データベーススペシャリスト試験が転職に有利な理由
データベーススペシャリスト試験は、データベースに関する高度な専門知識やスキルを証明する国家試験です。独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」が実施する情報処理技術者試験の1種で、情報処理技術者試験のなかでも「高度試験」に分類されます。
ITエンジニアがデータベーススペシャリスト資格を取得することで、転職時に有利に働くとされています。では、具体的にどういったメリットがあるのでしょうか。
【参考】:データベーススペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
インフラ系エンジニアに適している
データベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す場合、データベースに関する専門知識やスキルを有することで、企業のデータ管理やデータベースシステムの構築、データ分析基盤の提供などを行うことができます。
データベーススペシャリスト試験に合格することで、転職活動においても大きなアドバンテージとなります。
キャリアアップの足掛かりになる
データベーススペシャリスト試験の合格者は、企業が求める高度なITスキルを持つ人材として評価されます。そのため、転職活動において、他の応募者との差別化を図ることができ、より良い条件で転職できる可能性が高まります。
現職においても、データベーススペシャリスト資格の取得は、スキルアップの証明となり、昇進や昇給に繋がる可能性があります。
エンジニア転職のご相談はぜひ
『マイナビIT エージェント』へ!
専門性が向上する
データベーススペシャリスト試験の勉強を通じて、データベースの設計、構築、運用に関する深い知識を習得できます。また実際の業務で発生する様々な問題に対して、体系的な知識に基づく解決策を導き出す能力が養われます。
自信とやりがいにつながる
難易度の高い国家資格に合格することで、自身のスキルに対する自信がつき、仕事に対するモチベーションが向上します。また大規模なデータベースシステムを設計・構築・分析することにより、企業や社会に貢献することができ、大きな自信ややりがいに繋がります。
キャリアの選択肢が広がる
データベースはあらゆる業界で利用されているため、データベーススペシャリストとして活躍できるフィールドは非常に広いと言えます。また十分な経験と実績を積むことで、独立してコンサルタントやデータサイエンティストとしての活躍が望めます。
データベーススペシャリスト試験とは
IPAが主催するデータベーススペシャリスト試験(DB)は1994年から認定開始されており、IT系国家試験としては長い歴史がありますが、DX化やビッグデータ、AIの時代に入り、データ志向の担い手を要請する試験として、再注目されています。
合格者の目標人材像として「高度IT人材として活躍を目指す人材」と掲げており、その難易度は高く、試験制度のスキルレベル4はIPAが主催する試験としては最難関の部類に相当します。
受験者制限は特に設けられておらず、未経験者でも独学や専門学校、企業の研修などを通じてしっかりと学習すれば、合格を目指すことができます。データベーススペシャリスト試験は秋期(10月)の年1回、試験会場で行われます。合格するには、午前試験・午後試験ともに60%以上の得点が条件です。
ここでは、データベーススペシャリスト試験の試験概要や合格率、必要な勉強時間について解説します。
【参考】:データベーススペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 【参考】:データベーススペシャリスト試験(レベル4)シラバス
ぜひ『マイナビIT エージェント』をご活用ください!
