JavaScriptとデータベースの関係とは?
JavaScript(ジャバスクリプト)は、Webアプリ開発で使われるプログラミング言語で、Webページに動きを付けたり、ユーザの操作に合わせて表現項目を変更したりするなど、Webブラウザ上での表現に特化した言語です。
そのためフロントエンド開発で用いられる言語のイメージが強いですが、JavaScriptはプラットフォームの「Node.js」を利用することで、サーバサイド言語としても扱え、データベースの操作さえ行うことができます。
つまりJavaScriptを習得することで、フロントエンドからサーバサイドまで開発の幅を広げられます。この記事では、JavaScriptを学ぶエンジニアの方に向けて、JavaScriptとデータベースの関係について解説していきます。
【参考】:JavaScript | MDN
データベースとは
JavaScriptとデータベースの関係を探る前に、データベースについておさらいしておきましょう。
データベースとは、コンピュータ上で集積・整理された情報群のことを指します。通常はテーブルと呼ばれる構造に整理され、データを格納します。
データベースにはいくつかの種類があり、主に以下のようなものがあります。
階層型データベース
階層型データベースは、データを親子関係に基づいてツリー構造で保存するタイプのデータベースです。親が複数の子を持ち、効率的な「1対n」の関係を管理します。データの整合性を保ちつつ、高速な親-子関係のクエリが可能です。
ただし、データが静的で複雑性が低い場合に向いています。
ネットワーク型データベース
ネットワーク型データベースは、データを多対多の関係で保存し、親子関係だけでなく兄弟関係も持つことができる柔軟なデータベースモデルです。「n対n」の関連性を持つデータの管理に適しています。
リレーショナル型データベース(RDB)
リレーショナル型データベース(RDB)は、エクセルのような表形式でデータを管理するタイプです。エクセルと同じく、行は個々のレコードを表し、列は値や属性で構成します。
データの操作はSQL言語を利用し、データベースの管理にはRDBMS(リレーショナルデータベース・マネジメントシステム)を利用します。
代表的なRDBMSとしては、Oracle Database、SQL Server、PostgreSQL、MySQLなどがあります。
【参考】:データベース | Oracle 日本 【参考】:SQL Server|Microsoft 【参考】:PostgreSQL 【参考】:MySQL
JavaScriptとは
JavaScriptについておさらいしておきましょう。JavaScriptは主にWebブラウザ、すなわちGoogle ChromeやMicrosoft Edgeなどで動作するプログラミング言語ですが、以下のように、フロントエンドからサーバサイドまで、さまざまな処理を行うことができる言語でもあります。
Webサイトに「動き」をつける
「HTML」や「CSS」と組み合わせることで、JavaScriptはWebサイトにさまざまな「動き」をつけることができます。
例えば、HTMLによって表示したボタンをJavaScriptで制御して動作をさせたり、CSSで作成したキャラクターに動きを与えたりできます。このようにJavaScriptによってWebの表現力が向上し、ユーザにとって魅力的なWebサイトを実現させます。
非同期処理ができる
非同期処理とは、あるタスクの実行中に別のタスクを実行することです。JavaScriptのライブラリの1つ、jQueryを用い、非同期通信技術のAjaxを実装することで非同期処理が可能になります。この非同期通信によって、ユーザはレスポンスの遅延を感じることなく快適に利用できます。
サーバサイドの開発ができる
サーバサイドのJavaScript実行環境である、Node.jsを利用して、サーバサイドのプログラムが書けます。また、Node.jsのライブラリを活用してデータベース操作が可能になります。
【参考】:jQuery 【参考】:AJAX | MDN
JavaScripによるデータベース操作のメリットとデメリット
JavaScriptを使ってデータベース操作が行えることは分かりましたが、そのメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
JavaScript(Node.js)を用いてサーバサイドでデータベース操作を行うメリットとしては、以下の2つが挙げられます。
1.サーバサイドでデータベース接続処理を集中管理できる JavaScriptをサーバサイドで使用することで、データベース接続やクエリの処理を一元管理できます。またサーバサイドでJavaScript(例:Node.js)を活用することで、フロントエンドとバックエンドの一貫性を保ちながらデータベース操作ができます。
