PHPに将来性はある?
PHPが登場してから30年近くが経過し、時代遅れと思われがちな言語ですが、Web分野において必要不可欠であり、PHPで作られた仕組みは大変多く、PHPを利用するプログラマーも数多く存在しています。
ここでは、PHPに将来性はあるのか、PHPエンジニアを目指している人は、方向転換した方が良いのかなどについて考察します。併せてPHPの習得を目指す方に向けて、PHPの特徴、PHPエンジニアの年収、学習法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
PHPとは
PHP(Hypertext Preprocessor)は、広く使われているオープンソースの汎用スクリプト言語です。カナダ人のラスマス・ラードフ氏によって生み出されたプログラミング言語で、1995年頃に登場しました。
PHPはWebアプリケーションの開発に特化した言語であり、Webサーバ上で動作することで、柔軟にWebページを作成できます。PHPを用いた仕組みやサービスの代表的な事例としては、誰もが知るFacebookやWikipedia、CMSの代表的な存在であるWordPressなどがあります。
PHPの特徴
PHPはWeb系に特化したプログラミング言語です。PHPにはどのような特徴があるのかについて見ておきましょう。
■ 簡単に開発できるよう設計されている スクリプト言語として、構文がシンプルで記述・実行しやすいものとして設計されています。HTMLの中に直接PHPのコードを埋め込むことができ、Webページに動的な要素を追加できます。
■ プログラムの実行前に変換作業が不要 インタプリタ型言語であり、プログラム実行前に変換作業が不要です。ソースコードを実行する際に機械語に変換する手間が不要で、変更や追加を即時に確認できます。
■ プログラムの記述量が少ない 動的型付け言語であり、変数の型を明示的に指定する必要がなく、プログラムの記述や実行が比較的容易で、直感的にコードを書きやすいと言われています。
■ 扱えるエンジニア数が多い PHPは歴史が長いこと、Webアプリやサービスの普及により、扱えるエンジニアが多いという特徴があります。この結果、教材や情報が豊富にあるのは他の言語と比べて強みと言えます。
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PHPでできることと年収
PHPを学ぶ前に、PHP言語を用いて何ができるのかを確認しておきましょう。以下に挙げたように、多くのサイトやサービスがPHPで作られていることが分かります。また併せて、PHPエンジニアがどの程度の年収を得ているのかについても紹介します。
PHPでできること
PHP言語を用いることで、具体的にはどのようなことができるのでしょうか?以下に主な使われ方を紹介しますので、PHPに対する理解を深める上で参考にしてください。
■ SNSサイトの制作 PHPを使ってX(旧Twitter)やFacebookのようなSNSサイトを作成できます。ログイン機能やユーザ登録、投稿、チャット機能などを実装できます。
■ ECサイトの制作 PHPを使ってAmazonや楽天のようなショッピングサイト(ECサイト)を構築できます。会員管理や商品購入、在庫管理、売上管理などの機能を実装できます。ECサイトの構築ツールとして知られる「EC-CUBE」はPHPで開発されています。
■ ブログや掲示板サイトの制作 PHPでブログや掲示板サイトを作成できます。CMS「コンテンツ管理システム」として知られたWordPressはPHPで開発されており、WordPressを利用すれば、簡単にブログや掲示板を作成できます。またPHPはHTMLを生成するため、サイトのデザインを簡単に変更できます。
■ 社内管理システムの構築 PHPを使って顧客管理や勤怠管理などのシステムを開発できます。PHPを扱える人材がいれば、どこの企業でも基本的な管理システムを容易に開発できますので、一般企業でもPHPエンジニアは重宝がられています。
■ お問い合わせフォームの実装 どこの企業でも公式サイトに「お問い合わせ」画面が用意されるようになりましたが、PHPで簡単にお問い合わせフォームの作成ができます。お問い合わせフォームはサンプルや作り方の情報がネット上でも簡単に見つけられます。
■ 予約システムの実装 レストランや宿泊施設、病院などではネット予約による申し込みが当たり前のようになっていますが、PHPを使えば予約システムを簡単に作成できます。予約する側、予約を受ける側にとっても予約システムはメリットがあります。
PHPエンジニアの年収
