Go言語の将来性
人気言語と言われる「Go言語」(別名:golang)ですが、実際に使われている言語をランキング形式で紹介している米国「TIOBE Index」によると、「Go言語」は2022年3月の13位から2023年3月には10位へとランクアップしており、実用面でも人気が高まっていることが分かります。
一方で、Go言語の人気低下説もあります。ここでは、「Go言語」の将来性や特徴、習得したスキルを活かす方法などについて紹介します。
【参考】:TIOBE Index - TIOBE 【参考】:The Go Programming Language
Go言語の需要と可能性
エンジニアの方が言語を学ぶ上で気になるのは、その言語の将来性だと思います。せっかく学んだ言語の需要がなければ、苦労が報われません。ここではGo言語の需要と将来性について見ていきましょう。
そもそもGo言語とは
Go言語は2009年にGoogle社がソフトウェア開発の効率アップを狙いにリリースした、オープンソースの言語であり、誰でも自由に使うことができます。Go言語は「グー言語」と呼ばれることもありますが、正しい読み方は「ゴー言語」です。
リリース当初はLinux OS、Mac OS版の2種類でしたが、2013年にリリースされたバージョン1.0からWindowsにも対応しています。この汎用性の高さは今後の需要を占う上で1つのポイントになります。
Go言語エンジニアの将来性
5G通信が普及し、Webサービスはさらなる処理スピードのアップや迅速なレスポンスが求められるようになっています。これまでは通信が処理遅延、レスポンス遅延の原因の1つでしたが、5G通信の普及によって、サーバーサイドの処理遅延が顕在化してきました。
こうしたことから、並列処理や高速処理に長けたGo言語に対する期待や注目が高まっています。実際にPHPで構築したWebサービスの遅延から、Go言語へのリプレイスの動きが強まっています。以上のことから、さらに需要の高まりが期待されるGo言語エンジニアの将来性は高いと思われます。
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Go言語の特徴
Go言語は無駄がなく読みやすいシンプルなコード、並列処理が得意でCPUに対する負荷の少ない身軽さ、実行速度の速さなどを特徴とした言語です。
他にも、Go言語はコンパイル型言語のため実行時のエラーが起きにくく、安定性が高く、マシンへの負荷が小さいコストパフォーマンスの良さも特徴として挙げられます。
Go言語は主にどこで使われているのか?
Go言語の特徴を一言で述べると非常に汎用性の高いプログラミング言語と言えます。プログラミング言語はそれぞれに得意分野があります。
たとえばPHPはWebサービス開発を得意とし、SwiftであればiOSを搭載したスマホアプリ、組込みシステム開発であればC言語が挙げられますが、Go言語は苦手な分野が少なく、汎用性の点でも優れたプログラミング言語と言えます。
そのため、あらゆる分野で利用されています。次項では、Go言語の主な活用分野について紹介します。
アプリケーション開発
マルチプラットフォームに対応するGo言語は、Linux・Windows・MacOS・Android・iOSなどさまざまなOSに対応し、多数のアプリ開発に利用されています。そのため、あらゆるアプリケーションの開発が可能であり、スマホアプリ開発でも活用されています。
活用例としては、フリマアプリで人気の「メルカリ」では開発にGo言語が採用されています。
Webサービス開発
文法のシンプルさが特徴の1つであるGo言語は、コーディングがしやすく、しかも実装した後に細かな調整や対応が求められるWebサービス開発にも適しています。
Go言語はメモリへの負荷が小さく、並行処理を得意とするため、スマホ側での処理をサーバ側で行うことができます。YouTubeのような大規模データをサーバ側で処理するようなWebサービスにも対応可能です。
IoT開発
Go言語の汎用性の高さを示す例としては、ドローンなどのIoT開発が挙げられます。IoTフレームワークとして知られる「Gobot」にもGo言語が使われています。「Gobot」はネットワークを介して複数のデバイス間で相互に通信を行え、リモート操作やデバイス同士で連携させられるのが特徴です。
【参考】:Gobot - Golang framework for robotics, drones, and the Internet of Things(IoT)
プログラマーの年収
年収は分野や需要、企業やスキルによって大きく変わりますが、キャリアアップを目指す上で1つの目安になります。ここではGo言語に絞ったプログラマーの年収調査データが少ないため、比較的近い職種と想定される「製品開発 / 研究開発」のエンジニアの年収を見ていきましょう。
「製品開発 / 研究開発」エンジニアの平均年収は「マイナビエージェント職種図鑑」によると477万円(※2023年3月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からSE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装)を参考にすると、平均年収568万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」によると民間企業平均年収は433万円ですので、「製品開発 / 研究開発」に関わるエンジニアは一般平均年収よりもやや高めであると分かります。
第2言語としてGo言語を身に着けて高収入を得るには、そのスキルを必要とする企業、活躍できる企業への転職を有利に行える、市場価値の高いエンジニアになることが求められます。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
Go言語のメリットとデメリット
元々はGoogle社内でのソフトウェア開発の生産性を上げるために開発されたGo言語ですが、オープンソースのプログラミング言語であり、各方面での利用が拡大しています。
