客先常駐エンジニアは楽しい?それとも辛い?
IT業界で働くエンジニアの働き方の1つに、「客先常駐」があります。自分が所属する会社に出勤するのではなく、毎日、客先企業に出勤する働き方です。
企業がIT化や社内システム開発などを行う時、自社でエンジニアを雇わずに、客先常駐を提供するIT企業からエンジニアを受け入れ、常駐させて開発を任せるケースが多いため、IT業界では一般的な働き方となっています。
これからITエンジニアになりたいと思う人の中には、この客先常駐がどんなものなのか気になる人も多いでしょう。実際に働くエンジニアからは「客先常駐は楽しい」という意見と「客先常駐は辛い」という意見に分かれるようです。
そこでこの記事では、客先常駐の仕事内容やメリットやデメリットについて解説します。
客先常駐エンジニアにはメリットもデメリットもある
客先常駐には、自分の所属会社に出勤して働く一般的な働き方とは異なる点が多くあり、それによりたくさんのメリット・デメリットが発生します。結論から言うと、それらが自分にとってどう感じるかは人によるところが大きいです。
人によっては、一般的な働き方と比較して違う点が辛いと感じるでしょうし、客先常駐ならではの特徴をメリットと捉えて楽しめる人もいます。そのため、これから紹介するメリットとデメリットを自分に当てはめて、自分が求める働き方のスタイルにマッチするか考えてみてください。
客先常駐エンジニアとはどんな働き方?
ここでは、客先常駐エンジニアがどんなものか、そして似た意味を持つ用語であるSESとの違い、勤務形態が似ている派遣社員との違いについて解説します。
エンジニアを必要とする企業に常駐して働く
客先常駐エンジニアは、ITエンジニアを必要とする客先企業に常駐してシステム開発を行います。常駐するエンジニアは、契約期間中は毎朝、客先企業に直接出勤し、業務終了後は直接帰宅します。
つまり普段は所属会社に出社することが基本的にありません。会社により異なりますが、所属会社には報告や自社業務のため週1回や月1回程度出社するだけというケースが多いです。
客先常駐とSESの違い
客先常駐に似た用語として、SESがあります。SESは「システムエンジニアリングサービス(System Engineering Service)」の略称で、技術者を客先企業に常駐させて技術力や労働力を提供する、委託契約の一種を指す用語です。SESを提供する会社をSES企業と呼ぶこともあります。
一方で、客先常駐とは客先に出勤するという、働き方を意味する言葉です。そのため厳密には客先常駐とSESの言葉の意味は異なりますが、多くの場合、IT業界においては「ITエンジニアが客先に常駐して働くこと」という意味合いで同じように使われています。
客先常駐と派遣社員との違い
所属会社ではなく客先企業に出社して働く働き方として、派遣社員もあります。客先常駐エンジニアとの違いは、雇用形態です。
派遣社員は人材派遣会社に登録し、条件が合う派遣先企業と雇用契約を結ぶもので、正社員ではありません。派遣契約が終了すると、次の派遣先が決まるまでは給与が発生しません。
一方、客先常駐エンジニアは、客先に勤務するのは派遣と同じですが、所属会社により正社員として雇用されています。客先で契約が終了して客先企業から離れた後、次の常駐先が決まらずに待機状態であっても正社員としての給与が支給されます。
客先常駐エンジニアの辛い点
客先常駐エンジニアはなぜ辛いと言われるのでしょう。その理由を解説していきます。
常駐先や環境を自分で選べない
客先常駐エンジニアは、所属会社が指示する常駐先企業に勤務します。常駐先によって、業務に使うパソコンが古い・動作が重い、セキュリティ対策のために業務フロアにスマートフォンを持ち込めない、近くにコンビニや昼食を食べられるお店がないなど、働く環境も様々です。
こういった環境を自分で選ぶことができないため、自分の働き方に合わない常駐先への常駐になると、辛いと感じるかもしれません。
現場によってはスキルアップが難しい
ITエンジニアとしてスキルアップしやすい業務を行えるかどうかは常駐先により異なります。要件定義や設計などの上流工程に関わって経験を積める現場もありますが、コーディング・運用・テストや、時にはエンジニアというより事務職のような業務内容ばかりで、スキルアップにつながりにくい現場の場合もあります。
当然、それでも立派な業務ですから真剣に取り組むことが大切ですが、将来のキャリアパスを考えてスキルアップを目指したいエンジニアにとっては物足りなく感じるかもしれません。
教育が十分に受けられないことがある
