HRテックはこれからの人事のあり方を根底から覆すイノベーション
ビジネス
HRテックはこれからの人事のあり方を根底から覆すイノベーション
業界動向
アンドエンジニア編集部
2021.04.18
この記事でわかること
1.HRテックはDXの一部で、最先端技術を用いて人事を根本から変える新たな仕組みのことです
2.HRテックにはさまざまなメリットがありますが、そのメリットを得るには留意すべきことがあります
HRテック市場は将来性が高く、また働く立場からも関係の深い分野であり積極的な参画をおすすめします

HRテックとは何か?

HRテック

HRテックは、人事の意味を持つHR(Human Resource)と テクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、Human Resources Technologyの略語です。採用人材育成・人事評価・勤怠など、幅広い人事関連の業務において、AI・ビッグデータ・クラウドなど最先端技術を活用して、人材活用や組織の効率化を図ることを総称してHRテックと呼んでいます。

従来からも人事・給与・勤怠管理などの機能を持つシステムやパッケージは数多くありましたが、高度な機能が要求されることは少なく、最先端の技術を人事に活用しようとする動も多くはありませんでした。

近年、クラウド・AI・IOTなどのビジネスへの応用が注目され、また政府主導でDX化の推進が企業の大きな関心事になる中、働き方改革・労働力不足・雇用の多様化などの動きと合いまって、金融分野の(FinTech)と同じように注目を集めるようになりました。

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HRテックが注目される理由

ここにきて、HRテックが日本で注目されている理由はいくつか考えられますが、背景をまとめると以下の3点です。

・労働力不足や団塊の世代の一斉定年退職などに伴って人材確保の必要性が高まった

・働き方改革により生産性向上の機運が高まった

・リモートワーク、時短勤務など多様な働き方への対応の必要になった

こうした流れから、従来の従業員管理的な人事管理手法では対応が困難になってきました。「終身雇用」「年功序列」「新卒の一括採用」といった日本の伝統的な雇用体系が大きく崩れ、雇用の流動化や働き方が多様化していく中、テクノロジーの発展がこれらの解決策として登場し、注目を浴びてきたことが大きな契機となりました。

また、人事部門の役割も定常的な業務の遂行といった面から、「人事戦略」と言われるように、より一層経営への貢献が求められるようになっています。終身雇用制度が崩壊し、新卒の一括採用中心の採用活動が見直され、中間採用、キャリア採用が当たり前になりました。

そうした中、人事部門は採用・教育・人材配置・人事評価・キャリア開発や組織開発と機能の強化が求められ、従来の人事管理のあり方では対応が困難となっていたのです。

以上のような背景から、人事の抜本的な再構築が求められ、その手段としてHRテックへの期待が集まっていると考えられます。

人事管理システムとの違い

HRテックは単に従来からある「人事管理システム」の名前を変えただけではないのか、といった指摘も一部にあります。また、確かに従来からある人事給与システムに手を加えた程度のHRテック製品も見受けられます。

HRテックと従来型の「人事管理システム」との大きな違いは次の3点です。

・クラウド技術、ビッグデータ解析、AI、VRなどの最先端技術を活用し、人事DXと呼べる仕組みになっている。

・定常業務から脱却し、人事戦略の名にふさわしい「人事業務の刷新」に寄与できる。

・情報端末を駆使し、働き方改革やリモートワークなどに対応している。

少なくともこのいずれかを満たしていることがHRテックの条件です。

HRテック市場は急速に拡大していますが、これに便乗した製品も少なからずあります。ブームに悪乗りすることなく、確実に成果が上がるシステムやパッケージ製品を選定していくことが求められます。

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HRテック導入のメリット

メリット

では、次にHRテック導入のメリットを挙げていきます。導入にあたっては、これらのメリットを最大限に生かせるよう留意することが求められます。導入時の留意点については後述します。

1.人事部門の業務効率化

これは目に見える形で効果を検証しやすい、代表的なメリットの1つです。例えば勤怠管理ですが、この分野は従来から大きく変遷してきました。

従業員が出勤時に出勤簿にハンコを押す方式から始まり、タイムレコーダーが導入され、シフト勤務に対応した勤怠管理システムが登場し、時代とともに勤怠管理の仕組みも変わってきました。

しかし、従業員の労働時間、残業時間をもとに給与計算を行うやり方はほぼ変わっていません。その上、リモートワークの出現や働き方の多様化が勤怠管理を複雑化させ、従来の発想では対応が困難になりつつあります。働き方改革に対応した、フレキシブルな勤怠管理システムや給与システムによって、こうした人事の定常業務の負荷を大きく削減する必要が出てきました。

人事部門の業務効率化を図り、戦略的業務へのシフトが求められている今、これらを可能にするHRテックへの期待が高まっているのです。

2.適材適所による生産性向上

HRテックによって、人材情報の蓄積と定量的な分析が可能になります。人材データを活用した適材適所による人員配置や異動によって、組織の活性化につながり、生産性向上を図れます。

HRテックは従業員1人1人の能力を最大限引きだし、そのポテンシャルを高めることを可能にします。さらには、従業員個々人が自らの能力を発揮できる部門で、主体的に業務を推進するようになり、組織目標・個人目標の共有・融合が組織をさらに強くしていきます。

3.最適な人材確保

採用活動の目的は、自社が必要とする人材の確保にあります。これまで縦割りになっていた採用・人事・労務・教育・人事評価まで個人をキーにしてトレースし、分析することで自社にマッチする優秀な人材像を明らかにします。

