アセンブリ言語とは?機械語やC言語との違いをわかりやすく解説!
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アセンブリ言語とは?機械語やC言語との違いをわかりやすく解説!
アンドエンジニア編集部
2023.12.13
この記事でわかること
アセンブリ言語は機械語に近いプログラミング言語のこと
アセンブリ言語は組み込み系ソフトウェア開発で今でも使われている
メモリ管理ができるようになるなどアセンブリ言語を学ぶメリットはある

アセンブリ言語とは?

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アセンブリ言語という言葉を初めて聞いた方も多いでしょう。そこで、まずはアセンブリ言語とは何かについて解説します。アセンブリ言語・機械語・C言語、それぞれの違いについても説明します。

アセンブリ言語は機械語に近いプログラミング言語

アセンブリ言語とは機械語に近いプログラミング言語です。機械語とはコンピュータが理解できる「0」と「1」で構成された言語のことです。昔はコンピュータに何か命令する際、機械語を使うのが主流でした。

しかし、機械語は人間には読みにくいうえ、命令を出すのにかなり時間がかかります。さらに、機械語を習得している人はごくわずかであったため、生産性が良くないなどの問題がありました。

そこで人間にも比較的読みやすいアセンブリ言語が登場しました。アセンブリ言語は機械語とほぼ1対1の文字列になっており、簡単に機械語へ変換することが可能です。

例として、アセンブリ言語には「LAD」や「SDD」といった意味のある文字列が使われています。「LAD」はLoad ADressの略でアドレスを読み込むという意味であり、「SDD」はShift Left Logisticの略で論理左シフトという意味です。使われる文字列は自然言語の略語であるため、人間でも理解しやすくなっています。

また、アセンブリ言語はCPUの種類毎に異なるという性質もあります。

機械語とは?アセンブリ言語との違いや学ぶ意味・特徴を解説

アセンブリとC言語の違い

C言語は1972年に作られた、世界でもトップクラスに有名なプログラミング言語です。C言語はC++やC#など、さまざまな言語の原型となっていることでも知られています。今では組み込み系ソフトウェア開発や、ゲーム開発といった分野で多く使われています。

C言語はアセンブリ言語を発展させて作られた言語です。アセンブラ言語をより人間でも読みやすいように進化させ、開発効率を上げられるようにしました。

そのため、C言語は後続の他言語に比べるとアセンブリ言語に近い特徴があります。処理速度が早かったり、コンピュータの内部的な処理まで操作できたりと共通している部分もあるため、C言語とアセンブリ言語は同じ業界で使われることも多いです。

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アセンブリ言語に関連する用語一覧

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低水準言語や高水準言語など、アセンブリ言語に関連する用語の意味について解説します。これらの用語の意味を理解することで、アセンブリ言語に関する理解を深めることが可能です。

低水準言語

低水準言語とは機械語に近い構造のプログラミング言語のことで、低級言語とも呼ばれています。アセンブリ言語は低水準言語に該当します。

低水準と名付けられていますが、他言語に比べ劣っているという意味ではありません。低水準言語はコンピュータにとってわかりやすい、CPUに則した処理が書ける、メモリやCPUの操作ができるなどのメリットがあります。

低水準言語とは?ここでの「水準」について理解を深めよう

高水準言語

高水準言語は人間にとってわかりやすいプログラミング言語のことです。高水準言語の中でも有名なものは次のとおりです。

  • C
  • C++
  • Java
  • PHP
  • Python
  • Ruby
  • JavaScript
  • SQL

 

高水準言語を使うことで高速でシステムやアプリを開発でき、生産性を上げられるメリットがあります。現在のWeb系企業やSIer企業などのほとんどは高水準言語を使っています。高水準言語は学習コストが低い、メモリやCPUなどのコンピュータの内部的処理を意識しなくて良いなどのメリットがあります。

高水準言語とは?アセンブリ言語との違い・特徴・現場で使われる理由

アセンブル

アセンブル(assemble)とは日本語で部品を組み立てるという意味です。

IT業界でアセンブルは、アセンブリ言語で書かれたソースコードを「0」と「1」の機械語に変換する作業のことを意味します。アセンブルをしないと、ソースコードを機械に読み込ませることはできません。

アセンブラ

アセンブラ(assembler)とは日本語で部品を組み立てる人という意味です。IT業界ではアセンブラは、アセンブルを行うためのソフトウェアのことを意味します。

アセンブリ言語は機械語と1対1で対応しているため、アセンブラで簡単に変換することが可能です。

コンパイラ

コンパイラとは、高水準言語で書かれたソースコードを変換するためのソフトウェアのことです。C言語やC++などのプログラミング言語は、コンパイラによって変換されます。

また、コンパイラで変換することをコンパイルと呼びます。高水準言語は低水準言語よりも機械語から離れているため、機械語に変換するのに時間がかかります。

インタープリタ

インタープリタはコンパイラ同様、高水準言語の実行を行うソフトウェアです。コンパイラと異なるのは、プログラムを一括で変換するのではなく1行ずつ変換する点です。PHPやPythonなどのプログラミング言語は、インタープリタによって実行されます。

機械語への変換と実行を同時に行うため、記述したソースコードの実行結果をすぐに確認できるのがメリットです。反面、逐次変換、実行を行うためリソースに限りがありますが、現在はリッチな環境の組み込み系も増えてきたので、状況は変わりつつあります。

アセンブリ言語の使い道

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アセンブリ言語は今でも現役で使われています。たとえば、PICマイコンなどのCPUや家電製品に組み込まれるコンピュータを開発する際に使われることが多いです。

