リスキリングとは?意味や重要性とメリット、成功のポイントも解説
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リスキリングとは?意味や重要性とメリット、成功のポイントも解説
アンドエンジニア編集部
2023.06.06
この記事でわかること
リスキリングとは、企業が社員に、働き方の変化や技術革新によって新たに必要とされるスキルを習得させる取り組みのこと
リスキリングへの取り組みには、業務の効率化、新規事業の創出、自律型の人材の育成などのメリットがある
リスキリングの成功のポイントは、社員にリスキリングの意義を理解してもらい、自ら取り組む姿勢を持ってもらうこと

リスキリングとはどのようなものか

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近年話題になっている「リスキリング」とは、企業において社員の職業能力の再開発を行う取り組みのことです。DX推進によりAIやITの活用が重要視される中、これからの時代の変化に備えて、リスキリングに積極的に取り組む企業が増えつつあります。

この記事では、リスキリングに興味を持っている方のために、リスキリングの意味や重要性・導入のメリットを解説します。また、リスキリングを成功させるステップやポイントについても説明していきます。

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リスキリングの意味

リスキリングとは、働き方の変化や社会の技術革新に伴うビジネスモデルの変化に対応できるよう、新しいスキルを身につける取り組みのことです。英語では、「reskilling」と表記し、「スキルの再習得」を意味します。

リスキリングはAI技術やITの発達に応じて必要とされる、デジタルスキルを習得するという意味合いで使われることが多いですが、デジタルスキルに限らず、ビジネスモデルの変化に応じた新たなスキルを身につけることを指します。

リスキリングの主体

リスキリングは、企業が社員に学びの機会を提供するという側面から、企業側が主体で語られることが多いですが、実際には学ぶ社員が自主的に学ぶ意欲を持つことが重要です。

よって、リスキリングの主体は企業と社員の両方であると言えます。そのため、リスキリングによりスキルを「習得させる」「習得する」という双方の表現が使われます。

リカレントやアンラーニングとの違い

リスキリングに似た用語として、「リカレント」や「アンラーニング」がありますが、どう違うのでしょうか。

リカレントは「繰り返す」「循環する」という意味の言葉で、1度仕事を離れて大学などの教育機関に戻り、知識やスキルを身につけ再就職をすることです。リカレントは、個人が自身のライフキャリアなどを見据えて行うもので、企業内でキャリアを継続しながら能力の再開発を目指すリスキリングと異なります。

また、アンラーニングは既存の知識やスキルを1度棄却し、代わりに新しい知識やスキル・スタイルを取り入れることで、「学習棄却」とも呼ばれます。アンラーニングは、新しいものを取り入れるために、今あるものを1度「捨てる」ということに主眼が置かれますが、リスキリングにはそのような意味合いはありません。

リスキリングの必要性が高まっている背景

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近年、リスキリングが注目を集め、企業が取り組みを強化しているのはなぜなのでしょうか。その必要性が高まりつつある背景には、いくつかの理由があります。

DXの浸透で産業構造やビジネスモデルが変わりつつある

IT技術の発展により、多くの企業が社内のデジタル化の取り組みを推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れることで、業務効率やアップや、顧客サービスの向上を目指すようになりつつあります。

DXの社会への浸透は、企業が属する業界全体や、企業のビジネスモデルを変革させる可能性を持っています。企業がこれからの時代に合わせた経営戦略を立案・実現するには、新しいスキルを持つ人材が必要となることから、社員の能力の再開発を行うリスキリングが重要視されるようになってきています。

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リスキリングの重要性が世界的に注目を集めている

世界的にも、リスキリングがもたらすメリットは広く認知されています。

2020年に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では「リスキリング革命」が議題となり、「2030年までに10億人により良い教育、スキル、経済的機会を提供する」と発表しています。

日本でも、経済産業省が「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を公募しており、各自治体の2023年度予算には新規事業として、企業や個人向けのリスキリング支援が豊富に盛り込まれるなど、リスキリング支援の動きが活発化しています。

【参考】:Reskilling Revolution: Preparing 1 billion people for tomorrow’s economy | World Economic Forum 【参考】:令和4年度補正予算「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の公募について (METI/経済産業省)

リスキリングに取り組むメリットとは

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リスキリングに取り組むことは、多くのメリットをもたらします。業務の効率化や新しい事業の創出、人材育成や新しい時代への適応などが挙げられます。

業務の効率化が期待できる

リスキリングの目的の大きなものの1つとして、IT化・DX推進への対応があります。

リスキリングによりデジタル人材を育成することで、情報共有ツールを導入して情報共有コストを削減したり、定型作業の自動化や、生産性が低い事務作業のデジタル化により作業時間を短縮したりするなど、ITを活用した社内の業務改善が見込めます。

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新しい事業の創出につながる

企業が社員にリスキリングにより新たなスキルの習得を促すことで、新しいビジネスモデルの創出にもつながります。

リスキリングの大きな意義の1つであるデジタル化によって定型的な作業が自動化されることで、社員は新しい業務や事業に取り組む時間が取れるためです。

また、リスキリングの習得対象となるスキルはデジタルスキルだけに限りません。新しい時代に合わせて新たな分野や業態にチャレンジするため、これまで企業が蓄えていない全く新しいスキルを身につけることで、企業がさらなる付加価値を生み出すことにつながります。

