RPAツールとは
「定型業務で時間やコストをとられているため自動化したい」という悩みを抱えている方は少なくないでしょう。そこで注目を浴びているのが、業務を自動化する「RPAツール」です。ここでは、RPAの詳細や需要について詳しくご紹介します。
RPAとは
RPAとは「Robotics Process Automation」の略称で、ロボティックスプロセスオートメーションとも呼ばれることもあります。RPAは定型作業などの業務プロセスを自動化する技術のことです。アプリなどに搭載されているマクロとは異なり、複数あるサービスの自動化を行うことができます。
例えば、Wordツールで記載した文章をコピーし、Excelツールに貼り付けるという繰り返し作業を自動化することが可能です。日本でもRPAは2015年頃より導入され始め、市場におけるシェアは拡大しつつあります。
RPAの需要は高い
RPAの導入が急速に増加した理由の1つとして、働き方改革が挙げられます。働き方改革では、少子高齢化などが原因で生産労働人口が減少している日本において、労働の生産性を向上させることが目的です。
業務効率化ツールを開発や導入するには、多くの時間やコストが必要です。また、新しいシステムの開発には大きな投資を行わなければならないため、費用対効果に見合わずシステムを導入するプロジェクトが途中で中止となる事例もよくありました。しかし、RPAでは簡単で安価な費用で導入することができます。
以上から、RPAの国内における市場は急激に伸びており、2019年に行われたある調査によると、RPAの導入率は大手企業では50%以上、中小企業でもおよそ25%でした。最初は大手企業を中心にRPAの導入が進んでいきましたが、RPAの導入効果が広く認知されたことによって、中小企業でも導入が進んでいます。したがって、近年のRPAの需要は非常に高いと言えるでしょう。
RPAの3つの段階
RPAには3段階の自動化のレベルがあります。ここでは、RPAのそれぞれの段階でどのような処理ができるのかをご紹介します。
第1段階:RPA
第1段階のRPAでは、データ入力などの定型業務を行うことが可能です。規則で定められた業務にのみ対応できるため、ルールや業務の修正・変更が必要な場合、その度に更新する作業が生じます。そのため、RPAを導入する際には、事前に対処方法を決めておくことが重要です。
第2段階:EPA
EPAとは「Enhanced Process Automation」の略称で、AIと連携することで、多量のデータについて取り扱うことが可能です。また、情報処理したデータやビッグデータなどからクライアントの分析も行うことができます。さらにイレギュラーに対しても対応ができるため、RPAが不得意であった非定型業務についても実行することが可能です。
第3段階:CA
CAとは「Cognitive Automation」の略称で、高度なAI機能によって、クライアントに関するデータの整理・分析から結果まで自動化して実行することができます。また、大量のデータから深層学習することにより、自主的に学習して成長する能力をもっているため、人間と近い意思決定やルール作成が可能となるでしょう。
RPAツールを導入するメリット
ここからは、RPAを導入する企業に対してもたらすメリットについて解説します。
人件費を削減することができる
RPAによって、データ入力や請求書発行業務などの定型業務を自動化させることで、これまで手作業で対応していた工数を大幅に削減することができます。そのため、人間がすべき業務に集中することが可能となります。したがって、RPAで置き換えることができる業務を担当していた人員を減らすことが可能となるため、人件費の削減を行うことができるでしょう。
業務効率を向上させることができる
RPAは24時間365日稼働させることも可能です。また、RPAが行うスピードは手作業の速度よりも速いため、業務効率の向上が期待できます。RPAの処理は正確性も担保されることから、これまでの誤字脱字のような単純ミスも減少させることができるので、ミスによって発生するクレーム処理の減少も期待できます。
働き方改革を推進することができる
これまでにも説明しましたが、RPAが導入や開発された大きな目的は働き方改革でした。日本は超高齢化社会を迎えており、人口減少や労働力不足が社会問題とされています。また、ワークライフバランスというトレンド用語も最近では流行しており、残業や休日出勤を減少させることも企業の重要な課題と言えるでしょう。RPAを導入することによって、労働力不足の解消や、残業・休日出勤などの過労動の減少が期待できるため、働き方改革を推進することが可能です。
