AWSのリージョンとは?
AWSは、世界最大の利用者数を抱えるクラウドサービス事業者です。AWSは自社サービス提供エリアにおいて均一なサービスを提供するために、地域を物理的なロケーションに分割してサービスを提供しています。この物理的なロケーション分割単位がリージョンです。
AWSはサービスの豊富さと提供範囲の広さが特徴です。そのため、継続的にサービス提供地域を拡大し、対象地域をカバーするリージョンを開設しています。
AWSのアベイラビリティゾーンとは?
AWSのアベイラビリティゾーン(AZ)とは、1つのリージョンを冗長性・信頼性・可用性を確保した1つ以上のデータセンターで構成する単位を指します。アベイラビリティゾーンは複数の独立した場所に設置されており、冗長的な電力源・ネットワーク・接続機能によって個々のアベイラビリティゾーンが相互に接続して運用されています。
AWSのローカルゾーンとは?
AWSローカルゾーンはAWSのリージョンを拡張し、レイテンシーの影響を受けやすいアプリケーションをエンドユーザ近接の地域で実行させるものです。AWSローカルゾーンは、ミリ秒単位のレイテンシーが求められるアプリケーション向けに提供されています。
具体的には、メディアエンターテイメントのコンテンツ作成・リアルタイムゲーム・ライブビデオストリーミング等のアプリケーションなどを想定しています。2022年2月現在では米国全体で17のローカルゾーンがあり、今後も各地域で追加される予定です。
AWSの日本でのリージョンは?
日本では2011年にアジアパシフィック(東京)リージョンが開設され、サービスが提供されています。アジアパシフィック(東京)リージョンに加えて、2021年3月にはアジアパシフィック(大阪)リージョンが開設されました。東京・大阪共にAWSアジアパシフィックリージョンに属し、日本ローカルだけではなくアジア全域へのサービス提供が期待されています。
AWSのリージョンの仕組み
ここでは、AWSのリージョンの特長やリージョンを選ぶ際の注意点などを説明します。AWSを利用する際、リージョンの仕組みを理解して効率良く運用できるようにしましょう。
リージョンごとに利用できるサービスが異なる
世界中にあるリージョンごとに、利用できるAWSのサービスが異なります。同じ国内のリージョンでも利用できるサービスが異なるため、利用したいサービスが決まっている場合は、該当のサービスが利用できるリージョンを選びましょう。
障害発生時のリスク分散になる
世界各国に複数のリージョンが設けられている理由の1つに、障害発生時にリスクを分散するという点があります。リージョンに障害が発生した場合、障害発生場所のリージョン以外には影響がありません。そのため、AWSのサービスを安定して受けられることがメリットです。
AWSのリージョン一覧は?
AWSは世界の26の地域に対してリージョンを開設し、サービス展開しています。同様に84のアベイラビリティゾーンが展開されており、今後も8つのリージョンと24のアベイラビリティゾーンの開設が計画されています。ここでは2022年2月現在の各リージョン一覧について説明します。
AWSサービスエンドポイントとは?
AWSサービスエンドポイントとは、AWSのサービスにプログラム接続するための接続情報です。具体的には、以下のリージョンエンドポイントに対して接続リクエストを発行します。
「protocol://service-code.region-code.amazonaws.com」
protocolはhttps等で、service-codeとは利用サービスの名称です。region-codeとは指定するリージョンのコードを指します。AWSサービスエンドポイントを指定することで、リージョンとサービスが利用可能となります。
【参考】AWS サービスエンドポイント
北米地域のリージョンは?
北米地域では、以下の7つのリージョンが開設されています。リージョンコードとアベイラビリティゾーンを併せて紹介します。
・米国東部(バージニア北部)リージョン Code: us-east-1(6つのアベイラビリティーゾーン)
・米国東部(オハイオ)リージョン Code: us-east-2(3つのアベイラビリティーゾーン)
・米国西部(北カリフォルニア)リージョン Code: us-west-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・米国西部(オレゴン)リージョン Code: us-west-2(4つのアベイラビリティーゾーン)
・カナダ(中部)リージョン Code: ca-central-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・GovCloud(米国西部)リージョン Code: us-gov-west-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・GovCloud(米国東部)リージョン Code: us-gov-east-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
南米地域のリージョンは?
