「Microsoft Copilot」公開
米Microsoftは現地時間2023年9月21日に、Windows11やMicrosoft365と連携して動作する「Microsoft Copilot」のリリースを発表しました。
「Windows Copilot」はインサイドプレビュー版として6月から一部ユーザに提供されていましたが、Windows11の「22H2」機能更新ビルドに組み込まれる形で9月26日に配信が開始されました。
また、Microsoft 365アプリと連携する「Microsoft 365 Copilot」は11月1日以降に利用開始され、30ドル/月で有償提供となる予定です。
Windws Copilotは11月1日以降に予定されているWindws11のメジャーアップデート「23H2」の配信によって、Windws11ユーザは誰でも利用できるようになる予定です。
この記事では、「Microsoft Copilot」全般の情報について解説をしていきますので、ぜひ参考にしてください。
【参考】:Copilot in Windows and new Cloud PC experiences coming to Windows 11 【参考】:Windows 11 (22H2) の新機能をリリース プレビュー チャネルに展開 【参考】:Introducing Microsoft 365 Copilot | Microsoft 365 Blog
ただちにWindows11 Copilotを利用するには
ただちにWindows11 Copilotを利用したい場合には、米国時間の9月26日に提供された更新プログラム、KBS5030310を適用する必要があります。KBS5030310更新プログラムはオプション扱いですので、更新プログラムの適用には以下の手順が必要です。
1.メニューボタンの右クリックで[設定]を選択します。 2.[Windows Update]を選択した後に[更新プログラムのチェック]ボタンをクリックします。 3.「Windows 11 Version 22H2の累積更新プログラム(KB5030310)が利用可能です」と表示されたら[ダウンロードとインストール]をクリックします。 4.インストールが終了し、再起動後に「Windows Update」を手動でチェックします。 5.「Windows 構成更新プログラム」の(KB5030509)を適用し、OSの再起動を行うと「Copilot in Windows」が有効になります。
ただし、KBS5030310は不具合も報告されていますので、急ぐ必要のない方は大型バージョンアップ「23H2」の配信を待ちましょう。
Copilotとは
Copilot(コパイロツト)は、「OpenAI」が開発したAIチャットをベースにしたデスクトップで動く対話型のインターフェース機能です。自然言語による検索機能に加え、Windows 11の操作やOfficeアプリと連携して利用できる点が特徴です。
ChatGPTやBingなどでAIチャットを利用中の方は違和感なく使えます。また、Copilotは画像生成機能「Image Creator」を内蔵しており、新しいBingと同様にチャット機能で作成してほしい画像のイメージをリクエストすると、自動的に画像を生成してくれます。
そのほか、Windowsの操作も代わりに行ってくれるので、起動したいアプリアイコンが見つからない時などは、Copilotにテキストで指示するだけでアプリの起動をしてくれます。以上がWindows Copilotの主な機能です。Microsoft 365 Copilotの機能については後述します。
Windows Copilotの良い点、注意点
Windows Copilotを実際に使ってみた結果、便利さの反面、注意すべき点が見えてきましたので、紹介します。
■ 便利な点 ・アプリとして起動し、デスクトップの右端に表示されるため、タスクバーから簡単に起動でき、すぐに質問やリクエストを投げることができます。 ・ChatGPTは2022年以降の情報を習得しておらず、情報鮮度に問題が難がありますが、CopilotはBimg同様にインターネットから最新情報を検索してくれるため、新しい情報に沿っています。 ・BingはブラウザとしてEdgeを必要としますが、Copilotはブラウザを必要とせず、その制約がありません。
■ 注意すべき点 ・質問に対する答えに、特定のWebページから切り出しただけの記事が含まれることがあり、記事を再利用すると著作権侵害の懸念があります。 ・回答に正しくない情報が含まれる可能性があるため、用途によってはファクトチェックが欠かせません。
Microsoft 365 Copilotの機能
Microsoft 365 Copilotは、これまでのMicrosoft 365に、OpenAI社のLLM(自然言語処理モデル)「GPT-4」が組み込まれた新しいAIサービスです。Microsoft 365 Copilotでは何ができて、どのような機能を持っているのでしょうか?
