LinuCの難易度は高い?
LinuCとは、LPI-Japanが開発・運営するLinuxを含むシステム開発に必要な知識やスキルを証明する資格試験のことです。LinuCの読み方は「リナック」です。特にインフラエンジニアとして働く方であれば、LinuCは取得しておきたい資格の1つと言えます。ここではLinuCの概要や合格率について詳しく紹介します。LinuCの難易度について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
LinuCの概要
Linux技術者認定「LinuC(リナック)」とは、クラウド/DX時代のITエンジニアに求められるシステム構築から運用管理に必要なスキルを証明できる技術者認定です。アーキテクチャ設計からシステム構築、運用管理までの技術領域を広くカバーしており、4つのレベルの認定取得を通じて一歩ずつ確実に求められるスキルを習得し、それを証明することができます。近年では多くのシステム開発の現場でクラウド技術が用いられており、LinuCの資格を持っていることはクラウド時代におけるITエンジニアとして必要なスキルを備えていることを証明可能です。
LPICは歴史のあるLinuxの認定試験であるため、Linuxのスキルを身につけたいと考えている方はLPICの資格を取得するのがおすすめです。
LinuCの試験形式はCBT方式であり、コンピュータを使用して受験します。受験会場は一般的に、全国各地の試験センター、もしくは自宅や職場からのオンライン受験(OnVUE受験)のどちらかです。団体受験を行う場合は、PBT方式で受験することも可能です。PBTとは「Paper Based Testing」の略称であり、マークシートを使用して受験します。
試験日については、基本的に予約が空いていれば自分の都合の良い日時を選択できます。また公式サイトのよくある質問によれば、試験センター「ピアソンVUE」から、自分の都合の良い日時・場所を指定して受験できる、と記載があります。
【参考】:Linuc よくあるご質問
LinuCの受験料についてはいずれも1試験あたり以下のとおりとなります。
- LinuCレベル1 16,500円(税込)
- LinuCレベル2 16,500円(税込)
- LinuCレベル3 16,500円(税込)
- LinuCシステムアーキテクト 27,500円(税込)
ただしLinuCレベル3の試験の場合、1回目の不合格日から数えて2年の間、1度に限り同一試験を5,500円で再受験することができます。合否結果は基本的に受験直後に分かります。またLinuCは試験センター「ピアソンVUE」を経由して日本を含む世界中から受験することができ、言語も日本語/英語を選んで受験可能です。
LinuCの合格率
LinuCの合格率は公開されておらず、合格点も非公開です。公式サイトのよくある質問によると、合格点は目安として65%~75%程度の正解率とされており、正確にLinuCの合格率や難易度を把握するのは難しいでしょう。
【参考】:Linuc よくあるご質問
具体的な合格率は不明ですが、例えばITエンジニアの登竜門とされる基本情報技術者試験と比べると、LinuCレベル1はLinuxの基本的なコマンドや操作スキルについて問われ、試験範囲が比較的狭いため対策がしやすいです。
また公式サイトの情報によると、LinuCレベル1に合格するための勉強時間の目安は初めて受験する方の場合、1カ月~3カ月程度と記載されています。そのため特にLinuxに関する実務経験のある方であれば、LinuCレベル1はIT系資格の中では難易度が低いと言えます。
【参考】:Linuc で証明できるレベル
LinuCの特徴・メリット
LinuCの概要や難易度については理解できたでしょうか。ここでは、LinuCの特徴や資格取得するメリットについて詳しく紹介します。
レベルは4段階
LinuCはレベル1からレベル3、そしてシステムアーキテクトまでの4つのレベルで資格試験が用意されています。徐々にステップアップしていく構成となっているため、学習しやすい特徴があります。なお上位レベルの認定を受けるためには、下位レベルの認定が必要であるため注意が必要です。例えばLinuCレベル2の認定を受けるには、レベル1の認定を保有していなければなりません。受験自体は特に条件はないため、誰でも受験が可能です。
LinuCレベル1の認定を受けるには、101試験と102試験の両方に合格しなければなりません。レベル2も同様で、201試験と202試験に合格する必要があります。レベル3に関しては、300試験・303試験・304試験の3つの独立した試験から構成されているため、どれか1つの試験に合格し、下位の資格の認定を受けていれば、レベル3の認定を受けることが可能です。
LinuCシステムアーキテクトはSA01試験とSA02試験の両方に合格しなければなりません。
試験の合格に有効期限はありませんが、再認定ポリシーとして有意性の期限は5年間となっているため注意しましょう。有意性を維持するためには、認定を受けた日から5年以内に再認定を受けなければなりません。もしくは保有している認定レベルより、上位の認定を5年以内に取得する必要があります。また勉強時間や試験の具体的な内容は、下記のサイトを確認するのがおすすめです。
【参考】:Linuc で証明できるレベル
試験問題の質が高い
LinuCの試験問題は、Linuxに関わる様々な立場の方が参加しているコミュニティより作成されているため、質の高い試験を受験できます。例えば、インフラエンジニア・アプリケーションエンジニア・カーネルエンジニア・スクールの講師・技術書の著者などの方々がコミュニティに所属しています。LinuCは多方面から現場で役立つスキルについてヒアリングを行い、作成されているのが特徴です。