南米地域では、1つのリージョンが開設されています。リージョンコードとアベイラビリティゾーンを併せて紹介します。
・南米(サンパウロ)リージョン Code: sa-east-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
欧州/中東/アフリカ地域のリージョンは?
欧州/中東/アフリカ地域では、以下の8つのリージョンが開設されています。リージョンコードとアベイラビリティゾーンを併せて紹介します。
・欧州(フランクフルト)リージョン Code: eu-central-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・欧州(アイルランド)リージョン Code: eu-west-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・欧州(ロンドン)リージョン Code: eu-west-2(3つのアベイラビリティーゾーン)
・欧州(パリ)リージョン Code: eu-west-3(3つのアベイラビリティーゾーン)
・欧州(ミラノ)リージョン Code: eu-south-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・欧州(ストックホルム)リージョン Code: eu-north-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・中東(バーレーン)リージョン Code: me-south-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・AWS アフリカ(ケープタウン)リージョン Code: af-south-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
アジアパシフィック地域のリージョンは?
アジアパシフィック地域では、以下の10のリージョンが開設されています。リージョンコードとアベイラビリティゾーンを併せて紹介します。
・中国本土(北京)リージョン Code: cn-north-1(2つのアベイラビリティーゾーン)
・中国本土(寧夏)リージョン Code: cn-northwest-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・アジアパシフィック(東京)リージョン Code: ap-northeast-1(4つのアベイラビリティーゾーン)
・アジアパシフィック(ソウル)リージョン Code: ap-northeast-2(4つのアベイラビリティーゾーン)
・アジアパシフィック(大阪)リージョン Code: ap-northeast-3(3つのアベイラビリティーゾーン)
・アジアパシフィック(ムンバイ)リージョンCode: ap-south-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・アジアパシフィック(シンガポール)リージョン Code: ap-southeast-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・アジアパシフィック(シドニー)リージョンCode: ap-southeast-2(3つのアベイラビリティーゾーン)
・アジアパシフィック(香港)リージョン Code: ap-east-1(3つのアベイラビリティーゾーン)
・アジアパシフィック(ジャカルタ)リージョン Code: ap-southeast-3(3つのアベイラビリティーゾーン)
AWSリージョン別のサービスは?
AWSのリージョンで提供されるサービスは、リージョン毎に異なります。開設して間もないリージョンはすぐに多くのサービスを提供するのではなく、需要の多いサービスから順次取り入れます。そのため、提供サービスのオプションやタイプもすぐに全て揃うものではありません。AWSを利用する際は、各リージョン毎の提供サービスを比較することが重要です。
【参考】AWS リージョン別のサービス
日本のリージョンでの提供サービスは?
日本では、東京と大阪にリージョンが開設されています。アジアパシフィック(東京)リージョンでは2022年2月現在、182のサービスを提供しています。一方、アジアパシフィック(大阪)リージョンでの提供サービス数は94です。
東京と大阪のリージョンの提供サービス数が異なる理由は、大阪は開設してから日が浅いため、需要に応じてサービス拡大を図っている途中だからです。大阪の提供サービスは2021年4月時点で64でしたが、2022年2月には94まで増えていることから順次サービス拡大が続くと予想されます。
リージョン選択の留意点は?
上記で説明した通り、各リージョンで提供されているサービスは異なります。さらに、利用料金も異なります。コストを削減するには、サービスレベルやレスポンス時間を想定して商用環境と開発環境を分けたり、複数のリージョンを併用したりするのがおすすめです。
また、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)で選択できるインスタンスタイプも、リージョンによって提供されているインスタンスタイプが異なります。そのため、コスト面と運用面を合わせて検討することが重要です。
AWSのリージョンを理解して必要なサービスを利用しよう
AWSは、豊富なサービスを提供するクラウドサービス事業者です。リージョンの仕組みを理解することで、提供サービスと利用料金を最適化できます。業務に必要なサービスをリージョン毎に比較し、効率的なサービス利用を目指しましょう。
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