受託開発とは?SESとの違いやメリット・デメリットを解説
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受託開発とは?SESとの違いやメリット・デメリットを解説
アンドエンジニア編集部
2024.09.07
この記事でわかること
受託開発とは、企業が必要とするシステムをオーダーメイドで開発し、企業の特定ニーズに対応できる契約の形態である
SESはエンジニアの派遣形態、SIerは大規模システム構築企業のことで、受託開発と異なる契約形態や役割を指す
受託開発はクライアントとの打ち合わせ、見積り作成、設計、実装、納品といった流れで進行する

受託開発とは

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受託開発とは、企業が必要とするシステムの開発を受注し、要件を満たすシステムを開発することです。

受託開発では、汎用システムやソフトウェアと異なり、企業の要求に沿ってオーダーメイドされたソフトウェアやシステムの開発を行います。

この記事では、受託開発とはどのようなものか知りたい方のために、受託開発の概要や、SES・SIerとの違い、メリットやデメリットについて解説していきます。

受託開発とは?メリット・デメリットや他の開発方式との違いを解説

受託開発の概要

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まず、受託開発の基本的な概念とその契約形態、具体的な案件例、さらに、似た用語であるSESやSIerとの違いについて解説します。

受託開発とは何か?

受託開発とは、企業が必要とするシステムやソフトウェアの開発を受注して、クライアントの要望に沿った開発を行うことです。

受託開発では、汎用のパッケージソフトでは対応できないクライアント企業特有の業務フローや、特有のニーズに最適なシステムを構築することができます。

クライアントは、主に自社で開発リソースを持たない場合や、専門的な技術が必要な場合に受託開発を活用するケースが多いです。

受託開発は請負契約

受託開発は請負契約に基づいて行われます。請負人である開発者は、発注者の依頼に沿って仕事を完了する義務を負います。一方、発注者はその成果物に対して一括で報酬を支払う義務があります。

また、受託開発では、請負人は成果物に対する責任を負います。納品されたシステムが契約内容に適合しない場合、開発者は修正に応じる必要があり、場合によっては賠償責任を負う可能性もあります。

受託開発の案件例

受託開発では多様な案件が存在します。例えば、企業や個人が企画したゲームや教育アプリ、VRコンテンツ、スマートフォン向けアプリの開発依頼などが挙げられます。

また、企業向けの業務システムの開発も一般的です。人事管理や販売管理など、業務の効率化を図るためのシステムが多く、企業のニーズに合わせたカスタマイズが求められます。

さらに、企業のポータルサイトや、企業の手がける商品のランディングページの開発もあります。

受託開発とSES、SIerの違い

受託開発とよく比較される存在として、「SES」、「SIer」があります。いずれもシステム開発に関わる形態のことですが、それぞれ特徴が異なります。

SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアをクライアント企業に派遣し、作業時間に応じて報酬が支払われる契約です。

SESは受託開発と異なり、納品物の完成義務はありません。主に、クライアント企業が必要な人数や期間に応じてエンジニアを確保することを目的として利用します。

一方、SIer(システムインテグレーター)は、大規模システムの構築を主に手掛ける企業を指します。

SIerは銀行や保険会社などの大手企業向けの基幹システムや、規模の大きなプロジェクトを担当することも多いです。

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委託開発の流れ

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ここでは、委託開発の流れについて説明します。まず、クライアントとの打ち合わせを行い、要件を正確に把握します。その後、見積もりを作成して予算を確定し、開発作業を進め、最終的に完成したシステムを納品します。

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クライアントから受注し打ち合わせする

受託開発は、クライアントから案件を受注して開発を開始します。

受注の契機は、クライアント企業の既存のシステムが老朽化してシステムの入れ替えが必要な場合や、業務プロセスの自動化や効率化を図るために新しいシステムを構築する場合など、さまざまです。

近年は特に、市場での競争力を高めるためにITを活用するケースも増えており、社内に十分なITリソースを持たない企業からの受託によりシステムやソフトウェアを開発することも多いでしょう。

案件を受注したら、クライアント企業との打ち合わせを行います。打ち合わせでは、システムエンジニア(SE)がクライアントの担当者と直接対話して要件定義を行います。

クライアントの要望を正確に理解して仕様に反映させるために、必要なシステムの内容や機能、ユーザーインターフェース(UI)の仕様、納期などについて詳細にすり合わせを行います。

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見積りを出して予算を決定する

打ち合わせの後、まず見積もりを作成し、プロジェクトの予算を確定させます。システムやソフトウェアの開発に必要な人員や工数を詳細に計算し、それに基づいてクライアントに提示する報酬額を決めます。

費用には、開発に必要なソフトウェアのライセンス料やハードウェアの購入・リース代金などをはじめ、エンジニアの人件費も計上します。

開発完了後、運用フェーズがある場合は、保守や運用サポート、ユーザーサポートの費用の見積りも行います。

見積書を提出した後、クライアントと予算の最終確認を行います。見積りがクライアントの予算を超えている場合は、不要な機能を削除するなどして調整を図る必要があるでしょう。

開発して納品する

開発はまずシステムエンジニアが全体の設計を行い、設計書を元にプログラマーが具体的なプログラムを実装していきます。

プロジェクトの規模や複雑さに応じて、採用される開発手法が異なります。 例えば、大規模プロジェクトでは、各工程を順番に進める「ウォーターフォールモデル」が一般的に用いられます。このモデルは、工程ごとに明確な区切りがあり、進捗管理がしやすいという利点があります。