試験概要
データベーススペシャリスト試験の概要は以下の通りです。
▪受験資格:受験者に関する制限なし、学歴や年齢を問わず誰でも受験可能 ▪受験日程:秋期の年1回(次回は令和7年10月12日に実施予定) ▪申し込み:決定次第公表(例年7月上旬から7月下旬までの約3週間の期間) ▪受験費用:7,500円(税込) ▪試験会場:全国主要都市の会場で開催 ▪合格発表:試験日から約2ヶ月後の平日で、詳細日程はIPAのサイトで試験当日の夜に公表 ▪合格証書:合格発表の後、1週間程度で郵送 ▪試験の構成:午前試験と午後試験
【午前I試験】 ▪試験概要:基礎的な情報処理知識を問う択一式問題 ▪試験時間:9:30~10:20(50分) ▪出題形式:四肢択一式(マークシート使用) ▪出題数:30問 ▪合格ライン:60%(不合格となると、以降の試験は採点されない)
【午前Ⅱ試験】 ▪試験概要:データベース関連の知識を問う択一式問題 ▪試験時間:10:50~11:30(40分) ▪出題形式:四肢択一式(マークシート使用) ▪出題数:25問 ▪合格ライン:60%(不合格となると、以降の試験は採点されない)
【午後I試験】 ▪試験概要:データベース設計や管理に関する具体的なケーススタディ問題 ▪試験時間:12:30~14:00(90分) ▪出題形式:記述式 ▪出題数:3問出題(2問選択) ▪合格ライン:60%(不合格となると、午後Ⅱ試験は採点されない)
【午後Ⅱ試験】 ▪試験概要:実践的な設計や管理課題を解答する論述式問題 ▪試験時間:14:30~16:30(120分) ▪出題形式:事例解析問題 ▪出題数:2問出題(1問選択) ▪合格ライン:60%
【参考】:データベーススペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 【参考】:試験要綱・シラバスについて | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
難易度や合格率
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が公表している、データベーススペシャリスト試験(DB)の合格率は、令和5年で18.5%と難関です。データベーススペシャリスト試験の難易度はスキルレベル4で、難易度は非常に高いと言えます。
データベーススペシャリスト試験に合格するためには、データベースの基礎知識はもちろん、SQL、データベース設計、チューニング、セキュリティなど、幅広い範囲の知識が要求されます。また応用的な問題が多く、単に知識を覚えているだけでは解けない問題が出題されます。
基礎知識を固めるだけではなく、過去問を繰り返し解き、実践的な問題に慣れることが重要です。
【参考】:令和5年度秋期情報処理技術者試験(応用情報技術者試験、高度試験)合格発表について | IPA
合格に必要な勉強時間
個人差が非常に大きく、一概に時間で示すことはできませんが、SNSなどでの合格体験談などから推察すると、未経験者は500時間程度、プログラマーやシステムエンジニアとして経験がある人で200時間程度が目安です。
仮に10ヶ月間を勉強期間とし、週末の2日間を勉強時間に充てた場合、トータル200時間の勉強計画を立てると、1日に2時間半程度は確保する必要があります。移動時間やスキマ時間を活用して、毎日30分程度でも勉強することをおすすめします。
データベーススペシャリスト試験合格者の年収
データベーススペシャリスト資格を活かせる仕事として、データベースエンジニアがあります。
「マイナビエージェント職種図鑑」によると、データベースエンジニアの平均年収は424万円(※2024年12月執筆時点)です。経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」では、「IT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等)」の平均年収は758万円でした。
また、国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円ですので、データベースエンジニアは国内の平均年収とほぼ同程度ですが、データベースエンジニアの平均年齢は民間企業就業者よりも低い30代が中心であるため、実際には高年収と言えます。
また、データベースエンジニアにはキャリアパスが豊富にあり、データサイエンティストやITコンサルタントなどへのキャリアアップによって、平均年収は大きく上昇可能です。
その他、難易度の高いデータベーススペシャリスト資格の取得は、資格手当や昇給にプラスとなり、さらなる年収アップが期待できます。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑/データベースエンジニア ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
データベーススペシャリスト試験の対策
データベーススペシャリスト試験は、幅広い知識と深い理解が求められる難関試験です。合格するためには、計画的な学習と効率的な対策が不可欠です。ここでは試験対策について解説します。
基礎知識の習得
おすすめの教科書・参考書を活用して、データベースの基礎知識を体系的に学びましょう。特にSQLはデータベース操作の基礎であるため、SQL文の書き方や実行方法を徹底的に練習しましょう。さらに、データベースの設計手法である正規化やER図などの理解も必須です。