またLinuCの出題範囲の改定は、3年~5年程度を目安に行われているため、LinuCの資格を取得すればLinuxをはじめとするシステム開発に関する最新のスキルを保有しているという証明ができます。
サーバーエンジニアに求められる知識を身に付けられる
近年のLinuxを扱うITエンジニアに要求されるスキルは、クラウド技術・オープンソースの知識・システムアーキテクチャの知見など、ますます多岐にわたってきています。それらをいかに効率的に習得し業務に活用していくのかと言うことをエンジニアは要求されていると言えるでしょう。LinuCの認定取得を目標に学習を進めていけば、それぞれのレベルに応じて必要とされる知識やスキルを体系立てて身に付けることが可能です。
また、サーバーエンジニアにとってLinuxの操作スキルは基礎であるため、土台となるスキルも習得できます。さらにLinuCでは、仮想化に関する問題も扱っているため、仮想化技術の知見を身に付けることができます。仮想化の技術は、サーバーリソースを有効活用するうえで必須ともいえる技術です。
このようにサーバーエンジニアを目指す方や、サーバーエンジニアとしてキャリアアップする方に、LinuCはおすすめの資格と言えます。
就職・転職や年収アップに役立つ
LinuCはすでに多くのIT企業で人材育成のツールとして活用されているため、就職や転職する際にスキルのアピール素材として有効的です。特に実務経験のない未経験からインフラエンジニアに就職や転職する場合に役立ちます。未経験でLinuCの資格を取得していれば、エンジニアになるための熱意も応募先企業に伝えることが可能です。
またIT業界全体として人手不足であるため、LinuCをはじめとするIT系の資格を保有していれば、エンジニア就職・転職において、役立つことは間違いないでしょう。なおサーバーエンジニアではなく、ネットワークエンジニアを目指したいと考えている方は、CCNAの資格にチャレンジするのがおすすめです。
さらにLinuCの資格を取得すれば、一時金や資格手当が支給される企業もあります。昇給・昇格の条件に設定している企業もあるため、年収アップさせるためにLinuCを取得するのもおすすめです。LinuCを取得すれば、実務で役立つスキルを習得できるため、現場で活躍できる人材を目指せます。
LinuC試験に合格するためにおすすめの参考書
ここでは、LinuC試験に合格するためにおすすめの参考書(レベル1向け)について詳しく紹介します。その際参考書だけではなく、動画や学習サイトなど様々な勉強方法を併用すると、効率よく勉強可能です。また最も大切なのは、実際にLinuxのコマンドなどを操作できる環境を用意することです。
最短突破 Linucレベル1 合格教本
本書籍はLinuC試験の中でも、レベル1のバージョン10.0(101試験・102試験)の出題範囲を網羅しています。実績のある講師によるわかりやすい解説で、資格を取得するために必要なスキルを短期間で習得することが可能です。また付属のDVD-ROMには、仮想環境で動作するLinuxのイメージを収録しているため、実際に手を動かしながら勉強することができます。
さらに演習問題や101試験と102試験の模擬問題が記載されているのも特徴です。このように本書籍では、インプットだけではなく、アウトプットもできるように構成されているため、着実にスキルを習得できます。
【参考】:最短突破 Linucレベル1 合格教本
Linux教科書 LinuCレベル1 スピードマスター問題集 Version10.0対応
本書籍はLPI-Japanの厳正な審査を通過した信頼性の高さが特徴です。また演習問題は472問あり、身に付けた知識をアウトプットする際に本書籍は活用できるでしょう。さらに問題に対して解説が1つひとつ用意されているため、テンポよく学習を進めることが可能です。101試験と102試験の模擬試験も付いているため、今の自分のレベルをきちんと把握できます。
【参考】: Linux教科書 LinuCレベル1 スピードマスター問題集 Version10.0対応
目的を明確にし適切な勉強方法でLinuCの資格取得を目指そう
これまでにLinuCの難易度・特徴・メリット・参考書について解説しました。LinuCとは2018年に開始されたLinuxを含むシステム開発に必要となる知識やスキルを証明するための資格試験を指します。LinuCの難易度の目安となる合格率や合格点は公表されていないため、明確な指標はありませんが、LinuCレベル1の勉強時間は1カ月~3カ月程度と記載されています。LinuCレベル1の場合、Linuxの操作経験のある方であれば、IT系資格の中では難易度は低いと言えるでしょう。
またLinuCはレベル1からシステムアーキテクトまでの4段階の試験が用意されており、試験問題の質の高さが特徴的です。さらにLinuCの資格を取得すれば、サーバーエンジニアに求められるスキルを身に付けることができます。インフラエンジニアを目指すのであれば、Linuxの操作スキルは基礎となるため、LinuCの資格は就職や転職の際に役立つでしょう。
LinuCを勉強するにあたって、参考書・動画・学習サイトなどを併用して学習するのがおすすめです。また手を動かす環境も必ず用意するようにしましょう。
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