セキュリティエンジニアに資格は必要か?
近年、サイバー攻撃の増加やデジタル化の進展により、企業や組織におけるセキュリティエンジニアの需要が急速に高まっています。セキュリティエンジニアは、システムやネットワークの脆弱性を防ぎ、情報の安全性を確保するための重要な役割を担っています。
そのため、セキュリティに関する高度なスキルや専門知識が必要とされます。この記事では、IT業界経験者がセキュリティエンジニアへのキャリアチェンジを目指して転職する上で、必要な資質やスキル、おすすめの資格を解説します。セキュリティエンジニアを目指す方はぜひ参考にしてください。
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セキュリティエンジニアの役割と仕事内容
セキュリティエンジニアは、企業や組織のシステムやネットワークの安全を守る専門職で、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクを軽減し、データやシステムの保護を行います。
セキュリティエンジニアは、技術的な知識に基づいてセキュリティ対策を実装し、脅威の発見や防御、緊急時の対応など、多岐にわたる業務を担当します。以下に、その役割や仕事内容を3つの大きなカテゴリーに分けて解説します。
【参考】:セキュリティ知識分野(SecBoK)人材スキルマップ2021年版
セキュリティシステムの設計・実装
セキュリティエンジニアの基本的な役割の1つは、企業のネットワークやシステムにおけるセキュリティ体制を設計し、強化することです。これには、既存のシステムにセキュリティ機能を追加する作業や、新規システムをセキュアに構築するプロセスが含まれます。
具体的な仕事としては、ファイアウォールやIDS/IPSの設計・導入、暗号化技術の導入、ネットワークのセグメンテーションや認証システムの設計などがあります。
セキュリティ監視と脅威の対応
セキュリティエンジニアのもう1つの重要な役割は、日常的にネットワークやシステムを監視し、脅威が発生した場合に迅速に対応することです。常に変化するサイバー攻撃の脅威に対抗するため、監視システムを使用して異常な動作や不正アクセスの兆候を早期に発見し、即座に対処します。
具体的な仕事としては、セキュリティ監視ツールの運用、脆弱性スキャンと修正、セキュリティインシデントの対応やログ解析などがあります。
セキュリティポリシーの策定・改善
セキュリティエンジニアは技術的な対策だけでなく、組織全体のセキュリティポリシーの策定やその実行にも関与します。組織のセキュリティ意識を高め、業務全般にわたるセキュリティ基準を設定し、遵守させることで、全体的なセキュリティレベルを向上させます。
具体的な仕事としては、セキュリティポリシーの策定、従業員へのセキュリティ教育、コンプライアンス遵守やセキュリティインシデント後の改善実施などがあります。
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セキュリティエンジニアにおすすめの資格8選
セキュリティエンジニアになるために資格取得は必須ではありませんが、スキル証明となる資格は取得を強くおすすめします。ここでは、セキュリティエンジニアへの転職や仕事で役立つ8つの資格試験を一覧で紹介します。
前半には日本でメジャーな資格を挙げており、後半からは世界的に評価の高い資格です。それぞれのコメントを確認しながら、自分に適した資格を選択する際の参考にしてください。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、企業や組織の情報資産を保護するための基本的な知識やスキルを評価する国家試験です。サイバー攻撃など日々進化する脅威から組織を守るために、情報セキュリティに関する体系的な理解が求められます。
難易度は、情報処理推進機構(IPA)の定義では「スキルレベル2」とされており、比較的取得しやすい資格です。初めてセキュリティ関連資格に挑戦する方におすすめします。
CISCO技術者認定試験
国際的に知られたCISCOのネットワーク機器を扱うセキュリティエンジニアを目指すなら、「CCNA Security」や「CCIE Security」といった、CISCOが提供するセキュリティ特化の資格がおすすめです。
これらの資格は、CISCO製品の深い知識と、ネットワークセキュリティに関する実践的なスキルを証明するものです。「CCNA Security」は比較的難易度は低めですが、「CCIE Security」はCISCOの最上位資格で難易度は非常に高いので、初めての方は「CCNA Security」から受けることをおすすめします。