こういった組み込み系ソフトウェアは処理速度の早さが求められるため、機械語にすぐ変換できるアセンブリ言語は相性が良いです。

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アセンブリ言語のデメリット

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ここではアセンブリ言語のデメリットについて解説します。デメリットを知ることで、アセンブリ言語がどのようなものなのか見えてきます。

習得難易度が高い

アセンブリ言語は習得難易度が高く、プログラミング初心者がいきなり挑戦すると挫折する可能性が高いです。まずは他の高水準言語をマスターし、その後にアセンブリ言語を学んでメモリ管理などをできるスキルを身につけるのが良いでしょう。

PHPやPythonなどは機械語から離れている分、処理速度は遅いものの文法が初心者にも分かりやすくなっています。

ソースコードの修正が大変

アセンブリ言語は可読性が低いため、プログラムに不備を見つけた際ソースコードの修正が大変です。そのため、顧客の要件に従って何度も修正が必要な大規模システムの開発には向いていないでしょう。

アセンブリ言語のメリット

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続いて、アセンブリ言語のメリットについて解説します。

アセンブリ言語は難易度こそ高いものの、習得することでさまざまなメリットがあるため興味のある方にはおすすめできます。

メモリ管理が学べる

アセンブリ言語を学ぶことでメモリやCPUについて知識を深めることが可能です。アセンブリ言語ではCPUやメモリがどうなっているか把握しないとコーディングができないためです。

PHPやPythonなどの高水準言語は、メモリなどを気にしなくても書くことができる分、メモリ管理を学ぶことができません。PHPなどには処理が終わるたびにメモリが自動的に解放される仕組みがありますが、アセンブリ言語にはそのような機能はないため、メモリ節約のテクニックを学べます。

メモリ節約ができると、アプリやシステムの処理を少しでも早くすることが可能です。処理を早めることで、ユーザーのストレスを軽減することができます。

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実行速度が早い

アセンブリ言語は機械語が直接実行されるので、他言語に比べて実行速度が圧倒的に早いのが特徴です。そのため、カーナビに組み込まれるコンピュータの開発などにも使われています。カーナビは実行速度がよりシビアに求められる機器だからです。

セキュリティ対策ができる

アセンブリ言語を学ぶことで、セキュリティ対策ができるメリットもあります。サイバー攻撃の手口は年々進化しており、対策を施してもプログラムの細かな不備をついてきます。

アセンブリ言語を学ぶことで、細かい箇所まで気を配ったプログラムを作れるようになり、最新のサイバー攻撃にも対処しやすくなります。セキュリティエンジニアを目指すならアセンブリ言語は勉強したいところです。

アセンブリ言語習得すれば年収アップの足掛かりに

一般的なプログラマーの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での平均年収は344万円(※2023年4月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収592万円と分かりました。

国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プログラマーの平均年収は、調査媒体によってバラつきがあることが分かります。

アセンブリ言語を扱えるだけでは、残念ながら大幅な年収アップは見込めません。しかし、アセンブリ言語を含めた多数の言語に精通することで仕事の幅が広がり、年収が増える可能性は十分考えられます。

【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

アセンブリ言語がおすすめな人とは

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アセンブリ言語がおすすめな人の特徴をまとめました。次の特徴に該当する方は、アセンブリ言語を学ぶことで多くのメリットが得られるでしょう。

ハードウェアの知識をより深めたい人

アセンブリ言語を習得するには、ハードウェアに関する深い知識が必要になります。「コンピューターがどのようにプログラムを動作させるのか」「CPUやメモリのはたらきはどうなっているのか」ということを理解しないと、コーディングができません。

このことから、習得の過程ではおのずとハードウェアの知識が身に付きます。そのため、ハードウェアについてもっと知りたいという方におすすめです。

組み込み系のソフトウェア開発に関わりたい

組み込み系ソフトウェア開発では、アセンブリ言語が使われることが多いです。そのため、組み込み系の開発に関わりたい方は、C言語とセットで習得しておくと良いでしょう。

C言語とアセンブリ言語は共通部分も多いので、C言語で学んだスキルはアセンブリ言語でも活かすことが可能です。

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メモリ管理を学んでプログラマーとしてのスキルを高めたい

アセンブリ言語は確かに難易度が高めですが、その分メモリやCPU管理などについて学ぶことができます。メモリ管理などを学ぶことで、Webアプリやスマホアプリを開発する際にも効率的なソースコードを書けるようになります。プログラミングの基礎的なスキルを身につけたい方にアセンブリ言語はおすすめできます。

また、アセンブリ言語を習得しているエンジニアは少ないため、習得することで自分の市場価値を高めることができます。「転職の際、何かエンジニアとしての武器が欲しい」という方にもおすすめです。

アセンブリ言語の知識を生かして転職を目指すなら、自分のスキルにあった企業を探してくれる転職エージェントの活用をおすすめします。

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アセンブリ言語の将来性

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C、 C++,、Kotlin、Java、Swift、Pythonといった高水準言語が主流となる今、「低水準言語であるアセンブリ言語は使用できなくなるのでは?」と感じる方もいるでしょう。

アセンブリ言語は用途こそ限られるものの、現在も一定の需要はある言語です。特に組み込み系ソフトの開発では、今後も使われ続けることが予想されます。最近ではIoT家電と呼ばれるネットに接続できる家電が話題です。このような開発にもアセンブリ言語は使用可能です。

アセンブリ言語は大学の情報工学部でも勉強することが多いです。このことからも、アセンブリの需要が一定数あることが伺えます。

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アセンブリ言語は余裕があるなら学んでおきたい言語

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本記事ではアセンブリ言語について解説しました。アセンブリ言語の意味や、メリット・デメリットがお分かりいただけたかと思います。アセンブリ言語を学ぶことでプログラマーとして一歩先に進むことができるため、余裕があるならぜひ学んでおきたいところです。

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