プロジェクトマネージャ試験の難易度とは
プロジェクトマネージャ試験は、プロジェクトマネジメントスキルを認定するための国家資格です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する、高い信頼性を持つ試験として知られています。
プロジェクトリーダーやマネージャーを目指す方にとって、キャリアの成長と幅広い選択肢を開くために役立つ資格と言えます。
しかし、プロジェクトマネージャ試験はIPAの情報処理技術者試験の中でも、最高難度の「スキルレベル4」に位置づけられる高難易度の試験です。一体、どのくらい難しいのでしょうか。
高難易度のプロジェクトマネージャ試験をおすすめしたい人材とは
高度なプロジェクトマネジメントスキルを問われるプロジェクトマネージャ試験は、既にプロジェクトマネージャーとして経験を積んでいて、さらなる成長を望む方々に最適の試験と言えます。
また、エンジニアからプロジェクトマネージャーへの転身を目指す人にもおすすめです。エンジニアとして習得した技術スキルに加えて、プロジェクトマネジメントの知識を補完し、リーダーとして成長することが期待できるでしょう。
この記事では、プロジェクトマネージャ試験の内容や難易度に興味がある方のために、プロジェクトマネージャ試験の試験の概要、合格率や難易度、受験のメリットなどについて解説していきます。
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プロジェクトマネージャ試験の試験概要
プロジェクトマネージャ試験の難易度を解説する前に、まずは試験の概要について解説します。
プロジェクトマネージャ試験は午前と午後試験に分かれていて、それぞれに異なる対策が必要です。また、2022年10月に試験内容が一部改訂されたことや、資格を役立てられる職種の年収についても押さえておきましょう。
プロジェクトマネージャ試験の概要
プロジェクトマネージャ試験は、IPAが主催する国家試験の1つで、英語表記を略して「PM」とも呼ばれます。この試験を受けることで、プロジェクトマネージャーとしての知識やスキルを証明でき、プロジェクトの成功に向けた能力を示すことができます。
プロジェクトマネージャ試験は、筆記により秋期(10月)の年1回行われます、受験料は7,500円です。
高度IT人材として確立した専門分野を持ち、組織の戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任を持ってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う人材が試験の対象です。
【参考】:プロジェクトマネージャ試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 【参考】:スケジュール、手数料など | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
プロジェクトマネージャ試験の試験区分
プロジェクトマネージャ試験は「午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱ」の4つに分かれており、それぞれ試験時間や出題形式が異なります。
■午前Ⅰ 9:30~10:20(50分)・多肢選択式(四肢択一)・問題数30問
午前Ⅰ試験は、IPAが主催する高度情報処理技術者試験の全試験区分で共通の選択式問題が出題され、基本知識が試される問題です。技術面から経営、法務まで広範な分野から出題されます。
■午前Ⅱ 10:50~11:30(40分)・多肢選択式(四肢択一)・問題数25問
午前Ⅱ試験は、システム開発技術やプロジェクトマネジメント、サービスマネジメントなどの専門知識が求められます。セキュリティやプロジェクトマネジメントに焦点を置き、過去問を解いて出題傾向を理解しましょう。
■午後Ⅰ 12:30~14:00(90分)・記述式・3問から2問選択
午後Ⅰ試験は3問のうちから2問を選択して回答する、記述式の問題が出題されます。プロジェクトの立ち上げや、実行・コントロールなどの場面における、プロジェクトマネジメント業務の実例に基づいた知識と応用力が求められます。
■午後Ⅱ 14:30~16:30(120分)・ 論述式・ 2問から1問選択
午後Ⅱ試験は2つのテーマから1つを選び、論述式で解答します。テーマごとに3つの設問があり、指定文字数内で解答します。
解答内容の具体性や論理的な一貫性、主張の明確さなどが評価されます。プロジェクトマネジメントに関する深い理解と、論理的に主張を展開できる文章表現力が求められます。
【参考】:プロジェクトマネージャ試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
2022年10月に試験内容が一部改訂
近年、アジャイル型開発の増加に伴い、プロジェクトマネージャーの役割も変わりつつあり、環境の変化への柔軟な対応やステークホルダーへの迅速な対応も重視されています。
そのため、2022年にプロジェクトマネージャ試験の一部改訂が行われました。試験の最新情報を確認し、適切な準備を行いましょう。
【参考】:プロジェクトマネージャ試験(PM)の関連ドキュメントの一部改訂について | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
プロジェクトマネージャ試験を役立てられる職種の年収
