PHPを知ればワードプレスをより活用できる
ワードプレス(WordPress)は、近年Webサイトの構築で多く使われるCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の1つです。
プログラミングの知識がなくてもWebサイトを作成できるツールであるワードプレスですが、PHPのスキルがあればワードプレスをより効果的に活用できます。
ワードプレスで記事やページを投稿して管理するための仕組みは、PHPによって構成されています。 そのため、PHPの知識とスキルがあれば、ワードプレスのテーマやプラグインをカスタマイズして自分の用途に合ったWebサイトを構築することができるのです。
この記事では、ワードプレスをより活用したい方のために、ワードプレスとPHPの基礎知識や関係性、ワードプレスでのPHP編集方法、PHPのバージョンなどについて解説します。
【参考】:WordPress とは
ワードプレスとPHPの関係性とは
まずは、PHPとワードプレスの概要と、関係性を説明していきます。ワードプレスを使用するのにPHPの知識が必要なのかどうかも解説します。
PHPとは
PHPは、Webページを動的に生成するために使用されるサーバサイドのスクリプト言語で、多くのWebサイトやアプリケーションで使用されています。
動きのない静的なWebページを作成するためにも使用できますが、訪問者の入力に基づいてWebページを動的に変更できることが大きな特徴です。
たとえば、PHPを使用して、Webサイトにログインしたユーザのアカウント情報に基づいてWebページを変更したり、訪問者がWebサイトから商品を購入した注文を処理したりすることができます。
また、PHPを使えばMySQL、SQLite、PostgreSQLなどのさまざまなデータベースと連携することもでき、Webサイトやアプリケーションでデータベースを活用できます。
ワードプレスとは
ワードプレスはPHPで作られたCMSです。個人のブログから企業のコーポレートサイトまで、世界中の多くのWebサイトがワードプレスで作られています。
提供されているさまざまなテーマをそのまま使ったWebサイトであれば、プログラミングを使わずにノーコードで完成させることもできます。
また、ワードプレスではプラグインによって多様な機能を簡単に追加することもできます。
このように、ワードプレスは初心者でも簡単に利用でき、Webサイトの構築から必要な機能の実装まで手軽に行うことができるCMSといえます。
ワードプレスとPHPの関係性とは
ワードプレスはPHPによって構築されたシステムで、テーマやプラグイン、データベースなど、ワードプレスを構成する要素のほとんどがPHPで作られています。
ワードプレスで作成されたWebサイトを開くときには、PHPが記事の表示やページの構成など各部分の表示を制御しています。
実際にワードプレスのテーマファイルを開いてみると、たくさんのPHPファイルが並んでおり、ページの枠組みやパーツの構成に関わる部分もPHPで記述されています。
そのため、ワードプレスを利用する際にはPHPが必要不可欠です。ユーザが意識していなくても、ワードプレスを利用することはPHPを使っているということでもあります。
また、PHPはオープンソースで広く使用されているため、多くの開発者がワードプレスのテーマやプラグインを作成し、無料で公開しています。
ワードプレスの利用にPHPの知識は必要か
ワードプレスを利用したWebサイト運営においては、一般ユーザにとってPHPの知識は必須ではありません。
ワードプレスには、本体やプラグイン、テーマなどを構築するPHPが既に記述された状態で提供されているため、自分でPHPを記述する必要がありません。ワードプレスの運営を行っていても、どこにPHPがあるのか分からない方も多いでしょう。
しかし、PHPの基礎知識を習得することで、ワードプレスサイトをより効率的に構築・管理することができます。
PHPの高度な技術があれば複雑なカスタマイズも可能ですし、PHP入門レベルでもワードプレスでよく使われるPHPの関数を知っておくだけで、ワードプレスサイトの運用の幅が一層広がります。
ワードプレスにおけるPHPの役割
PHPはワードプレスのメインとなるテンプレートエンジンを構成しています。また、ワードプレスのテーマで動的な部分を担当したり、プラグインの実装に使われたりしています。
テンプレートエンジンの役割
PHPはワードプレスのWebサイトのページを構成し、表示するテンプレートエンジンの役割を果たしています。
例えば、PHPで作られたテーマファイルは、Webサイトのデザインやレイアウトを定義し、ページの外観を決定します。
また、ワードプレスでブログを作成する場合、ユーザは記事を投稿して公開すれば、自動的にWebサイトの1ページが生成されますが、この動作をPHPが担っています。
このように、PHPはワードプレスのWebサイトのページを構成し、動的にページ生成を行って表示するために使用されます。
テーマの動的な表示
ワードプレスのテーマは、HTML・CSS・PHPで構成され、Webサイトのレイアウトや構成を定義するものです。ワードプレスの公式リポジトリでは多数のテーマが公開されていて、好みのテーマを使用することができます。
PHPはテーマの中でも動的なプログラムの部分を担当しており、例えば、Webページ内の記事タイトル、説明文、コンテンツ内容などの出力順序や出力内容はPHPが動的に生成しています。
テーマで構成された枠組みに応じて、PHPにより必要な内容をWebページに表示させることで、ユーザがプログラミングを意識せずにWebサイトを運営できる仕組みが実現されているのです。
