SESとは?やめとけと言われる理由や派遣との違いをわかりやすく解説
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SESとは?やめとけと言われる理由や派遣との違いをわかりやすく解説
キャリア・働き方
アンドエンジニア編集部
2022.05.12
この記事でわかること
SESは成果物責任を負わない準委任契約で、派遣法の改正もありITエンジニアの派遣がSESにシフトしている
フリーランスITエンジニアにとってSES事業は参入しやすいが、明確なビジネスモデルを描く必要がある
SESの将来性は高いが、偽装請負などの法的な問題に直面しやすいので注意が必要

SESとは

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ITエンジニアの皆さんの中には客先常駐の方もいらっしゃると思いますが、自身の契約が派遣契約なのか、SES契約なのか理解できていますか?どちらも働き方に大きな違いはありませんが、法的に派遣とSESは大きく異なります。まずこのことを理解する必要があります。

SESは委託契約の1種

SESとは「System Engineering Service」の略称で、システムの開発・保守・運用に関する委託契約の一形態であり、受託を受けた業務に対してエンジニアの"労働"を提供する契約のことです。システム開発の契約形態は大きく分けると、

A.顧客に依頼されたシステムを開発し、そのシステムに対する対価を得る

B.顧客のシステムの開発や保守、運用のためにエンジニアの労働を提供し、労働に対する対価を得る

の2パターンがありますが、SESはBパターンです。SES契約ではITエンジニアは客先常駐が基本ですが、新型感染症が心配される現状ではテレワークで対応しているケースもあります。

SESと派遣の違い

SESは客先へのエンジニア派遣であるため、派遣契約と同じだと思う方も多いでしょう。ここでは、SES契約と派遣契約の違いを解説します。SESは準委任契約という契約形態で、仕事の指揮命令権は常駐先(クライアント)ではなく、派遣元のベンダー側にあります。

一方、派遣契約では仕事の指揮命令権は常駐先(クライアント)にあります。派遣契約には一般派遣と特定派遣の2パターンがあり、一般派遣は派遣会社に派遣登録をしているスタッフを派遣先企業に送り込みます。特定派遣は自社で直接雇用している社員を派遣先企業に送り込む形態です。

以前はITベンダーは特定派遣の形態でエンジニア派遣を行うケースが多数でした。しかし、平成30年10月以降は労働派遣法改正により特定派遣が禁止されたため、派遣元に指揮命令権があるSESに切り替わっています。

SESと請負の違い

次は、SES契約と請負契約の違いについてです。契約とは一定の法律上での効果を持った約束のことを指しますが、この約束内容が異なります。SESの場合は一定の業務期間に決められた業務を行うことを約束するものですが、請負契約の場合は一定の業務期間に一定の成果物を収めることを約束するものです。

つまり、請負契約では成果物責任があり、SESにはその責任がありません。

SIerは元請け、SESは下請け

SESと混同されやすいSIerですが、どのような違いがあるのでしょうか。そもそもSIerとはシステムの開発・運用・保守を請け負うサービスです。そんなSIerとSESの違いをわかりやすく述べると、SIerが元請けに対してSESは下請けの立場にあります。クライアントから直接依頼を受ける企業が元請け、さらに2次3次と下請けに企業となるのがSESです。

SESが「やめとけ」と言われる理由

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ネットでは「SESはやめとけ」という言葉が見つかるように、SES企業への就職に否定的な声があります。そう言われてしまう理由を4つ紹介します。

SESブラック企業に派遣されることがある

SES派遣では基本的に職場を選べないため、稀にブラック企業に派遣されることがあります。実害がなくとも、常駐先でパワハラが常態化していれば、常に嫌な思いを強いられます。また、SES契約として従事しているにも関わらず実態として派遣扱いだった場合は、偽造請負にあたります。偽造請負は常駐先およびSES事業主が法令違反を犯していることになります。

職場を転々として落ち着かない

SES派遣では短期契約の場合、3ヶ月や半年というケースもあります。頻繁に職場が変わるのは人によっては大きなストレスになるため、自分に合っている働き方かどうかをよく考えてください。仕事内容や職場の人間関係に慣れた頃に契約が終わることも多く、常に新しい環境で働くことになります。新しい環境に合わせるのが苦手な方は、精神的に辛いこともあるでしょう。

