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ITサービスマネージャ試験とは?勉強法や取得後の活躍分野も紹介
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ITサービスマネージャ試験とは?勉強法や取得後の活躍分野も紹介

アンドエンジニア編集部
2023.08.30
この記事でわかること
ITサービスマネージャ試験は、IPAが主催するレベル4の高難度試験である
ITサービスマネージャ資格は難易度の高い試験だが、独学でも合格は可能である
ITサービスマネージャ試験に合格することで、市場価値が高まり活躍の場が一気に広がる

ITサービスマネージャ試験とは?

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ITサービスマネージャ試験(Information Technology Service Manager Examination:略号SM)は、独立行政法人の情報処理推進機構(通称IPA)が主催する情報処理技術者試験の1つの区分です。

ITサービスマネージャ試験は、経済産業省が定めている『ITスキル標準:ITSS』のスキルレベル4に相当する高度情報処理技術者試験に含まれており、ITストラテジスト試験や、プロジェクトマネージャ試験などと同等の高難度試験です。

試験対象者像は「高度IT人材として確立した専門分野をもち、サービスの要求事項を満たし、サービスの計画立案、設計、移行、サービスの提供及び改善のための組織活動及び資源を、指揮し、管理する者」とされています。

この記事では、ITサービスマネージャ資格を取得してキャリアチェンジを目指したい方に向けて、ITサービスマネージャ資格の概要、試験概要、勉強方法、合格後の活躍分野などについて紹介します。

【参考】:ITサービスマネージャ試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 【参考】:ITスキル標準(ITSS) | デジタル人材の育成 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

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ぜひ『マイナビIT エージェント』をご活用ください!

ITサービスマネージャの仕事や役割

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ITサービスマネージャは、顧客ニーズを把握してシステムエンジニアなどに要件を伝え、マネジメントを行う立場にあります。また、ITサービスの提供を最適化し、IT投資の効果最大化を目指す役割を担います。

具体的には、クライアントやユーザに対し、情報システムの稼働管理や最適化、品質改善などを通じて安全かつ安心なサービスを提供します。ITサービスマネージャ試験は、プロジェクトマネージャ試験と同じく、情報処理技術者試験では最上位のレベル4に分類され、難易度の高い試験です。

そのため、この資格を取得する意味は大きく、企業ではより大きな仕事を与えられる可能性があります。

プロジェクトマネージャ資格との違い

ITサービスマネージャ資格の取得を目指す方は、類似資格として「プロジェクトマネージャ試験」が気になることでしょう。

両者の端的な違いは、プロジェクトマネージャ試験はシステム開発のプロジェクトマネジメントスキルや知識を問われるのに対し、ITサービスマネージャ試験はシステム運用に関するマネジメントスキルや知識を問われる点です。

システム運用には2種類あり、保守開発業務と運用保守業務があります。保守開発業務は、既に本番稼働しているシステムの改修や機能追加などを行うシステム開発業務の一部ですが、運用保守業務にはSLAの設定、サービスデスク運用、変更管理、リリース管理、障害復旧対応などの業務が含まれます。

どちらの資格も「マネージャ」と名が付きますが、システム開発業務におけるマネジメントと、運用業務におけるマネジメントは、問われる知識が大きく異なりますが、何れの資格も重点分野は異なるものの、システム開発、システム運用、両方の知識が問われます。

プロジェクトマネージャー試験は意味ない?合格は転職で必須なのか解説

ITサービスマネージャ資格取得者の年収

 ITサービスマネージャ資格を活用できる職種としては、プロジェクトマネージャが挙げられます。

プロジェクトマネージャは「マイナビエージェント職種図鑑」での平均年収は630万円(※2023年7月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」ではプロジェクトマネージャを参考にすると、平均年収892万円と分かりました。

国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円ですので、AIエンジニアは一般平均年収よりも、かなり高めであることが分かります。

ITサービスマネージャのキャリアパスとしては、顧客要望をシステムエンジニアに橋渡しするITコンサルタントなどもあり、資格取得後のキャリアアップによる高年収が期待できる資格でもあります。

【参考】:マイナビエージェント職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

ITサービスマネージャ試験の概要

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ITサービスマネージャ試験の実施概要、試験内容とその出題範囲、試験の難易度、合格に必要な勉強時間について見ていきましょう。