常駐契約が決まって常駐が始まると、エンジニアはできるだけ早くプロジェクトの進捗を上げる戦力になることが求められます。研修の時間が設けられることもありますが、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)形式で実務に携わりながら業務を学ぶというケースも多くあり、その場合は働きながら学ばなければいけません。
先輩エンジニアと同行して先輩も忙しく教えてもらえる時間がなかなかないこともあります。また、所属会社から常駐するエンジニアが1人だけという場合もあり、その場合はやることを自分から周りに聞いて進めていく必要があり、慣れるまでは大変かもしれません。
自分の所属会社に所属している意識が薄れる
常駐エンジニアは毎日客先の企業に出勤するため、所属会社の他の社員との関わりを持つことが少なく、所属会社への帰属意識が薄れやすくなります。日々顔をあわせる客先の社員と信頼関係を築いても、契約期間が終了すれば繋がりがなくなってしまうため、長期的な人間関係を作ることが困難です。
客先常駐エンジニアのメリット
ここでは、客先常駐エンジニアのメリットを見てみましょう。様々な企業やプロジェクトに当たれる、多くの人に出会えるなど、客先常駐という働き方だからこその理由が挙げられます。
様々な会社に常駐できる
客先常駐エンジニアが1つの常駐先で働く期間は、数ヶ月から長くても数年程度です。契約期間が終了したら他の会社への常駐となります。そのため、長く働くと多くの会社に常駐することになります。
時には誰もが知るような大手企業のシステム開発プロジェクトで働くこともあり、様々な会社の社内環境やビジネスモデルに触れることができます。
多様なプロジェクトで経験を積める
様々なプロジェクトに参加することにより、色々なプログラミング言語や開発環境などを経験できます。担当する工程も様々ですので、エンジニアとして幅広いスキルアップを目指すことができます。向上心あふれるエンジニアにとっては、常に新しいことを吸収できる最高の働き方の1つと言っても良いでしょう。
仕事を通してたくさんの人に出会える
客先常駐エンジニアは常駐先が変わるたびに、新しく人との出会いがあります。その中には一緒に仕事ができて良かったと思える人、苦労を共にする人もたくさんいるでしょう。こういった人との出会いを楽しめる人は、客先常駐に向いている人であると言えます。
IT業界に関わる人たちとの様々なコネクションを築くことができることも、客先常駐ならではのメリットです。時には仕事ぶりを認められ、常駐先の正社員として引き抜きの話を受けるというケースもあるようです。
未経験からでも採用されやすい傾向がある
客先常駐エンジニアは、IT業界が人手不足であることもあり、需要が高い傾向にあります。そのため、所属会社の中には未経験者であっても見込みのある人材であれば採用してしっかりと研修を行い、必要なスキルを身につけてから常駐させる企業もあります。
ITエンジニアを目指すため、とにかくどんな働き方でも飛び込んで頑張ってみたいと考えている人にとっては、客先常駐エンジニアは選択肢の1つであると言えます。
残業が少ない常駐先もある
一般的に常駐先企業は、常駐エンジニアについてある程度予算を組んで受け入れを行います。予定した勤務時間を超過すると追加費用がかかることになり、残業をできるだけ減らすよう調整するため、常駐先によっては残業が少なくなる場合もあります。
働きやすい常駐先になるとモチベーションを維持しやすい
契約が終了するごとに常駐先が変わるということは、通勤する場所も、勤務環境も変わります。時には、場所が自宅から近い、帰りに買い物やお酒を楽しめるお店がたくさんある、残業が少なく働きやすいいわゆるホワイト企業など、働きやすい常駐先に決まることもあります。
その場合、できるだけ長い期間契約が続くことを願って、前向きに働くモチベーションが生まれてきます。
未経験から客先常駐エンジニアを目指すには
客先常駐エンジニアになりたいと思う人は、客先常駐が辛いという意見に心配になることもあるかもしれません。しかし、ここまで解説してきたように、デメリットをどう感じるかは人それぞれですし、客先常駐にはメリットもたくさんあります。
特に、未経験からITエンジニアを目指したい人にとっては、所属会社で研修を受け、客先に出て経験を積める客先常駐は大きなチャンスでもあります。
しかし、客先常駐エンジニアへの転職を考える場合、未経験者でも募集している常駐元企業を探さなければなりません。また、自分の持っているスキルや経験をどうアピールするかも考える必要があり、1人で転職活動を行うのは大変な場合が多いです。
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