PHPエンジニアに限定した年収データが見当たらないため、PHPを用いてWebシステムの開発に従事するプログラマーの年収を見てみましょう。
プログラマーは「マイナビエージェント職種図鑑」での平均年収は344万円(※2024年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近しい職種のエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、マイナビの調査では民間企業平均年収よりもやや低く、経済産業省ではやや高いという結果が出ています。
プログラマーは年収が低いように見られがちですが、プログラマーはITエンジニアの登竜門と言われ、プログラマーからシステムエンジニアやプロジェクトリーダーなどにキャリアアップすることで、さらなる活躍と高年収を望めます。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
PHP関連の資格
PHPエンジニアとして活躍を目指すには、スキル証明となる資格の取得が有利です。以下に挙げる資格試験の内1つはぜひ取得を目指しましょう。
■ PHP技術者認定試験 PHP技術者認定機構が実施する試験で、PHPの専門技術取得能力を正当に評価します。PHPの基礎から応用までのスキルを測る試験で、ITスキル標準(ITSS)ではレベル1に相当します。
【参考】:|試験概要|PHP技術者認定機構
■ 国際資格Zend PHP Certification Zend Technologiesが提供する国際的なPHP資格です。国内資格と比較する知名度は低いですが、PHPの知識とスキルを広く評価する試験で、国際的な評価を得たい人におすすめします。
【参考】:PHP Training Courses | Learn PHP Today | Zend by Perforce
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未経験者がPHPを習得するには
ここでは未経験者が独学でPHPを習得する方法を紹介します。PHPエンジニアを目指す方、これからPHPの学習を始めたい方はぜひ参考にしてください。
独学で学ぶ
PHPは学習難易度が低いと言われており、初心者の方でも比較的習得しやすい言語です。
なぜなら、PHPは構文がシンプルであり、変数の型を意識する必要がなく、配列の定義が自由であることなどが理由です。ここでは教本などで独習する、無料のオンライン学習サービスなどを利用する方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
■ 確かな力が身につくPHP「超」入門 第2版 PHPの基礎知識から、Eコマースサイトの作成までの応用力が身に付く入門書です。実際のEコマースサイトの構築に必要なカートやログイン処理、商品データベースの設定や制御など、実際の開発現場でも必要となる知識が自然に身に付いていきます。
▪著者:松浦 健一郎、司 ゆき ▪出版社:SBクリエイティブ ▪ページ数:360ページ ▪発売日:2022/9/22
■ PHPクックブック ―モダンPHPによるWebアプリケーション実用レシピ集 PHPを使う際に遭遇しやすい問題、およびその解決方法をレシピ集としてまとめた1冊です。PHPの基本文法から、エラー処理、暗号化、パフォーマンスチューニング、デバッグ、などの重要な概念、型システムから非同期処理まで、Webアプリの構築に必要なレシピを網羅しています。
PHP 8を使いこなしていく上で、リファレンスとしても携帯しておきたい1冊です。
▪著者:Eric A. Mann、翻訳:廣川 類、桑村 潤 ▪出版社: オライリー・ジャパン ▪ページ数:408ページ ▪発売日:2024/3/12
【参考】:PHPクックブック―モダンPHPによるWebアプリケーション実用レシピ集]
■ 無料の学習サイト:Progateを利用する ProgateはPHPプログラミングを学びたい方におすすめしたい学習サイトです。PHPではWebアプリケーションを作成しますが、前提知識としてHTML&CSSが必要です。またWebに動きを与えるJavaScriptの知識があると、PHPエンジニアとして仕事の幅が広がります。
ProgateはHTML&CSS、JavaScriptに加え、PHPの基礎も無料で学べます。また予算に合わせて、より実践的な有料プランの選択も可能です。
【参考】:コース一覧 | プログラミングの入門なら基礎から学べるProgate