毎年スパイラルアップを繰り返しながら、最適な採用、人材確保を行うことが可能になります。

4.人事評価の適正化

これまでの人事評価制度では、公正な評価が求められながらも、実際には属人的評価が中心で、人事部門は単に各部門から集まった人事評価データを給与算定や昇格の基礎情報としてしか捉えられていませんでした。「元気、パフォーマンスが上手、上司の受けが良い」そんな従業員が高い評価を得るような企業も少なからずあります。

HRテックでは、従業員個々の詳細情報(業績、貢献度などの客観的データ)による分析から、より適正かつ公平な情報を提供することにより、人事評価を属人的評価から科学的・合理的評価に精度を高めることが可能になります。適正かつ公平な人事評価によって従業員のモチベーションアップを実現し、強い企業体質への変革を促進します。

HRテックのシステムイメージ

システムイメージ

以上、HRテックのメリットを述べました。では、実際のシステムイメージはどのようになるのでしょうか?以下は1つのイメージですが、突き詰めていくと凡そこのような仕組みになっていきます。

1.採用システム

「採用システム」は採用活動に関わる全てのデータをクラウド上で一元管理するシステムです。応募者の履歴書データから始まり、採用に関わる全ての履歴や情報、ステイタスなどを管理します。(面接・筆記試験の記録・選考状況・面接等の日程管理・試験会場・面接会場等の管理・面接官・採点官の手配・選考サポート・内定後の内定者セミナー・内定者懇談会・内定者課題管理・内定者ワークフローなど)

ここから実際に入社した社員に関しては、人事管理システムにデータを引き継ぎます。また応募者、内定者とのやり取りもLINEなどを利用して、同報メッセージから各種手続きまでLINEで行えるようにします。

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2.人事評価システム

「人事評価システム」は、従業員個々人の能力・経験・所有資格・趣味・特技・興味などのあらゆる個人情報を一元管理するクラウドシステムです。このシステムはバックで人事情報データベースを管理し、従業員の採用から退職に至るまでの全ての履歴も管理します。適正で公平な人事評価と、個人の特性を生かした育成計画や、本人の適性を考慮した人事異動など、適材適所を目標とするシステムです。

3.ナレッジマネジメント

今後、働き方はますます多様化し、時短勤務やリモートワークが当たり前になっていきます。その際に課題になってくるのが、従業員間のコミュニケーションであり、知恵や知識の蓄積や伝承です。社内SNSなどを設け、スマホやタブレットから誰もがアクセスし、Q&Aなども自由に行えるようにします。

ここで蓄積された業務知識やノウハウなどはクラウド上のナレッジDBに蓄積され、従業員の端末からいつでもどこでも検索して呼び出すことができます。このナレッジの共有が組織を強くし、活性化させるのです。また、蓄積されたデータから社員の悩みや弱点も把握でき、人事政策や教育計画にも反映することができます。

HRテック導入の注意点

留意点

HRテックはさまざまなメリットが挙げられますが、決して万能ではありません。導入に当たっては留意すべきことがいくつかありますので、これから述べていきます。

HRテックによって何を実現したいのか

「HRテックが話題だから導入しよう」という安易な発想での導入はまず無いと思いますが、万一そのような安直な考えで進めると、成果が出ないどころか失敗して損失を被る可能性すらあります。導入に当たっては自社の人事上の問題点や課題を明らかにし、HRテックによって何を実現したいのかを十分検討し、社内コンセンサスを得ることが大切です。

システム任せにしない

HRテックに限りませんが、システムは問題や課題解決には有効ですが、最終的に判断し実行するのは人です。システムオーナー(所轄部署)は部署のミッションとして、導入したシステム効果の最大化を図る責任があります。システム導入は手段であり、目的ではありません。そこをはき違え、システム任せにしないことが求められます

評価・検証する

HRテックを導入したら、定期的にその進捗や成果を客観的にレビューしましょう。HRテックの導入によって、所期の成果を得られたのか否かを検証し、システム面や運用面で改善すべて点があれば、改善計画を示さなければなりません。これを怠ったのでは、システムの効果は半減してしまいます。

HRテック市場の動向と将来性

将来

市場規模が今後拡大していくのか否か、これはHRテックに関わるベンダーやエンジニアにとっても大きな関心事でしょう。ここでは、話題のHRテック市場の動向や将来性について考察してみます。

HRテックの市場規模

HRテック市場が成長途上なのか、成長の余地があるのか、はたまた飽和期を迎えたのか気になるところですが、数字で見る限りは成長市場のようです。

IT Leadersによると、HRテックの市場規模は2020年度は前年比136.4%の476億円、2024年には1,600億円を超えるとの予測があります。大きく成長していることは間違いありません。

DXブームあいまって、HRテック市場はこんごもさらに拡大していくことが予想されます

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HRテックの将来性

現在のHRテック市場を牽引しているのは、今のところは採用管理や労務管理といった管理系のシステムや製品が中心ですが、今後は従業員のモチベーションや人材強化といった面に目を向けられていくでしょう。

人事部門がルーチンワークから解放され、より創造的、戦略的な役割を果たせるように支援していくシステムも増えていくはずです。まだまだ日本ではHRテックが緒に就いた段階であり、これからさらなる成長と拡大が期待されていると言えます。

エンジニアとして参画を

ITエンジニアである皆さんにとって、人事は遠い存在ではなく、あなた自身に関わる身近な存在です。HRテックは単なる仕事の対象ではなく、ワーカーであるご自身の活躍はHRテックの進化と発展に掛かっているのかもしれません

また、DXは企業再生のカギとも言えますが、HRテックもそういう意味では、これからの企業を支える重要な位置づけにあるのは間違いありません。次代を担うITエンジニアの皆さんは、ぜひHRテックにも積極的に関わることをおすすめします。

ITエンジニア転職のメリット・デメリットと気を付けるべきこと
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