2.セキュリティ対策を容易に実装できる サーバサイドでのデータベース接続においては、データベースのセキュリティ確保が重要です。
Node.jsを利用して、JavaScriptでデータベース接続を行うと、接続情報の暗号化やアクセス権設定、SQLインジェクション対策などを実装することができます。
デメリット
JavaScriptによるデータベースの操作には次のようなデメリットもあります。
1.サーバサイドの開発知識が必要 サーバサイドJavaScriptを使用するためには、バックエンドの開発知識が必要です。特にデータベース接続やセキュリティ設定を理解しておく必要があります。
2.処理速度が遅くなる可能性がある JavaScriptはシングルスレッドで動作するため、大規模なデータベース操作では処理速度が低下する可能性があります。高速なデータベース操作を求める場合には処理の最適化を行う必要があります。
JavaScriptを使ってデータベースを操作する方法
JavaScriptを使ってDB接続、DB操作するためには、いくつかのアプローチがあります。以下に代表的な手法を紹介します。
ローカルストレージ
ローカルストレージは、ブラウザ内でデータを保存する最も簡単な方法です。Web APIの「localStorage」を使用し、簡易データベースの代わりにデータを保存し、「getItem」でDBから値を取得します。
例えば、ユーザが入力した名前などを保存するのに適しています。保存できるデータの例としては、「ログイン情報」やECサイトでの「ショッピングカート情報」などがあります。ただし、機密情報や個人情報などは暗号化を行うか、サーバ側に保存するなどの注意が必要です。
データベースサーバとバックエンド
サーバサイドで動作するデータベースサーバを使用してデータを保存します。一般的なデータベースサーバにはOracle Database、MySQL、SQLiteなどがあります。
フロントエンド(Webブラウザ)から直接データベースサーバに接続することはできませんので、バックエンド(サーバサイド)でデータベースにアクセスします。
【参考】:SQLite Home Page
「Node.js」バックエンドJavaScript
JavaScriptを使ってバックエンドを作成する方式です。Node.jsを使い、サーバサイドでJavaScriptを動作させることで、データベースサーバに接続できます。Node.jsにはバックエンドでデータベースを操作するための優れたライブラリがあります。以下、紹介します。
1.Sequelize ORM(Object-Relational Mapping)ライブラリで、TypeScriptまたはNode.jsで使用できます。データベースのテーブルとJavaScriptのオブジェクトをマッピングし、CRUD操作※を簡単に行えます。主にMySQL、PostgreSQL、SQLite、MSSQLなどのデータベースと連携できます。
※CRUD操作とは、データベース作成や読み取り、更新、削除などの基本的な操作のことです。
【参考】:Sequelize | Feature-rich ORM for modern TypeScript & JavaScript
2.TypeORM TypeScriptおよびNode.js向けのORMライブラリです。データベースのテーブルとTypeScriptのエンティティをマッピングし、高度なクエリやリレーションをサポートします。MySQL、PostgreSQL、SQLite、MSSQLなどに対応しています。
【参考】:TypeORM - Amazing ORM for TypeScript and JavaScript
3.mysql MySQLデータベースに直接接続するためのライブラリです。シンプルで軽量な操作が可能で、Node.jsからMySQLデータベースを操作するのに適しています。
【参考】:GitHub - mysqljs/mysql: A pure node.js JavaScript Client implementing the MySQL protocol.
JavaScriptの習得でエンジニアとして活躍しよう
ここまで、JavaScriptとデータベースの関係について解説しました。JavaScriptはフロントエンドの開発言語で、Web上で動くというイメージが強いですが、Node.jsを利用することでサーバサイドの開発やデータベース操作まで行えることが分かりました。
Webアプリケーションではデータベースの利用は必須です。JavaScriptでフロントエンドからサーバサイドまでカバーできるとなれば、Webエンジニアの活躍範囲がさらに広がります。この機会に、Node.jsやデータベース操作について学び、ぜひWeb開発に活かしてみましょう。
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