プロジェクトマネージャ試験を役立てられる職種であるプロジェクトマネージャの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング」での平均年収は670万円(※2023年8月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のプロジェクトマネージャを参考にすると、平均年収891万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プロジェクトマネージャーは一般平均年収よりもやや高めであることが分かります。
プロジェクトマネージャーには、プロジェクトのスケジュールや予算を効果的に管理するスキル、コミュニケーション能力などが必要とされます。さらに高収入を目指すには、最新の技術動向をチェックしてプロジェクトに適切な技術を導入し、成功実績を積み重ねることが重要です。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】2019年12月~2020年5月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
プロジェクトマネージャ試験の合格率と難易度
ここでは、プロジェクトマネージャ試験の合格率から難易度を解説し、さらに、高難易度である理由、勉強時間や勉強方法などについても説明します。
プロジェクトマネージャ試験の合格率
プロジェクトマネージャ試験は情報処理技術者試験の中でも最も難易度の高い「スキルレベル4」に位置づけられています。
年によっても変動はありますが、例えば2022年度(令和4年)の結果では、受験者7,382人に対して合格者1,042人、合格率は14.1%という結果でした。
例年の合格率を見てもおおむね12〜15%程度であることから、かなり難易度が高く、IT系の資格試験の難易度ランキングでも上位に位置すると言えるでしょう。
【参考】:統計情報(全試験区分) | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 平成21年度春期~(PDF:237 KB)
ITだけでない幅広い知識と文章力が問われる
プロジェクトマネージャ試験の難易度の高さは、マネジメントスキルに加え、データベース、ネットワーク、セキュリティなど各分野の専門知識、さらに、ITだけでなく関連法規まで、幅広い対応能力が求められることが理由と言えるでしょう。
また、特に午後の試験は記述式で、特に午後Ⅱでは、限られた文字数で論理的な文章を書く能力が必要とされることも、高い難易度の要因であると考えられます。
勉強時間の目安と勉強方法
プロジェクトマネージャ試験の合格に必要な勉強時間は、プロジェクトマネージャーとしての実務経験があるエンジニアでも50時間〜100時間を要すると言われます。
午前Ⅰ・Ⅱ試験はマークシート方式で、全問回答できるように時間配分を意識することが重要です。参考書を何度も読み、過去問や問題集を繰り返し解いて苦手な分野もしっかりと理解し、回答に時間をかけすぎないように対策しましょう。
午後Ⅰ・午後Ⅱは、記述式・論述式のため、出題の意図を理解し、論理的で簡潔な回答文を素早く構成する力が必要です。また、考えをまとめて文章にするには、集中力の持続力も重要です。何度も練習して、時間内で回答文を作成できるようにしましょう。
プロジェクトマネージャ試験に合格するメリット
ここまで説明してきたように、プロジェクトマネージャ試験は高難易度ですが、その分、努力して合格することには大きなメリットがあります。
プロジェクトマネージャとしてのにスキル向上
プロジェクトマネージャ試験の合格には、IT知識やマネジメントスキルなど、多岐にわたるスキルが必要です。
学習を通して、これまでカバーできていなかったプロジェクトマネージャーとして必要な能力やスキルを網羅することができ、プロジェクトマネジメントとしての実践力や専門知識を大きく高められるチャンスです。
プロジェクトマネージャとしての信頼性向上
プロジェクトマネージャ資格の取得により、高いレベルのプロジェクトマネジメントの能力を持つことを示せます。
プロジェクトの多様な要素を調和させるスキルや、計画の立案から実行までの実力が証明され、自社内や顧客に対してプロジェクトマネージャーとしての信頼性が向上します。
キャリアアップの機会にできる
多くの企業にとって、プロジェクトマネージャ試験の合格者は貴重な存在です。案件受注の際に有資格者がいることで信頼性が高まり、競争力が向上します。試験の難易度が高く、有資格者は限られているため、その価値は大きいと言えます。
プロジェクトマネージャ試験に合格することは、社内でのステップアップやプロジェクトマネージャーを必要とする企業への転職など、キャリアを築く上でも有利な要素となります。
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プロジェクトマネージャ試験を受験して次のステップを目指そう
ここまで、プロジェクトマネージャ試験の難易度や概要、メリットなどについて解説してきました。高難易度ながら、プロジェクトマネージャとしてのキャリアアップを目指すなら、ぜひ受験を検討したい試験であることが分かったのではないでしょうか。
資格を活用し、今後の自分のキャリア形成のために、プロジェクトマネージャーを必要としている企業に転職するのもいいでしょう。
しかし、転職活動する場合には、企業の仕事内容や将来性を調べ、さらに、資格を活用できるか、自分が想定するキャリアパスに適しているかなども十分検討する必要があり、1人で取り組むのは大変なものです。
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