サーバーとは?
サーバーは私達の生活のいたるところで活躍しているコンピュータです。ここではまずはサーバーとは何かについて解説します。また、サーバーとパソコンの違いやサーバーを扱う仕事についても併せて説明します。
サーバーはサービスを提供するコンピュータのこと
サーバーはサービスを提供するコンピュータのことです。対して、サーバーからサービスを受けるコンピューターをクライアントと呼びます。クライアントとサーバーはインターネットを通じて通信を行っています。
サーバーがないとインターネットに接続できても、特に何もすることができません。WebサーバーがなければWebサイトは閲覧できませんし、メールサーバーがなければメールもできません。サーバーは私達の生活のいたるところで活躍しています。
サーバーとパソコンの違い
パソコンとは個人用のコンピュータのことであり、サーバーとは別のものです。パソコンはサーバーのようにサービスを提供するわけではありません。
また、サーバーはパソコンと違ってクライアントからの要求に応えるために、24時間稼働させ続ける必要があります。24時間安定して稼働させるには、部屋の温度などにも気を配る必要があるでしょう。そのため、企業がサーバーを使う場合は専用のサーバールームに保管したり外部のデータセンターを活用したりするケースがほとんどです。
サーバーを扱う仕事
Webサービスを運営するためにサーバーを扱う仕事をサーバーエンジニアと呼びます。サーバーエンジニアはサーバーの構築および運用・保守を担当します。サーバーの負荷状況などを監視してトラブルを未然に防いだり、障害発生時に対応を行ったりしなくてはいけません。
また、プログラマーやシステムエンジニアもサーバーなどのインフラ面を考慮しつつ、システムを開発する必要があります。サーバーへの負荷をなるべく抑えるにはどういう処理フローにすべきか、などを考えなくてはいけません。そのため多くのエンジニアがサーバーの基礎知識を要求されると言えます。
サーバーの種類
一口にサーバーといってもさまざまな種類があります。ここでは代表的なサーバーの種類を紹介します。これらのサーバーは私達の生活とも密接に関わっています。
Webサーバー
WebサーバーはWebサイトをクライアントに提供するサーバーです。クライアントのブラウザからIPアドレスを受信すると、そのIPアドレスに対応したWebページのデータを返却します。Webサーバー内にはHTMLファイルやCSSファイル、画像ファイルなどが保管されています。
また、ECサイトやSNSのような「動的なサイト」の場合は、Webサーバー内でプログラムが作動しWebページの生成を行ったうえでデータを返却します。通常のコンピュータをWebサーバーとして機能させるにはWebサーバーソフトが必要です。Webサーバーソフトの中でも代表的なのはApacheであり、Web開発の多くで活用されています。
DNSサーバー
DNSサーバーはWebサイトのドメインをIPアドレスに変換するサーバーです。ユーザーがブラウザにドメインを入力すると、ブラウザはDNSサーバーにドメインに対応するIPアドレスを返却してもらいます。IPアドレスを取得しないと、Webサーバーにアクセスすることはできません。
DNSサーバー内にはIPアドレスとドメインの対応表があります。一台のコンピューターではとてもすべてのデータは保管しきれないため、数多くのDNSサーバーが存在します。
データベースサーバー
データベースサーバーはデータベースが保管されているサーバーのことです。データベースとはデータの更新・追加・削除が素早く行えるように整えられたデータ群のことであり、Webシステムで主に使われています。たとえばECサイトではユーザー情報や商品情報を保管するためにデータベースを使います。
データベースはWebサーバー内に保管することも可能ですが、Webサーバーの負荷を抑えるためにデータベース用のサーバーを別途用意することがほとんどです。
FTPサーバー
FTPサーバーとはコンピュータからWebサーバーへデータを渡すために使うサーバーのことです。FTPとはファイルを送受信する仕組みのことです。FTPサーバーがあるおかげで、Webサイトの運営者はHTMLファイルや画像ファイルなどをWebサーバーにアップロードできます。
FTPサーバーを活用する場合、コマンドプロンプトからFTPコマンドを打つ方法もありますが、多くの場合FTPソフトを使います。FFFTTPなどのFTPソフトを使うことでWebサーバーへの接続処理などを簡単に行うことが可能です。
【参考】:「FFFTP」定番FTPクライアントソフト - 窓の杜
メールサーバー
メールサーバーはメールの送受信に使われるサーバーのことです。あらゆるメールはメールサーバーを経由して送られています。メールサーバーはいわゆる郵便局のようなもので、パソコンからパソコンへメールを移動させる役割を担っています。
メールサーバーには送信用のSMTPサーバーと受信用のPOP3サーバーの2種類があり、これらが組み合わさることでメールサービスを実現しています。
サーバーを利用するには?