ここでは、Microsoft 365の各アプリと連携することによって何が実現できるのかを列挙していきます。
【参考】:Introducing Microsoft 365 Copilot | Microsoft 365 Blog
いつから使える?
Windows CopilotはWindows11の更新プログラムを適用するだけでただちに利用できますが、Microsoft 365 Copilotはいつから利用できるのでしょうか?
Microsoftによると11月1日以降のリリースより利用できるようになります。
日本語版のCopilotも同時に利用できる予定です。利用料金については月額30ドルと公表されていますが、円での料金は未発表です。また、クラウド版に移行することでCopilot機能が利用できるようになります。
さらに、個人から法人まで様々な利用形態、料金体系が用意されていますので、ニーズにあった形で柔軟に利用することができます。
Wordとの連携
Word上で指示に従って文章作成や編集、要約、創作などを行ってくれます。作成済みのドキュメントの推敲を行い、書き換えることも可能です。また文章のトーンについて、専門的や情熱的、カジュアルな口調などが選択でき、利用場面に即した文章の生成をしてくれます。
Excelとの連携
Excel上でデータ分析と探索を支援してくれます。データセットに関して質問をすると、Copilotがモデルを生成してデータの相関関係を明らかにしたり、What-if シナリオを提案したりしてくれます。またデータから傾向を把握し、グラフなどによる視覚化や要因分析などもしてくれます。
PowerPointとの連携
PowerPoint では、Wordなどで作成した文章からイラストやアニメーション、コメントなどを作成してくれますので、手の掛かる資料作成も簡単に行えるようになります。また作成した資料を要約し、会議や講演参加者への招待文や配布資料まで作成してくれます。
Outlookとの連携
Outlookでは受信メールから、返信が必要なメールを選別し、返信文案を作成することができます。また何度もやりとりしたメールのスレッドを要約したり、簡単なパラメータを与えるだけで最適なビジネスメールの文案を作成したりすることができます。
ビジネスでは大量のメール処理に膨大な時間を費やしてしまうケースがありますが、Copilotを活用することで、メール処理の時間を大幅に削減することが可能になります。
Teamsとの連携
TeamsではCopilotによる効果的な会議の開催をサポートし、ミーティング内容の要約を行ってくれます。さらに会議に参加できなかったメンバーに議事内容を伝えたり、ユーザのスケジュールやプロジェクトの進捗に応じて次回会議の日程や議題の提案まで行ったりすることができます。
OneNoteとの連携
Microsoft OneNoteと Copilotを連携させることで、メモを要約したり、メモから実行可能なToDoリストを作成したり、イベントや会議などのプランを設計したりすることが可能になり、OneNoteがさらに効率的に利用できるようになります。
【参考】:OneNote での Microsoft 365 Copilot 【参考】:Microsoft OneNote デジタル ノート アプリ | Microsoft 365
Microsoft Copilotを活用しよう
ここまで、Microsoft Copilotの概要や機能について解説しました。Windows Copilotは、MicrosoftがWindows 11を対象に導入を進めているAIアシスタント機能です。 またMicrosoft 365 Copilotは、Word・Excel・PowerPointなどのMicrosoft Office製品を強力にサポートする生成AIです。
どちらも活用することで、パソコンの操作から各種事務作業まで大きく改善し、効率化が図れるでしょう。これまでChatGPTなどの生成AIは様々な利用方法が検討され、多くの話題を提供してきましたが、いよいよそのアイデアが現実のものとなって、私たちの仕事を大きく変えていくでしょう。
このMicrosoft Copilotのリリースを機に、ぜひ活用してみてください。
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから