LPIC試験とは?
LPICとはLinux Professional Institute Certificationの略であり、Linuxの専門家であることを証明するための試験です。NPO法人Linux技術者認定機関の日本支部によって運営されており、世界中に受験者がいる資格でもあります。
受験料は15,000円となっており、基本情報技術者試験などと比べやや高いですが、その分合格すればLinuxスキル保有者として国際的に認められるようになります。また、試験日や試験会場の指定はなくいつでも受験ができ、オンライン受験も可能となっています。
Linux試験を受けても意味ないという意見もありますが、試験を通じてLinux知識が体系的に身につきますし、転職などでも十分なアピール材料になるのでそんなことはないでしょう。Linuxは多くのWeb系企業でサーバとして使われているため、LPIC試験に合格した人を採用したい企業は多いです。
【参考】:Linux Professional Institute
LPIC試験の種類
LPIC試験には「LPIC-1」「LPIC-2」「LPIC-3」の3種類があり、数字が大きくなるほど難しくなります。上位試験の認定を受けるには下位試験に合格している必要があるため、最初は全員LPIC-1から挑戦することが多いです。
3種類のLPIC試験の難易度や出題範囲についてまとめましたので、参考にしてください。
LPIC-1
LPIC-1はLinuxの基本操作やシステム運用・管理の基礎知識が問われる資格であり、LPIC試験の中でも最も簡単なものとなっています。LPIC-1はLPIC101と102に分かれており両方に合格して初めて認定となります。2つの試験は同時に受ける必要はないですが、片方に受かってから5年以内にもう片方に受かる必要があり、それ以上経つと無効になってしまうので注意です。
難易度はそこまで高くありませんが、試験時間90分に対し問題数は60問となっており時間が足りなくなることもあるでしょう。出題形式はコンピュータで回答するCBT方式となっており、ほとんどが選択問題ですが一部記述式の問題も出されます。
LPIC101はシステムアーキテクチャやLinuxコマンド、ファイルシステムなどが出題範囲であり、LPIC102はシェル・スクリプトや管理タスク業務、ネットワーキングの基礎などが出題範囲です。どちらか得意な方から受験し、自信をつけてからもう片方に挑むのが良いでしょう。
LPIC-2
LPIC-2はLinuxスキルを業務で活かすことができるか問われる資格です。トラブルシューティングやキャパシティプランニングができることが必要となり、LPIC-1よりも高度な知識・スキルが求められます。試験はLPIC201と202に分かれており、やはり両方に合格しないといけません。試験時間や問題数、出題形式などはLPIC-1と共通です。
LPIC201はキャパシティプランニングやLinuxカーネル、ネットワーク構成などが出題範囲であり、LPIC202はドメインネームサーバやウェブサービス、ファイル共有などが出題範囲です。どちらも広範囲に渡る知識が求められるので、勉強時間を十分に確保して挑むことが肝心でしょう。
LPIC-3
LPIC-3はLinux技術者として最高レベルの技術力を持っているか問われる資格です。LPIC-3はLPIC300、303、304の3つの試験に分かれており、いずれか1つに合格する必要があります。試験時間や問題数、出題形式などはLPIC-1と共通です。
LPIC300ではSambaを利用したシステム設計・構築に関する問題が出されます。LPIC303ではセキュリティを維持したサーバの設計・構築ができるかが問われます。LPIC304では仮想化技術や高可用性システムの設計・構築ができるかが問われます。
3つとも難易度は高いですがその分LPIC技術者として高く認められるため、挑戦する価値はあるでしょう。
LPICのオンライン試験について
LPICは全国にある会議室や職業訓練校などのテストセンターにて受験するのが一般的ですが、オンラインで試験を受けることも可能になっています。オンライン試験も受験日は決まっておらず、いつでも受験することが可能です。オンライン試験を受験する場合いくつか気をつけるべき点もあるので、そちらについて紹介します。
オンライン試験とは?