報酬が少なくなる

労働時間で報酬が支払われるSES契約では、時間外労働も抑制的で、報酬が低めになる可能性があります。また、発注先の企業とSES企業の間に複数の会社が挟んでいることがあり、マージンが支払われる関係で報酬が少なくなる場合があります。満足のいく給料が支払われないことが「やめとけ」と言われてしまう原因の1つです。

スキルアップしにくい

成果物責任がないSES契約では、単調な作業に就くケースもあり、スキルアップが難しくなるという側面があります。常駐先によっては幅広いスキルを身に付けることが期待できますが、さらに上のスキルを身に付けるためには資格取得など、個人的な努力が求められます。職場でのスキルアップを期待する場合には、SESは不向きかもしれません。

偽装請負に注意

SES契約(準委任契約)の大きな特徴は、指揮命令権が受注側にある点です。これまで特定派遣でエンジニアを派遣していた際は、指揮命令権は客先(クライアント側)にありましたが、SES契約に変更することで、指揮命令権が派遣元(受注側)に移ります。

これに反し、従来通り客先(クライアント側)が常駐エンジニアに対して指示命令を行うと、偽装請負という状態になり、法令違反となります。現実には、常駐エンジニアが客先からの直接の依頼や指示を断ることは難しいため、偽装派遣が問題になるでしょう。

偽装請負を防ぐためには、クライアントからの直接的な指示命令を発生させないための取り決め、条件整備を整えることが必要です。

派遣先がホワイト企業かどうかを見極めるポイント

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SESとして働く上で重要なことの1つが、派遣先の仕事環境です。派遣先の企業の人間関係・仕事内容・待遇などは前もって調べ、ブラック企業でないことを確認しましょう。ここでは、派遣先の企業がホワイト企業であるかどうかを見分けるポイントについて説明します。

社長が元エンジニアである

社長がエンジニア出身の場合、現場の状況や業務内容を把握しているため仕事への理解が深いです。そのため、開発環境の整備や従業員への配慮に長けており、良い環境で仕事ができるでしょう。社長の経歴については会社のHP(ホームページ)に記載されていることが多いので、派遣先の企業のHPは必ずチェックしましょう。

給与が高い

派遣先企業の従業員の年収も要チェックです。年収が高い企業の場合、業績が良く、また人事評価制度がきちんと整備されている可能性が高いです。業績が良いということは企業の開発力・従業員のスキルが高いことを示し、従業員の給与が高いことに繋がると言えます。年収は求人情報に記載されていることが多いため、必ずチェックしてください。

自社製品が売れている

自社で開発している製品が売れている企業の場合、高い開発スキルと営業力があることがわかります。そのため、開発環境や社屋が整っている可能性が高く、開発スキルの高い社員と良い開発環境に囲まれて仕事ができます。スキルの高い人が周りにいるとモチベーションが上がるだけでなく、自分のスキルアップに繋がる良いチャンスになります。

自社社員を大切にしている

企業が自社の社員を大切にしているかどうかも重要です。自社社員への待遇が悪い場合、SESとして働くエンジニアに対しても同じ待遇の可能性が高いです。自社社員への待遇は実際に働いてみないとわからないことも多いですが、企業の口コミサイトや求人広告などに情報が載っている場合があります。契約前に、会社概要や口コミといった細かい情報収集も怠らないようにしましょう。

SES事業は儲かる?

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SES事業で新たにビジネスを立ち上げようと考えているエンジニアの方にとって最大の関心事は、「SESビジネスは儲かるのか」「将来性はあるのか」という点です。ここでは、SESのビジネスモデルについてSES事業を行う企業側の視点で説明します。

顧客から依頼がない期間のリスク

SESのお金の仕組みは、自社のエンジニアを客先に派遣しエンジニアが働いた時間(技術力・労働力提供)分の対価として派遣料をもらいます。その派遣料から、手数料(マージン)を差し引いてエンジニアに給料を支払います。SESは基本的に1ヶ月間の契約金額を定めた定額制が一般的ですが、超過勤務が発生した場合には両者の取り決めによって超過勤務料を支払います。

