プログラミングパラダイムとは
プログラミングパラダイムは、プログラムを設計する際のアプローチやコーディングのルール、基本的な考え方などを指す概念です。プログラムの構造や動作を決める、プログラミングのための枠組みや指針でもあります。
代表的なプログラミングパラダイムの例として、命令型プログラミングや、宣言型プログラミング、オブジェクト指向型プログラミングなどが挙げられます。聞いたことがある方も多いでしょうが、説明するとなると難しいものです。いったいどのような概念なのでしょうか。
プログラミングパラダイムから言語の特徴を知ろう
ITエンジニアにとって、プログラミングパラダイムについて知ることは、プログラミング言語について理解を深めることであり、ひいてはより高品質なコードを書くことにもつながるため、押さえておきたい重要な要素の1つです。
各プログラミングパラダイムがどのような特徴を持ち、どのような場面で有効なのかを知ることで、エンジニアは適切なプログラミング言語やアプローチを選択することもできるでしょう。
この記事では、プログラミングパラダイムがどのようなものか興味を持つ方のために、プログラミングパラダイムの基本的な考え方や、代表的なプログラミングパラダイムの種類、また、マルチパラダイム言語についても解説します。
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プログラミングパラダイムの基礎知識
ここでは、プログラミングパラダイムの基本的な知識と、理解することのメリット、プログラミングパラダイムの知識を活用できる職種の年収などについて説明します。
プログラミングパラダイムは各言語における方法論
世界中には数百以上のプログラミング言語が存在し、それぞれ異なる特性を持っています。プログラミングパラダイムは、プログラミングにおけるアプローチや方法論によって、これらの言語を分類するために使用されます。
また、プログラミングパラダイムは、各言語においてプログラムを作成するときに遭遇する問題に対し、最適なアプローチを示すものでもあります。
プログラミングパラダイムを知ることのメリット
プログラマーにとって、使用するプログラミング言語の所属するパラダイムやその特徴を理解することで、開発するソフトウェアに適したパラダイムを選ぶことができ、適切なプログラミング言語を選択して、より効果的に問題を解決できます。
また、プログラミングパラダイムの理解は、新しい言語を学ぶ際の役立つ指針となります。既に習得している言語と同じパラダイムに属する言語を学習する場合、その考え方の枠組みがおおむね理解できているため、より習得しやすいでしょう。
一方、異なるパラダイムの言語は、新しいアプローチで学習を進める必要があり、習得に時間がかかるかもしれませんが、新たなスキルを身に着ける機会となります。
そのため、特により高いスキルを身に着け、対応できる言語を増やしたいプログラマーにとっては、プログラミングパラダイムは重要な知識であると言えます。
プログラミングパラダイムの知識を活用できる職種の年収
プログラミングパラダイムの知識を活用できる職種であるプログラマーの年収は「マイナビエージェント職種図鑑」での平均年収は334万円(※2023年7月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のSE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装)を参考にすると、平均年収568万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プログラマーは一般平均年収よりも、やや低めから、やや高めであることが分かります
プログラマーは、プログラミングのスキルを高めるとともに、様々な言語に対応できる知識を身に着けることで幅広い開発現場で活躍でき、より高収入となる傾向があります。また、要件定義や設計などの上流工程に関わることで、SEやプロジェクトマネージャーなどへのキャリアパスも見込める職種です。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
プログラミングパラダイムの代表的な種類を解説
ここでは、数あるプログラミングパラダイムの中でも代表的なものについて解説します。
命令型プログラミング
命令型プログラミングは、最も一般的なプログラミングパラダイムの1つで、手続き型プログラミング言語とも呼ばれます。その歴史は古く、コンピュータ本来の機械語も命令型言語でした。
命令型プログラミングでは、データや変数に対して命令(代入文)を繰り返し与えて変化させることで、プログラムの目的を達成します。
命令型プログラミングの特徴として、性能のチューニングが容易であること、複数の命令を組み合わせることで複雑な処理が可能であることが挙げられます。プログラマーがデータに対する処理内容を構築する必要があるため、難易度は高いですが、それによって高度な機能を実現できます。
宣言型プログラミング
宣言型プログラミングは、命令型プログラミングと対をなす位置にあるプログラミングパラダイムです。
宣言型プログラミングでは、問題の解決に必要な処理手順をプログラマーが記述する必要はなく、対象の性質や意味を宣言することでプログラムの目的を達成します。問題の性質や意味を述べるだけで、処理手順はプログラムの処理系によって行われます。
