Windows11の排他モードとは
ネットワークのスピードアップにより、ブラウザから利用できるストリーミング配信サービスの人気が高まっています。パソコンでYouTubeやAmazon music、ゲームを楽しむ方も少なくありません。そんな方に知っておいてもらいたいのが「排他モード」です。
Windows11にも排他モードの設定があります。パソコンで排他モードを利用すると、他のアプリの影響を排除して、サウンドデバイスの遅延がなくなって負荷が減り、音質が向上します。この記事では、Windows11の排他モードを利用した、オーディオ補正の方法について解説します。
パソコンでサウンドの音質にこだわりたい方、音質を上げたい方はぜひ参考にしてみてください。
そもそも排他モードとは
この排他モードは、「WASAPI」の排他モードとも呼ばれ、音質が変化する「オーディオエンジン」を経由せずに音を高音質で再生する機能のことです。WASAPIは「Windows Audio Session API」の略語で、Microsoftが開発したWindowsのオーディオ処理システムに導入されているAPIの1つです。
WASAPIには排他モード以外に「共有モード」がありますが、こちらが標準モードです。それは、パソコンでは様々な音を扱う必要があるからです。バソコンで扱う音は、音楽再生アプリ以外に動画再生アプリの音声トラックやシステムの警告音もあります。
それぞれのアプリやプログラムのオーディオ出力機能を共有して利用できるようにするのがOSの役目であるため、共有モードが必要なのです。このバラバラの音をまとめるのが「ミキサー」というOSの機能です。ミキサーは負荷の高い処理であり、遅延や音質低下を招きます。
パソコン上でミキサーの役割を果たしているのは「オーディオエンジン」ですが、排他モードではこのオーディオエンジンを経由せずに、直接「オーディオドライバー」に接続されます。これにより、排他モードでは音源処理の負荷が減って、音質が向上するのです。
【参考】:WASAPI について - Win32 apps |Microsoft Learn
排他モードのメリット/デメリット
排他モードは「他を排する」ということですから、占有モードと言ってもよいでしょう。排他モードのメリットとしては高音質が挙げられます。一方でデメリットは、パソコンのオーディオ再生機能が1つのアプリに占有されてしまい、再生に使うアプリ側で音量調整ができなくなることです。
Windows11の排他モード機能の利用
Windows 11 の「排他モード」機能はデフォルトではオンになっています。排他モードをオンにしておくと、高音質を得られますが、逆に一部のアプリケーション実行時に、自動的に音量が調節されて音が出なくなったり、音量が勝手に変わったりすることがあります。
その場合には排他モードをオフにすると現象が治ることがあります。一方、「排他モード」が勝手にオフになっている場合があり、音質低下を招いていることがあります。音質が気になる方は、排他モードをオンにしてみましょう。
排他モードの確認・設定の手順
ここでは、排他モードを設定する手順について紹介します。はじめにパソコンの画面上で、タスクバーの右側にある音量アイコンを右クリックします。下図のようにコンテキストメニューが表示されますので、「サウンドの設定」を選択します。
システム設定メニューのサウンド設定画面が開きますので、右側メニューを画面下までスクロールし、「サウンドの詳細設定」をクリックして開きます。
[サウンドの詳細]をクリックするとサウンド画面が別に表示されますので、「スピーカー」を選択してダブルクリックします。
[サウンドの詳細]をダブルクリックして表示されたサウンドの設定画面から「スピーカー」をダブルクリックするとスピーカーのプロパティが開きます。ここで[詳細タブ]をクリックします。
スピーカーのプロパティから[詳細タブ]が開いたら、「排他モード」の下にある「アプリケーションによりこのデバイスを排他的に制御できるようにする」のチェックボックスに✔を入れます。
✔が入ると、その下のグレーアウトしている「排他モードのアプリケーションを有効にする」のチェックボックスが有効化されますので、こちらにも✔を入れます。最後に[OK]ボタンを押すと排他モードが有効になります。
以上で排他モードの確認、設定は完了です。開いているウィンドウを一旦閉じ、音楽や動画の再生をしてみて、音質が変わったことを確認してみましょう。
音に関するトラブルシューティング
Windows11で音に関するトラブルを解決する方法として、他には「サウンドの問題のトラブルシューティング」ツールを利用する方法がありますので、解説をします。前記の方法で解決しなかった場合には、他の原因で生じている可能性がありますので、トラブルシューティングを行ってみましょう。
【参考】:Windows のサウンドまたはオーディオの問題を修正する(Windows11/Windows10) |Microsoft サポート
トラブルシューティングの手順
ここでは音に関するトラブルシューティングの機能を利用します。パソコンの画面上で、タスクバーの右側にある音量アイコンを右クリックすると下図のようなコンテキストメニューが表示されますので、メニューの1番上の「サウンドの問題のトラブルシューティング」を選択します。
複数のスピーカーデバイスがある場合は、どちらのスピーカーをトラブルシューティングするのかを尋ねてきます。トラブルシューティングをしたいデバイスを選択し、[次へ]のボタンをクリックします。
「トラブルシューティング」が開始されます。
ここで、オーディオの補正機能「効果音と拡張設定を無効にする」か否かについて尋ねてきます。それらを無効にする場合は、「→はい、オーディオ拡張機能を開きます」をクリックしてオーディオ拡張機能を開き、「すべてのサウンド効果をオフにする」のチェックボックスに✔を入れます。
効果音や拡張機能を無効にせずにトラブルシューティングを続ける場合は、下の「→いいえ、オーディオ拡張機能を開きません」をクリックします。
「サウンドの問題のトラブルシューティング」が終了すると、その結果が表示されます。問題が検出され、その内容が表示されたら、その指示に従ってください。
問題が検出されなかった場合は、「問題が検出されませんでした」と表示されるので、「→トラブルシューティングを終了する」をクリックして、ウィンドウを閉じます。
音のトラブルに関するその他の注意点
トラブルシューティングを行っても、音がおかしい、音が途切れるといった問題が解決しない場合には、以下の点について確認してみてください。
■ すべてのWindows更新プログラムがインストールされているか Windows11の更新プログラムは最新のものがインストールされているか確認しましょう。更新プログラムにはサウンドドライバーが含まれている場合があります。
サウンドドライバーの不具合によって音に関連するトラブルが生じている場合は、その更新によって問題が解決することがあります。
【参考】:Windows Update:よくあるご質問 (デバイスが最新の状態であることを再確認するには)| Microsoft サポート
■ デバイスが正しく接続されているか 外部スピーカーやオーディオインターフェース、オーディオケーブルやプラグ、ジャックなどの接続が正しく行われているか確認してみましょう。
接続先が間違っていたり、ケーブル類が正しく接続されていなかったりすると音は出ませんし、音量調節もできません。少し面倒かもしれませんが、よく分からない時は一旦全ての機器やケーブルを外して再度接続し直してみることをおすすめします。
Windows11の排他モードを活用してみよう
この記事では、Windows11の排他モードの利用方法について解説しました。Windows11の排他モードをオンにすることで音質が向上し、オフにすることでアプリの音量が勝手に変わることを防いでくれます。
音にこだわる方は排他モードをオンにしてパソコンを利用し、音量調整を細かく行いたくない方は排他モードをオフにして使うことをおすすめします。
今回はWindows11の排他モードについて解説しましたが、Windows11は様々な機能を有効活用することで、快適な環境を手にできます。この記事でWindows11の活用力アップにつながれば幸いです。
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