過去問の徹底的な演習
過去問をひたすら繰り返し解くことで出題傾向を把握し、間違えた問題は徹底的に復習して理解を深めましょう。また、積極的に模擬試験に挑戦することで時間配分の練習にもなるため、本番さながらの緊張感の中で実力試しが可能です。
苦手分野の克服
過去問を解く中で、苦手な分野を特定しましょう。特に苦手な分野を重点的に学習することで、苦手意識を克服しやすくなります。また、気楽に質問できる環境を整え、疑問点があれば書籍やインターネット、あるいは周りの人に質問して解決を目指しましょう。
学習の効率化
具体的な学習計画を立てて目標を明確にし、モチベーションを維持しましょう。また、通勤時間や休憩時間などのスキマ時間を有効活用したり、オンライン講座や動画教材を活用したりすることで、効率的に学習を進められます。
おすすめの参考書や問題集
限られた時間で独学するには、定評のある教材や問題集に触れることが大切です。ここではおすすめの参考書、問題集やオンライン学習サイトを紹介します。
■ 情報処理教科書 データベーススペシャリスト 2024年版 データベーススペシャリスト試験の合格を目指す方におすすめの定番テキストです。15年以上の実績があり、学習方法とテクニックを100ページにわたって詳しく解説しています。特に、難関と言われる午後試験の頻出問題と解き方に重点を置いており、初めて学習する方でも合格力が身につくように構成されています。
見やすい図や表で視覚的に理解を深められ、SQL解説も充実している点が特徴です。
▪著者:ITのプロ46、三好 康之 ▪ページ数:672ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2024年3月22日 【参考】:情報処理教科書 データベーススペシャリスト 2024年版
■ 徹底攻略 データベーススペシャリスト教科書 令和6年度 本書は、最新のデータベーススペシャリスト試験の傾向をふまえて基礎から応用までを網羅しており、独学でも効率的に学習を進められるよう設計されています。ビッグデータやAIなど、最新の技術トレンドについて解説されており、購入特典として、過去問題の解説PDFが付属するなど、実践的な演習が可能です。
▪著者:株式会社わくわくスタディワールド 瀬戸 美月 ▪ページ数:768ページ ▪出版社:インプレス ▪発売日:2024年3月22日 【参考】:徹底攻略 データベーススペシャリスト教科書 令和6年度
データベーススペシャリスト試験ドットコム
データベーススペシャリスト試験の受験生をサポートするWebサイトです。過去問の公開や、受験に関する情報提供など、受験対策に役立つ様々なサービスを提供しています。試験対策だけでなく、受験生活の悩みを共有し、モチベーションを維持するための情報交換の場としても利用されています。
データベーススペシャリスト試験に挑戦しようと考えている方は、ぜひ1度覗いてください。また、スマートフォンやタブレットを用いて、移動時間や休憩時間などのスキマ時間に勉強できるので、多忙な方におすすめです。
【参考】:データベーススペシャリストドットコム
データベーススペシャリスト資格を活かしてさらなる活躍を
ここまで、データベーススペシャリスト資格の取得と、転職の関係性について、試験の概要、難易度や攻略のポイント、資格取得が転職に有利な理由などを解説しました。
日本経済のDX化推進は、日本企業全体の喫緊の課題であり、そのタイムリミットとされる2025年が目前に迫ってきました。そのDX推進役となるエンジニア不足が懸念されています。
こうした中、エンジニアの求人は豊富にあるものの、人気のある職種や企業への応募が集中しており、その狭き門を突破する上でデータベーススペシャリストの資格取得は有効な手段と言えます。
また、無事に資格を取得できても、膨大なエンジニアの求人情報から自分に合う企業を見つけ出し、転職準備を進めるのは簡単ではありません。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
マイナビIT エージェントは、IT・Webエンジニア向けの無料の転職⽀援サービスです。
IT・Webエンジニアの転職事情に詳しいキャリアアドバイザーが、あなたのご経験やスキルをお伺いし、転職活動のプランをご提案致します。
アドバイザーは企業側の人事担当者と直接連携を取れますので、求人票に載っていない企業情報も確認することができます。残業時間や給与面など、働き方などをしっかり確認の上で応募企業を選んでいくのが良いでしょう。
・資格やプログラミングの勉強をしているけれど、企業が求めるレベルに達しているのかわからない ・スキルアップをして市場価値を上げていける企業の選び方を知りたい ・数多くあるITエンジニアの職種の中で、自分に向いている仕事は何か知りたい
こうした悩みを抱えていらっしゃる方は、まずは無料登録でキャリアカウンセリングをおすすめ致します。
マイナビエージェントに無料登録して
転職サポートを受ける
アンドエンジニアのYouTubeチャンネル「アンドエンジニアチャンネル」でも、データベースに関する動画を投稿しています。ぜひ併せてご覧ください!
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから