Windows Terminalのリリース
2019年5月6日、マイクロソフト社はWindows Terminal(Windows ターミナル)のリリースを表明しました。再利用が認められるMITライセンスの下、ソフトウェアが公開されています。GitHubでソースコードを公開するとともに、2019年6月21日にマイクロソフトストアにおいてプレビュー版が公開され、利用が開始されました。 【参考】:Microsoft Blog Introducing Windows Terminal
Windows ターミナルとは
Windows ターミナルとは、マイクロソフト社によって開発提供されるターミナルアプリを指します。ターミナルアプリとは言え高機能であり、コマンドプロンプトをはじめ、PowerShellやUbuntu・SSHに対応しています。 【参考】:Windows ターミナルとは 【参考】:GitHub microsoft terminal
Windows ターミナルの主要機能
Windows ターミナルの主な機能は、以下の通りです。
・マルチタブ マルチタブ機能により、タブを同時に開くことができます。個別にコマンドプロンプトやPowerShell・WSL上のUbuntu/Linuxに接続でき、SSH経由で接続することも可能です。これ以外でも任意のコマンドラインシェルやアプリに接続することもできます。
・テキストレンダリング GPUを用いた、 DirectWrite・DirectX ベースのテキストレンダリングエンジンがサポートされます。テキスト文字やグリフ・記号が高速にレンダリングされ、美しくテキスト表示されます。
・多彩な構成オプション 多彩な設定・構成オプションがあり、ターミナル外観のみならず起動シェルやプロファイルのカスタマイズが可能です。設定はJSONのテキスト ファイルに保存され、必要に応じてエディタで編集することもできます。
Windows ターミナルのバージョン
Windows 11では、当初から正式版であるバージョン 1.11が標準搭載されています。デフォルトターミナルはWindows コンソールホストのままですが、1.12からは手動でデフォルトターミナルに変更可能となりました。 【参考】:Windows Terminal Preview 1.12 Release
Windows ターミナルの最新バージョンですが、2022年6月現在の正式版(最新安定版)は1.13(1.13.11431.0)となり、Windows 10においても、マイクロソフトストアから簡単に導入できます。プレビュー版では、2022年5月26日にリリースされた1.14(1.14.1451.0)が最新です。 【参考】:Windows Terminal Preview 1.13 Release 【参考】:Windows Terminal Preview 1.14 Release 【参考】:Windows Terminal Release
Windows ターミナルの利用準備
Windows ターミナルですが、Windows 11に標準インストールされています。Windows 10では、インストール操作することで利用可能です。インストール後、スタートメニューから「ターミナル」をクリックすることで、起動できます。 【参考】:Windows ターミナルをインストールしてセットアップを開始する
バージョン 1.13からはサポートバージョンが更新されており、Windows 10 2004(ビルド19041)以降で、 Windows ターミナルを利用することができます。
インストールと設定
Windows ターミナルのインストール方法ですが、マイクロソフトストアを利用するのがおすすめです。マイクロソフトストアを利用することにより、新しいビルドリリース時に自動更新され、バージョンを最新に維持することができます。 【参考】:Windows ターミナルでの起動設定
マイクロソフトストアにおいても、正式版とプレビュー版が掲載されており、用途に応じで選択することができます。 【参考】:Windows Terminal 【参考】:Windows Terminal Preview
マイクロソフトストア以外を利用したインストール
Windows ターミナルのインストールですが、マイクロソフトストア以外を利用する方法は以下の通りです。
・GitHubを利用する方法
マイクロソフトストアを利用できない方向けに、リポジトリのリリースページから手動ダウンロードすることができます。Assets セクションから “Microsoft.WindowsTerminal_
・Windows パッケージマネージャ CLI (winget)を利用する方法 Windows パッケージ マネージャー機能のwingetを用い、Microsoft.WindowsTerminalパッケージをインストールすることで、最新リリースをダウンロードしインストールすることができます。 【参考】:winget ツールを使用したアプリケーションのインストールと管理
・非公式のインストール方法 Chocolatey利用者は microsoft-windows-terminalパッケージ(Scoop利用者はwindows-terminalパッケージ)をインストールすることで、最新リリースをダウンロードしインストールすることができます。しかしながら、これらのパッケージマネージャは公式サポートされているものではないため、問題が発生した場合は自己責任となります。 【参考】:Chocolatey 【参考】:Scoop
Windows ターミナルの使い方
インストール完了後は、スタートメニューから「ターミナル」をクリックすることで、Windows ターミナルが起動します。デフォルトではWindows PowerShellが起動します。タブの右横の「+」をクリックすると新しいタブが作成されます。
