プロンプトと Windows Powershell for Windows11
コマンドプロンプトとは
コマンドプロンプトとは、OSへの指示や特定の操作や結果を確認するためのコマンドラインインターフェース(CLI)を指します。テキストベースのコマンドを入力し、指示を送ります。Linuxではシェルを用いますが、Windowsでは「cmd.exe」というコマンドプロンプトというプログラムを使用します。
GUIとCUIの違い
GUIは「グラフィカルユーザーインターフェース」であり、直観的な操作を行う場合に利用します。人間が感覚的に行う作業に適しており、誰でも簡単に利用することができます。
CUIは「キャラクターユーザーインターフェース」であり、キーボードなどによってテキスト文字を入力し、アプリケーションやOSコマンドを実行します。操作方法やコマンドを覚える必要がありますが、一連の操作コマンドはバッチファイル化することで作業の平準化や自動化が可能です。
これらから、GUIはクライアント端末で一般的に用いられ、CUIはシステム操作やサーバの管理などに使われるなどの違いがあります。
コマンドプロンプトを起動する
コマンドプロンプトは、Windows11において標準搭載されているシステムツールです。Windows 10同様に利用できますが、バージョンアップに伴って変更点もあります。ここでは、Windows11の代表的なコマンドプロンプトの起動方法を図解していきます。
「検索」機能を使用する
まずはじめに、「検索」機能を用いた起動方法を学びます。「検索」機能は、「スタート」ボタンの右に見える検索アイコンもしくは検索ボックスをクリックして使用します。
次のように検索ボタンをクリックすると、最上部に検索ボックスが表示されます(①②)。ここにコマンドプロンプトを示す「cmd」あるいは「コマンドプロンプト」などと入力すると、右側に検索結果が表れます(③)。
検索結果からコマンドプロンプトを起動するには、「開く」または「管理者として実行」をクリックします。
「管理者として実行」をクリックすると(①)、管理者権限で起動されるためユーザアカウント制御のダイアログが表示されます(②)。そこで、「はい」をクリックすると、管理者権限のコマンドプロンプトが開きます(③)。
「開く」をクリックした場合はユーザ権限で起動されるため(①)、そのままコマンドプロンプトが開きます(②)。
「検索」機能は、検索結果の履歴が保存されており、便利です。再度「検索」機能を開くと、「最近」という履歴領域にコマンドプロンプトが表示されており、再検索は不要で起動できます。
表示されるコマンドプロンプトの表示をクリックすると(①)、ユーザ権限のコマンドプロンプトが開きます。管理者権限でコマンドプロンプトを開くには、ここで右クリックメニューを表示し、「管理者として実行」をクリックします(②)。
スタートメニューから起動する
スタートメニューからは、「検索」機能が利用できるほか、アプリ一覧から希望するアプリを直接実行することができます。「スタート」ボタンをクリックし(①)、スタートメニューが表示されると、上部に検索ボックスが表示されます。検索ボックスの利用方法は、「検索」機能で解説した通りです。
スタートメニューを見ると、「すべてのアプリ」の表示があります(①)。ここでは、コマンドプロンプトを直接実行する方法として、「すべてのアプリ」をクリックし(①)、「Windows ツール」をクリックします(②)。
「Windows ツール」が表示されると、中央部分にコマンドプロンプトが表示されています(①)。ここで表示をダブルクリックすると、コマンドプロンプトがユーザ権限で開きます(①)。
表示から右クリックメニューを開くと「管理者として実行」が表示されており、クリックすることで管理者として開くことができます(②)。
Windowsターミナルから起動する
コマンドプロンプトは、コマンドラインシェルを統合するWindowsターミナルから使用することもできます。Windowsターミナルは、スタートメニューの右クリックメニューから起動することができます(①)。
Windows10までは、右クリックメニューにコマンドプロンプトが表示されていましたが、Windows11ではターミナルに変更されました。これは標準ターミナルアプリがコマンドプロンプトからWindowsターミナルに変わったためです。
ここでメニュー表示される「ターミナル」はユーザ権限で起動し、「ターミナル(管理者)」は管理者権限で起動します(②)。他のツール同様に、管理者権限で起動した場合はユーザアカウント制御の承諾の下にアプリが実行されます(③)。
Windowsターミナルは、初期設定でWindows PowerShellが開きます。初期設定を変更してシェルを指定できるほか、タブを開く際に指定することもできます。ここでは、タブを開く際の指定方法を図解します。
通常、タブを開くには上部右側の「+」アイコンをクリックします。ここでは、標準シェルに設定されていないコマンドプロンプトを指定するために、その右側の「v」アイコンをクリックします(①)。
「v」アイコンをクリックすると、追加メニューが表示されます。ここで表示されるコマンドプロンプトをクリックして起動することができます(②)。
開いたコマンドプロンプトは、これまで同様に管理者権限とユーザ権限で表示が異なります(①②)。Windowsターミナルでは次のように、管理者権限がある場合は「管理者:コマンドプロンプト」とタブに表示がされます(①)。
【参考】:Windowsターミナルとは
「ファイル名を指定して実行」から起動する
コマンドプロンプトは、「ファイル名を指定して実行」から直接起動することができます。メニュー操作で起動するには、スタートメニューの右クリックメニューから「ファイル名を指定して実行」を表示し、「cmd」と入力し「OK」または「Enter」キーを押します(①②③)。
ここでは「Enter」キーの操作でユーザ権限と管理者権限を切り替えることもできます。具体的には、「Enter」キーまたは「OK」でユーザ権限で開き、「Ctrl」+「Shift」+「Enter」で管理者権限で開くことができます。
操作に慣れてきたらショートカットキーを使用することもできます。「Windows」+「R」キーを押すことで、メニューを操作せずに直接「ファイル名を指定して実行」が開きます。
コマンドプロンプトが開いたら
コマンドプロンプトが開いたら、コマンド操作やバッチ処理に利用することができます。コマンドの使い方はhelpでコマンド一覧を表示させたり、詳細な使い方を確認したりして作業を進めます。
また、管理者として実行できない場合はシステム操作ができないため、コマンドプロンプトを起動する際に、管理者権限で起動しているか、確認しながら作業を進めると良いでしょう。
Windows11のコマンドプロンプトは今でも活用できる
Windows11では、新たにコマンド操作を行うシェルとそれを表示するターミナルに役割を分割しています。そのため、既定のアプリがWindowsターミナルに変更となり、「Windows11ではコマンドプロンプトを使えないのでは」と誤解を招きました。
コマンドプロンプトはシステム操作には欠かせないものであり、Windows11をとことん学ぶにはコマンドプロンプトをあらためて理解しておくと良いでしょう。
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