Gemini Ultraとは?
「Gemini」はGoogle社の生成AIブランドの総称で、AIボット「Bard」の後継です。今回紹介するGemini Ultraは「Gemini」シリーズの中では最高峰のGemini Ultra 1.0を搭載し、優れた性能を誇るマルチモーダル生成AIです。
Geminiシリーズには、他にGemini Nano(デバイス単体でも稼働できる軽量モデル)、Gemini Pro(幅広いタスクに対応する最良のモデル)があります。この記事では、Geminiの最上位モデルであるGemini Ultraの概要、メリットやデメリットについて解説していきます。
生成AIを利用してみたい方、ChatGPTやMicrosoft Copilotと比較、併用してみたい方、仕事での利用を検討している方もぜひ参考にしてください。
【参考】:Gemini Ultra|Google DeepMind | Google 【参考】:Gemini と話してアイデアを広げよう | Google 【参考】:ChatGPT | OpenAI 【参考】:Microsoft Copilot | Microsoft AI
Gemini Ultraの概要
Gemini Ultraは、Google AIが開発したマルチモーダル(多機能)生成AIモデルです。マルチモーダルとはマルチ(複数)とモーダル(形式や手段)を合わせた用語で、マルチモーダルAIは、様々な種類のデータや情報を利用して高度な判断を行えるため、一般的なAIには困難なタスクの処理が可能です。
次項から、マルチモーダル(多機能)生成AIモデルの最高峰、Gemini Ultraの特徴やGeminiの種類、利用料金やメリット・デメリットについて見ていきましょう。
Gemini Ultraの特徴
Gemini Ultraはマルチモーダル(多機能)生成AIモデルですが、具体的にマルチモーダルとは何を指しているのでしょうか。Gemini Ultraはテキスト、画像、音声、動画など様々なデータや情報を処理し、精度の高いアウトプットの提供ができる点が大きな特徴といえます。
では、具体的にGemini Ultraでは何ができるのか、その特徴を見ていきましょう。
マルチモーダル処理能力
Gemini Ultraは、テキスト、音声、画像の3つの異なるデータ形式を同時に処理し、これらを統合して高度な解析を行えます。この機能によって、従来の単一モーダルAIと比較して、より豊かなコンテキスト理解が可能になっています。
会議など録音データから文字起こしをし、自動的に議事録を作成するといった利用も可能です。
画像の生成
Gemini Ultraは、自然言語で指示された説明を理解し、意図を読み取り、指示者の意図に合った画像を生成することができます。
ただし、不適切な指示によって不自然な画像を生成したり、肖像権やプライバシーに抵触する画像を生成したりといった問題に対して指摘があり、Google社は2024年6月現在(執筆時点)、画像生成機能の提供を一時的に停止しています。
リアルタイム情報取得
Gemini Ultraは学習済みのデータに加えて、必要に応じて最新の情報をインターネットからリアルタイムで取得し、そのデータを即座に反映することができます。そのため、Gemini Ultraが提供する最新のデータに基づき、的確な意思決定が行えます。
コードの生成
Gemini Ultraは、AIを駆使してより迅速に高品質なコードが生成できるよう設計されています。自然言語処理(NLP)技術を用いて、Python、Java、C++、Goなどのプログラミング言語を理解し、コード生成からコードレビュー、デバッグ、テストデータの生成まで実行することが可能です。
モバイルフレンドリー
Gemini Ultraはスマートフォンやタブレットなど、モバイルデバイスでもスムーズに動作し、使い方もシンプルなため、場所を問わず、いつでもどこでも利用することができます。
Gemini Ultraの利用シーン
Gemini Ultraは、Google AIが提供する最上位の生成AIモデルであり、高度な推論能力と高品質なコード生成という2つの強みを持つのが特徴です。従来のAIモデルでは難しかったような複雑なタスクにも対応することができ、以下のような利用シーンに適しています。
高度な情報処理と分析
Gemini Ultraは膨大な量の文献やデータから、論理的な推論に基づいて情報を整理・分析し、新たな知見を導き出すことができます。
そのため、特許申請書や研究論文などの専門性の高い文章を理解することができ、内容を要約したり、関連する情報を検索したりすることができます。また、複雑なビジネスデータから重要な鍵となる指標を見つけ出し、課題解決に役立つ情報を提供することができます。
クリエイティブなコンテンツ制作
