自然言語処理と機械学習の関係性とは?
自然言語処理(NLP)と機械学習(Machine Learning)は、AI分野において欠かせない技術です。実は、両者は異なるものですが、その違いを知らない方も多いのではないでしょうか。
自然言語処理とは、コンピュータが人間の言語を解釈し、生成する技術です。
一方で、機械学習はデータ学習を通してモデルを構築することを指します。
本記事では、自然言語処理と機械学習の違いや、両者を活用した事例を詳しく解説します。自然言語処理や機械学習に興味がある方は、ぜひ本記事で理解を深めましょう。
自然言語処理とは
自然言語処理(NLP)は、コンピュータが英語や日本語など、人間が日常的に使用する言語を理解し、操作する技術を指します。自然言語処理の技術は、実は昔からありましたが、後述する機械学習や深層学習などの進歩によって大きく発展しました。
この自然言語処理を活用すれば、テキストから情報を抽出したり、文書をカテゴリ分けしたりできます。その他にも感情分析をはじめとした幅広い活用方法があり、現在では自然言語処理を活用したAIツールも多く公開されています。
機械学習とは
機械学習とはコンピュータがデータを学習し、パターンを抽出して予測モデルを構築する技術です。機械学習のアルゴリズムには、教師あり学習や教師なし学習、強化学習などいくつかのアルゴリズムが存在しています。
自然言語処理と機械学習について
自然言語処理と機械学習の概要を把握したところで、次に両者の関係性について解説します。自然言語処理では、ChatGPTのようにテキスト解析やキーワード抽出などのタスクを実行します。このようなタスクを実行するためには、膨大なデータからパターンを抽出し、AIモデルを構築する必要があります。
そして、このモデルを構築する際に機械学習の技術が求められます。具体的には、機械学習を活用して膨大なデータを理解してパターンの抽出を行ったり、単語の関連性を分析したりします。
また、機械学習の技術でモデルをトレーニングすれば、テキスト以外のデータもトレーニングできます。
例えば、画像認識や音声認識、予測モデルの構築なども行えます。活用事例に関しては後述で詳しく解説しますので、参考にしてください。
自然言語処理と機械学習を活用した具体例
ここでは、自然言語処理と機械学習を活用した事例を紹介します。自然言語処理と機械学習を活用した事例は数多くありますが、今回はビジネスでも活用できる活用事例に焦点を当てて紹介します。
テキスト分類
テキスト分類とは、テキストデータをカテゴリやクラスに分類する作業で、自然言語処理と機械学習を活用すれば自動でカテゴリ分けが可能です。
例えば、スパムメールの判別や、ニュース記事をトピック別に分ける作業ができます。
機械翻訳
機械翻訳は、異なる言語のテキスト翻訳を自動化する技術です。例えば、インターネット上に打ち込んだ英語を日本語に翻訳するツールなどは、機械翻訳の技術が使われています。
その他にも、テキストではなく音声を翻訳する機能やオンラインの通話システムでリアルタイムで翻訳するツールなども、機械翻訳が利用されています。
自動チャットボット
自動チャットボットは、テキストベースの対話を自動的に処理するシステムです。ビジネスでよく利用されているのは、カスタマーサポート、バーチャルアシスタントなどが挙げられます。
自動チャットボットに自動応答してもらうことで、企業はコストを削減することができます。
自然言語処理を学ぶ方法
自然言語処理に興味がある方は、本などで基礎知識を身につけた後、実際に自然言語処理を活用したアプリケーションを構築したり、AIモデルに触れたりすることをおすすめします。
ここでは、自然言語処理を学ぶ方法について、具体的な方法を3つ紹介します。
自然言語に関する本を読む
自然言語の基礎から身につけたい方は、まず書籍で基礎知識を身につけましょう。初心者向けの本も数多く出版されていますので、自分の読みやすい本を手に取ることをおすすめします。
また、論文を読むことに抵抗がなければ、自然言語処理に関する論文を読むこともおすすめです。特に専門的な領域や、最新の情報を得たい場合は、インターネットなどで論文を検索して勉強してみましょう。
Pythonを勉強する
自然言語処理を学ぶのであれば、Pythonの学習も必要です。この理由は、自然言語処理の開発をする際にPythonのNLPライブラリを使うことが多いためです。
また、Pythonはデータサイエンスと機械学習の分野でも広く使われており、データの前処理や可視化、統計解析などもできます。一貫性を持たせて自然言語処理の開発ができるため、Pythonの基礎知識は理解しましょう。