【参考】:シスコ認定試験 |はじめてのCisco
CompTIA Security+
CompTIA Security+は、情報セキュリティの基礎知識を問う、ベンダーニュートラルな資格です。ネットワークセキュリティ、リスク管理、アクセス制御など、幅広い分野をカバーしており、セキュリティキャリアのスタート地点として最適です。
【参考】:CompTIA Security+ | CORE|CompTIA JAPAN (コンプティア 日本支局)
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)
情報処理安全確保支援士(通称「セキスペ」)は、日本政府が認定する唯一のセキュリティ国家資格です。この資格は、情報システムの安全確保に関する高度な知識とスキルを有していることを証明するもので、企業の情報システムの安全を守るために重要な役割を担います。
試験の難易度はスキルレベル4と非常に高く、試験範囲も広いですが、取得すれば国内外で信頼性の高い資格と見なされ、幅広い職場で評価されます。
【参考】:情報処理安全確保士試験(SC)|IPA
CISM(Certified Information Security Manager)
CISMは、情報セキュリティ管理者のための資格です。情報セキュリティ戦略の策定、リスク管理、コンプライアンスなど、マネジメント層に求められる知識とスキルを評価します。試験合格率が約30%前後と難易度は高く、5年以上の実務経験と十分な学習が必要とされます。
CISA(Certified Information Systems Auditor)
CISAは、情報システム監査の専門家としての知識とスキルを証明する資格です。情報システムの監査、コントロール、評価に関する深い理解が求められます。CISAは合格率15%前後の難関資格ですが、資格取得により、監査やセキュリティ対策などに携わる専門家として活躍が期待できます。
【参考】:CISA認証 | 認定情報システム監査人 | ISACA
CEH(Certified Ethical Hacker)
CEHは、ハッカーの視点からシステムの脆弱性を評価し、セキュリティ対策を提案できる能力を証明する資格です。攻撃手法や防御策に関する実践的な知識が求められます。試験合格率は発表されていませんが、日本語のテキストや参考書がないため、難易度はかなり高いと思われます。
【参考】:CEH(認定ホワイトハッカー)|EC-Council公式トレーニング|GSX
CISSP(Certified Information Systems Security Professional)
CISSPは、情報システムセキュリティに関する幅広い知識と経験を証明する、最も権威のある資格の1つです。情報セキュリティ管理、通信セキュリティ、資産セキュリティなど、多岐にわたる分野を網羅しており、グローバル企業で広く認められています。
CISSPは実務経験が求められ、試験の難易度も高いですが、取得後は世界中で通用する資格として認知され、転職や昇進において大きなアドバンテージとなります。
【参考】: CISSPとは|ISC2 Japan
セキュリティエンジニアの資格取得によるメリット
ここでは、セキュリティエンジニアを目指す方が資格を取得するメリットと、セキュリティエンジニアの平均年収について解説します。資格取得のメリットを理解し、その資格を仕事に活かす上での参考にしてください。
キャリアアップ
資格を取得することで企業からの信頼を得られるとともに、昇進や昇給のチャンスが広がります。特にセキュリティ分野は資格による評価が高く、具体的な成果が目に見えやすいため、実績を作りやすい分野です。
転職活動における優位性
セキュリティエンジニアの求人市場では、保有資格によって応募者のスキルを証明できるため、競争の激しい転職市場では大きなアドバンテージを得られます。企業は資格保有者をより積極的に採用検討する傾向にあり、情報処理安全確保支援士やCompTIA Security+などの有名な資格は強い味方となります。
スキルアップ
セキュリティエンジニアが資格を取得する最大のメリットの1つは、体系的な知識の習得です。資格取得に向けて学習することで、セキュリティに関する幅広い知識を深めることができます。特に、最新の脅威や対策、関連技術に関する深い理解が得られるため、実務で直面する問題解決能力の向上に繋がります。
自己の成長
資格取得は単に知識を身につけるだけでなく、自己成長にも大きく貢献します。資格取得に向けて学習する過程では、目標を設定し、計画的に学習を進める必要があります。このプロセスを通じて、自己学習能力や問題解決能力が向上します。さらに、資格取得はモチベーションの維持にも繋がります。