例えば、SQLは宣言型プログラミングの1つで、データベースからデータを取得する方法を指定しますが、具体的な取得手順はプログラムに委ねられます。そのため、細かな処理手順を考える必要がなく、問題解決に集中できるため、効率的なプログラミングが可能です。
オブジェクト指向プログラミング
オブジェクト指向プログラミングは、プログラム上の情報を「オブジェクト」と呼ばれるまとまりにして扱うプログラミング手法です。オブジェクトは名前や属性、メソッドを持ち、プログラムを「モノの作成と操作」として捉えます。
オブジェクト指向プログラミングを使用することでプログラムの対象を抽象化し、システム全体を単純化することができます。そのため、大規模開発では特に効果を発揮し、プログラミングの効率を高める手法として、現代のソフトウェア開発で広く活用されています。
関数型プログラミング
関数型プログラミングは、プログラムを関数の組み合わせによって表現するプログラミングパラダイムです。関数型プログラミングでは、データに対して処理を加える「連続の組み立て」と捉えられます。
ここで言う「関数」とは、プログラミングの関数ではなく、数学的な関数を意味し、関数の引数が同じであれば常に同じ結果を返す特性を持ちます。この特徴は「参照透過性」と呼ばれ、これにより同じように呼び出したのに異なる結果が返ってくるという副作用が起こりにくく、プログラムがシンプルになります。
構造化プログラミング
構造化プログラミングは、プログラムに構造を与えて処理を行う方法です。プログラムの中身は基本的に「順次」「反復」「分岐」の3つの処理から成り立ちます。
順次処理は決まった手順で実行され、反復処理は特定の条件を満たしている間繰り返し実行されます。そして分岐処理は現在の条件によって複数の処理の中から選択されます。
この3種類の処理でまとめられる制御構造をいくつかの独立した機能に分けることで、プログラムの構造が明確になり、プログラムの理解しやすさや、保守性が向上するという利点があります。多くの言語が属する、よく知られたプログラミングパラダイムの1つです。
論理型プログラミング
論理型プログラミングは、論理式を組み合わせ、プログラム処理系がもつ導出原理によって結論や答えを導くプログラムの考え方です。関数ではなく関係を扱い、解決のプロセスを定義するのが難しい問題に適しています。
論理型プログラミングの代表的なものであるPrologは、事実と規則をもとに質問に対する解答を導き出す逆向き推論を行います。つまり、問題の解答を尋ねる形で質問を行い、プログラムが解答を探索して導き出します。
既に解法が決まっているような問題には適していませんが、解法のプロセスを定義することが難しい問題に向いており、人工知能の分野でも活躍しているプログラミングパラダイムです。
マルチパラダイムプログラミング言語とは
マルチパラダイムプログラミング言語は、1つのプログラミング言語で複数のプログラミングパラダイムに対応するものを指します。ここでは、その特徴と選び方について解説します。
マルチパラダイム言語の代表的な特徴
マルチパラダイム言語の代表的な特徴には、複数のプログラミングパラダイムを組み合わせることが挙げられます。例えば、主にWebページの動的機能に利用されるJavaScriptでは、命令型、オブジェクト指向、関数型のプログラミングが可能です。
また、C++は組み込み系システムから業務システムまで幅広い開発に使われ、C言語の特徴を受け継ぎつつ命令型、オブジェクト指向、ジェネリックプログラミングを組み合わせています。Pythonはシンプルで読みやすく、命令型、オブジェクト指向、関数型などのパラダイムがサポートされています。
これらの言語は異なるパラダイムを組み合わせることで、柔軟なプログラミングが可能であり、幅広い開発分野において活用することができます。
プロジェクトに適したパラダイムの選択が重要
マルチパラダイムプログラミング言語が登場してから、開発プロジェクトにおいては、適したプログラミングパラダイムの選択がより重要となってきています。
C++などのマルチパラダイム言語は、複数のプログラミングスタイルをサポートしていますが、プロジェクトの性質や要件に応じて適切なパラダイムを選択する必要があります。
プロジェクトの規模、目的、チームのスキルセットを考慮して、どのパラダイムを活用するかを検討しましょう。使用するパラダイムにより、メンテナンスのしやすさや、拡張性の向上も期待できます。
プログラミングパラダイムの知識を習得することで効率的な開発を行うことができれば、プログラマーとしてのスキルアップにもつながります。さらにプログラミング言語のスキルを高めて、プロフェッショナルを目指すのもいいでしょう。
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プログラミングパラダイムの得意分野を把握しよう
ここまで、プログラミングパラダイムの種類や特徴、マルチパラダイムプログラミング言語について解説してきました。どの言語がどのプログラミングパラダイムに属しているかを把握することで、言語の使い分けや、特長を生かしたプログラミングが可能であることが分かったのではないでしょうか。
プログラマーとしてさらにスキルアップしたい方にとっては、働く企業を考えることも重要です。企業により、携われる案件や使用する言語が異なることも多いため、プログラミングに関する知識やスキルを磨き、将来のキャリアパスを考えて、転職を考えるのもおすすめです。
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