JavaVMとは?概要や主な構成、注目のJVM言語についても解説
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JavaVMとは?概要や主な構成、注目のJVM言語についても解説
アンドエンジニア編集部
2024.03.15
この記事でわかること
JavaVMはJavaプログラムをOSに依存せずに実行する仮想マシンである
JavaVMには不要なメモリを自動的に解放するガベージコレクション機能が備わっている
JavaVM上ではJava以外にも、JVM言語と呼ばれるJRuby、Jython、Scala、Kotlinなどを実行できる

JavaVMとは?

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JavaVM(Java仮想マシン)は、JavaプログラムをOSに依存せずに実行するための技術です。

JavaVMについて理解を深めることは、Javaプログラマーにとって非常に重要です。ここではまず、JavaVMの概要やメリット、JavaVMの持つ機能について説明します。

JavaVMの概要

JavaVMとは、Javaプログラムを実行するための仮想マシンです。JavaVMの主な役割は、Javaバイトコードを解釈し、実行可能な形式のコードに変換して実行することです。

Javaでは、ソースコードをコンパイルするとJavaバイトコードという中間言語に変換されます。

このJavaバイトコードは、どのコンピュータでも直接実行できないため、JavaVMがその環境に適したネイティブコードに変換してから実行します。

これにより、Javaプログラムは特定の機種やオペレーティングシステム(OS)に依存せず、様々な環境で動作することが可能になるのです。

JavaVMのメリットとは

JavaVM上で動作することによって、Javaプログラムはプラットフォームに依存せずに動かすことができます。また、OSごとに特別な設定も必要ありません。

そのため、Javaでソースコードを書けば、異なるOSやハードウェア環境でも動作可能です。

これにより、Javaプログラムの移植性や保守性が高くなるというメリットがあります。1度書いたJavaプログラムは、WindowsでもMacでもLinuxでも実行可能です。

JavaVMの様々な機能とは

JavaVMではJavaプログラムのメモリ管理を自動的に行います。オブジェクトの生成や解放、メモリ割り当てなどを処理し、不要になったオブジェクトを検出して自動的に解放するガベージコレクションを備えています。

また、JavaVMはJavaのセキュリティモデルを実装しており、Javaアプリケーションが安全に実行されるよう保護します。不正なメモリアクセスやコード実行を防止する機能などが用意されていて、高い安全性を実現できます。

JavaVMの使い方

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では、実際にJavaVMを使うにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、JavaVMをインストールする方法と、インストール後にJavaのバージョンを確認する方法を説明します。

JavaVMをインストールする方法

JavaVMをインストールするには、Oracleのサイトから最新版のJDKをダウンロードしましょう。JDKは、Java Development Kit(Java開発キット)の略称です。

JDKにはJavaVMを含め、Javaを使ってプログラミングするために必要な一連のツールやライブラリがまとまっています。JDKをインストールすることでJavaが動作する環境が整い、Javaを使ったプログラミングを行うことができるようになります。

JDKをダウンロードするには、Oracleの公式サイトにアクセスします。Linux・macOS・Windows用のインストーラーがありますので、使用するOSに合わせてJDKのインストーラーをダウンロードしましょう。

ダウンロードしたインストーラーを実行し、画面の指示に従ってインストールを進めましょう。

【参考】:Java Downloads | Oracle

Javaのバージョン確認

端末にインストールされているJavaのバージョンは様々な方法で確認することができます。

例えば、Java 7 Update 40以降のバージョンでは、Windowsスタートメニューからjavaのバージョンを確認できます。

Windows10で確認する場合、「スタート」メニューをクリックしてプログラムの一覧から「Java」、「Javaについて」をクリックするとJavaのバージョンが表示されます。

【参考】:java.com | Javaバージョン

または、WindowsのコマンドプロンプトやLinuxのターミナルでも「java -version」とコマンドを入力して実行することでも、バージョンを確認することができます。

Windows11のコマンドプロンプトはどこにある?ない時の出し方

JavaVMの主な構成

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ここでは、JavaVMの主な構成要素について説明します。クラスをロードしてメモリ上にロードするClassLoader、実行時のメモリ領域を管理するRuntime Data Area、バイトコードを実行するExecution Engine、メモリの自動解放を行うGarbage Collectorなどが存在します。

Class Loader

Class Loader(クラスローダー)は、実行時にクラスファイルをロードするために、メモリ上にクラスをロードする役割を担っています。

Class Loaderは階層構造を持ち、親Class Loaderと子Class Loaderから構成されています。クラスのロード時には、まずクラスがメモリ上のキャッシュに存在するかどうかをチェックします。

存在しない場合は親Class Loaderにクラスのロードを要求します。親がクラスをロードできなかった場合に、Class Loaderがクラスのロードを試みます。

このように委任モデルを採用することで、同じクラスが複数回ロードされるのを防ぎ、メモリ使用量の最適化やパフォーマンスの向上が図られています。

Runtime Data Area

JavaVMのRuntime Data Areaは、プログラムを実行するために割り当てられるメモリ領域です。この領域には、Method Area、Heap Area、PC Register、Stack Area、Native Method Stacksという5つの主要な領域が存在します。

