CCNPの勉強方法とは
CCNPの勉強法は、シスコの公式教材やオンライン教材の活用の他に、市販の参考書で学ぶ、シミュレーター環境で実践力を身に着ける、過去問や模擬試験問題でトレーニングするなど、様々な方法が考えられます。
まずはCCNP資格とは何か、その概要や難易度、CCNP資格取得者の年収、CCNPに合格するための勉強方法などについて紹介します。ネットワークスペシャリストを目指したい方や、資格を取得して転職を有利にしたい方はぜひ参考にしてください。
CISCOの認定資格
シスコ技術者認定資格には次の5つのレベルがあります。エントリーレベルは英語試験のみですので、実質的に日本では4つのレベルになります。CCNPは中級レベルのプロフェッショナルに位置します。スペシャリストレベルはプロフェッショナルレベルの認定試験に合格することで取得できます。
▪エキスパート(CCIE、CCDE):世界に通用する高水準のスキルレベル ▪スペシャリスト(Cisco Certified Specialist、Cisco Certified DevNet Specialist):上級レベル ▪プロフェッショナル(CCNP、DevNet Pro、CyberOps Pro):中級レベル ▪アソシエイト(CCNA、DevNet Associate、CyberOps Associate):基礎レベル ▪エントリー(CCT)※英語試験のみ:入門レベル
【参考】:シスコ認定キャリアパス|Cisco 【参考】:シスコスペシャリスト認定|Cisco
プロフェッショナル資格
シスコ認定のプロフェッショナルレベルには、以下の7種類の資格があります。
CCNPは「Enterprize」から「Collaboration」までの5種類あり、最もよく知られているベーシックな資格は「CCNP Enterprize」です。
- CCNP Enterprise
- CCNP Data Center
- CCNP Security
- CCNP Service Provider
- CCNP Collaboration
- Cisco Certified CyberOps Professional
- Cisco Certified DevNet Professional
【参考】:プロフェッショナル認定|Cisco
シスコ再認定ポリシー
シスコ技術者認定資格には全てのレベルで3年間の有効期間が設けられており、再認定を受けないと資格が失効します。
再認定には、継続教育プログラムのアクティビティ終了、もしくは試験に新たに合格する、その両方の組み合わせのいずれかのアクションが必要です。この再認定ポリシーがあることで、シスコ技術者認定資格が世界から信頼されているのでしょう。
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CCNP試験の概要
プロフェッショナルレベルに位置するCCNPには5つの資格がありますが、ここではCCNPの中で最もよく知られている「CCNP Enterprise」を中心に解説します。
CCNP試験の出題範囲
CCNP試験では、「コア試験1科目」と「集中試験1科目」の計2科目を受験する必要があります。それぞれの出題範囲と出題比率を確認しておきましょう。
■ CCNP Enterpriseコア試験(ENCOR 350-401) ENCOR(350-401)は6つの分野から出題され、その出題比率は次の通りです。
▪デュアルスタック (IPv4・IPv6)アーキテクチャ:15% ▪仮想化:10% ▪インフラストラクチャ:30% ▪ネットワークアシュアランス:10% ▪セキュリティ:20% ▪自動化:15%
【参考】:350-401 ENCOR|Cisco
■ CCNP Enterprise集中試験( ENARSI 300-410) CCNP Enterprise集中試験6種類の中でも最も受験者が多いENARSI(300-410)では、次の4つの分野から出題されます。
▪レイヤ3テクノロジー:35% ▪VPNテクノロジー:20% ▪インフラストラクチャセキュリティ:20% ▪インフラストラクチャサービス:25%
【参考】:300-410 ENARSI|Cisco
CCNP試験実施概要
CCNP試験はいつでも、会場が空いていれば都合の良い日に、自宅や職場近辺の会場で受験できます。また自宅からオンライン受験も可能です。実施概要については以下の通りです。