オンライン試験とは自宅のパソコンを使ってLPIC試験を受けることです。オンライン試験は元々LPIC-1のみが対象となっていましたが、現在ではLPIC-2も対象です。
ただし、LPIC-1が日本語対応しているのに対し、LPIC-2は英語のみとなっているため受験が難しい方もいるかもしれません。とはいえ、新型感染症の影響もあってテストセンターで受験するのが怖い人も多く、オンライン試験があるのはありがたいことでしょう。
オンライン試験の準備方法
オンライン試験を受ける場合、受験日の3日前に担当者からメールが送られてきます。メールにはオンライン受験の受け方や注意事項が記載されているので、まずはそれをよく読みます。
また、受験中パソコンが使えなくなると失格になりますので、パソコンの状態について確認しておきましょう。確認すべき事項としては、Webカメラが使えるか、マイクが利用できるか、ネットが途中で途切れることはないか、などが挙げられます。
オンライン試験当日の流れ
オンライン試験開始直前に担当者から個人確認が行われるので、試験開始30分前には準備を行い早めにチェックインするようにしましょう。試験開始から15分以上経つと失格となりますので遅刻は厳禁です。また、チェックインの手順に関しては事前にメールが送られてくるので、それに従って行います。
試験開始までに自分の顔写真および身分証明書の写真を提出する必要があります。また、試験を受ける部屋の写真を提出しないといけないため、部屋の整理もしておきましょう。更に、カンニング扱いされることを防ぐためにパソコンの周りには何も置かないようにし、パソコン上のアプリも全て落としましょう。
オンライン試験の注意点
試験中はWebカメラによって試験管が閲覧できる状態を維持しておく必要があります。また、試験中に家族などが部屋に入ってくるとカンニング扱いされる可能性もあるので、部屋の前に張り紙を張っておくなど対策しましょう。
試験中に何かトラブルが発生した場合は監督官に質問するのが良いです。ただし、監督官とのやり取りは英語で行わなくてはいけないので注意が必要です。
LPIC試験に合格するには?
最後に、LPIC試験に合格するためのコツについて紹介します。LPIC試験は難易度自体はそれほど高くはないものの暗記すべきことも多いため、しっかり勉強した上で挑む必要があります。
問題集を何度も繰り返す
LPIC試験はLinuxコマンドやネットワークの仕組みなど覚えることが多く、問題集を1回解いた程度では全てをマスターすることは難しいでしょう。問題集には答えを書き込んだりせず、何度も繰り返し解くようにしましょう。物事を記憶するには反復練習が効果的と言われています。
過去問を解く
LPIC試験は昔からある資格のため過去問も充実しています。過去問を解くことで出題範囲を確認できますし、本当に知識が身についているか確かめることもできます。また、実際に時間を測って解くことで時間内で解き終わるか確認するのもおすすめです。
コマンドは実際に手を動かしながら覚えていく
LPIC101には基本的なLinuxコマンドの使い方を問う問題が多く出題されるため、まず最初はコマンドから覚えていくことが大切です。コマンドは実際にGUIで打ってみて、実行結果がどうなるか確かめながら覚えていくのが良いでしょう。実際に手を動かすことで記憶に定着しやすくなりますし、よりLinuxに興味が湧くようになります。
Web問題集も活用する
Linuxを勉強する際は参考書だけでなくWeb問題集も活用するのがおすすめです。エンジニアは本業が忙しい方も多く、中々参考書を開く時間がない方もいるでしょう。Web問題集なら通勤時間などの隙間時間に勉強することができるため、忙しい方も試験対策を進めることができます。
LPIC試験に挑戦してエンジニアとしてスキルアップしよう
本記事ではLPIC試験について解説しました。各LPIC試験の難易度や出題範囲、試験合格のポイントなどがおわかり頂けたかと思います。LPIC試験に合格することでLinux技術者として評価されやすくなり、多くのWeb業界で活躍が見込めます。
Linuxはサーバとして優秀であり今後も使われ続けることが予想されるので、今のうちにLPIC試験を通じてLinuxスキルを高めておくのがおすすめでしょう。特にプログラマーの方はこれからシステムエンジニアへキャリアアップする上で、インフラやネットワークの知識は重要になってきます。
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