以下では、自然言語処理でよく使われる代表的なNLPライブラリを紹介します。PythonでどのNLPライブラリを学習するか迷った時は、こちらを参考にしてください。
◾️ NLTK (Natural Language Toolkit) NLTKは、PythonのNLPライブラリの中でも、特に代表的なものと言えます。NLTKではテキストデータのトークン化や品詞のタグ付け、構文解析、単語埋め込みなど基本的なNLPタスクを実行できます。
ちなみに品詞のタグ付けとは、テキストデータを単語などの文章の最小単位に分け、それぞれの単語に品詞の情報を付与することです。構文解析では、文章の構造を解析し、依存関係を学習します。これにより、言語モデルが文章中の単語や、フレーズの関係性を把握できるようになります。
また、サポートの幅広さだけではなく、ドキュメントが充実している点も魅力です。例えば、インストール方法や使用例も紹介されているため、これから学習を始める方には、おすすめのライブラリです。
【参考】:NLTKドキュメント
◾️ spaCy spaCyは処理スピードが高速な処理が魅力のNLPライブラリです。大規模なテキストデータを処理したい時には、spaCyがおすすめです。
spaCyでは、トークン化と品詞タグ付け、構文解析、単語ベクトル、固有表現認識などのタスクをサポートしています。
【参考】:spaCy 公式
◾️ Transformers (Hugging Face Transformers) Transformersは、BERT、GPT、XLNetなどの有名なモデルを提供しているのが大きな特徴です。これらのモデルはすでに事前学習されているため、1からモデルを構築するよりも短時間で言語モデルを構築できます。
公式ドキュメントではモデルの取り扱い方法や、タスクごとの使用例が紹介されています。Transformersを活用してPythonを学習する方は、公式サイトも参照してください。
【参考】:Transformers 公式サイト
◾️ Gensim Gensimでは、トピックモデリングやテキストデータの特徴を抽出できます。トピックモデリングとは大規模なテキストから、テキスト内のトピックを抽出する手法を指します。
例えば、ニュース記事のトピックと言えばスポーツやエンターテインメント、政治などがありますが、トピックモデリングではテキストデータから単語の出現パターンを分析して、記事内のトピックを特定します。
この技術を利用すれば、テキスト文書のカテゴリー分類や文書検索の精度を向上できます。
Gensimの公式サイトにはチュートリアルも用意されていますので、興味のある方はこちらも参考にしてみましょう。
【参考】:Gensim 公式サイト 【参考】:Gensim チュートリアル
自然言語処理でデータセットを作る
自然言語処理の基礎を身につけた後は、実際にデータセットを用意してみましょう。データセットの作り方が気になる方も多いと思いますので、本記事ではNLPでデータセットを作成する一般的な方法を紹介します。
まず、データセットに必要なデータを収集します。既存のデータベースからデータを抽出したり、APIからデータを取得したりして、任意の方法でデータ収集を行います。
データ収集が完了したら、データ前処理を行いましょう。この段階では、収集したデータをクリーニングして不要な情報を削除します。例えば、特殊文字の処理や、テキストを単語などに分割します。
また、データセットを教師あり学習で使う場合は、この後にラベリングを行います。ラベリングの作業では、文書がどのカテゴリに属するかをラベル付けします。
次にデータセットを、トレーニングデータ、検証データ、テストデータに分割します。それぞれのデータでは役割が異なり、例えばトレーニングデータではモデルの学習を行います。
一方で検証データではハイパーパラメータの調整、テストデータではモデル性能を評価します。最後にデータを任意のフォーマットで保存してデータセットの作成は完了します。
ここまでがデータセットの一般的な作り方です。実際に作業を行う際は、前述のNLPライブラリや、書籍なども参考にしてください。
自然言語処理と機械学習について学びを深めよう
自然言語処理と機械学習は、非常に密接に関わっています。テキスト分類やトピック抽出など、多くの自然言語処理を実行するにはモデルが必要不可欠です。また、そのモデルを構築するときには、機械学習の技術が欠かせません。
本記事を読んで自然言語学習に興味の湧いた方は、本記事で紹介した自然言語処理の学習方法などを参考にして、さらに学びを深めましょう。
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから