プロンプトエンジニアになるには
ChatGPTなどの生成AIの登場により、AIが人間のリクエストに応じてテキストや画像を生成することが当たり前のようになってきました。その結果、AIが生成するテキストやイラストなどの品質に対する要求レベルは高まっており、コンテンツの品質を追求するエンジニアが必要になっています。
プロンプトエンジニアは、 AIに対する調教師のような役割を担い、AIに対して高品質のコンテンツ生成に必要な指示を出すエンジニア職です。この記事ではプロンプトエンジニアを目指す方のために、プロンプトエンジニアの仕事内容、必要なスキルや資格、効果的な転職方法について解説していきます。
そもそもプロンプトとは
エンジニアなら頻繁に見聞きするプロンプト「prompt」ですが、コンピュータに対するユーザの指示や命令を受け付けられる状態にあることを示す文字や記号の並びのことです。
Windowsで用いるコマンドプロンプトは、WindowsOSのパソコンに標準で搭載されているソフトウェアで、コマンドプロンプトから対話形式で命令を入力し、Windowsパソコンに特定動作をさせることができます。
ChatGPTでは独自のプロンプトに入力されたテキストを解読し、AIが応答を生成しています。すなわち、プロンプトにいかにコンピュータが理解しやすいテキストを入力するか、あるいはテキストの内容をいかに正しく読み取るかで、回答の精度が大きく異なってくるのです。
そのため、その精度が結果を大きく左右するプロンプトが重要です。
プロンプトエンジニアリングとプロンプトエンジニア
プロンプトエンジニアリングは、ユーザがコンピュータと円滑に対話する上で、必要な情報を収集する手法や技術のことです。一方、プロンプトエンジニアは、AIがユーザの要求する適切なコンテンツを生成できるように、プロンプトの設計や開発を行うエンジニアを指します。
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プロンプトエンジニアの仕事内容
プロンプトエンジニアを目指す方は、プロンプトエンジニアの仕事内容を理解しておくことが大切です。ここでは、プロンプトエンジニアの主な仕事内容について紹介していきます。
効果的なプロンプトの設計・開発
プロンプトはAIに対する指示や質問のことですが、プロンプトが適切であればあるほど、AIは精度の高いコンテンツを生成できる確率が高まります。プロンプトエンジニアは、自然言語処理技術を利用して、適切かつ効果的なプロンプトの設計と開発を担当します。
効果的なプロンプトにより、ユーザの要求が正しくAIに伝わり、より精度の高いコンテンツが生成されることで、ユーザ満足度や業務効率、競争力が高まるなど、良いスパイラルを導くことが可能となります。そのため、プロンプトエンジニアの役割は非常に大きいと言えます。
プロンプトの精度向上
プロンプトは1度設計して、開発が済めば終わりではありません。これまでになかった質問や指示が行われた時に、AIが想定外の回答を生成する場合があります。従って、コンテンツの生成結果を常にモニタリング、評価する必要があります。
またユーザからの声をフィードバックし、プロンプトの精度を高めることでユーザの満足度が向上し、それが品質のスパイラルアップにつながっていきます。
プロンプトエンジニアの年収
プロンプトエンジニアは新しい職種のため、年収データが見当たりません。そこで近しい職種と思われる「製品開発/研究開発全般」の年収データを参考に見ていきます。
製品開発/研究開発全般の年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」では平均年収477万円(※2023年5月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円ですので、製品開発/研究開発全般の職種は一般平均年収よりも、やや高めであると見られます。
プロンプトエンジニアは日本ではまだ定着した職種にはなっていませんが、AIエンジニア市場で先を行く米国では、プロンプトエンジニアの雇用市場が急拡大しており、日本円で年収4,500万円の求人が出現していることから、日本でもプロンプトエンジニアの年収の増加が期待されます。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
プロンプトエンジニアをおすすめする理由
プロンプトエンジニアは難しい仕事であるというイメージがあり、特に文系出身者や未経験者から敬遠されがちですが、文系のスキルを活かせる職種かもしれません。以下、プロンプトエンジニアをおすすめする理由を挙げていきます。
AI人材が絶対的に不足している
AIの活用が企業の盛衰を左右すると言われる時代になってきました。ChatGPTに象徴されるように、AI技術の急激な変化はビジネスのあり方を左右するほどになっており、AI市場が急速に拡大する一方、IT・AI人材の不足が顕著になっています。
「経済産業省の人材需給に関する調査」によると、AI市場は平均的な伸びを示しても、2030年にAI人材の需給ギャップは12万人に達すると予測されています。このAI人材の中でも、非常に新しい職種であるプロンプトエンジニアは、今後の急速な採用難が予想されることから、プロンプトエンジニアは強くおすすめしたい職業の筆頭です。
【参考】:IT人材需給に関する調査(概要)P7~P8|(3) AI 人材の需給について|経済産業省
結果が直ちに見える
プロンプトエンジニアはAIの調教師とも呼ばれ、AIが能力を最大限発揮できるようにAIのレベルを高める仕事です。また、AIと人間とのコミュニケーションを円滑に行えるよう、橋渡しをする役目も担っています。
自ら設計、開発、チューニングしたプロンプトの精度が上がることで、AIのコンテンツ生成能力が上がり、ユーザのビジネス面での活用や、高い評価を受けるなど、結果が見えることでさらにモチベーションも高まるでしょう。
