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LinuCシステムアーキテクト認定試験とは?最上位の新試験を紹介
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LinuCシステムアーキテクト認定試験とは?最上位の新試験を紹介

アンドエンジニア編集部
2023.12.03
この記事でわかること
2023年10月に登場したLinuCシステムアーキテクト認定試験は上級エンジニアの認定資格
LinuCシステムアーキテクトは、ITSSのレベル4相当のスキルレベルを有する難関試験
LinuCシステムアーキテクトの認定要件はLinuCレベル2を保有し、SA01試験とSA02試験に合格すること

LinuCシステムアーキテクト認定試験がスタート

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「LinuCシステムアーキテクト認定試験」は、特定非営利活動法人LPI-Japanが新たに開発したLinux技術者認定試験の最上位試験です。2023年10月12日にリリースが発表されました。

この試験は、上級エンジニアの認定を目的としており、最適なシステムアーキテクチャの設計や構築を行い、ITプロジェクトを成功に導ける能力を評価します。この記事では、LinuCシステムアーキテクト認定試験の概要、出題範囲や難易度、勉強方法やおすすめの教材などについて解説をしていきます。

LinuCシステムアーキテクト認定試験へのチャレンジ、合格を目指す方はぜひ参考にしてみてください。

【参考】:『LinuC システムアーキテクト認定試験』を11月6日にリリース|LPI-JAPAN

LinuCとは?LPICとの違い・難易度・試験日・勉強方法を解説

LinuC技術者認定の4つのレベル

LinuC技術者認定の4つのレベルについて確認しておきましょう。LinuC(リナック)は、クラウド時代に求められるLinuxを中心としたシステム構築から運用管理に必要なスキルの証明ができる技術者認定試験です。LinuC技術者認定には次の4つのレベルがあります。

■ LinuCレベル1: 基本操作とシステム管理ができる即戦力エンジニアとしての証明(ITSSレベル1相当のスキルレベル)

■ LinuCレベル2: 仮想環境を含むLinuxのシステム設計・ネットワーク構築において、アーキテクチャに基づいた設計・導入・保守・問題解決ができるエンジニアとしての証明(ITSSレベル2相当のスキルレベル)

■ LinuCレベル3: 異種混在環境の運用スキル、Linuxベースのセキュアなシステム設計スキル、構築スキル、大規模な仮想化システムや高可用性システムの構築スキルといったスペシャリストとしての証明(ITSSレベル3相当のスキルレベル)

■ LinuCシステムアーキテクト: オンプレ/クラウド、物理/仮想化を含むシステムのライフサイクル全体を俯瞰して、最適なアーキテクチャを設計・構築できる上級エンジニアである証明(ITSSレベル4相当のスキルレベル)

【参考】:IT資格といえば LinuC(リナック) | Linux技術者認定試験LinuC | LPI-Japan

LinuCの難易度や試験日は?メリットや参考書も解説

LinuCとLPICの違い

いずれもLinuxに関するIT資格ですが、グローバルに展開しているのがLPIC(エルピック)であり、日本国内の技術者向けに展開しているのがLinuC(りナック)です。

どちらも難易度は同程度と言われています。LPICの試験問題は、英語試験を翻訳したものが出題されるため、誤訳やニュアンスの違いから分かりにくいという意見もあります。国内中心にエンジニアとして活躍したい方はLinuC、海外でも活躍したい方はLPICの選択をおすすめします。

【参考】:Linux Professional Institute (LPI)

LinuCとLPICの違いとは?どちらの試験がおすすめか解説!

試験の実施概要や難易度

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DX推進に向けて、クラウドコンピューティングや IoT、AIやビッグデータ などの活用技術やアーキテクチャが次々と登場し、IT技術は急速な進化を遂げています。

こうしたIT 環境下において、IT化のプロジェクトはオンプレミスからクラウド、物理サーバから仮想サーバなど、多様 な技術に関する知識を理解した上で、システムアーキテクチャの設計や構築、運用を行う必要があります。

こうしたITプロジェクトの成功に向けて、確かな技術力を持つ上級エンジニアが求められており、そのニーズに応えられる人材の育成と可視化されたスキル認定を行うべく、『LinuC システムアーキテクト』が開発されました。以下、試験について詳しく紹介します。