SESのリスクは、顧客から派遣の依頼がない期間も自社のエンジニアに給与を払う必要があることです。このリスクを回避する方法として、フリーランスと契約しフリーランスに客先常駐してもらう方法もあります。

優秀なエンジニアの確保が困難

SES事業を行う場合エンジニアを採用しなければなりませんが、他社よりも条件が悪ければ優秀なエンジニアの確保は難しいでしょう。しかし、顧客からの派遣依頼がない期間(エンジニアが働いていない期間)にもエンジニアに給与を支払う必要があることから、安易に年収を高くするのは危険です。

常に顧客から派遣の依頼が来るよう、広告や営業で顧客を獲得する必要があります。広告費や営業コストも考慮し、エンジニアに支払う給与を決定しましょう。その際、SES事業を行う他者企業と給与を比較したり、一般的なSEの給与についても把握する必要があります。

SESのメリット・デメリット

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SESについて、事業の視点からメリット・デメリットについて見てみましょう。

SESのメリット

1.SESの案件は豊富にある

システム要員をSESでまかなう企業が増えています。自社でエンジニア候補を採用し、自社で育てるよりもSESで人材を確保した方が企業の負担が少ないためです。また、DXブームもあって、どこの企業もシステム要員の増強が必要となっているため、案件は豊富にありますが、派遣できるエンジニアをどう確保するかが問題です。

2.起業しやすい

エンジニアの確保さえできれば、設備投資もほとんど要らず、レンタルオフィスと携帯、パソコンがあれば直ぐに始めることが可能です。ITエンジニアの仲間何人かで組めば、簡単に始められるビジネスだと言えます。

3.継続的に収入が得られる

SESは契約さえ取れれば、継続的に収入を得られます。また、契約期間が決まっているので、次の常駐先をあらかじめ決めておけば、中断期間が発生せず収入が途絶える心配もありません。

SESのデメリット

1.料金が後払いのため、運転資金が必要

SES契約では売上金が入金する前にエンジニアに対する給与、報酬が発生します。ある程度運転資金を確保しておかないと、資金ショートによる給与の未払が起きるリスクがあります。

2.雇用リスクがある

エンジニアを社員として採用すれば、社保・雇用保険・賞与・福利厚生などの負担が発生します。また、簡単に解雇することもできないため、雇用に対する責任を負うことを認識する必要があります。

3.偽装請負のリスクがある

指揮命令権が受注側(ベンダー)にあるため、クライアントの指示命令に従うと偽装請負となるリスクがあります。法令に違反しないように注意する必要があります。

SESの将来性

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SES事業の概要、法的側面から見たSESやメリット・デメリットについて述べてきました。では、SESの将来性はどうなのでしょうか?

派遣法改正により派遣はSES契約に1本化

先に述べた通り、これまでの労働者派遣は一般派遣と特定派遣に分かれていましたが、2015年9月30日から労働者派遣事業は「許可制」となり、2018年9月29日に特定派遣が廃止されました。

また派遣契約では同一職場への派遣期間の最大が3年に制約されたこともあり、特定派遣制度を利用して、自社の社員を客先に常駐させていたITベンダーはSES契約(準委任契約)に切替える必要が出てきたのです。すなわち、エンジニア派遣はSES契約に1本化されたといえます。

IT産業の成長によりIT人材の需要が高まる

結論から言えば、SESには将来性があります。主な理由は次の通りです。

1.IT業界は成長市場である

各業界が低迷する中、DXやAIブームによってIT業界は成長を続けています。また、新型感染症の影響でテレワークという働き方が広まり、テレワークを支援するシステムやソフトウェアの需要が増えると予想されます。

2.IT人材の圧倒的な不足

政府の発表にもある通り、IT人材の不足が顕著になっています。IT人材が不足しているにも関わらずIT産業は成長を続けており、人手不足は今後も続くと予想されます。IT人材の需要と共有の関係から見ても、SES事業は今後も需要があると言えるでしょう。

【参考】IT人材の育成(METI/経済産業省)

3.新型感染症の現状を契機としたテレワークの浸透

テレワークでのSESが浸透すればSESの安全性が高まり、再びコスト削減、生産性向上の可能性が高まります。このようにSESは将来性がある事業なため、先に上げたデメリットの解消に努めながら、SESでの起業にチャレンジしてみるのも良いでしょう。

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