一方で、小規模プロジェクトや、要件が頻繁に変更される可能性がある場合には、「アジャイル開発」が適しています。

アジャイル開発では、短いサイクルで開発とテストを繰り返し、クライアントのフィードバックを反映しながら迅速に進めることができます。

開発中もクライアントと定期的に打ち合わせを行い、方向性に間違いがないか確認しながら作業を進めます。これにより、クライアントの要望と異なる実装をしてしまい、後から手戻りが発生する事態を防ぐことができます。

システムが完成したら、納品物がクライアントの要件をすべて満たしているかを確認し、操作マニュアルや関連ドキュメントなどと共に納品します。

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受託開発のメリット

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受託開発では、多様なITスキルの習得や幅広い業界での経験を積むことができるほか、新規開発案件への挑戦も可能です。ここでは、受託開発のメリットについて説明します。

多様なITスキルが身につく

受託開発のメリットとして、エンジニアが多様なITスキルを習得できる点が挙げられます。

クライアントの要望に応じて、案件ごとに異なるシステムやソフトウェアを開発するため、そのたびに新しい技術やプログラミング言語に触れる機会を得ることができます。

例えば、業務システムではJavaやC言語、Web系システムではPHPやJavaScriptなど異なる言語が使われるため、開発案件により幅広いプログラミングスキルが身につきます。

また、データベースやサーバなどのミドルウェア技術も、プロジェクトに応じて異なるものを扱うため、スキルの幅を広げることができます。

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幅広い業界での経験が積める

受託開発を行うことで、多様な業界での経験を積む機会が得られます。

例えば、製造業で生産管理や在庫管理システムを手掛けたり、金融業界で高いセキュリティを求められるシステムを開発したりする場合もあります。

また、医療や教育、物流からエンターテインメント・メディア業界まで、受託開発で関わる可能性のある業界は非常に幅広いと言えます。

クライアントの業界に応じたシステムを開発するため、自然とその分野に特有の知識が身につき、さらに高度なシステムを開発できるノウハウを蓄積することもできます。

こうした幅広い業界経験を通じて、開発企業や所属するエンジニアは成長でき、新たな人脈を構築することにもつながります。

新規開発案件への挑戦が可能

受託開発のメリットとして、常に新規開発案件に挑戦できる点できる点が挙げられます。

自社開発では既存システムを基にした作業が多くなる場合がありますが、受託開発ではクライアントごとに異なるニーズに対応するため、毎回新たなシステムを最初から構築する機会が得られます。

このような環境での開発では、さまざまな課題に直面し、それを乗り越えることでスキルが磨かれるだけでなく、開発のやりがいも感じやすいでしょう。

また、複数のプロジェクトを効率よく進めることで、開発のノウハウも蓄積され、迅速かつ高品質なシステム開発の進め方が身につきます。

受託開発のデメリット

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受託開発では、クライアントの納期要求に応える必要があります。また、製品が成功しても報酬が変わりません。案件によっては客先常駐が必要な場合もあり、慣れない環境での作業が求められることもあります。

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納期に対する厳しい要求

受託開発では、クライアントの納期要求に対応しなければなりません。打ち合わせにもよりますが、最終的に納品日はクライアントが指定します。

中には非常にタイトなスケジュールが求められることもあり、労働時間が長くなってつらいと感じることもあるでしょう。納期に間に合わない場合は、早急にクライアントと調整を図ることが重要です。

特に、開発に関する知識が少ないクライアントの場合、途中で無理な仕様変更を求められることもあり、その結果、当初の見積もりよりも多くの作業が必要になる場合があります。

しかし、このような厳しい環境で働くことは、エンジニアとしてのスキルや対応力を磨く機会でもあり、プロジェクトを成功させたときの達成感は大きなものと言えます。

製品がヒットしても報酬は変わらない

受託開発では、契約時に決定した金額が固定されており、製品の成功によって追加報酬が得られるわけではありません。

例えばクライアントが開発した製品を販売してヒットしても、受託開発した会社が受け取る報酬は変わりません。

しかし、開発した製品が成功した場合は、その実績をアピールすることで、その後の新たな受注につながる可能性もあるでしょう。

客先常駐の案件がある

通常、システムやソフトウェア開発は開発会社の自社オフィスで行われますが、受託開発の場合は、客先常駐での勤務が求められる場合があります。

特に、セキュリティに厳しいクライアントや、開発案件の都合によりクライアント社外での開発が難しい案件では、常駐が求められることがあります。

客先常駐では、慣れない環境でクライアントのルールに従いながら働く必要があり、自社開発に比べてエンジニアの負担が大きいと言えます。

しかし、客先常駐での勤務は、クライアントとの直接的なコミュニケーションが行えます。クライアントへの要件の確認や開発の進捗報告が容易で、プロジェクトを滞りなく進めやすくなるのは、メリットともいえるでしょう。

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受託開発の流れ・メリットやデメリットを理解して活用しよう

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ここまで、受託開発の流れや特徴、メリット・デメリットについて説明してきました。受託開発は、クライアントの要望に基づいてシステムやソフトウェアを開発し、その成果物に対して報酬を受け取る契約形態であることが分かりました。

新規開発案件に携わる機会が多く、多様な業界や技術に触れることでスキルが向上する一方で、納期の厳しさや、成果が大きくても報酬が増えない点がデメリットとして挙げられます。

受託開発の流れやメリットを理解して受注することで、プロジェクトの成功確率を高め、開発企業に所属するエンジニアのスキルを大きく高めることにもつながるでしょう。

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