Runtime Data Areaの構造を理解することで、メモリの割り当てやガベージコレクションの動作を把握できます。

また、メモリ管理の最適化やパフォーマンスチューニングを行う上でも重要です。

■Method Area すべてのスレッドが共有する領域で、クラスやメソッドの情報を保存します。ロードされたすべてのクラスデータ、staticフィールド、コンスタントプール、コードキャッシュなどがこの領域に格納されます。

■Heap Area インスタンスや配列などのオブジェクトを格納する領域です。newによって生成されたオブジェクトはこの領域に割り当てられ、参照されなくなったオブジェクトはガベージコレクタによって自動的に解放されます。

■PC Register PCは「プログラムカウンタ」で、PC Registerは現在実行されている命令を追跡する役割を持っています。現在実行中のステートメントへのポインタを保持します。

■Stack Area スレッドごとに生成される領域で、そのスレッドの実行情報を保存します。ローカル変数やメソッドの戻り値、戻り値、演算に使われる値などが格納されます。

■Native Method Stacks JavaがOSのネイティブメソッドを呼び出す際に使用される領域です。呼び出されたネイティブメソッドの情報がこの領域に保存され、メソッドの実行が終了するとその情報は破棄されます。

Execution Engine

Execution Engineは、JavaバイトコードをCPUが理解できるネイティブコードに変換し、実際に実行する部分です。CPUやOSに依存せずバイトコードを実行する役割を担っています。

Execution EngineではインタプリタとJIT(Just-In-Time)コンパイラを使い分けることで、高速なプログラムの実行を実現しています。

Garbage Collector

Garbage Collectorは、Javaの大きな特徴の1つであるガベージコレクションを実現する技術です。不要なメモリ領域を自動的に解放し、再利用可能な空き領域を確保する役割があります。

これにより、プログラマーが明示的にメモリ領域の確保・解放を行う必要がないため、メモリリークやメモリ解放のミスから発生するバグを防ぐことができます。

また、Garbage Collectorの動作によってメモリ空間が整理されるため、フラグメンテーションの発生も最小限に抑えられます。

JavaVM環境で動くJVM言語とは

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JavaVM上では、Java以外でもバイトコードを生成する言語であればJavaVM上で動作させることができます。こうしたJavaVMで動く言語をJVM言語と呼びます。ここでは、代表的なJVM言語を紹介します。

Java

Javaは、基幹システムや組み込みシステム開発、Webアプリケーションなどのクロスプラットフォーム開発など、幅広い開発現場で使用されるプログラミング言語です。

特徴としては、メモリ管理の自動化、マルチスレッド機能、さまざまなライブラリの存在などが挙げられます。ライブラリやフレームワークも多くあることから、多くの開発環境で使用されています。

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JRuby(ジェイ・ルビー)

JRuby(ジェイ・ルビー)は、オブジェクト指向スクリプト言語であるRubyをJavaVM上で実行可能にするものです。

JavaVMが持つ最適化機能を利用することで、JRubyは通常のRubyの処理系よりも高速に動作することが特徴です。

また、JRubyはJavaとのシームレスな連携を可能にするため、Rubyの柔軟性とJavaの豊富なライブラリ・フレームワークを組み合わせて活用することができます。

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Jython(ジャイソン)

Jython(ジャイソン)は、JavaVM上で動作するスクリプト言語です。Pythonとほぼ同じ文法を持ちながら、JavaVMで実行されることが特徴です。

JavaのクラスやメソッドをPythonのように簡潔に呼び出せる拡張構文も用意されています。

Jythonを使えば、JavaVM上でPythonコードを直接実行できるため、Pythonのシンプルな構文と、Javaの高速で信頼性の高い実行環境を両立させることができます。

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Scala

Scalaは、小規模から大規模なプロジェクトまで幅広く対応できる言語として設計された比較的新しい言語です。Javaとの高い互換性を持ち、オブジェクト指向プログラミングと関数型プログラミングの両方をサポートしているのが特徴です。

ScalaはJavaのライブラリをそのまま利用することができるため、Java経験者にとっては習得しやすい言語です。

また、Scalaを使用するとより少ないコード量で開発できるため、開発速度が向上することが期待できます。

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Kotlin

KotlinはJavaVMで動作するオープンソースのプログラミング言語です。GoogleがKotlinを公式のAndroidアプリ開発言語として採用したことで注目度が高まっています。

Javaとの高い互換性を持ちながら、Javaよりもコードが簡潔で分かりやすく、Null値を許容しないことでランタイムエラーを減らすなど高い安全性を持っています。

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JavaVMの知識を深めて開発に役立てよう

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JavaVMは、JavaプログラムをOSに依存せずに実行するための技術で、Javaが動作するうえで重要な要素であることが分かりました。

JavaVMの仕組みと構成要素を理解することで、より効率的なメモリ管理やパフォーマンスチューニングが可能になるでしょう。

また、Java以外のJVM言語も活用することで、Javaの長所と他の言語のメリットを組み合わせた開発を行うことができます。JavaVMに関する知識を深め、様々な開発現場で役立てましょう。

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