組み込みエンジニアにとって大手が良い理由とは?
組み込みエンジニアは家電用品などに搭載されているシステムやソフトウェアに携わり、IoT・AIの普及に伴って需要が増えている職種です。大手・中小関係なく、多くの企業が求人の募集をしている様子が見られます。
企業によって待遇や働きやすさなどが異なりますが、組み込みエンジニアへの転職を検討しているなら、やはり大手を狙うのがおすすめです。では、具体的に組み込みエンジニアが大手企業で働くにあたって、どのようなメリットがあるのでしょうか。おすすめのポイントをまとめました。
成長しやすい環境
大手企業の製造メーカーは、開発のノウハウやスキル、設備を自社で持っていることが多いため、これらを十分に利用できるという点で、組込みエンジニアにとっては成長しやすい環境と言えます。また、新卒で入社してもキャリアを積みやすいのが大手企業で働くメリットと言えます。
大手は開発案件の数が多いので安心できる
大手には組み込みシステムの案件が多くあります。電子レンジやTVなどの電化製品から、駐車場の料金支払機、銀行のATMといったものまで、様々な案件を請け負っています。大手で働くことで仕事が途切れる心配がほとんどないため、安心して働くことができます。
企画段階から参入できる
大手では、組み込みエンジニアもプロジェクトの企画段階から参入し、ものづくりに深くかかわることができます。 ものづくりの楽しさを味わえるとともに、ノウハウも身に付けることができます。
また、大手では開発プロジェクトの一部を受け持つのではなく全体を把握する事ができるので、問題が発生した時に素早く解決することができるようになります。
大手企業の待遇はどうか
年収については、経験やスキルによっても変わりますが、高い報酬を提示する求人は大手の割合が高い傾向にあります。経済産業省のIT人材に関する各国比較調査結果報告書によると、ITエンジニアの平均年収は20代で413万、30代で526万、40代で646万に比べて高い収入であることが分かります。
【参考】:IT人材に関する各国比較調査
労働条件がしっかりしている
IT業界は残業が多く、組み込みエンジニアも他のエンジニア同様「きついからやめとけ」と言われることもあります。しかし、大手メーカーでは残業もしっかり管理しています。また自社でのプロジェクトですので、開発日程も少しは調整がききます。
大手は月毎のMAXの残業時間も決められており、労働組合も参加して見回り確認する場合もあります。労働時間の管理も適切に行われるため、ホワイトな環境で働けるといえるでしょう。
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そもそも組み込みエンジニアとは
ここでは、そもそも組み込みエンジニアとはどういった職種なのかを具体的に解説します。
多くの家電用品や機器などは、搭載しているシステムやソフトウェアで制御され機能しています。スマートフォンやテレビなどの様々な家電に組み込まれたコンピュータシステムのことを「組み込みシステム」、あるいは「エンベデッドシステム」と呼びます。
組み込みエンジニアは、マイコン(電気回路を制御する半導体チップ)で制御される組み込みソフトを作成します。組み込みソフトで製品の動きや動作を制御するシステムを設計する職種です。
例えば、洗濯機や炊飯器など家電の中にも組み込みソフトが利用されています。自動洗濯機の場合、洗剤の投入・洗濯・脱水・乾燥などの手順が組み込みソフトによって自動で行われます。
マイコンとは、インターネットで使われるコンピュータとは別の小型のコンピュータです。組み込み機器の単独の動きをマイコンを使って制御しています。組み込みエンジニアはマイコンを搭載した基板を設計することもあるため、ソフトウェアだけではなくハードウェアの知識も必要とされます。
組み込みエンジニアの年収
組み込みエンジニアの年収は、「マイナビエージェント職業別年収ランキング」での平均年収は455万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のSE・プログラマ(組み込みソフトウェアの開発・実装)を参考にすると、平均年収603万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、組み込みエンジニアは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
需要の高まりにより求人市場が活性化しているため、転職により年収アップが期待できます。また、組み込みエンジニアとしてステップアップする場合は、ETEC(組み込み技術者試験)などの資格取得がおすすめです。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】2019年12月~2020年5月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁 【参考】:組込みソフトウェア技術者試験(ETEC)
組み込みエンジニアの仕事内容
ここからは、組み込みエンジニアの仕事にどのようなものがあるかについて見ていきましょう。もちろん設計に携わる仕事はたくさんありますので、ここではその中から3つ紹介します。
- 家電や小型機器のマイコンの設計
組み込みエンジニアは、家電製品や小型機器の動きを制御するシステムを設計します。機器にマイコンを組み込み、製品の動きをコントロールするため、基本的な電子回路の知識が求められます。また、製品の用途によりOSも違いますので、OSに対応できるスキルが必要とされます。
- 産業用ロボットの稼働を制御するシステムの設計
工場における生産や、検査に用いられる産業用ロボットの制御するソフトを設計することもあります。このようなロボットは、どのような工場でも使用可能で、かつ故障や障害が発生しにくいものである必要があります。そのため汎用性が高く、堅牢なシステムが求められます。
- ネットワークでの組み込みソフトの設計
インターネットの通信速度は年々高速化されており、使い勝手の良い高速化に対応した信頼性のあるソフトが求められます。