試験の実施概要

まず初めに、ITサービスマネージャ試験の基本的な実施概要について確認しておきましょう。

▪ 試験日 年1回、春に実施されます。2023年は4月16日(日)に実施されました。

▪ 出願方法 インターネット出願および郵送での出願があります。試験実施日の約3ヶ月前から半月程度、出願受付期間があります。

▪ 試験地 全国主要都市の会場にて実施されます。

▪ 受験料 7,500円(税込)

▪ 受験資格 性別、学歴や年齢などを問わず誰でも受験できます。

▪ 受験免除 午前1試験には免除制度があります。以下条件のいずれかを満たすと、2年間の受験免除を受けられます。

 ▪応用情報技術者試験に合格している(おすすめします)  ▪高度情報技術者試験※のいずれかの科目に合格している  ▪高度情報技術者試験のいずれかの科目で、午前1試験で合格基準点(60点)をクリアしている

この受験免除制度を利用することで、試験の負担を軽減しておくことができます。

【参考】:午前Ⅰ試験免除 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験 | 試験情報 | IPA

試験内容と範囲

ITサービスマネージャ試験は、以下の内容で実施されます。

■ 午前1試験(9:30~10:20) 試験時間は50分で、高度試験共通問題として四肢択一式で、テクノロジ系17問、マネジメント系5問、ストラテジ系8問の計30問が出題され、3分野に関する知識が問われます。

経営戦略、企業活動、プロジェクトマネジメントなどを含めて、広範な知識分野の問題が出題され、1問3点もしくは4点の配点です。合格点は100点満点の60点以上です。

■ 午前2試験(10:50~11:30) 試験時間40分、四肢択一式で25問出題されます。出題範囲は午前1試験の範囲で、以下の9分野から出題されます。

▪コンピュータ構成要素 ▪システム構成要素 ▪データベース ▪ネットワーク ▪セキュリティ ▪プロジェクトマネジメント ▪ITサービスマネジメント ▪システム監査

午前2試験の配点は4点×25問の100点で、60点以上が合格となります。 出題の半数以上がサービスマネジメントですので、重点的に対策しましょう。

■ 午後1試験(12:30~14:00) 試験時間90分、記述式問題が3問出題され、その内2問を選択して解答します。それぞれの問題ではケーススタディが与えられ、その中で指摘されている課題について ITIL の各管理プロセスを適用した場合のメリットや注意点、実施すべき項目などが問われます。

配点は各問50点で、60点以上が合格です。長文読解力、文章の要約力が求められる内容です。

■ 午後2試験(14:30~16:30) 試験時間120分、論述式で問題が2問出題され、その中から1問を選択して解答します。それぞれの問題では ITIL の管理プロセスの一部を自らの業務で、どのように適用したかについて、自身の経験に基づいて小論文(2,200字以上3,600字以下)を書きます。

採点はA〜Dまでの4ランクに分けられ、ランクAの方だけが合格となります。ランク評価であり、配点や合格点の設定はありません。あくまでもITサービスマネージャの視点で考えを述べることが求められますので、単なる知識だけでは回答するのは難しいでしょう。

【参考】:情報処理技術者試験・採点方式・配点・合格基準

ITILとは?概要や活用のメリット、構成要素について解説!

試験の難易度

ITサービスマネージャ試験は、技術面の知識から情報システム運用マネジメントまでの総合的な知識が問われ、難易度が高いのが特徴です。さらに、ITサービスマネージャ試験は経済産業省が定める『ITスキル標準:ITSS』のスキルレベル4に相当し、かつ合格率は14%程度の狭き門ですので、かなり難易度が高いと見られます。

【参考】:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 推移表(平成21年度春期以降)

ITサービスマネージャ試験の勉強時間

ITサービスマネージャの受験勉強に必要な時間は、100〜150時間程度と言われますが、受験者のスキルレベルによっても大きく変わります。SNSなどの合格体験記などを参考に、自身の経験やスキルレベルで判断するとよいでしょう。

応用情報技術者資格を持っている方は、午前1試験の受験が免除されます。未取得の方は10月と4月の年2回実施される試験で応用情報技術者資格を取得し、その後にITサービスマネージャ試験に挑戦する流れで臨むと良いでしょう。

【参考】:応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

応用情報技術者試験は難しすぎ?他試験との難易度比較や独学方法

ITサービスマネージャ試験の勉強法

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高難易度のITサービスマネージャ試験に合格するための勉強法はあるのでしょうか?ここでは仕事などで時間的に余裕のない方を対象に、効果的な勉強方法について解説をします。ぜひ参考にして、合格を目指してください。