Go言語はシンプルで理解しやすい言語ですが、CやJavaなどと同じくコンパイル言語であり、実行時のスピードが速い点も特徴の1つです。ここでは「Go言語」の特徴を知る意味で、Go言語のメリット、デメリットについて見ていきましょう。
Go言語のデメリット
さまざまなメリットが存在するGo言語ですが、いくつかのデメリットも存在しており、それを理由に、Go言語の人気低下を主張する人がいます。
デメリットと言われる部分については、Go言語の設計思想であり、メリットとして捉えることもできます。Go言語の主なデメリットとして挙げられるのはシンプルな言語であるが故に拡張性に欠け、他の言語と比較してできることが限られる点です。
以下、デメリットとされる側面について挙げます。
■ 1.継承の機能がない オブジェクト指向プログラミングでは、当たり前とされる「継承」の機能がありません。そのため、コードの使いまわしがしにくいことから、コードを修正しにくいという指摘があります。
■ 2.「generics」の機能が実装されたが情報が少ない これまでなかった「generics」が実装されたばかりで、情報や実装された実績が少ないことから、まだ利用に対するハードルが高いようです。
■3.「三項(条件)演算子」がない 他の言語にはある三項演算子は、if-else文のような条件分岐の記述を省略できますが、三項演算子がないGo言語では条件分岐の記述が長くなりがちです。
■ 4.例外処理がない Go言語は例外処理を排除する前提で設計されており、他の言語には存在する例外処理がありません。決まった型以外のコードを正しく処理できない点はデメリットと言えますが、プログラムを複雑化させる例外処理を排除したことはメリットとも考えられます。
また、Go言語では発生したエラーを戻り値として表せるため、エラーの対処を早めに行うことが可能です。
Go言語のメリット
Go言語の人気の理由としては、以下に挙げるメリットに起因します。ここでは、Go言語の特徴とも言える主なメリットについて整理しましたので、興味が湧いた方はぜひ参考にしてください。
■ 1.初心者にも理解しやすい Go言語は文法がシンプルで分かりやすく、初心者にも馴染みやすい言語ですが、JavaやCと構文が似ているため、どちらかの言語を習得した人は、他の言語よりも早くマスターしやすいでしょう。
■ 2.平行処理が可能で処理スピードが速い Go言語はコンパイル型の言語のため、スクリプト言語と比較して処理を高速に行えるとともに、並行処理を得意としており、並行処理を苦手とするPHPで書かれたWebサービスのリプレイスにGo言語を利用するケースが増えています。
■ 3.コーディングミスを減らせる Go言語の言語仕様はシンプルなため、複数のエンジニアが関わる開発において、記述方法がぶれにくく、コーディングミスが起きにくい仕様です。
■ 4,安全性が高い Go言語はPython・Java・C#などと同様に、自動的にメモリーを管理する「ガベージコレクション」機能が備わっています。プログラミングで手動でのメモリー開放を意識する必要がなく、コーディングが楽になり、かつメモリー不足による障害が起きにくく、安全性が高いというメリットがあります。
Go言語の習得方法
ここまでGo言語の特徴、メリット・デメリットについて解説しました。ここではGo言語の習得をおすすめしたい方、Go言語の難易度、おすすめの参考書について紹介します。
Go言語の習得をおすすめしたい方
スキルアップを目的に習得する第2言語として、C言語やJavaエンジニアの方におすすめです。Go言語はC言語やJavaと構文が似ており、既にこれらを習得した方には向いていますが、プログラミング言語を初めて学ぶ入門者の方にはあまりおすすめできません。
それは、Go言語はシンプルで学びやすい言語ですが、比較的歴史が浅いことからGo言語に関する情報が少なく、教材や資格制度がまだ完全に整備されたわけではないからです。そのため、PythonやRubyなどと比較して難しいと感じてしまう方がいるかもしれません。
Go言語学習の難易度は?
Go言語は文法が平易であり、コードがシンプルなことから学習の難易度は低いと言えます。C言語やJavaの経験者であれば、構文が似ていることから学びやすい言語だと感じるでしょう。
Go言語はコンパイル型言語であり、予めエラーチェックが行われることで自然に構文に慣れ、手を動かして学べるのも特徴の1つです。
Go言語の習得におすすめの参考書
Go言語を独学で学びたい方におすすめの参考書を紹介します。基本から学びたい方向けの入門書と、実践力を身に着けたい方向けの現場で使える参考書をそれぞれ1冊ずつ紹介しますので、自分のレベルに合わせて活用してください。
■「たった1日で基本が身に付く!シリーズ たった1日で基本が身に付く!Go言語 超入門」 基本からGo言語を学びたい人に入門書として、おすすめしたい参考書です。第2言語としてGo言語を学びたい方も、この書によってGo言語の基礎と概要が理解でき、応用レベルに進みやすくなります。
▪著者:清水美樹 ▪ページ数:224ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2020/10/29
【参考】:たった1日で基本が身に付く!シリーズ たった1日で基本が身に付く!Go言語 超入門
■「改訂2版 みんなのGo言語」 Go言語の基本レベルは押さえ、現場で使えるレベルのGo言語スキルを身に着けたいと考えている人の実践力を高めるために利用する参考書としておすすめします。
▪著者:松木雅幸,mattn,藤原俊一郎,中島大一,上田拓也,牧大輔,鈴木健太 ▪ページ数:224ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2019/08/01
【参考】:改訂2版 みんなのGo言語
身に着けたGo言語のスキルを活かすには
本記事ではGo言語がシンプルなコードで学びやすく、また並列処理が得意で実行速度の速く、将来性が高いプログラミング言語であることを解説しました。
第2言語としておすすめのGo言語を習得できたとしても、そのスキルを活かせる企業、自分の希望に合う企業やGo言語で活躍できる企業を独力で探し出すのは簡単ではありません。
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