Matplotlibのインストールと概要
人気のPython言語はライブラリの豊富さが魅力の1つです。ここでは、Pythonのグラフ作成ライブラリとして人気のMatplotlibと、そのインストール方法などについて紹介していきます。
データを分析する際に、グラフ化することでデータ分析の結果をより効果的にアピールでき、読み手にも直感的に伝わります。Pythonで分析したデータをグラフ化するMatplotlibは、Pythonエンジニアにとっては欠かせないライブラリの1つと言えます。
《注意》:この記事はWindowsユーザーを対象にしています。MacやUbuntuなどのLinux系の方、ラズパイ(マイクロボードコンピュータ)をお使いの方は参考程度にお読みください。
Matplotlibとは
Matplotlibとは、読み方は「マットプロットリブ」で、Python言語用およびNumpy(科学計算用ライブラリ)用のグラフ描画ライブラリです。
Matplotlibはオブジェクト指向APIを提供し、さまざまな種類のグラフを簡単に描画できます。主に2次元プロットの描画がメインですが、徐々に3次元プロットの機能も追加されています。
描画したグラフはさまざまな画像形式で保存ができ、wxPython、GTKなどのGUIツールキット製アプリにグラフ描画機能を組みこむことが可能です。その他、Matplotlibは「pylab」というインタフェースも持っており、対話環境の提供を可能とします。
MatplotlibはPythonのサードパーティライブラリをまとめて管理しているPyPI(Python Package Index)に登録されていますので、PyPI(The Python Package Index)で検索してみましょう。
Matplotlibで検索した結果、以下の通り、Matplotlib関連のプロジェクト数が、4,379(2021年12月)も見つかりました。この数字からもMatplotlibがPythonにおける重要なライブラリであることが分かります。
【参考】:matplotlib公式ページ
Matplotlibの主な用途
Matplotlibは、数値解析・AIの開発・医療分野の画像解析・ロケットのシミュレーション・津波シミュレーションなど、非常に幅広い分野で活用されています。また利用している人たちは、学生から研究者、ビジネスマンなど、あらゆる階層や世代に渡っているのも特徴の1つです。
Matplotlibは2003年に初回リリースがされてから、現在でもオープンソースで開発が続き、新しいバージョンが次々と公開されています。
また、MatplotlibはPythonの統合開発環境ライブラリであるJupyter Notebookの標準装備ライブラリのため、Jupyter Notebookを利用している方はJupyter Notebookからインストールして利用可能です。
Matplotlibのインストールと活用
Matplotlibの概要や用途が分かったところで、実際にMatplotlibをインストールしてみましょう。
Matplotlibを利用する前にPythonをインストールする
Matplotlibは、Jupyter Notebookをインストールすれば、Jupyter Notebookからインストールできますが、単独でインストールする場合は、pipを利用してインストールします。
pipを使わないとインストールできないので気を付けてください。
ただし、Matplotlibをインストールする前に、Pythonが既にインストールされていることが条件です。PythonがまだインストールされていないPCで利用するには、まずPythonを以下の公式サイトからインストールしておきましょう。
Matplotlibをpipでインストールする
Windows10でpipコマンドを用いてMatplotlibをインストールするには、コマンドプロンプトから「pip install matplotlib」と入力するだけでインストールできます。
「Successfully installed matplotlib-3.5.1」と表示されればインストール完了です。
Jupyter Notebookをpipでインストールする
「Jupyter-Notebook」はPython向けの統合開発環境(IDE)です。「Jupyter-Notebook」は、データ分析などで使用されることを想定し、データのビジュアル化などの作業に向いていますので、Matplotlibを使う方はインストールしておくことをおすすめします。
Jupyter Notebookはインタラクティブ形式で、コードなどの実行がすぐに確認できますので、コーディング作業では非常に重宝するでしょう。
「Jupyter-Notebook」のインストールはコマンドプロンプトから「pip install jupyter」とpipコマンドを入力すれば、「Jupyter-Notebook」と関連するライブラリが自動的にインストールされます。
MatplotlibをJupyter Notebookからインストールする
Jupyter Notebookを既に利用している方は「Notebook」のセルに、先頭に「!」マークをつけて「!pip install matplotlib」を実行してMatplotlibをインストールできます。pipと同様に「Successfully installed matplotlib-3.5.1」の表示が出ればインストール完了です。
Matplotlibを使ってみよう
Matplotlibを早く理解するには、実際に使ってみることでしょう。ここではJupyter Notebookを立ち上げ、「Notebook」画面で試してみましょう。
Matplotlib公式サイトを利用してグラフを作成する
最初にmatplotlib公式サイトにアクセスしてみましょう。
表示された画面上部の「プロトタイプ」をクリックすると、さまざまなタイプのグラフが表示されます。今回は、「plot(x.y)」を選択してみましょう。
表示されているグラフの図をクリックすると、グラフの下にコードが表示されます。このコードをNotebookのセルに貼り付け、実行キーをクリックするとグラフが表示されます。
いかがでしたか?pipコマンドでMatplotlibをインストールしてからJupyter Notebookで任意の画像を描画するまでわずか数分だったと思います。
数値を入れて試してみよう
下記の『』内のコードをJupyter Notebookのセルに貼り付け、実行してみてください。
『import matplotlib.pyplot as plt labels = [10, 20, 30, 40, 50, 60] x = range(0, 6) y = [30, 55, 60, 65, 70, 65] # 棒グラフを描画する plt.bar(x, y, tick_label = labels) plt.show()』
次のようなグラフが出力されましたね。このグラフは年齢ごとの体重の変化を示しています。年齢を日付に変えれば、日別の体重グラフになります。このように,Pythonはライブラリを利用することで、ほとんどコーディングを行わずに簡単なアプリを作れるのです。
MatplotlibとExcelの比較
ここまでMatplotlibを実際に操作して、Excelをよく利用されている方は「Excelで十分」と思われた方もいるかもしれません。しかし、MatplotlibがExcelに勝っていることがいくつかあります。以下にまとめてみました。
Matplotlibが勝っている点
Matplotlibは頭に描いたイメージをそのまま描画できるのが特徴です。Excelのようにデータをいちいち用意しなくとも数式やWeb上にあるデータなどから数値を拾い、すぐにグラフ化ができます。 また、描いたグラフをそのままWebやアプリに出力することが可能です。
ほか、時間経過とともに変化していく気象観測データなどをライブ描画することもできます。以下、箇条書きで整理してみましょう。
▪数式からグラフを描ける ▪Web上のデータからグラフを描ける ▪作成したグラフをWebやアプリに出力できる ▪時々刻々と変化するデータをライブ描画できる
Matplotlibはオープンソースの無償のソフトウェア
Matplotlibを試してみるまでに、Python・pip・JupyterNotebook・Matplotlibをインストールしましたが、一切費用は発生していません。これらはすべて無償のオープンソースだからです。Matplotlibは大変優れたグラフ作成機能を持っていますが、これらを無償で利用できる点は大きなメリットと言えます。
Matplotlibを習得してみよう
AIやデータ解析にも使われるMatplotlibのインストール方法、特徴や簡単な使い方をできるだけやさしく解説してきました。Python入門者のレベルでも、かなり使えそうなライブラリだということを理解いただけたと思います。
Pythonは分かりやすく覚えやすいスクリプト言語で、Python自体も魅力的な言語ですが、豊富にあるPythonライブラリを利用すれば、驚くほど簡単にアプリケーション開発ができます。この機会にPythonを学び、Matplotlibをマスターしてグラフやデータ解析の達人を目指してみませんか?
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