またIoT(Internet of Things)、つまり様々なモノがインターネットに繋がれるようになっており、エアコン・テレビ・冷蔵庫・工場の製造機器や医療機器などをインターネットで繋ぐためのソフトも求められています。このようなソフトの設計も、組み込みエンジニアの仕事の1つです。
組み込みエンジニアが要求されるスキル
組み込みエンジニアのスキルは、他のITエンジニア以上に必要です。具体的には、プログラム言語やマイコン周りの電子回路の知識とスキル、組み込み用OSの知識などです。
C言語やJAVA、アセンブリ言語などの取得
プログラミングは組み込みエンジニアにとっては必須のスキルです。組み込みシステムの開発には、C言語やJAVA(高級言語)やアセンブリ言語(低級言語)が主に使われます。
前者はCPUの種類に依存しない開発が可能な言語です。後者はCPUの種類に応じて文法が異なる言語ですが、よりコンピュータに関する深い理解が得られます。最も一般的に使用されているのはC言語ですが、上記に挙げたプログラミング言語を最低でも1つはマスターしておく必要があるでしょう。
組み込み系OSの知識
OSと聞くとWindowsやMacOSが思い浮かぶかもしれませんが、これらは汎用OSと呼ばれるOSです。組み込みエンジニアにとって重要なのは、リアルタイムOS(RTOS:Real Time Operating System)です。リアルタイムOSでは、処理の正しさに加え、その処理時間が期限に間に合っているかも問われます。
組み込みシステムは現実の変化に合わせて高い応答性能を備える必要があるため、マイコンにはこのRTOSが実装されるのが一般的です。RTOSにはTRONやT-Kernel、OSEKといったものがあります。組み込みエンジニアはこれらの知識を有する必要があります。
電子回路の知識が必要
ソフトウェアだけでなく、ハードウェア=電子回路の知識も必要です。使用されているマイコンや周辺回路、また外部とのインターフェースを理解できる知識が求められます。また場合によっては、機器に搭載できる大きさの基板を作成する事もあります。ソフトウェアとハードウェアの両方の知識が必要とされます。
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組み込みエンジニアがやめとけと言われる理由
最新製品の開発に携わり、常に時代の最先端を行く製品や技術の知識に長けている組み込みエンジニアですが、巷では「やめとけ」と言われてしまうことがあります。ここでは、組み込みエンジニアがやめとけと言われる理由について解説します。
専門的な知識・技術の習得が大変
組み込みエンジニアには専門的な知識とITスキルが求められるため、知識や技術習得のための勉強や、実績作りが大変だと言われています。扱うプログラミング言語やOSの種類が多く、仕事の合間に勉強することもあります。
また、IT知識の他に電子回路の知識も必要であるため、このような幅広い知識と技術が必要とされることが多忙に繋がり、「やめとけ」と言われてしまう原因と考えられます。
しかし、言い換えれば仕事を通じて得られる知識や経験は、次のキャリアアップ先で大きな武器となります。スキルの高さは転職で有利に働くため、大変なこともある一方で、市場価値を高められるメリットにもなります。
スケジュールが急遽変更されることもある
組み込みエンジニアが担当する案件では、最初にクライアントと製品開発についてのスケジュールを組みますが、場合によっては急なスケジュール変更を余儀なくされることがあります。また、使用する部品が変更になったり、機能が追加されたりすることもあります。
変更があっても納期が延長されない場合があり、納期厳守のために、残業や休日出勤で対応しなければならないこともあります。
納期が厳しい時がある
システム開発に着手する際は、まずクライアントと開発工数・バグ対応などを考慮したスケジュールを立てて、納期を決めます。しかし、当初想定していたよりもバグが多かったり、仕様変更があったりするなど、スケジュール通りに進まないこともあります。
スケジュールに遅れが出ていても、場合によっては納期を延期するのが難しいこともあるでしょう。納期を守ることでエンジニアとしての信頼や実力を高めることもできますが、難しい場合はクライアントと相談し、納期を調整する交渉も大切です。
組み込みエンジニアに向いている人
組み込みエンジニアの仕事が大変な部分があると分かったところで、どういった人が組み込みエンジニアに向いているのかご紹介します。
ものづくりが好きな人
組み込みエンジニアは、自分が設計したシステムによってさまざまな機械を動かせる仕事のため、モノ作りに興味がある人にはとても向いている仕事だと言えるでしょう。
特に家電や自作PCにこだわりがある方などは、より良い仕組みや使い方を考えやすく、業務に活かしやすいという点があります。
新しい製品開発に携わりたい人
組み込み系の開発では、IoT家電やAIを活用した製品などの開発にも携わることができます。そのため、最先端技術を用いて製品の開発に携わりたいと考えている人は組み込みエンジニアに向いていると言えます。
また、組み込みエンジニアはロボット産業などの今後発展を遂げていくような最先端技術の開発にも携われるケースもあり、今の私たちが想像もしていないような暮らしを実現できるプロジェクトに携われるかもしれません。
論理的思考ができる人
組み込みエンジニアに限らず、エンジニアには論理的思考力が求められます。開発では難解な要素であっても、論理的に思考しシンプルに落とし込む必要があります。
このように、論理的に考えることができる人であれば、窮地に陥っても冷静に現状把握と原因究明を行い、対処ができるため組み込みエンジニアに向いていると言えます。
必要な知識やスキルをつけて大手で活躍しよう!
組み込みエンジニアは機器を制御するシステムを設計します。自分の設計したシステムによって意図した通り機器が作動することには大きなおもしろさがあります。また、IoT技術が発展する中、組み込みエンジニアの需要はますます高まっています。組み込みエンジニアとして十分に力を発揮して成長していくために、必要な知識やスキルを身につけ、大手で活躍できるような人材を目指してみてはいかがでしょうか。
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