▪試験方式:コンピューターテスト(CBT方式) ▪実施日程:通年(テストセンターによっては受験できない日がある) ▪試験申込:Cisco試験の委託先ピアソンVUE ▪受験資格:特になし ▪受験料 : ・CCNP コア試験 $400(税別) ・CCNP 集中試験 $300(税別) ▪支払方法:クレジット、銀行振込、コンビニ支払い ▪試験会場:テストセンターもしくは自宅など選択可能 ▪試験時間:コア試験120分と集中試験(選択)90分の合計210分 ▪出題数 :非公表 ▪出題形式:選択問題(単一選択、複数選択)、入力問題、ドラッグアンドドロップ問題、シナリオ問題、シミュレーション問題 ▪試験結果:当日にその場でコンピュータに表示、会場受験ではスコアレポートがもらえる
【参考】:CCNP Enterprise 認定とトレーニングプログラム|Cisco 【参考】:Cisco 認定試験のチュートリアル ビデオ 【参考】:シスコ技術者認定 |ピアソンVUE 【参考】:Cisco オンライン監督試験|ピアソンVUE
CCNP試験の難易度
CCNPはシスコ認定資格の中では中級レベルの資格ですが、シスコの試験自体が難しく、CCNPの難易度は高めであると想定されます。シスコ社は認定試験の合格率や合格点などを開示しておらず、正確な難易度を測れないため、よく知られたIPAの試験から難易度が近いと思われる資格を探してみましょう。
難易度を測る方法として、企業がIT資格取得奨励のため支給している資格手当が考えられます。それは概ね、資格手当の金額が資格の希少性や難易度に比例しているからです。CCNPの資格手当は求人情報、企業の採用情報などから月額10,000円〜20,000円が中心であることが分かります。
一方、IPAのIT資格で10,000円〜20,000円程度の手当が支給されている資格に【ITSSレベル3※】の「応用情報技術者資格」があります。すなわち、CCNPはITSSのスキルレベル3に相当する難易度であると想定できます。
ちなみにIPAの情報処理技術者試験の中で、最難関試験は「ITストラテジスト」でスキルレベルは4ですので、スキルレベル3のCCNP試験は難易度は高めであることが分かります。
※ITスキル標準(ITSS)は経済産業省が、個人のITスキルを職種や専門分野ごとに明確化・体系化し、IT人材に必要なスキルなどを定めた指標であり、IPAが管理しています。最高7段階までのスキル・レベルが設定されており、数字が大きいほど難易度が高くなります。
IPAの情報処理技術者試験では、スキルレベル1から4までが設定されており、レヘル5以上の試験はありません。各レベルの定義は以下のようになっています。
・レベル7:国内のハイエンドプレイヤーかつ世界で通用するプレイヤー ・レベル6:国内のハイエンドプレイヤー ・レベル5:企業内のハイエンドプレイヤー ・レベル4:高度な知識・技能 ・レベル3:応用的知識・技能 ・レベル2:基本的知識・技能 ・レベル1:最低限求められる基礎知識
【参考】:2.ITスキル標準とは -ものさしとしてのスキル標準 | IPA 【参考】:試験におけるレベル分け(40p「表2.情報処理技術者試験との対応関係」参照) | IPA 【参考】:ITスキル標準V3 2011 ダウンロード | IPA
必要な勉強時間は300時間前後
CCNPに独学で合格するには、どの程度の勉強時間が必要なのでしょうか?CCNPの合格体験記が多数掲載されている、IT系オンライン学習サイト「Ping-T」の投稿内容から見る限り、半年前後(300時間)と見られます。
1日1時間の学習で約1年を要します。初学者でもCCNPの受験は可能ですが、400時間〜500時間の勉強が必要となるでしょう。
【参考】:CCNP合格体験記 | Ping-t
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CCNP資格取得者の年収
ネットワークエンジニアの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」によると380万円(※2023年11月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」からIT保守を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円と比較しても、「マイナビエージェント 職種図鑑」の平均年収380万円は低めですが、この数字は20代の年収であり、30代では427万円と上がっていますので、年齢を考慮するとほぼ民間企業平均年収と同等と言えます。
近年はあらゆるシステムがネットワークに接続されており、またクラウド利用が急速に進む中、専門的なネットワーク知識を有するエンジニアの需要は高まっていると見られます。ネットワークエンジニアのスキル証明となるCCNP資格取得者は年収アップやキャリアチェンジが十分期待できるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
CCNPの勉強方法やおすすめの参考書
