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自然言語処理とは?注目される理由やできることをわかりやすく解説
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自然言語処理とは?注目される理由やできることをわかりやすく解説

アンドエンジニア編集部
2023.04.07
この記事でわかること
自然言語処理とは人間が使う言語を分析する技術や研究分野のこと
自然言語処理はテキストデータの増加や分析手法の進化などの理由で注目されている
自然言語処理は自動翻訳やチャットボット、AIスピーカーなどで活用されている

自然言語処理とは?

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自然言語処理とは、自然言語をコンピュータに処理させる技術および研究分野を指します。自然言語とは、英語や日本語など人間がコミュニケーションに用いる言語の総称です。

コンピュータが人間の言葉を理解するのは難しいと言われています。人間の話す言葉は意味や構文が曖昧なことが多く、規則性を導き出すのが難しいためです。規則性を導き出さないと、プログラムによって処理を行うことができません。

しかし、最近は自然言語を処理する技術も発達し、ようやく実用化がされてきています。自然言語処理は注目されるIT分野の1つとして位置づけられており、今後さらに発展することが予想されます。

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自然言語処理が注目される理由

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自然言語処理分野は数多くあるIT分野の中でも注目されています。なぜ注目されているのか、ここでは理由を3つにまとめました。これから自然言語処理を学ぼうと考えている方は、参考にしてください。

テキストデータが増えた

ネット上のテキストデータが昔に比べて増えたため、自然言語処理の需要もそれだけ上がりました。テキストデータが増えた理由は、スマホやSNSの普及によるものが大きいでしょう。SNSに書き込まれたテキストを収集・分析することで、商品・サービス改善に役立てることも可能です。

また、昔に比べて音声データや手書きの文字をテキスト化する技術も発展しました。たとえば、会議の発言内容も、議事録ツールに自動でまとめることが可能です。

文章分析手法の進化

日本語や英語を分析するには、まず文章を単語単位に分割し、単語同士の関係性を解析しなければいけませんが、大手企業などによってそれらの手法は少しずつ進化してきていました。

2018年にGoogleは汎用言語モデルの「BERT」を発表しました。「BERT」は文章の文脈を読み取ることを得意としており、これによって自然言語処理の精度が高まりました。その後もさまざまな企業が新しい言語モデルを開発しています。

また、最近ではOpenAIという会社が自然言語処理の発展に大きく貢献しています。特にOpenAIの最新技術によって開発された「ChatGPT」は全世界からの注目を集めています。

【参考】:組み込み BERT アルゴリズムのスタートガイド

ChatGPTとは?今話題のAIチャットボットの概要や仕組みを解説!

企業のIT化促進の流れ

企業のIT化促進の流れも、自然言語処理の発展と関係があります。特に日本では少子高齢化が深刻化していることもあり、人材不足の問題が叫ばれています。人材不足を解決するには、IT化を促進し業務効率化を図ることが重要です。

たとえば、自然言語処理を活用したチャットボットなども、導入する企業が増えています。

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自然言語処理でできること

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続いて、自然言語処理でできることについて解説します。すでに自然言語処理は私達の生活のいたるところで活躍しています。まだ不完全な研究分野ではあるものの、人間の手でチェックを行うなどすれば、十分に活用できる分野が多くあります。今回は活用分野の一部を紹介します。

自動翻訳

Webサイトで使える自動翻訳サービスには自然言語処理の技術が使われています。翻訳サービスは以前からあったものの、精度が低く文法がおかしい結果が出力されることが多くありました。しかし、最近は翻訳精度が上がっており実用化できるようになっています。

たとえば、語学学習に使えるAI添削サービスなどがあります。特に英語は解析が比較的容易であることもあり、自動翻訳もしやすいと言えます。

チャットボット

チャットボットとは、ユーザの質問に自動で答えてくれるツールのことです。たとえば「製品の使い方について教えてほしい」と質問すると、蓄積されたデータから答えを抽出して教えてくれます。ユーザが変わった表現で質問してきたとしても、ある程度は意味を捉えて回答を返す事が可能です。

チャットボットを導入することで、カスタマーサポートなどの業務が自動化され、人件費の削減にも繋がります。

検索エンジン

GoogleやYahooなどの検索エンジンでも、自然言語処理の技術が使われています。自然言語処理が活躍する例としては、「あいまい検索」が挙げられます。最近の検索エンジンは、検索ワードだけでなく共通の意味を持つワードも検索に引っ掛けて表示してくれます。

たとえば「Artificial Intelligence」と検索したら「AI」も検索結果に出てきます。この機能により、ユーザは求めている情報をより探しやすくなりました。

手書きをテキストに変換

手書きで書いた文字をテキストデータに変換する際も、自然言語処理の技術が使われています。手書きの文字を読み取る技術は進化しているものの、まだ完全ではありません。そこで、自然言語処理を行い、読み取るのが難しい文字も前後の単語から予測して正しい文字に直します。