収入アップが期待できる
日本ではプロンプトエンジニアという職種の認知度は上がりつつある状況ですが、この分野で先行する米国では、プロンプトエンジニアに提示された年収がかなり高額であるという事例(NHKニュース)も出現しています。
米国で起きている事象は遅れて日本でも起きるのが通例ですので、今後大幅な年収アップが期待できる職種として注目されています。
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プロンプトエンジニアに必要なスキル
プロンプトエンジニアになるには、どのようなスキルが必要なのでしょうか?ここでは4つのスキルについて解説をします。
AIに関する基本知識
プロンプトエンジニアはAIから求める情報を引き出すためのプロンプトの設計や開発を行いますので、AIがどのように学習を行い、どのように答えを導き出すかに関する知識が必要です。
たとえば、ChatGPTの言語処理に関する仕組み、ディープラーニングや強化学習などのアルゴリズムに対する理解が求められます。
NLP(自然言語処理)の基礎知識
NLP(Natural Language Processing)「自然言語処理」は、人間の会話に用いられる自然言語をコンピュータに理解させる技術のことで、AIが回答を生成する時に使います。ChatGPTに投げた質問の回答が、まるで人間が返したように思えるのはNLP技術を用いているからです。
プログラミング知識
プロンプトエンジニアはNLP技術を実装したり、AI関連のフレームワークと連携させたりする場合にはプログラミング言語を利用することがあります。特にAI開発では主流のPython言語は必須です。他にはJavaやC++を利用することもあるため、JavaやC++を使えると有利です。
語彙力
語彙力とは、言葉を多く知っていることも必要ですが、相手が理解できる言葉で伝達する能力です。AIがいくら正しい情報を回答しても、それが人が理解しにくい言葉では伝わりません。
プロンプトエンジニアはAIの回答が分かりやすい表現になっているのか、人の言語と違いがないかなどについてチェックを行うため、表現力や語彙力が求められます。そうした観点から、文系出身者の方が能力を発揮できる分野と言えます。
プロンプトエンジニアになる方法
ではプロンプトエンジニアになるには、具体的に何をすればよいのでしょうか?効果的な学習を行うこと、スキル証明となる資格を取得すること、自身に合ったプロンプトエンジニアの求人を見つけることの3ステップについて紹介します。
NLP(自然言語処理)とプログラミングスキルを身に付ける
プロンプトエンジニアとして必要なスキルには、AIの基礎知識、NLP(自然言語処理)とプログラミングスキルです。これらを独学で基礎から楽しく学べる参考書を1冊紹介します。仕事が忙しくスクールに通う時間がないという方には、独学が苦にならない参考書としておすすめします。
「コピペで簡単実行! キテレツおもしろ自然言語処理 PythonとColaboratoryで身につく基礎の基礎」
▪著者:youwht ▪出版社:翔泳社 ▪ページ数:208ページ ▪出版日:2021年12月7日
【参考】:コピペで簡単実行! キテレツおもしろ自然言語処理 PythonとColaboratoryで身につく基礎の基礎
プロンプトエンジニアに役立つ資格を取得する
プロンプトエンジニアになる上で必須の資格はありませんが、AIに関するスキル証明となる資格があります。以下に紹介する2つの資格は、ぜひ取得に努めてください。
■ G検定(ジェネラリスト検定) G検定はAIについてビジネス活用するために必要な基礎知識やリテラシーを備えている証となる検定試験です。プロンプトエンジニアを目指す上でAIに関する全般知識、ディープラーニングなどの基礎知識を学ぶのに適した検定資格です。
【参考】:G検定とは|日本ディープラーニング協会
■ Python3エンジニア認定基礎試験 PythonはAIエンジニアには必須とも言える言語で、初心者でも学びやすいという特徴があります。Python3エンジニア認定基礎試験は基本的な文法やデータ構造、クラスや標準ライブラリなどに関する知識が問われる試験です。
【参考】:Python 3 エンジニア認定基礎試験
プロンプトエンジニア募集に応募する
プロンプトエンジニアとしてのスキルを身に付け、スキル証明となる資格を取得したら、プロンプトエンジニアの求人情報を探しましょう。ただし、プロンプトエンジニアという職種はまだ認知度が高くないため、AIエンジニアやITエンジニアとして募集しているケースもあります。
そのため求人情報からプロンプトエンジニアの求人を探し出すのは容易ではないかもしれません。また求人情報だけでは、求める人物像が自分と合っているのかの判断も難しいでしょう。そこで、転職エージェントの活用をおすすめします。
転職エージェントは登録するだけで、担当者が希望をヒアリングをして、自分に最も適した求人を見つけ、さらにその企業とつないでくれますので、効果的な求職活動を行えます。
最短でプロンプトエンジニアを目指そう
本記事では「プロンプトエンジニアになるには」をテーマに、プロンプトエンジニアを目指す上で必要な知識や情報として、プロンプトエンジニアの仕事内容、プロンプトエンジニアをおすすめする理由、プロンプトエンジニアに必要なスキルについて解説しました。
特に未経験の方は、プロンプトエンジニア募集で「未経験者歓迎」の求人を中心に、自身の成長をサポートし、活躍の場を提供してくれる企業を探し出すことが求められます。
仕事をしながら、プロンプトエンジニアを目指して勉強をしたり、資格試験に挑戦したりするだけでも大変なことです。まして、ベストマッチの企業を探しながら、独力で面接対策や試験対策まで行うのは無理があります。
そこで利用を推奨するのがマイナビIT エージェントです。
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