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PHPの将来性
PHPは登場してから30年近い歴史を重ね、時代遅れの言語だという見方もあり、将来性はないとする意見がある一方で、将来性はあるという意見もあります。それぞれの意見を見てみましょう。
将来性がないとする意見
PHPに将来性がないとする声には、「やめとけ」や「オワコン」という声がSNSなどで見受けられます。そのようなネガティブな声の原因となる理由を見てみましょう。
■ 1. 新たなプログラム言語の台頭 JavaScriptやPythonなどのプログラミング言語が人気を集めています。これらの言語は、ウェブ開発やデータサイエンスなどの分野で広く使用されており、PHPのシェアを脅かしています。
■ 2. パーフォーマンス面の課題 PHPはスクリプト言語であり、一部のアプリケーションでは「期待したレスポンスが得られない」といったパフォーマンス面の問題が生じることがあります。特に大規模なプロジェクトでは、他の言語を選択した方が良いと判断される場合もあります。
将来性があるとする意見
次々と新たなプログラミング言語が生まれ、PHPの領域が侵食されているのは事実ですが、以下に述べる3つの理由から、PHPには将来性があるとする意見があります。1つずつ、その理由を見ていきましょう。
■ 1. Web開発用途として旺盛な需要 PHPはウェブ開発に特化しており、多くのWebサイトやアプリケーションで使用されています。特にWordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)がPHPで構築されているように、Webがある限り、今後もPHPの需要が無くなることはないでしょう。
■ 2. フレームワークの進化 PHPには優れたフレームワーク(例:Laravel、Symfony)があり、開発者が効率的にアプリケーションを構築できます。これら完成度の高いアレームワークの存在によって、PHPの将来性はあると考えられています。
■3. 既存のコードベース 多くの企業やプロジェクトではPHPで書かれた資産が多くあり、それら資産の保守や拡張需要があるため、PHPの需要は途切れることがないと考えられます。
ちなみにインターネットやWebテクノロジー専門の第三者調査機関であるW3Techsによると、Webサイトのサーバサイド言語として、PHPが77%前後(2023年)を占めており、圧倒的シェアを確保しています。
【参考】:Historical trends in the usage statistics of server-side programming languages for websites|W3Techs
以上を総括すると、PHPはWeb開発分野で依然として重要な言語であり、エンジニアの絶対的な不足という背景もあって、PHPは将来性がある言語と言えます。とはいえ、PHP一択ではなく、競合する他の言語にも目を向ける必要があると言えます。
PHPだけにこだわらない
PHPに興味がある方でも、PHPプログラマーになることを最終目標としている方は多くはないでしょう。あくまでもPHPはIT分野で活躍する上で必要なスキルの1つと考えているのではないでしょうか。
確かにPHPは学びやすく扱いやすい、汎用性の高いプログラミング言語ですが、JavaScriptやPythonなど他言語も習得することで仕事の幅は広がり、活躍機会も増えます。
また複数の言語を習得することで、キャリアアップを図れ、将来性はさらに高まるでしょう。PHPの習得はあくまでも初めの一歩として捉え、他の言語にもチャレンジすることをおすすめします。
研修の手厚い企業を選択しよう
PHP以外の言語を習得することを考えると、「研修が手厚い企業」を選択すると良いでしょう。研修が手厚い企業は、資格取得に対してインセンティブを設けている企業が多くあります。
資格の取得費用、奨励金や資格手当が支給され、キャリアアップまで支援をしてもらえる企業は転職先候補としてピックアップしておきたいところです。研修が手厚い企業を見つけたい方は、有力な転職エージェントの活用をおすすめします。
PHPエンジニアとして活躍を目指そう
ここまでPHPエンジニアについて、その概要やPHPで出来ること、年収やPHPの習得法、資格取得や将来性について紹介してきました。PHPを習得し、資格が取得できたら、いよいよ転職活動です。
しかし数ある求人情報から、自分に合う求人案件を見つけ、相性の合う企業を探しだすのは簡単なことではありません。
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