Gemini Ultraは詩、小説、脚本、音楽作品など、独創的なアイデアに基づいたクリエイティブなコンテンツを生成することができます。この機能を活かして広告やマーケティング資料などの説得力のある文章を生成することができます。
また商品の企画書やデザイン案などの革新的なアイデアを提案することもできます。
高度なプログラミング
Gemini Ultraは複雑なアルゴリズムを理解し、プログラムの設計・開発に利用することができます。自然言語で書かれた指示や仕様からコードを自動生成することができ、さらにソフトウェアのバグを検出したり、デバッグしたりすることができます。
Gemini Ultraの料金体系
Gemini Ultraを利用するには、Gemini Advancedという有料プランに登録する必要があります。Gemini Advancedの月額料金は2,900円で、登録から2ヶ月間は無料で利用可能です。2ヶ月経つと自動で契約更新されるので、2ヶ月以内に解約すれば料金はかかりません。
Gemini UltraのAPIを利用してプログラムから利用することも可能です。APIの利用料金は、処理量に応じて課金されます。
Gemini Advancedの料金体系
Gemini Ultraを利用できるGemini Advancedの料金体系は以下の通りです。
・月額料金:2,900円 ・無料トライアル:2ヶ月間 ・支払い方法:クレジットカード
【参考】:Gemini Advanced|Google の最も高性能な AI モデルにアクセス
Gemini Ultra API
Gemini Ultra APIは、「Gemini Ultra」の機能をプログラムから利用できるAPIです。料金体系は以下の通りです。
・処理量:1,000文字あたり0.00025ドル ・最低料金:10ドル/月 ・支払い方法:クレジットカード
Gemini Ultraのメリット
Gemini Ultraのメリットについて見ていきましょう。Gemini UltraにはGemini ProやGemini Nanoと比較して、次のようなメリットがあります。
高い精度と柔軟性
Gemini Ultraの最も大きなメリットは、その高い精度と柔軟性です。様々なテストで、競合製品と言われるGPT-4や専門家に劣らない能力を示しているとされ、複雑なタスクにも対応できます。
マルチモーダル処理
テキスト、音声、画像を同時に処理できるため、より豊かなコンテキストを理解し、適切な回答を提供することができます。この機能は、ビジネスや教育、医療など多岐にわたる分野で活用されています。
リアルタイムの情報更新
Gemini Ultraはリアルタイムで最新の情報を取得し、即座に反映することができます。これにより、常に最新のデータに基づいた決定を下すことが可能です。
モバイルデバイスとの互換性
スマートフォンやタブレットでもスムーズに動作するため、場所を選ばずに利用することができます。これにより、移動中でも効率的に作業を進めることが可能です。
Gemini Ultraのデメリット
Gemini Ultraは前述のように優れたパフォーマンスを持つ一方で、以下のようなデメリットもあります。
費用が高い
Gemini Ultraの利用には高額な費用がかかることが多く、個人や小規模な企業にとっては利用料金が負担となる可能性があります。特に、大規模なデータ処理や高度な分析を必要とする場合、そのコストはさらに増加します。
複雑な設定と管理
高度な機能を持つ一方で、Gemini Ultraは設定や管理が複雑であり、利用するには専門的な知識が求められることがあります。そのため、本格導入や運用にあたっては専門家の支援が必要になることが想定されます。
プライバシーリスク
Gemini Ultraは会話の内容を記録しています。その中には、意図せずに機密情報が含まれてしまう可能性もあります。Gemini Ultraは大量のデータを扱うことができるため、利用に際しては機密情報を入力しないように注意する必要があります。
特に、個人情報や機密情報を扱う際には、適切なセキュリティ対策が必要です。
Geminiで仕事の効率を高めよう
ここまでGoogleのマルチモーダル生成AIである、Geminiの中から最上位モデルに当たるGemini Ultraの概要、メリットとデメリットなどについて紹介してきました。
Gemini Ultraは利用料金が高めに設定されていますが、ビジネス利用や専門分野での利用に適しており、それぞれの分野で仕事の効率向上、質の向上に寄与できるパフォーマンスを備えています。
まだGemini Ultraは発展途上にあり、画像生成機能が一時的に利用できないという問題もありますが、2ヶ月間の無料お試しができますので、ぜひ試して、そのパフォーマンスを評価してみると良いでしょう。
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