Windows ターミナルのシェルの指定
Windows ターミナルのタブの右側にあるプルダウンメニューを見てみましょう。メニューには以下の選択肢があり、作業目的に合わせて起動するシェルを指定することができます。
・Windows PowerShell Windowsで利用されるWindows PowerShellで、ショートカットキーは、Ctrl+Shift+1です。
・コマンド プロンプト Windowsで利用されるコマンド プロンプトで、ショートカットキーは、Ctrl+Shift+2です。
・Ubuntu Windows Subsystem for Linux 2(WSL)に接続し、Ubuntuのシェルを起動します。ショートカットキーは、Ctrl+Shift+3です。 【参考】:Windows Subsystem for Linux に関するドキュメント
・Azure Cloud Shell Azure リソースを管理するシェルです。“https://microsoft.com/devicelogin”に接続し、認証を受け利用します。 ショートカットキーは、Ctrl+Shift+4です。 【参考】:Azure Cloud Shell の概要
Windows ターミナルの設定
Windows ターミナルではカスタマイズ項目が多数用意されており、Windows ターミナルのタブの右側にあるプルダウンメニューの「設定」をクリックすると表示されます。ショートカットキーは、Ctrl+”,” です。
ここでは既定のプロファイルを変更し、デフォルトシェルとして登録したり、新しいプロファイルを登録したりすることができます。設定内容は、JSONのテキストファイルとして保存されます。「設定」の「JSONファイルを開く」をクリックすると、保存されている”settings.json”を編集することもできます。
設定項目は多岐に渡りますので、詳細は以下のリンク先をご確認ください。 【参考】:Windows ターミナルでの起動設定
Windows ターミナルのコマンド パレット
Windows ターミナルのプルダウンメニューで、「コマンド パレット」をクリックするとメニューがポップアップします。これはコマンド パレットというコマンドインターフェースで、Windows ターミナルで実行するアクションを指定できます。ショートカットキーは、Ctrl+Shift+Pです。
メニューでは実行するアクションが一覧表示され、任意のターミナル操作を簡単に行うことができます。また、カスタムアクションを作成することもできます。 【参考】:Windows ターミナルでコマンド パレットを使用する方法 【参考】:Windows ターミナルのカスタム アクション
Windows ターミナルのコマンド
Windows ターミナルのコマンドとオプションは、起動時に引数として渡すことができます。コマンドライン引数と言われるもので、以下の用法で指定することができます。
wt [options] [command ; ]
コマンド一覧は、”wt -h”・”wt --help”・”wt -?”・”wt /?”で確認できます。 【参考】:Windows ターミナルに対するコマンド ライン引数を使用する
起動するシェル自体でサポートされるコマンドは、各シェルごとに定義されています。Windows ターミナルから、引数としてコマンドやオプションを渡すこともできます。
Windows ターミナルのトラブル対応方法
Windows ターミナル使用時に開かない、あるいは実行できない等のトラブルが生じた場合ですが、以下のトラブルシューティングサイトに情報が掲載されています。基本的な情報はFAQにまとめられています。必要に応じて、トラブルシューティングとFAQの両サイトをご確認ください。 【参考】:Windows ターミナルでのトラブルシューティング 【参考】:Windows ターミナル FAQ
Windows ターミナルの将来計画
Windows ターミナルの将来計画ですが、「Terminal 2022 Roadmap」のサイトで公開しています。作業は22H1と22H2に2分し、対応を進めています。予定は当初「Terminal 2.0 Roadmap」に掲載しておりましたが、当面バージョン 2.0の提供はせず、現状の改良を続ける方針に変更しました。現在、バージョン 1.17までのマイルストーンが公開されています。 【参考】:Terminal 2022 Roadmap 【参考】:Terminal 2.0 Roadmap
次期Windows 11の「22H2」は大型アップデートが予定されています。公表された将来計画によると、2022年後半に提供される「22H2」では、従来のWindows コンソールホストに代わり、Windows ターミナルがデフォルトターミナルになると見られています。 【参考】:Windows Terminal as your Default Command Line Experience
Windows ターミナルを試してみましょう
Windows ターミナルは、コマンドプロンプトなど単一機能のみのソフトウェアと違い、複数のシェルに対応できます。その上マルチタブがサポートされていますので、大幅な生産性向上が期待できます。
以前は、ターミナルアプリと言えばシリアル通信端末を想像したのですが、Windows ターミナルは汎用的で統合運用に活用できます。Windows 11でのデフォルトターミナルへの置換に向けて試してみることをおすすめします。
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