AIスピーカー

AIスピーカーとはユーザの命令を理解し、命令通りの処理を行うスピーカーのことでAmazon Alexaなどが有名です。AIスピーカーは家電を動かしたり、事前に登録したスケジュールを教えてくれたりします。生活がより便利になるため、導入するユーザも増えています。

【参考】:Alexaとできること | Amazon

テキストマイニング

テキストマイニングとは、大量のデータから有益な情報のみを抽出することです。テキストマイニングの分野でも自然言語処理が使われています。自然言語処理によって文章の意味を解析することで、文章をカテゴリごとに分類分けすることができます。

たとえばSNSの商品情報を収集し、それを「良い評判」「悪い評判」に分類分けすることで、商品改善に役立てることが可能です。

自然言語処理を行う流れ

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コンピュータは決められた手順に基づいて処理を行いますが、自然言語処理においてはそれは例外ではありません。一見規則性がない人間が使う言葉であっても、コンピュータは深い分析によって規則性を見い出し、意味を理解しようとします。

具体的には次の4つの工程を踏むことで、自然言語を理解します。

形態素解析(文章を単語単位に分割する)

まず、文章を最小の単位である単語に分割する形態素解析を行います。日本語は英語と違って単語ごとにスペースが空いてないため、この作業にも複雑なアルゴリズムも必要とします。

たとえば「私は真っ赤なりんごとみかんを食べた」という文章があるなら、「私/は/真っ赤な/りんご/と/みかん/を/食べた」というように単語ごとに分割します。さらに、各単語の品詞の判別も行います。「私」は名詞、「は」は助詞、「真っ赤な」は形容詞と判定されます。

構文解析(単語同士の関係性を洗い出す)

次に、単語同士の関係性を洗い出す構文解析を行います。その単語はどの単語に掛かっているのかを明らかにするために、可能性があるものを列挙します。

たとえば「私は真っ赤なりんごとみかんを食べた」の「真っ赤な」は「りんご」に掛かっていると、人間ならこれまでの経験からすぐに分かります。しかし、コンピュータは過去の経験から意味を特定することができません。

そのため、ひとまず文法上は可能性があるものをすべて抽出します。「真っ赤な」が「りんごに掛かっている」パターンと「りんごとみかんに掛かっている」パターンの両方を洗い出します。

意味解析(単語の意味を調べ構文を特定する)

次に、単語の意味を調べることで構文を特定する意味解析を行います。構文解析の段階では「真っ赤な」がどの名詞に掛かっているのか明らかになっていません。そこで、辞書で各単語の意味を調べ、もっとも可能性が高い構文を考える必要があります。

単語の意味が分かれば、「真っ赤な」は「りんご」に掛かっていると特定できます。

文脈解析(前後の文章から文脈を解析する)

最後に、前後の文章から文脈を解析する文脈解析を行います。同じ文章でも文脈によって、意味は変わってしまいます。そのため、前後の文章にも形態素解析・構文解析・意味解析を行い、文章の繋がりを理解する必要があります。

ここまでやってようやく1つの文章の意味を把握することが可能です。

自然言語処理の今後の課題

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ここまで自然言語処理とは何かについて解説しました。自然言語処理はすでに多くの分野で活用されているうえに、今後さらなる発展が期待できる研究分野です。しかし、今後自然言語処理が発展していくには、いくつか解決しなければいけない課題もあります。

最後に、自然言語処理の今後の課題について解説します。

意味が曖昧な文章をどう解析するか

意味が曖昧な文章をどのようにして解析するか、というのは今後の課題となります。いくら構文解析や文脈解析の技術が発達しても、人間がその文章を書いた経緯や意味までは理解できません。

たとえば「私は真っ赤なりんごとみかんを食べた」という文章も、「りんご」や「みかん」を比喩表現として使っている可能性もあります。そのような人間の表現をコンピュータが正確に理解できるようになるまでは、まだ時間がかかると予想されます。

言語ごとの形式にどう対処していくか

人間が話す言葉は種類によって形式が異なるため、コンピュータに読み込ませる場合、それぞれ別のアルゴリズムを構築しなくてはいけません。たとえば英語は単語ごとに区切られていますが、日本語は区切られていません。

加えて、日本語は漢字やひらがなが混ざっています。そのため、より複雑なアルゴリズムで文章を解析しなければならないでしょう。

自然言語処理は今後さらに発展する可能性を秘めた分野

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本記事では自然言語処理とは何かについて解説しました。自然言語処理の活用事例やコンピュータが自然言語を理解する具体的な流れなどがお分かりいただけたかと思います。

自然言語処理は今後さらに発展する可能性を秘めた分野です。いくつか課題は残っているものの、その課題が解決できれば、より精度の高い翻訳ツールやチャットボットを使えるようになるでしょう。

自然言語処理は将来性の高い分野のため、人工知能に興味がある方は勉強してみることをおすすめします。

まずはPythonやRなど、自然言語処理で多く使われるプログラミング言語の勉強から始めると良いでしょう。また、自然言語処理に関する書籍は多く販売されていますので、それらを読むことで知識を深めていきましょう。

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