実施概要

LinuC システムアーキテクト認定試験の実施概要は以下の通りです。執筆時点(2023年11月)で受験料の半額キャンペーン(〜2024年3月31日)を実施中ですので、試験準備の整った方は早めに受験してみると良いでしょう。

▪試験名称:LinuC システムアーキテクト(省略形:LinuC-SA) ▪試験数:2試験(LinuC システムアーキテクト SA01試験、およびSA02試験) ▪問題数:約40問/1試験 ▪試験実施方式:マウスによる選択方式、一部キーボード入力問題 ▪試験実施言語:日本語のみ(2024年より英語試験が追加予定) ▪試験日程:通年受験が可能(予約の空き状況次第) ▪試験方式:CBT(Computer Based Testing)形式 ▪試験申込:ピアソンVUEのサイトより ▪EDUCU-ID:LinuCの受験にはEDUCO-IDが必要、試験予約やマイページへのアクセスに利用 ▪試験会場:全国のテストセンターおよび自宅や職場からオンライン受験 ▪受験料金:  ・一般価格 27,500円(税込)「2023年10月12日(木)〜2024月3月31日(日)まで半額」 ▪出題数:40問(すべて選択問題) ▪試験時間:90分(アンケート時間5分を除くと実質85分) ▪認定要件:「LinuCレベル2資格」を持ち、「SA01試験」と「SA02試験」のいずれにも合格すること ▪合否結果:テストセンターでは試験終了後に端末に表示、オンライン受験ではマイページにて確認 ▪学習期間:半年~1年目安 ▪有効期限:有効期限はないが、有意性の期限は5年であり、有意性を保つには5年以内に再認定が必要

出題範囲

LinuCシステムアーキテクト認定試験は、LinuCレベル2を取得済みで、SA01試験とSA02試験の両方に合格することで取得できます。SA01試験とSA02試験は、それぞれ異なる出題範囲があり、別々に受験する必要があります。試験の出題範囲は、以下の通りです。

■ SA01試験 複数ノード間の業務機能の分割、制御、連携集約の方式に着目したアーキテクチャパターン比較、仮想マシンやコンテナを用いる際に使われるネットワーク技術の選定などが問われます。

他にシステムの複雑化を避け、要素ごとの独立した変更や拡張がしやすく柔軟性の高いシステムを実現するアーキテクチャパターンや通信プロトコル、設計技術を理解する能力などが問われます。

出題範囲は、以下の4エリアです。

1.システムアーキテクチャ 2.ネットワークとストレージの選定 3.可用性の設計 4.性能・拡張性の設計

■ SA02試験 非機能要件(可用性、性能・拡張性、セキュリティ、運用性・保守性)のそれぞれを実現するための要素技術の理解、クラウドネイティブな設計アプローチや開発手法の理解、安定稼働と継続的開発を見据えた監視やテスト体制の設計、運用中のトラブル対応を主導する能力などが問われます。

出題範囲は、以下の5エリアです。

1.仮想マシンとコンテナの設計 2.セキュリティ 3.監視と分析 4.継続的開発とテスト・デプロイ 5.トラブルシューティング

難易度

LinuCシステムアーキテクトの合格ラインや合格率など、難易度に関わる情報はLPI-Japanから公表されていません。LPI-Japanによると、LinuCシステムアーキテクトのスキルレベルは、ITSS(ITスキル標準)の「レベル4」相当の技術力を認定するとしています。

レベル4とはIT資格試験では最難関のレベルに属し、IPAの情報処理試験では、ITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、システム監査技術者などの高度試験に匹敵します。

いずれの試験も合格率20%前後と難易度は高く、LinuCシステムアーキテクトは相当難易度が高い試験であると予想されます。

【参考】:LinuCシステムアーキテクト 試験概要 | Linux技術者認定試験 リナック | LPI-Japan 【参考】:ITスキル標準(ITSS) | デジタル人材の育成 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 【参考】:試験要綱・シラバスについて | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

勉強方法とおすすめの参考書

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ここではLinuCシステムアーキテクト認定試験の合格に向けて、効果的な勉強方法、おすすめの参考書や問題集について紹介していきます。

効果的な勉強方法

LinuCシステムアーキテクト認定試験に合格するには、LinuxやOSSに関する幅広い知識と技術が求められます。試験の出題範囲などから、以下の勉強方法をおすすめします。