セキュリティエンジニアの年収
セキュリティエンジニアの平均年収は「マイナビエージェント職種図鑑」(※2024年10月執筆時点)」によると356万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」で近しい職種の「IT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等)」を参考にすると、758万円と分かりました。
「マイナビエージェント職種図鑑」では40代以上のデータがないため、低めに算出されています。2020年時点では、30代で416万円となっていますが、マイナビエージェントの公開求人でセキュリティエンジニアの求人を検索すると、年収はおおよそ600万円前後と分かります。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、セキュリティエンジニアの平均年収は一般の年収よりも、やや高めであると言えます。
また、サイバー攻撃の高度化・複雑化などを背景に、セキュリティエンジニアの需要は高まっており、年収の伸び率は高いと見られます。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑/セキュリティエンジニア ※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7)
セキュリティエンジニアが向いている人とは
セキュリティエンジニアは、技術的な知識とセキュリティに関する深い理解を持ち、サイバー攻撃からシステムを守る重要な役割を果たします。高度なスキルと責任感が求められる職種であり、特定の性格やスキルセットが求められることも多いです。
以下に、セキュリティエンジニアとしての適性が高い人の特徴を紹介します。
論理的思考と問題解決力が高い人
セキュリティエンジニアは、システムやネットワークの構造、脆弱性、サイバー攻撃の手法などを論理的に理解し、トラブル発生時にはその原因を分析し、迅速に対策を講じる必要があります。未知の攻撃や問題に直面した際にも、冷静に原因を突き止め、効果的な解決策を見つけることが求められます。
細かいところに気を配れる人
セキュリティエンジニアの仕事は、システムやネットワークの隅々まで監視し、微細な異常や脆弱性を見つけることが重要です。些細なミスや小さなセキュリティホールが大きなリスクにつながる可能性があるため、細部にまで気を配る力が必要とされます。
常に学び続けられる好奇心旺盛な人
セキュリティ分野は非常に変化が速く、新しい脅威や攻撃手法が次々と現れます。セキュリティエンジニアは、最新の技術動向やサイバー攻撃の手法を常に学び続け、最適なセキュリティ対策を実装し続ける必要があります。
責任感が強く、プレッシャーに強い人
セキュリティエンジニアは、企業の重要なデータやシステムの安全を担っています。サイバー攻撃が発生した場合には、迅速かつ的確な対応が求められ、プレッシャーのかかる状況で冷静に対処できることが重要です。また、責任感を持って仕事に取り組み、緊急時にも効果的に問題解決できる人が求められます。
チームで協力できるコミュニケーション能力がある人
セキュリティエンジニアは、他のIT部門や経営層、さらには外部のセキュリティチームと連携することが多い職種です。効果的なセキュリティ対策を導入するためには、チームワークや相互の協力が不可欠です。また、技術的な内容を非技術者にも分かりやすく伝えるスキルも求められます。
倫理観が高く、セキュリティへの使命感がある人
セキュリティエンジニアは、企業や組織の重要な情報やプライバシーを保護する役割を担っているため、強い倫理観が求められます。悪用すれば攻撃者と同じスキルを持っているため、セキュリティに対する強い使命感と、正しい倫理観が求められます。
未経験からセキュリティエンジニアを目指すなら
ここまでセキュリティエンジニアを目指す上で必要な資格やスキルについて紹介してきました。セキュリティエンジニアは守備範囲が広く、また求められるスキルレベルはかなり高くなります。しっかりとしたロードマップに基づく資格取得や実務経験が求められます。
そして、取得した資格を活かすには、活躍の場や成長機会を与えてくれる企業との出会いが欠かせません。そのため、最適な企業を紹介でき、さらに転職ノウハウを提供してくれる転職エージェントとの出会いが、転職成功の大きな鍵となります。
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