【参考】:テーマ
プラグイン
プラグインとは、ワードプレスの機能を拡張するためのソフトウェアです。プラグインはPHPで開発されており、ワードプレスの公式リポジトリにはさまざまな用途のプラグインが公開されています。
例えば、プラグインを使用することで、標準では用意されていない画像ギャラリーを追加したり、ブログに問い合わせフォームを追加したりして、ワードプレスの機能を拡張することができます。
【参考】:プラグイン
ワードプレスでのPHP編集
ワードプレスのさまざまなカスタマイズを行う場合には、PHPの編集を行う必要があります。ここでは、PHPを編集することでできること、カスタマイズの前に行っておくこと、PHPの編集方法などについて解説します。
PHPを編集してできることとは
ワードプレスのテーマのPHPファイルをカスタマイズすることで、サイトのデザインやスタイルなどを細かく調整することができます。
具体的には、PHPをカスタマイズすることで、PHPが担っている部分である記事タイトル、説明文、コンテンツ内容などの出力順序や出力内容を変更できます。
テーマには親テーマと子テーマがあり、カスタマイズする場合には子テーマを編集することで、大枠を変えずに必要な部分だけを変更できる仕組みです。
また、PHPを編集してプラグインの機能を追加したり、プラグインの機能を変更したりするなど、プラグインをカスタマイズできます。
ただし、多くのプラグインは定期的にアップデートされるため、ユーザの編集内容が上書き更新される可能性があります。
ワードプレスカスタマイズの前準備
ワードプレスをPHPでカスタマイズする際は、まずワードプレスのバックアップを取得しましょう。
PHPでのカスタマイズ中に予期しないエラーが発生して、真っ白なページしか表示されなくなったり、動かなくなったりしたときに備え、バックアップからサイトを復旧できるようにするためです。
また、本番のワードプレス環境でカスタマイズすると、エラーが発生したり意図しない動作を行ったりするリスクもあります。そのため、必要に応じてローカル環境でXAMPPやMAMPPなどの開発環境を導入してカスタマイズを行うことも検討しましょう。
ワードプレスのPHP編集方法
ワードプレスをカスタマイズする際、PHPファイルの編集方法には、ワードプレスの管理画面から直接編集する方法と、FTPソフトを使用して編集する方法の2つがあります。
ワードプレスの管理画面からは、「テーマファイルエディター」からテーマのPHPファイルを編集できます。
FTPソフトウェアを使用した編集方法では、「functions.php」「wp-config.php」「.htaccess」などのファイルをダウンロードしてローカル環境で直接編集し、再度アップロードすることで編集内容を反映させることができます。
どちらの方法で行う場合でも、PHPの編集で間違った記載や変更を行うとサイト表示に不具合が生じるリスクが伴うため、バックアップを行って慎重に作業を行う必要があります。
ワードプレスでのPHPバージョン管理
ワードプレスを運用する上で、利用するPHPのバージョンには注意を払う必要があります。ここでは、その重要性と、バージョンの確認方法、バージョンアップ方法について解説します。
PHPバージョンの重要性
ワードプレスはPHPで動作しており、PHPのバージョンはワードプレスのセキュリティや機能に大きく影響します。
ワードプレスのバージョンが上がるにつれて、必要とされるPHPのバージョンも上がる傾向にあり、古いPHPバージョンを使用すると、ワードプレスのセキュリティや機能に影響を与える可能性があります。
そのため、利用しているWebサーバにおけるPHPのバージョンを把握し、定期的に最新バージョンに更新することをおすすめします。
現在のPHPバージョンを確認する方法
ワードプレス の管理画面で、「ツール」から「サイトヘルス」を選択することで、PHPのバージョンを確認できます。
チェック完了後の結果画面にPHPのバージョンが表示され、古いバージョンを使用している場合は注意喚起が表示されます。
【参考】:サイトヘルス画面
PHPをバージョンアップする方法
PHPのバージョンは、利用しているWebサーバに依存します。そのため、契約しているサーバ側でバージョンアップを行う必要があります。
PHPのバージョンアップ方法はサーバの提供事業者により異なります。Webサーバのコントロールパネルから行う場合や、サポート窓口への問い合わせが必要な場合がありますので、サーバ業者に確認してみましょう。
また、PHPバージョンアップを行う場合には、ワードプレスだけでなく、使用しているテーマやプラグインの対応PHPバージョンも確認する必要があります。
テーマやプラグインが新しいPHPバージョンに対応していない場合は、動作に不具合が生じる可能性があるためです。
変更前には、不具合が生じた場合に元の状態に戻すことができるように、必ずバックアップを取っておくことが重要です。
ワードプレスとPHPの関係性を理解してより活用しよう
ここまで、ワードプレスとPHPの関係性について解説しました。ワードプレスは、PHPによって構築されたCMSであり、PHPの知識を活用することでワードプレスをさらに活用できることが分かったでしょう。
ワードプレスをより効果的で安全に運用するためにも、ワードプレスで使えるPHPのスキルを学び、PHPのバージョン管理にも気を配ることをおすすめします。
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