CCNP試験の合格には300時間程度の勉強が必要だと分かりましたが、では何をどのように勉強すればよいのでしょうか?一般的には参考書で学び、過去問を解くというのが試験対策ですが、CCNPは過去問が存在しません。
また、シスコの公式スクールもありますが、受講料が高い(CCNPの1つのコースで15万円前後)ことから推奨しかねます。そこで、ここでは信頼ができ、実績のある参考書とオンライン学習サイトを紹介します。
【参考】:Cisco Learning Network Store
参考書や問題集による独習
CCNP試験の参考書として、コア試験用と集中試験用の2冊を紹介します。この2冊を活用し、徹底学習することで合格の可能性が高まるでしょう。
■ シスコ技術者認定教科書 CCNP Enterprise 完全合格テキスト&問題集 コア試験ENCOR(350-401)対応 CCNPのコア試験ENCOR(350-401)に対応する参考書です。この本は、IT技術専門スクールの講師陣による教科書であり、出題範囲や重要ポイントを詳しく解説してあります。章末に付いている確認問題、Webダウンロード特典の模擬試験により、合格に必要な知識とスキルを効率的に身につけることができます。
▪著者:林口 裕志、川島 拓郎 ▪ページ数:976ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2022年9月21日
【参考】:シスコ技術者認定教科書 CCNP Enterprise 完全合格テキスト&問題集 [対応試験]コア試験ENCOR(350-401)
■ シスコ技術者認定教科書 CCNP Enterprise 完全合格テキスト&問題集 集中試験ENARSI(300-410)対応 CCNPの集中試験ENARSI(300-410)に対応する参考書です。コア試験ENCOR(350-401)対応テキストとほぼ同じような構成で、章末の確認問題と、Webからダウンロードできる模擬試験によって、集中試験の合格に必要な実力を身に付けることができます。
コア試験用テキストと併せて利用することをおすすめします。
▪著者:林口 裕志、川島 拓郎 ▪ページ数:864ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2021年8月30日
【参考】:[シスコ技術者認定教科書 CCNP Enterprise 完全合格テキスト&問題集 [対応試験]コンセントレーション試験 ENARSI(300-410)]https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798170725)
オンライン学習サイトを利用する
CCNPの学習では参考書や問題集以外に、オンラインで動画や問題を提供している勉強サイトの利用がおすすめです。オンライン学習サイトの利点としては、
▪自分のペースで学習できる ▪実際の試験に近い形式で問題を解くことができる ▪解答や解説を確認して学べる
などがあります。ここでは無料や低料金のオンライン学習サイトを2つ紹介します。
■ CCNP イージス CCNP Enterpriseの集中試験の1つ、「ENARSI(300-410)」に対応したWeb教科書を提供するサイトです。テキストでは、試験の内容や傾向を詳しく解説しており、費用は無料です。スマホやタブレットでも利用できますので、スキマ時間や移動時にも効率的な勉強ができます。
【参考】:CCNPイージス
■ Ping-t CCNP Enterpriseのコア試験とコンセントレーション試験の両方に対応した問題集を提供するサイトです。豊富な合格体験を読むことができ、分からないことはアドバイスを受けることも可能です。料金は月額2,400円からで、12ヶ月6,800円、24ヶ月で9,800円で利用できます。
【参考】:Ping-t 総合学習サイト
CCNP資格を活かして活躍を目指す
ここまで、シスコ技術者認定試験のCCNPについて、試験の概要や勉強方法などを解説しました。あらゆるシステムの構築に欠かせないネットワークは、AIの時代に突入してもその役割は不動であり、ネットワークエンジニアの必要性は揺るぎません。
取得したCCNPを活かす方法としては、企業内でステップアップを図る以外に、ネットワークエンジニアが活躍する企業への転身も1つの選択肢です。しかし、仕事を続けながら行う転職活動には不安がつきまとうものです。
数ある求人から自分を必要とする企業を探し出し、企業研究を行う必要があります。面接対策、履歴書作成、企業とのコンタクト、条件交渉など大きな負担が待ち構えています。
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