情報検定(J検定)とは
近年、IT化やDX化などのテクノロジーの進化が進む中で、多くの企業が「情報」を活用できるICT(Information and Communication Technology)能力を備えた人材を必要としています。
情報検定(J検定)は、情報に関わる人材のICT能力を客観的に評価する検定試験です。1988年に前身となる「情報処理能力認定試験」として初めて実施され、2006年の後期試験から「情報検定(J検)」と名称を変更し、その後も時代に合わせて改訂が行われながら継続的に実施されてきました。
企業でITサービスを活用する部門の担当者や、プログラミングを行うITエンジニアなど、情報技術を活用する方に取得をおすすめしたい検定の1つです。
【参考】:情報検定:J検
情報検定(J検定)の種類を知って受験を検討しよう
情報検定(J検定)は、現代の情報社会で必要とされる能力を評価するために、「情報活用試験」「情報システム試験」「情報デザイン試験」の3つの分野に分かれています。受験者は自身の志望に合わせて試験を選択できます。
さらに、「情報活用試験」は1級、2級、3級の3つの級、「情報システム試験」は基本スキル、プログラミングスキル、システムデザインスキルの3種類、「情報デザイン試験」は初級と上級の2つのレベルに分かれており、受けたい試験を選択して受験できます。
この記事では、情報検定(J検定)の受験を検討する方のために、試験の種類や受験のメリット、試験の難易度などについて解説していきます。
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情報検定(J検定)の概要と試験科目
ここでは、情報検定(J検定)の試験概要と、3種類の試験科目について解説します。試験の内容や求められる能力の違いを押さえておきましょう。
試験の概要
情報検定(J検定)は、一般財団法人 職業教育・キャリア教育財団が主催し、文部科学省による後援を受けています。ICT人材を育てるための検定として長い歴史を持ち、広く認知されている検定試験です。
また、情報系国家試験へのステップアップや、社会人のスキルアップなど、さまざまな場面で活用されています。
情報活用試験とは
J検定(情報検定)の「情報活用試験」は、情報の活用能力や、得られた情報を整理して必要な形に組み換える情報リテラシーに関する知識を問うもので、情報化社会において活躍するための能力を認定する試験です。
情報化社会の基礎知識やパソコンの能力を試したい人や、情報の加工や活用ができ、情報社会に関わって活躍したい人はぜひ受験を検討すると良いでしょう。
また、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が主催する国家資格である、ITパスポート試験合格を目指す人にもおすすめです。
試験には3つの級があり、それぞれの級で異なるレベルの知識とスキルが求められます。
■3級 情報化に主体的に対応するための基礎的な知識を問う試験です。パソコン操作や利用方法、情報の利用、情報モラル、セキュリティなどに関する知識が求められます。
■2級 情報社会の仕組みを理解するための基礎的知識を問われる試験です。パソコンやインターネットの基礎から、表計算ソフトやプレゼンテーションソフトの使い方、さらに経営戦略とシステム戦略、問題解決処理手順など、実務に役立つ試験内容です。
■1級 情報化社会での実践的能力を持つことを認定します。パソコンを利用したシステムやネットワークの利用、情報ネットワーク社会への対応、情報セキュリティなどに加え、表計算ソフトを利用した問題解決も出題されます。
正確な知識に加え、適切な判断力が求められる、情報化社会で企業をリードする人材として必要な力量を証明する試験です。
【参考】:情報活用試験の特長 | 情報検定:J検
情報システム試験とは
情報検定(J検定)の「情報システム試験」は、プログラミングやソフトウェア開発など、情報処理技術を総合的に評価する試験です。
IPA主催の国家試験である基本情報技術者試験に準じた出題範囲であり、ソフトウェア開発やシステム開発を目指す人に適しています。
試験は3つの科目に分かれており、それぞれの分野において必要な能力を身につけることが求められます。
■基本スキル 基本スキルは、プログラミングやソフトウェア開発の基盤となる知識を求められる試験です。基本的なコンピュータの構成に関する知識や、数値表現や情報表現、データ構造などについての理解が求められます。
■プログラミングスキル プログラミングスキルは、情報活用手段としてのプログラミングに焦点を当てた試験です。データ構造とアルゴリズムの理解や、C言語やアセンブラを使用したプログラミング技術に関する知識などが問われます。
■システムデザインスキル システムデザインスキルでは、システム戦略やネットワーク技術、データベース技術、セキュリティ、標準化などの、システム開発に必要な知識を問われます。
なお、情報システム試験では、3科目のうち1科目合格の場合、その科目の合格証が交付されますが、基本スキルとプログラミングスキルに合格した場合「プログラマ認定」、基本スキルとシステムデザインスキルに合格した場合「システムエンジニア認定」の技術認定証が交付されます。
3科目すべてに合格した場合には、「プログラマ認定」と「システムエンジニア認定」両方の技術認定証が交付されます。
情報デザイン試験とは
情報デザイン試験は、現代社会で情報を扱う人材に求められる、情報を「受け取り、伝える」能力を評価する試験です。
必要な情報をピックアップして、相手に理解されやすいように構成・加工・表現することを求められます。
試験は初級と上級に分かれています。
■初級 社会で働き始める人が必要とされる情報デザインの考え方や、情報の収集と整理の手法、情報社会において問題を解決するうえでの基礎的・実践的能力など、情報デザインの基本知識が問われます。
■上級 初級の内容を踏まえ、個人やチームの力を生かして適切に問題を解決する発想やプロセス、情報の構造化や効果的な伝達と評価などについて、深く掘り下げた内容が出題されます。
情報検定(J検定)試験に関する基本情報
