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受託開発とは?メリット・デメリットや他の開発方式との違いを解説
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受託開発とは?メリット・デメリットや他の開発方式との違いを解説

アンドエンジニア編集部
2023.04.20
この記事でわかること
受託開発の概要、SESとSE派遣・委託と請負の違いを理解する
受託開発のメリット・デメリットを知り、これから進む道について考える
受託開発は終わっていない、受託開発でエンジニアとして活躍を続ける方法

システム開発の形態を知ろう

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システム開発に携わっていると、開発方式について「受託開発」や「自社開発」という言葉が聞こえてきます。ほかには、「SES」や「SE派遣」、「請負」といった用語もあります。

こうした契約や取引は営業や上層部が決めていますが、エンジニアとしても自分の仕事がどれに属するのか、それらがどんな意味を持つのかを知っておく必要があります。

ここではエンジニアとして知っておくべき開発の方式について、「受託開発」を中心に採り上げながら、やさしく解説し、皆さんの疑問に答えていきます。

受託開発と自社開発の違い

ITエンジニアの視点から、受託開発と自社開発の違いを見ていきましょう。

■受託開発とは 受託開発とは委託先からシステムの開発を委託され、委託先の要求内容に従って開発する方式を指します。

受託開発のイメージを具体的な例として表すと、次の通りです。

1. A社はB社に、あるシステム(ソフトウェア)の開発を依頼します。 2. B社はシステム要件についてA社からヒアリングし、システム提案書と見積書を提示します。 3. A社はB社からの提案書、見積書を精査し、社内調整を経て開発に関する経営側の承認を得ます。 4. B社はA社との間に、受託開発に伴う請負契約を締結します。 5. B社はA社との間でプロジェクトを編成し、要件定義、基本設計、詳細設計、プログミング、単体テスト、結合テスト、総合テストを経て完成品をA社に納品します。 6. A社は納品されたシステムを稼働させて検収を行い、問題がなければ委託費用の支払いを行います。

大まかには以上が受託開発の流れです。

■自社開発とは 自社開発はまさに、自社でシステムを開発する方式です。自社の企画部門などで考えたアイデアを企画書にして、然るべき会議(企画会議、経営会議など)で承認後にシステム開発部門にシステム開発の依頼をします。

社外向けにパッケージ製品として開発するケースもあれば、自社内システムとして社内だけで利用する場合もあります。また社内開発では、開発パワーの不足をSESなどで補うケースもありますが、開発主体が社内であれば、社内開発と言えます。

受託開発とSESはどう違う?

ITベンダーやSIerでは、受託開発という言葉に対して、SESという言葉をよく耳にします。SESとは「System Engineering Service」の略語で、IT企業などにエンジニアを常駐させて業務をおこなう契約形態を指します。「準委任契約」とも呼ばれる契約形態で、人月単価契約となります。

例えばSEは1人月80万円、PGは1人月60万円といった形で報酬額が決まります。報酬額はエンジニアのスキルや仕事内容によって変わってきます。このSESはあくまでも労働力の提供であり、ソフトウェアなどの完成責任は負いません。派遣する側としては、リスクが少ないのがメリットです。

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SESとSE派遣の違い

「SESってSE派遣と同じでは?」と考えた方は多いと思いますが、実はこの2つは異なります。この2つを間違えると法令違反となりますので、注意しましょう。

SES契約でクライアント企業に常駐するエンジニアは、外注契約を受注した側の企業の指揮の下に仕事を行います。

これに対して、労働者派遣の形でクライアントに派遣されたエンジニアは、クライアントの管理、監督下で仕事を行います。両者は非常によく似ていますが、契約形態によって指示命令系統が大きく異なるのです。

SESのエンジニアに対して、クライアント側の企業が直接、指示や命令を行うことは違法です。これがよく言われる「偽装請負」です。

またITベンダーがSEを派遣する場合は、「派遣元責任者資格」が必要です。「派遣元責任者資格」を得たら、さらに「派遣事業の許可」を得る必要があります。

受託開発に納品義務はない?

契約形態には「受託」と「請負」という2つの形態があります。「受託」とは、クライアントからの依頼により、業務を行う契約のことです。その契約には期間、条件などが定められていますが、成果物などの納品義務はありません。

一方、「請負」もクライアントからの依頼によって業務を行いますが、請負の場合は成果に対する責任を負います。クライアントに対して、完成物や成果物の納品義務がある点が大きく異なります。

受託契約には「納品義務」がないことが分かりましたが、では「受託開発」にも納品義務がないのでしょうか?