RPAツールを導入するデメリット
RPAには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。ここでは、RPAのデメリットについて解説します。
情報漏洩のリスク
RPAのデメリットとして、第三者による不正利用によって企業の機密情報などが外部へ漏洩してしまうというリスクが挙げられます。また、複数のシステムを連携している際には、他の連携しているシステムに影響を与えてしまう可能性もあります。RPAを導入する際には、セキュリティ対策について事前に検討しておくことが非常に重要です。
障害やトラブルの発生による業務停止
サーバーやPCなどのシステムに障害やトラブルが起きた場合、RPAが稼働しなくなる可能性があります。そのため、RPAが停止することによって、業務に対しても影響を与えてしまうことも少なくありません。したがって、RPAが使用できなくった場合の、人間が業務を実施できるようにマニュアルを完備しておくことが大切です。
誤作動の可能性
RPAの仕様やパラメータなどを変更した場合、誤作動が発生する可能性もあります。よって、仕様変更を行うことによって、当初予定していた指示と異なる動きをすることがあるでしょう。誤作動が発生した場合、迅速な対処が求められます。事前に誤作動が起きた場合の作業について検討しておくことが重要です。また、誤作動を発生するリスクを回避するための施策を用意しておくことも大切と言えます。
RPAツールの選び方
RPAツールを選択する際の基準はどうすべきでしょうか。ここでは、RPAツールの選び方について詳しくご紹介します。
RPAツールの設置方法
RPAツールには、主に3つの種類の設置方法が存在します。それぞれの特徴を理解した上で、自社に合う設置方法を選択することが重要です。
1.デスクトップ型 デスクトップ型は、PCに対してRPAをインストールして利用する方法です。サーバー構築が不要であるため、低コストで導入することができます。業務で使用するPCの数が少なく、少人数でRPAを活用したい場合にデスクトップ型は向いていると言えるでしょう。
2.サーバー型 サーバー型は、サーバーに対してRPAツールを導入することで、サーバーを経由してそれぞれのPCからRPAを利用することができます。サーバー構築作業が必要になるため、初期費用が多くかかりますが、セキュリティの強化やデータの一元的管理が可能というメリットもあります。
3.クラウド型 クラウド型は、サーバーなど自社が保有しているハードウェアに依存することなく、プロバイダーのクラウドサービスを利用してインターネットなどのネットワークを経由することでRPAを利用する方法です。インターネット環境があれば導入することができるため、クラウド型はコスト面からも注目を浴びている方法と言えます。
汎用型と特化型
RPAツールには汎用型と特化型と呼ばれる分類があります。それぞれ得意とする機能が違うため注意が必要です。
1.汎用型 汎用型は、さまざまな業務に対応できる汎用性の高さが特徴であるRPAツールです。初期設定に時間がかかります。また、仕様を変更する際などにはメンテナンスが必要です。しかし、多様な機能をもっているため、使い勝手が良いのが強みと言えます。
2.特化型 特化型のRPAツールは、請求書発行や勤怠管理など、特定の業務に特化しています。汎用型と比較すると多様な機能は搭載していないです。しかし、業務プロセスが始めから完成したものを利用することができるため、細かい設定などが不要で使いやすいパッケージとなっています。
自社に合ったRPAツールを導入しよう!
これまでに、RPAツールの詳細・メリット・デメリット・選び方について解説しました。RPAとは、定型作業などの業務プロセスを自動化する技術のことです。RPAツールを上手く利用することで、人件費の削減や業務効率の向上が期待できます。一方、RPAツールにも「情報漏洩のリスク」「誤作動の可能性」などのデメリットもあるため、注意が必要です。
これまでに説明したようにRPAツールの種類は多種多様に存在し、ツールによって特徴が違います。簡単に設定ができるRPAもありますが、自社のシステムと合っていないRPAツールを選択すると導入に失敗する可能性もあります。RPAツールの代表例としてNTTデータ社が提供している「WinActor」があります。
また、多くのRPAツールは無料トライアル期間も実施中です。RPAツールを導入する前に、導入目的を明確にすることで自社に合ったRPAの導入ができるでしょう。
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