AWS Linuxとは?
AWS Linuxという名称は聞いたことがあるものの、どういったものなのか詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。そこで、まずはAWS Linuxとは何かについて解説します。AWSやLinuxの意味、Amazon EC2との違いについても説明します。
そもそもAWSとは?
AWS(Amazon Web Services)は、Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスの総称です。クラウドコンピューティングサービスとは、インターネットを通じて提供するサービスのことです。AWSには現在100種類以上のサービスが備わっています。
特に、仮想サーバのEC2・オンラインストレージのS3・クラウドデータベースのRDS・DNSサービスのRoute53などは、システム開発で多く使われています。最近では自社にサーバを設置するよりも、クラウドサービスを使う事例が増えています。
クラウドサービスならサーバ代が必要ないため、運営開始時の費用を抑えることが可能です。また、管理画面から設定を行うだけで、すぐに導入できるのもメリットでしょう。加えて、サーバやストレージなどのリソースは後で自由に変更できるため、サービスの規模拡大も容易です。
【参考】:アマゾン ウェブ サービス(AWS クラウド)- ホーム
Linuxとは?
Linuxは、MacやWindowsと同じOS(Operating System)です。OSの中でもサーバとして使われることが多いのが特徴です。Linuxのメリットはオープンソースであることです。オープンソースのソフトウェアは無料で使えるうえに、誰でも自由に変更して再配布することができます。
Webアプリなどを開発する場合、何台ものサーバを必要とするため、有料のOSを使うとコストが多くかかってしまいます。そのため、無料で使えるLinuxはWebアプリ開発に適していると言えます。
また、Linuxは動作が軽量で古いパソコンでも早く動かすことができたり、Windowsよりもユーザ数が少ないためウイルス感染のリスクが低かったりなど、さまざまな利点があります。
なお、LinuxはOSの1種と言われることもありますが、カーネルの1種と言われることもあります。カーネルはOSの中核として機能するソフトです。また、Linuxカーネルと周辺ソフトが1つのパッケージになったものは、Linuxディストリビューションと呼ばれています。
本記事では、Linux=OSとして解説していきます。
AWS LinuxはAWSで使えるOS
AWS Linuxは、AWSで使えるOSの1つです。AWSではいくつかのOSから選択して使うことが可能であり、AWS Linuxはアップデートの頻度が高くコミュニティも充実しており、多くの人に使われています。
AWS Linuxは、Red HatというLinuxディストリビューションがベースとなっています。そのため、Red Hatに近いディストリビューションを使ったことがある方なら、比較的使いやすいと言えます。
AWS LinuxとAmazon EC2の違い
Amazon EC2はAWS内で提供される仮想サーバのことです。AWS LinuxはOSですので、根本的に役割が異なり、Amazon EC2サーバ上で使用されます。
仮想サーバは、1台のサーバマシンを仮想化という技術を使って利用者ごとに分割できるサーバのことです。イメージ的にはレンタルサーバに近いですが、レンタルサーバとは異なり、まるで自分専用のサーバであるかのように自由に使うことができます。
【参考】:Amazon EC2(安全でスケーラブルなクラウド上の仮想サーバー)| AWS
AWS Linux以外にAWSで使えるOS
AWSにはAWS Linux以外にもいくつか選択できるOSがあります。他のOSについても知らなければ、選択すべきOSを決めることができません。そこで各OSの特徴について簡単に解説します。
CentOS
CentOSはLinuxディストリビューションの中でも特に知名度が高く、日本でも多くの企業に使われています。CentOSはAWS Linux同様に無料で使うことが可能です。無料でありながら有料並みにサポートが手厚いうえに、安定性が高いのがメリットです。
また、多くの企業で使われている分、情報が多く分からない箇所を調べやすいのも利点でしょう。ただし、AWS LinuxとCentOSはコマンドが少し異なるため、AWS Linuxユーザの方が利用するには多少慣れは必要かもしれません。
【参考】:The CentOS Project
Ubuntu