実は、「受託開発」は請負契約なのです。言葉が紛らわしいので混乱してしまいそうですが、「受託開発」は完成義務、納品義務を負いますので、誤解のないようにしてください。

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受託開発エンジニアの年収

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ここでは、受託開発を行うエンジニアの年収について、プログラマーやシステムエンジニアの年収を参考に考察していきます。

プログラマーの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑」での平均年収は322万円、システムエンジニアの年収は同ランキング/職種図鑑で431万円(※2023年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のSE・プログラマ(顧客向けシステムの開発・実装)を参考にすると、平均年収593万円と分かりました。

国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、マイナビエージェントにおけるプログラマー・システムエンジニアは一般平均年収よりもやや低め、経済産業省の調査ではやや高めであることが分かります。

受託開発を行うエンジニアの年収は勤める企業によっても変わってきます。業績が安定している企業では年収も比較的高いと思われます。また、個人の経験やスキルも年収に影響します。高いスキルを持ち、それに対して適切な評価を得られれば、平均以上の年収を得られるでしょう。

年収が平均よりも低い、スキルや経験に見合っていないという場合には、他の企業へ転職することで年収アップを実現できることも多いです。資格の取得によるスキルアップやスキル証明も、年収アップに繋がるでしょう。企業によっては資格手当を貰える可能性もあります。

【参考】:システムエンジニア/マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:プログラマー/マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

受託開発で発注するメリット

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受託開発の概要については理解されたと思いますが、より理解を深めるために、そのメリットについても確認しておきましょう。但し、メリットはあくまでも発注者側の視点でのメリットです。

開発工数の抑制が可能

自社で新たにシステムを開発する場合、システム開発のリソース(要員、時間、手間)確保の負担が大きくなりがちです。受託開発方式を採用し、システム開発を外出しすることで、自社のリソース負担を抑えることが可能になります。

また、受託開発の場合は複数社によるコンペが一般的で、価格競争によるコスト引き下げが期待できます。

開発要員の無駄をなくせる

自社開発方式では、自社内にエンジニアを確保する必要があります。システム開発の業務量に波があるため、ある程度の余裕を持った人員確保が必要なため、人件費が水膨れしがちです。受託開発を併用することで、要員過剰や要員不足を防ぎ、安定開発が可能になります。

開発ノウハウの吸収ができる

受託開発を採用することで、自社だけではなかなか獲得ができないシステム開発ノウハウを、外部企業から吸収することが可能となります。なお、ノウハウを吸収するためには、外部企業に丸投げするのではなく、自社も主体的に関わるという姿勢が求められます。

受託開発で発注するデメリット

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受託開発には前記のようなメリットがある反面、デメリットがあることも理解しておくことが求められます。デメリットは発注者側の意識や姿勢によっては解消することも可能ですので、デメリットを理解した上で採用することが必要です。

自社のエンジニアの成長機会が減る

当然のことですが、自社のシステム開発を外部企業に委託すれば、自社エンジニアが関わる機会は減り、成長の機会が制限されてしまいます。それを防ぐには、可能な限り、自社のエンジニアもプロジェクトに関わらせることが必要です。

開発作業そのものはアウトソーシングしても、定例ミーティングやレビュー会議など、受託開発企業との接点をできるだけ設け、自社エンジニアの参画機会を極力増やすことが望ましいでしょう。

開発着手後の仕様変更や改良が難しくなる

丸投げのような形で、システム開発の外出しをしてしまうと、仕様変更が難しくなるばかりか、システム稼働後の改良も困難になります。

ユーザーの立場から要件定義やレビューに能動的に関わり、あくまでもプロジェクト管理の主体は自社にあるという意識を持って受託開発を活用することをおすすめします。

受託開発を行う側のメリットとデメリット

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受託開発を発注する側だけでなく、受託開発を行うエンジニア側にもメリットとデメリットがあります。

受託開発を行うメリット

受託開発を行う一番のメリットは、スキルアップが期待できることです。さまざまな案件をこなすことで、幅広い知識とスキルが培われます。クライアントからの要求に答えるため、品質管理などシステム開発を管理するノウハウも身に付きます。

また、客先常駐になることも多いため、人脈づくりや多様な業界での学びが期待できます。受託開発での経験が今後のキャリアにも活きてくることでしょう。

受託開発を行うデメリット

受託開発では、予算や納期、仕様の縛りなどがあるため、開発の自由度が下がるのがデメリットです。クライアントからの要求に応えるのが最優先のため、予算や納期がタイトな案件もあり、「つらい」と感じる人もいるようです。

また、2次請け、3次請けなど多重下請けになるほど下流工程ばかり担当することになり、報酬も下がります。

企業選びの際は、クライアントから直接受注しているか、設計から開発・運用まで一貫して行っているかなどを考慮すると良いでしょう。転職エージェントでは求人票だけではわからない細かな情報もしっかり精査できるので安心です。

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受託開発は終わった?