過去問の反復演習は試験対策に効果的ですが、LinuCシステムアーキテクト試験は過去問がありませんので、レベル2やレベル3の過去問を解くことで対策になります。

1.技術解説書を読む以外に、実際に手を動かして読んだ内容を確認しましょう。例えば、仮想マシンやコンテナを用いて、Linuxの様々な機能やツールを試してみることも重要です。

2.クラウドサービスやOSSに関するドキュメントを参照して、最新の技術動向やベストプラクティスについて学ぶことも必要です。

3.レベル2、レベル3の問題集を繰り返し解いて、理解度を上げていくことも重要です。公式サイトやブログなどで公開されている例題や模擬試験を利用しましょう。また参考書の理解度テストなどを解いて、理解が乏しい箇所については、解答の解説をよく読んで対策しましょう。

4.専用のノートを用意して、学習の進捗や成果を記録しましょう。記録することで、自分の弱点や課題が明確になります。弱点を減らしていくことで、実力が着実にアップしていきます。

【参考】:学習のすすめ方|Linuxの技術者認定ならLinuC|LPI-Japan

おすすめの参考書や問題集

LinuCシステムアーキテクト認定試験はまだ登場したばかりの試験であり、公式教材は見当たりませんが、試験の出題範囲や内容を学習できる参考書や問題集としては以下のようなものがあります。

■ ソフトウェアアーキテクチャの基礎 LPI-Japanの推奨図書です。エンジニアリングに基づく体系的なアプローチでソフトウェアアーキテクチャを解説した書籍です。ソフトウェアアーキテクチャの基本的な概念から、アーキテクトの役割、モジュールや結合、アーキテクチャスタイルなど、設計の基礎を詳しく説明しています。

▪著者:Mark Richards、Neal Ford(島田 浩二 訳) ▪頁数:436ページ ▪出版社:オライリージャパン ▪発売日:2022年3月8日

【参考】:ソフトウェアアーキテクチャの基礎―エンジニアリングに基づく体系的アプローチ

■ 入門 モダンLinux LPI-Japanの推奨図書です。Linuxを使いこなす上で必要な基本知識から最新情報までを網羅しています。

Linuxの歴史、オペレーティングシステムの役割、リソースの可視性、カーネル、シェル、アクセス制御、ファイルシステム、ネットワーク、オブザーバビリティ、高度なトピックなど、幅広いトピックをカバーしており、Linuxエンジニアの方には知識の整理になるでしょう。

▪著者:Michael Hausenblas(武内 覚、大岩 尚宏 訳) ▪頁数:248ページ ▪出版社:オライリージャパン ▪発売日:2023年4月

【参考】:入門 モダンLinux ―オンプレミスからクラウドまで、幅広い知識を会得するー

■ 例題と解説 LPI-Japanの公式サイトで公開されている、LinuCシステムアーキテクト試験の例題と解説です。これを活用して実際の試験形式に慣れておきましょう。出題範囲からSA01試験、SA02試験それぞれの例題と解説が載っています。

【参考】:例題と解説 - Linux技術者認定 LinuC | LPI-Japan

■ その他 LPI-Japanが認定するアカデミック認定校が全国にあります。学校に通う時間を確保できる方は、この中から選択して通ってみるのもよいでしょう。

【参考】:アカデミック認定校一覧|IT資格といえば LPI-Japan | LinuC/OSS-DB/HTML5/OPCEL

システムアーキテクトとしてのスキル証明を

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ここまで、「LinuCシステムアーキテクト認定試験」の概要、出題範囲や難易度、勉強方法やおすすめの教材などについて解説しました。

DX推進やAI、ビッグデータなどの実現に向けてクラウドコンピューティングが主流となっています。クラウドサービスでは圧倒的にLinux系サーバが活用されており、またITプロジェクトを成功に導ける上級エンジニアの需要も高まっています。

そうした背景から新たに誕生したLinuCシステムアーキテクト認定試験に期待が高まっていると考えられます。LinuCシステムアーキテクト認定試験は公式テキストさえ定まっておらず、受験者は手探りの状態で勉強を進めることになりますが、取得するメリットは大きなものがあると考えられます。

この機会にLinuCシステムアーキテクト認定試験の合格を目指してチャレンジしてみましょう。

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