Ubuntuは同じく人気の高いLinuxディストリビューションです。Ubuntuの特徴は、誰にでも使いやすいOSを目指して開発された点です。Linuxはキーボードからのコマンド入力で操作するCUIとなっていますが、Ubuntuはマウスでも操作できるGUIとなっています。
そのため、コマンド入力に慣れていない方でもUbuntuは使いやすいと言えます。
【参考】:Ubuntu | Ubuntu
Windows
WindowsはMicrosoft社が開発・提供するOSです。一般家庭向けのパソコンにインストールされるOSとして広く流通しています。個人でもビジネスでも活用されているOSです。AWSでもWindowsサーバは提供されています。
普段Windows環境で開発を行っている方は、AWSでも同じように開発を進めることが可能です。
【参考】:Windows 11、OS、コンピューターおよびアプリのパワーを体験する | Microsof
AWS Linuxのメリット
続いて、AWS Linuxのメリットについて解説します。他のOSと比較して、AWS Linuxはどういった点が優れているのか詳しく説明していきます。AWS Linuxを使おうか迷っている方は参考にしてください。
AWS自体と相性が良い
AWS LinuxはEC2で稼働することを前提とした設計になっているため、EC2でパフォーマンスを発揮しやすく、AWS自体と相性が良いと言えます。
また、AWS LinuxにはRDSやS3を初めとする、AWSでのシステム開発に必要なサービスに接続するためのモジュールが一通り入っています。そのため、AWS Linuxを導入すればすぐに開発を始めることが可能です。
セキュリティが優れている
AWS Linuxは独自のセキュリティセンターを持ち、セキュリティに力を入れています。機能の向上や脆弱性の改善のためのアップデートを頻繁に行っています。
サポートが優秀
最新版であるAmazon Linux 2023には、5年間の無償サポートがついており、長期間安心して活用することが可能です。また、AWSサポートに加入すると、AWS Linuxの使用方法についてまでサポートしてもらえるのもメリットです。
追加料金なし
AWS Linux自体は無料で利用することができます。AWS自体やAmazon EC2など他サービスの利用料金のみ支払えば良いため、コストを抑えたい場合におすすめです。
AWS Linuxのバージョンについて
最後に、AWS Linuxのバージョンについて解説します。今後1年以上サポートが続くバージョンは、2023年4月現在2つあります。それぞれの特徴や違いについて詳しく説明します。
Amazon Linux 2
Amazon Linux 2は2017年に発表された、2つ目のバージョンです。従来のバージョンと違い、Amazon EC上だけでなく、オンプレミス環境でも稼働ができるようになりました。そのためAWSで動かす前に、一旦社内の環境で試すことが可能です。
Amazon Linux 2は、2023年6月30日でサポート終了予定でしたが、次のバージョンに以降する時間を確保するために、2025年6月30日まで延長されました。
【参考】:Amazon Linux 2(セキュアなLinux環境でアプリを実行)| AWS
Amazon Linux 2023
Amazon Linux 2023は、2023年3月15日から提供開始された最新のバージョンです。いくつかのセキュリティ機能がデフォルトで有効になっているなど、改善点が複数あります。
今後Amazonは、AWS Linuxを2年ごとにバージョンアップするとのことです。番号から西暦に表記が変更されたのは、バージョンアップのサイクルを強調するためと予想されます。
【参考】:クラウド向け Linux | Amazon Linux 2023 | Amazon Web Services
AWSで使えるOSを理解して活用できるようにしよう
本記事ではAWS Linuxについて解説しました。AWS Linuxのメリットや特徴、他のOSとの違いなどがお分かりいただけたかと思います。AWSは今後さらに利用する企業が増えることが予想されます。
そのため、インフラエンジニアはもちろん、IT企業で働く方はAWSについて理解を深めることが大切です。AWS LinuxはAWSが提供するOSの中でも、初心者でも利用しやすくなっています。まずは、AWS Linuxを使いながらAWSに慣れていくと良いでしょう。
AWSは日本でも浸透してきたため、参考書やオンラインの学習サービスにもAWS関連の教材が多くあります。それらを使って勉強していくことをおすすめします。
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