サーバーは自分で立てることも可能ですが、初心者には難しいうえにコストもかかります。パソコンをサーバーとして機能させるには24時間稼働させ続けないといけないため、電気代もかかるでしょう。企業ならともかく個人が何かWebサービスなどを立ち上げたいときに、サーバーを1から準備するのは難しいかもしれません。
そこで、個人がサーバーを利用するおすすめの方法を紹介します。これらの方法ならコストを抑えることができますし、専門知識などもそこまで必要ありません。
レンタルサーバーを活用する
レンタルサーバーとはサーバーを貸し出すサービスのことです。レンタルサーバーでは1台のサーバーを複数のユーザーが共有して使います。レンタルサーバーは比較的低価格なのがメリットです。
ただし自分専用のサーバーではないため、自分好みにカスタマイズできない点がデメリットでしょう。また、サービス提供者がサービス提供を終了したらサイトが閲覧できなくなってしまいます。とはいえ、レンタルサーバーは手軽に使えるので、趣味でホームページ制作を行いたい場合などに便利です。
クラウドサービスを活用する
クラウドサービスとはインターネット経由で提供されるサービスのことです。代表的なのはAWSやAzureであり、これらのサービスではWebシステムを開発するためのサーバーやデータベースも提供しています。
クラウドサービスでは、仮想化という技術を使い1台のサーバーを分割しており、利用者はまるで自分専用の環境であるかのように活用することが可能です。そのため、レンタルサーバーよりも自由度が高く、個人ではなく企業ならクラウドサービスを使う場合が多いでしょう。
クラウドサービスは必要な分だけリソースを割り当ててもらえるため、コストを削減しやすいのがメリットです。サービス開始時点では成功するかまだ分からないため、まずはクラウドサービスを使って運用し、軌道に乗ったら自社サーバーに切り替える企業も多いです。
【参考】:アマゾン ウェブ サービス(AWS クラウド)- ホーム
【参考】:クラウド コンピューティング サービス | Microsoft Azure
初心者がサーバーについて勉強する方法
エンジニアの方やエンジニア志望の方はサーバーについて知っておくことが大切です。なぜならサーバーはWebサービスを提供する際に必ず使うものであり、何かトラブルがあった際はサーバーの知識がないと解決できない場合も多いからです。
最後に、サーバーについて勉強する方法についてまとめました。初心者の方はこれらの方法で基礎だけでも習得しておくことをおすすめします。
参考書を購入する
参考書を購入することで、サーバーの知識をまんべんなく身につけることが可能です。サーバー関連の本は多く販売されていますが、その中でもおすすめなのが「図解まるわかり サーバーのしくみ」です。本書はイラストが豊富に挿入されており、各サーバーがどのように動いているのかイメージしやすくなっています。また、AIやビッグデータなど最新技術との関連性まで勉強できます。
▪図解まるわかり サーバーのしくみ ▪著者:西村 泰洋 ▪ページ数:240ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2019/04/05 【参考】:図解まるわかり サーバーのしくみ
学習サイトを使う
オンラインで勉強できる学習サイトを使うのもおすすめです。サーバーの基礎知識やAWSなどのクラウドサービスについて勉強できるサイトは多くあります。学習サイトはスマホで気軽に利用できるため、勉強する時間が確保できない方にもおすすめです。
資格獲得を目指す
資格獲得を目指しながらサーバーの知識を身につけるのもおすすめです。資格を獲得することで知識を体系的に身につけられるうえに、企業によっては資格手当をもらえることもあります。サーバー関連の資格としては、Linuxの操作方法に関する問題が出されるLPICなどがあります。
【参考】:[Linux Professional Institute(https://www.lpi.org/ja)
インフラエンジニア以外もサーバーについて知っておくことは大切
本記事ではサーバーとは何かについて解説しました。サーバーの種類や利用方法などがお分かりいただけたかと思います。インフラエンジニアを目指す場合でなくても、サーバーについて知見を深めておくことは大切です。最近ではAWSなどのクラウドサービスを活用する事例が増えているため、クラウドサービスを中心に勉強しておくと、エンジニアとしての仕事の幅が増えるでしょう。
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