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IDLEを使ったPythonのプログラム開発
Pythonを使ったプログラミングは、オブジェクト指向プログラミングとしてポピュラーな開発方法です。Pythonには、IDLEという統合開発環境(IDE)が同梱されています。ここでは、標準搭載されているIDLEを用いて実際にPythonのプログラミングを進めていきます。
あらためてPythonとは
Pythonとは、データサイエンスや人工知能(AI)などのデータ分析において、最も活用されているオブジェクト指向プログラミング言語を表します。言語仕様がシンプルで記述しやすく、メンテナンス方法に優れます。多数のライブラリが公開されており、開発生産性が高い特徴があります。
【参考】:Python.org 【参考】:Python.jp
IDLEとは
IDLEとは、Integrated DeveLopment Environmentの略で、Pythonに付属する統合開発環境(IDE)を指します。軽量でシンプルな記述ができる特徴があります。実行自体はPythonが担当しますので、IDLEを単にテキストエディタという場合もあります。
【参考】:Python Docs IDLE
IDLEの使い方
これよりIDLEの使い方を、図解で説明していきます。IDLEはPythonをインストールすると、そのまま使用できる状態になります。そのためIDLEを使うには、事前にPythonをインストールしておきます。本解説で使用する環境は、2023年1月の執筆時点で最新となるWindows用Python 3.11.1を用いています。
【参考】:Python Download 【参考】:Python.jp Python環境構築ガイド
IDLEの起動方法
Pythonをインストールすると、スタートメニューにPythonのアプリが登録されています。次の図のように「スタート」「すべてのアプリ」をクリックし、「P」で始まるアプリを表示させます(①②③④)。
【図】:PythonアプリからIDLEを起動する
続いて、次の図のように「P」のアプリが表示されたら、「Python 3.11」をクリックして展開し、表示されている「IDLE」をクリックして開きます(⑤⑥⑦)。
【図】:PythonアプリからIDLEを起動する(続き)
最初に表示される画面は、Shell ウィンドウと呼ばれるメインの画面です。なお、IDLEの実体は”pythonw.exe”という実行ファイルです。IDLEのショートカットからは、次のコマンドが実行されます。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Programs\Python\Python311\pythonw.exe "C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Programs\Python\Python311\Lib\idlelib\idle.pyw"
スタートメニューから実行できない場合や、見つからない場合は、直接コマンドプロンプトから実行することもできます。
IDLEの設定確認と日本語の取扱い
IDLEの設定は、Shell ウィンドウから行います。次の図をご覧ください。「Options」メニューの「Configure IDLE」が設定画面です(①)。あらかじめシステム言語情報が読み込まれていますので、日本語環境の場合は日本語フォントが設定されています(②)。通常は変更の必要がありませんが、お好みに合わせて、変更することもできます。
【図】:IDLEの設定確認
アプリウィンドウのメニュー表示は英語のみで、残念ながら日本語化されていないためIDLEが使いにくいという方もいます。どうしても日本語でないとという事情がなければ平易な英語ですので、すぐに理解できるでしょう。メニューの日本語訳や意味合いは、日本語ドキュメントが参考になります。
【参考】:Python Docs IDLE
IDLEの対話モードでの操作方法
メイン画面のShell ウィンドウでは、そのままPythonのコードを入力することができます。対話型で実行されますので、簡単な処理はプログラムファイルに保存せずともその場で利用できます。次の図をご覧ください。
下の図では、文字を画面に表示させた例です。日本語フォントがあらかじめ設定されているので、日本語が表示されます(①)。同様に、数式や計算もその場で打ち込んで結果を得ることができます(②)。この操作は対話型のモードで、行単位に構文が解釈されて結果が表示されます。
【図】:IDLEの対話モードでの操作
Pythonの結果の出力はprint関数を用います。すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、Shell ウィンドウではprint関数を使わずに結果が表示されています。数行程度の処理であれば、対話モードのShell ウィンドウで済ませることができます。
【参考】:Python Docs print
IDLEを使ったPythonファイルの編集と実行
対話モードを理解したら、完成したプログラムをファイルに保存して利用します。ここでは、Pythonのプログラムコードをファイルに保存するモードを紹介します。ファイル編集はEditor ウィンドウを使用します。
プログラムファイルの新規作成
下の図のように、Shell ウィンドウで「File」メニューから新規作成の「New File」をクリックします(①)。ここで、”untitled”と表示された画面が表示されます(②)。これがEditor ウィンドウです。
【図】:プログラムファイルの新規作成
ファイルを保存したり開いたりして実際のファイル名が確定すると、表示が”untitled"から実際のファイル名に更新されます。
プログラムファイルの保存
Editor ウィンドウ作成したプログラムは、対話モードと異なりそのままでは実行できません。一旦ファイルを保存する必要があります。次の図をご覧ください。
通常は実行するために、「Run」メニューから「Run Module」をクリックし実行します。ファイルが保存されていない”untitled”の場合は、「Save Before Run or Check」のポップアップ画面が表示されますので、「OK」をクリックし、「名前を付けて保存」からファイル名を指定して「保存」をクリックします(①②④⑤)。
または、あらかじめ「File」メニューから「Save As …」をクリックし、ファイル名を指定して「保存」します(③④⑤)。
【図】:プログラムファイルの保存
作成済みプログラムファイルを開く
作成したファイルを開くには、次の図のようにShell ウィンドウの「File」メニューから「Open …」をクリックし、「開く」からファイルを指定して開きます(①③④)。この操作は、Editor ウィンドウからも同様の手順で行うことができます(②③④)。
【図】:プログラムファイルを開く
Pythonプログラムの実行
プログラムファイルの実行時にはファイル名が確定していますので、Editor ウィンドウの表示が”untitled”ではなく指定したファイル名が表示されていることが分かります(①)。ここで「Run」メニューの「Run Module」をクリックすると、Shell ウィンドウに結果が表示されます(②③)。
【図】:Pythonプログラムの実行
実行したPythonプログラムは、以下のコードです。1から10までの合算をrange関数で求めています。
print ("1から10までの合算は?")
j=0
for i in range (1, 11):
j+=i
print (j)
【参考】:Python Docs range
Pythonを活用する
Pythonでは文字と数字を変換することができるので、便利です。数値を文字列に変換するにはstr関数を使います。文字列から数値に変換するには、int関数やfloat関数を使用します。データ分析の都合に合わせて活用することができます。
次の図では、先ほどの1から10までの合算値である数値を文字列に変換してみました(①)。実行結果も正しく表示されています(②)。
【図】:数値を文字列に変換した実行結果
作成したプログラムは以下の通りです。
print ("1から10までの合算は?")
j=0
for i in range (1, 11):
j+=i
print (j)
print ("\n文字列の結合の例です。")
string="1から10までの合算は?"+str(j)
print (string)
【参考】:Python Docs str 【参考】:Python Docs int 【参考】:Python Docs float
なお、Editor ウィンドウは複数同時に開くことができます。プログラムコードを見比べながら編集することができます。
IDLEを使ってPythonのプログラムコードをクイックに作成しましょう
一般的に統合開発環境は機能が盛りだくさんですが、余分な機能もないとは言えません。IDLEはシンプルな構造ですので結果を調べる程度であれば簡単に操作することができます。
統合開発環境にはIDLE以外の選択肢もありますが、開発工程はちょっとした確認も多いので、IDLEで開発生産性を高めることも可能です。選択肢の1つとして検討をおすすめします。
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