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「受託開発は終わった」「受託開発はオワコン」といった声がありますが、実際のところはどうなのでしょう。そう言われる理由と、今後の受託開発の方向について考察をしてみましょう。

そう言われる理由

「受託開発は終わった」と言われる主な理由は次の通りです。

1.人月単価ベースの限界 受託開発を依頼すると、見積書に提示される人月単価が予想外の数字になることがあります。この見積もり方式は何十年も変わっていません。まるで人をモノのように扱うことに抵抗を覚える人もいるでしょう。

また、"人月単価が高い=優秀"ではありません。こうした前時代的な見積もりを続けている限りは受託開発への期待は下がる一方です。

ステップ単価での見積もりをする受託開発会社もありますが、ステップ単価にも合理性は見出せませんクライアントを納得させられる見積もり方式を編み出す必要性があります。

2.クラウド化の流れ クラウド技術の進展と普及が、システムの形を根本から変えようとしています。クラウド化の流れは、SIer業界のあり方を大きく変えると言われています。

クラウドが普及する以前は、メーカー系の大手SIerが自社の大型サーバと抱き合わせで大規模システムの開発を請け負っていました。ハードとシステム開発がセットになり、その価格の合理性、妥当性は曖昧なままでしたが、顧客は疑問を持つことなく発注をしてきました。

クラウドの進展によって、今はハードを1から調達する必要もありません。初期投資は最小限で、利用した分だけ費用を払うという従量制料金体系のおかげで、システム開発が見える形になってきました。

このクラウド化の結果、中小企業やベンチャー系IT企業の活躍分野が広がり、さらに従来型のウォーターフロー型開発からアジャイル型開発に移行したことによって、大手SIer企業による受託開発の強みが以前よりも弱くなってきました。

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それでも受託開発は残り続ける

政府系、自治体、大企業中心の大規模案件はDXブームの影響もあり残っていますが、中小企業を中心にクラウドやWeb、スマホ中心のシステム開発が中心となっています。大手SIerはその周辺をカバーしきれていないのが実情です。

とは言っても、企業のシステム化ニーズがある限り、受託開発はなくならないでしょう。専門分野は専門家に任せるという発想は一般化しており、アウトソーシング化の流れは変わりません。

まして、DX推進が企業の義務にもなっている今日、システム化の需要は増えることはあっても、減ることはありません。しかし、その需要に応えていくには、受託開発の在り方そのものが見直される必要があります。

エンジニアの単価で見積もるような受託開発はもはや限界という見方が強いです。SIerもその認識は持っており、クライアントを納得させられる見積もり手法を編み出しています。

システムは投資です。投資を上回るリターンがあれば、システムを開発する意味があります。そのリターンを見積もる手法が求められています。

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エンジニアとして備えること

DX推進、エンジニア不足という追い風がある一方、その先を考えた時にエンジニアの方々が将来に不安を感じるのは当然のことです。しかし、現実を直視し、未来を見据えて、予想される課題に備える事はできます。

クラウドやアジャイル開発に関する知識やスキルを身に着けることは必要です。それに加えて受託開発、SES、自社開発のすべてに対応できるエンジニアを目指すこと、さらには自身のキャリアパスを明確に描き、目標に向かって自己研鑽に努めること、それがこれからもエンジニアとして活躍していく方法です。

受託開発の特徴を理解して企業選びをしよう

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ここまで、受託システム開発とは何か、その特徴や他の開発形態との違い、メリット・デメリットなどについて解説してきました。開発形態にはそれぞれ長所と短所があり、システムを必要とする側の事情によって選ぶべき形態は異なります。

また、エンジニアの働き方も開発形態によって異なります。転職活動で企業選びをする際は、その企業がどのような形態でシステムを開発しているのか、担当する業務や働き方にはどのような特徴があるのか理解する必要があります。しかし、個人で収集できる情報には限界があります。

そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。

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