独学による学習

基本的には参考書を精読し、その学習成果を確認、問題の傾向を掴むために過去問を解くという流れです。またセルフコントロールが大切ですので、試験実施日から逆算して、勉強スケジュールを立て、スケジュールに従って勉強をしていきます。

余裕がないスケジュールは挫折しやすくなりますので、予備日などを設けるようにして、無理のないスケジュールを立てましょう。

おすすめの参考書・問題集

ここではITサービスマネージャ試験の勉強に効果的な、おすすめの参考書と問題集を紹介します。参考書は常に携帯し、完全に理解できるまで何度も読み込んでしっかり習得しましょう。分からない箇所はマークし、調べるくせをつけると良いでしょう。

■ 「情報処理教科書 ITサービスマネージャ 2022~2023年版」 午前2、午後1、午後2対策中心の教本です。合格に必要な知識を厳選収録しており、効率的に学習を進められます。特に合格の鬼門と言われる午後2の論文試験の対策に関して、解説が充実しています。

▪著者:金子 則彦 ▪出版社: 翔泳社 ▪ページ数: 520ページ ▪出版日: 2021年9月14日

【参考】:情報処理教科書 ITサービスマネージャ 2022~2023年版

■ 「2023 ITサービスマネージャ 総仕上げ問題集」 ITサービスマネージャ試験の出題傾向を把握するために令和4年度春期試験の分析を収録しています。他に令和元年度秋期、令和3年度春期、令和4年度春期の本試験問題について、詳細な解答・解説を収録しています。試験対策の総仕上げにおすすめします。

▪著者:アイテックIT人材教育研究部 ▪出版社: アイテック ▪ページ数: 540ページ ▪出版日: 2022年12月1日

【参考】: 2023 ITサービスマネージャ 総仕上げ問題集

過去問サイトの利用

ITサービスマネージャ試験は過去問題から出題されたり、過去問の類似問題が出題されたりするケースが少なくありません。そこで、過去問を反復回答する方法をおすすめします。

とはいえ、移動中などの隙間時間にペーパーの問題集を解くのは無理がありますので、スマートフォンによる過去問サイトやアプリの利用をおすすめします。以下に1例を挙げておきますので、参考にしてみてください。

【参考】:ITサービスマネージャ過去問対策.com 【参考】:ITサービスマネージャ試験の過去問メニュー | 独学ステーション

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ITサービスマネージャ資格取得者の活躍の場

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ITサービスマネージャ試験に合格した後は、どこに活躍の場があるのでしょうか?資格取得の難易度が高い分、ITサービスマネージャの活躍分野は広く、様々なポジションが想定されます。

一般企業内のシステム運用部門責任者

DX化が多くの企業の課題となっていますが、新たなシステムの開発以外に、旧来のシステムの見直し、再構築も課題の1つとなっています。こうした既存システムの見直しにはITサービスマネージャの知見やリーダーシップが欠かせません。

その能力を活かす道として、一般企業におけるシステム運用部門の責任者として採用されるケースが想定されます。

ITコンサルタント

ITコンサルタントにはそれぞれ得意分野があります。システムサービスや運用に長けたITコンサルタントへのニーズもありますので、学んだ技術や知識をコンサルティングに活かすというキャリアパスが想定されます。

ITコンサルタントは激務で大変?後悔しないポイントや向いている人を解説

プロジェクトマネージャー

システム開発プロジェクトには新規開発以外に、既に本番稼働中のシステム改修や機能追加などを行う運用開発があります。こうしたプロジェクトのマネジメントもITサービスマネージャの役割です。

プロジェクトマネージャーの役割とは?求められるスキルや資質を解説

ITサービスマネージャ資格をキャリアチェンジに活かそう

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ここまで、ITサービスマネージャ試験をテーマに、ITサービスマネージャの仕事や役割、資格の概要、試験概要、勉強方法、資格取得後のキャリアパスなどについて解説してきました。

DX化の課題達成に向け、企業におけるITの課題が増大する中、顧客視点でITサービスの開発や運用をマネジメントできるITサービスマネジャーへの期待は益々高まっています。ITサービスマネージャ資格を取得したら、その資格を有効活用し、活躍の場を提供できる企業への転職を検討してみましょう。

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