ここでは、受験資格と試験方式、受験料や、検定を活用できる職種の年収など、情報検定(J検定)についての基本的な情報について解説します。
受験資格と試験方式
情報検定(J検定)は受験資格は特になく、年齢や職業、国籍を問わず誰でも受験できます。
試験方法は、PBT方式(ペーパー方式)とCBT方式があります。団体出願はPBT方式とCBT方式、個人出願はCBT方式で受験することができます。
PBT方式(団体出願)の受験日は年2回(前・後期制)で、全国一斉に実施されます。
CBT方式の受験日は、個人出願の場合、全国の各都市に設けられた試験会場の指定日から選択可能です。団体出願の場合は、団体が選択した会場・受験日に試験が行われます。
CBT方式は、試験会場に用意されたパソコンで受験します。試験の流れは、自宅や学校のパソコンで無料体験版を利用して事前に確認することができます。
【参考】:試験概要・試験日程 | 情報検定:J検 【参考】:個人出願 CBT方式の出願方法・お申し込み | 情報検定:J検
各試験の受験料と配点
「情報活用試験」「情報システム試験」「情報デザイン試験」の、さらにそれぞれの級や科目で受験料が異なります。個人出願の場合には、各試験の受験料に加えて、別途会場施設料700円(税込)が必要ですので注意が必要です。
それぞれの受験料と試験時間、合格点は以下の通りです。
■情報活用試験 受験料(税込) 試験時間 合格点/配点 3級 3,000円 40分 70点/100点 2級 4,000円 60分 65点/100点 1級 4,500円 60分 65点/100点 ※個人出願の場合、1科目につき会場施設利用料700円が別に必要です。 【参考】:情報活用試験の受験要領 | 情報検定:J検
■情報システム試験 受験料(税込) 試験時間 合格点/配点 基本スキル 3,500円 60分 65点/100点 プログラミングスキル 3,000円 90分 65点/100点 システムデザインスキル 3,000円 90分 65点/100点 ※個人出願の場合、1科目につき会場施設利用料700円が別に必要です。 【参考】:情報システム試験の受験要領 | 情報検定:J検
■情報デザイン試験 受験料(税込) 試験時間 合格点/配点 初級 4,000円 60分 60点/100点 上級 4,500円 60分 60点/100点 ※個人出願の場合、1科目につき会場施設利用料700円が別に必要です。 【参考】:情報デザイン試験の受験要領 | 情報検定:J検
情報検定(J検定)を活用できる職種の年収
情報検定(J検定)を活用できる代表的な職種であるプログラマーの年収は、「マイナビエージェント職種図鑑」での平均年収は344万円(※2023年7月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プログラマーは一般平均年収よりも、やや低めから高めであることが分かります。
プログラマーは、様々なプログラミング言語や多様な分野で活躍することができる職種です。幅広い情報技術の知識や高いプログラミングスキルを持ち、より専門的な分野で活躍するプログラマーほど高い年収となる傾向があります。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
情報検定(J検定)の受験前に知っておきたい情報とは
ここでは、受験のメリットや合格率・難易度、合格を目指すための勉強方法など、情報検定(J検定)を受験する前にチェックしておきたい情報について解説します。
受験のメリット
情報検定(J検定)を受験するメリットは、現代の情報化社会の中で実務に必要なITスキルを習得できることです。
また、「情報活用試験」「情報システム試験」「情報デザイン試験」の3つの試験を選んで受験できるため、自分の現在の職種や、ITとの関わり方を考慮して、自分が少しでも取り掛かりやすい分野からアプローチできます。
さらに、情報検定(J検定)に合格することで、自身の情報処理能力やITリテラシーを証明することができ、他のIT系国家資格などの合格へのステップアップの機会にもなります。就職や転職活動においても役立てられるでしょう。
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合格率と難易度
情報検定(J検定)では、情報活用試験と情報システム試験のPBT方式(ペーパー方式)の合格率が公式サイトにて公開されています。参考に令和4年度(2022年度)の合格率を見てみましょう。
■情報活用試験 1級 前期:41.6% 後期:45.0% 2級 前期:38.6% 後期:55.4% 3級 前期:63.4% 後期:53.1%
■情報システム試験 基本スキル 前期:38.1% 後期:50.5% プログラミングスキル 前期:47.9% 後期:56.3% システムデザインスキル 前期:47.9% 後期:41.6%
全体として、おおむね50%前後の合格率で、情報技術系の資格試験の中では、比較的低めの難易度に設定されています。初学者やスキルアップの第一歩を踏み出したい方でもチャレンジしやすい検定試験であると言えるでしょう。
合格を目指す勉強方法
情報検定(J検定)に合格するためには、公式教材やテキストを活用して十分に対策勉強を行いましょう。試験の出題範囲を理解し、用語の意味を十分に理解することが大切です。
また、過去問の活用も重要です。試験は時間内に正確に解答することが求められるため、過去問を解いて出題傾向を把握して対策勉強を行うことがおすすめです。
公式教材には豊富な過去問が含まれており、公式サイトにも過去問やサンプル問題が掲載されていますので、活用して繰り返し学習すると良いでしょう。
【参考】:教材のご紹介 | 情報検定:J検 【参考】:過去問題・サンプル問題と解答 | 情報検定:J検
情報検定(J検定)を受験してICT社会への適応能力を証明しよう
ここまで、情報検定(J検定)の試験の3つの試験の種類と、試験の概要、受験のメリット、難易度など受験に必要な情報について解説してきました。ぜひ、受験する試験の種類や科目を選ぶ参考にしてみてください。
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