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自律型の人材を育成できる

社員にリスキリングの機会を提供することで、自ら学び、キャリアを開拓していく意識が生まれます。リスキリングによって学ぶことが、自分にとって、そして企業にとってどのような意義を持つかを考えるチャンスになります。

これにより、企業にとって成長の原動力となる、自発的に考えて動くことができる自律型の人材を育成することができます。リスキリングのメリットは単純なスキルアップのみならず、社員の意識向上にまで及びます。

社内の文化を守りながら新しい時代に適応できる

リスキリングのもう1つのメリットは、企業に所属する社員が、自社の文化も守り尊重しながら、新しい分野や事業への挑戦を可能にすることです。

企業が新しいビジネスモデルを構築し運用するに当たっては、その分野の専門的なスキルを持つ人材を外部から招き入れるのも有効な手段ではありますが、その場合、企業の持つ風土や既存の事業との兼ね合いをよく考慮しながら計画を進める必要があります。

一方、自社の文化を知っている社員が、リスキリングにより新たなスキルを身につけて新規事業に取り組めば、会社のやり方や既存顧客ともうまく折り合いを付けながら、企業の新しい姿を構築していけるでしょう。

リスキリングを浸透させるステップ

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リスキリングに取り組む場合には、しっかりと計画を立てて、リスキリングによって達成したい目的に向かうためのステップを踏むことが効果的です。

リスキリングで何を習得するか決める

まずは、企業の経営戦略や、これから取り組みたい事業内容などを明確にし、その達成にどのようなスキルを持つ人材が必要かを検討しましょう。

むやみにリスキリングすればいいわけではありません。企業が目的に向かうために、どのようなスキルが、どの程度のレベルで、何人くらい必要なのか、資格取得を目指すかどうか、などの人材戦略が必要です。

リスキリングのプログラムを策定する

リスキリングのプログラムは、社員が最も効率的に学べるものにすることが大切です。研修やeラーニング、外部講師を呼んでの講習なども活用して、できるだけ社員が学びやすいプログラムを策定します。同業他社のリスキリングの成功事例を参考にしても良いでしょう。

目的のスキルに到達するまでに必要な学習が多岐にわたる場合には、習得の順序をよく考えることも必要です。学ぶ順序をよく考えないと、スキルの習熟速度や習熟度が落ちることもあります。

社員に取り組ませる

リスキリングのプログラムを用意したら、社員に取り組んでもらいます。リスキリングは、原則として勤務時間内に行われるもので、通常の業務に加えて新しいスキルについての学習を行うことになります。

そのため、多くの社員に一斉に取り組ませずに時期を分けたり、業務の閑散期に集中してリスキリングの研修を設けたりするなど、企業側の配慮も大切です。

これにより社員の取り組みやすさが大きく変わり、リスキリングの成果にも影響を与えます。

効果を検証し、得た知識やスキルを業務に活かす

社員がリスキリングで習得した知識やスキルを、十分に業務で活用できる機会を設けましょう。リスキリングにより新しいスキルを身につけ、それを用いて活躍する意欲が高まっているうちに経験を積んでもらうと効果的です。

習得後のモチベーションが高いうちに、スキルを活かせる業務を担当してもらったり、部下に習得したスキルをレクチャーする場を設けたりするなどして活用してもらうことで、定着の度合いが高まります。

リスキリングを成功させるのポイント

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リスキリングを行うことで、社員の能力の再開発が可能ですが、それを将来的に企業の成長に繋げるレベルにまで到達させるためには、押さえておくべきポイントがあります。

社員にリスキリングの意味と重要性を伝える

リスキリングは、社員からしてみれば「今の業務が十分できているのに、なぜ新しいスキルを学ばなければならないのか」という思いを抱く場合もあります。そのような状態では、スキルの習得に熱心に取り組むことができません。

大切なのは、社員がリスキリングのメリットや意義を十分に理解して、新しいスキルの習得に取り組むことです。

リスキリングが自らのキャリアアップに役立つことや、自分が身につけたスキルで企業がさらに成長することを十分認識してもらい、社員自身にリスキリングに取り組みたいという気持ちを持ってもらうことが重要です。

社員がリスキリングに取り組みやすい環境を作る

日常の業務に加えて新しいスキルの習得を行う場合、周囲の社員の協力も必要です。リスキリングを行う社員が、通常業務から離れて研修を行うような場合には、チームメンバーがそれを理解してサポートする雰囲気づくりも大事です。

そのためには、リスキリングを行う意欲の高い社員を集めて取り組ませたり、インセンティブを用意したりしてモチベーションを維持するなどの方法も有効です。

リスキリングに取り組んで時代に適応し、さらに成長できる企業を目指そう

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ここまで、リスキリングの意味やメリット、取り組みのポイントなどについて解説しました。リスキリングへの取り組みが、新しい時代の企業と社員の成長につながることがお分りいただけたと思います。

今後も一層、社会のDXの推進やIT化が進み、デジタルイノベーションが多くの業種や分野に及んでいくことが予想されます。企業が時代に取り残されず、さらなる付加価値を生み出してさらに発展するため、社員のリスキリングに積極的に取り組んでいきましょう。

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