システムエンジニアは辛い職業?
システムエンジニアは人気の職種です。将来性があり、年収も高く憧れる人が少なくありません。その一方で、SNSやネット掲示板では「システムエンジニア やめとけ」「システムエンジニア きつい」といった書き込みが見られます。
「やめとけ」という人の中には現役のシステムエンジニアがおり、「仕事が辛い」「辞めたい」といった切実な悩みを抱えているようです。
人気の職業でありながら、なぜこのようなギャップが生じているのでしょうか。もちろん人気の職種にも表と裏がありますが、先輩たちのネガティブな思考に接すると、システムエンジニアを志望されている皆さんは不安な気持ちになるでしょう。
今回は、システムエンジニアを目指す皆さんを対象に、システムエンジニアの実像を紹介して、不安や疑問を払拭してもらいます。皆さんの今後の進路を決定する上での参考になれば幸いです。
【参考】:職種別平均年収ランキング システムエンジニア・プログラマー (マイナビAGENT)
悩みを払拭するにはシステムエンジニアについて理解する
どのような職業にも光と影があります。影の部分ばかり見てしまうと、その職業に対して疑問や不安が生じます。光の部分だけを見て就職を決めてしまうと、入社してから「こんなはずではなかった」と後悔することになります。
まずは就職や転職において自身が志望する職種に関し、分からないことを払拭し、正しく理解することが重要です。
システムエンジニアは花形の職種?
マイナビニュース※によると、システムエンジニア・プログラマーは男子高校生のなりたい職業2位にランクインしています。また小学校では、プログラミングが必修科目になるなど、今まさにIT業界は花形産業となっています。
求人情報にはプログラマーやシステムエンジニア募集、急募の記事が溢れています。未経験者歓迎の募集も多く見られます。DXやAIブームを背景にITエンジニア不足は深刻化し、完全な売り手市場になっています。
未だかつて、これほどまでITエンジニアが注目を浴びた時代はありません。システムエンジニア志望の皆さんの疑問や悩みを解決していきますので、ぜひ最後までお読みください。
【参考】:※高校生のなりたい職業、女子・男子別の1位は?(マイナビニュース)
システムエンジニアの光と影
システムエンジニアが花形の職業であることを疑う人はいないでしょう。それでもシステムエンジニアの仕事に対するネガティブな見方があるのはなぜなのでしょう。
実は、システムエンジニアを経験した人の多くは、ネガティブな見方に対して一定の理解を示します。どのような花形の職種でも必ず負の側面があり、すべてがバラ色の職業などこの世にありません。
多くのシステムエンジニアは影の部分を受け止めつつ、光の部分に生き甲斐・やり甲斐を見出し、日々仕事に精励しているのですが、そのような余裕がないエンジニアも存在します。ここからは、光と影の両方にスポットを当てながら、客観的にシステムエンジニアという職業を見ていきましょう。
「システムエンジニアが辛い」と感じる理由
システムエンジニアを志望することに対して、皆さんの「ためらい」や「不安」の原因になっている「システムエンジニアは辛い」の理由はほぼ以下に集約されます。1つずつ確認してみましょう。
所定時間外労働が多い
IT業界の残業(所定外労働時間)が多い傾向にあるのは事実ですが、意外なことに厚生労働省の調査※によると、ITエンジニアの残業時間は、15業種中5位に位置し、特別多いわけではなさそうです。それでも、システムエンジニアに残業が多いと感じる人がいるのは、特定の時期に深夜残業、場合によっては徹夜を余儀なくされることがあるからでしょう。
システム開発プロジェクトでは納期が迫ると、スケジュール遅延を挽回するために長時間残業が発生することもあります。納期遅延はペナルティや損害賠償リスクがあるため、上層部から納期厳守のプレッシャーが掛かることがあります。とはいえ、無理な残業を発生させずに納期を守っている企業も少なからずありますので、残業はIT業界特有の問題とは言い切れません。
【参考】:※平成 25 年度労働時間等総合実態調査結果(厚生労働省労働基準局)
エンジニアは休日出勤がある
システムエンジニアは休日出勤をする場合があります。システム入替やメンテナンス時の立会い、トラブル対応などが理由です。他にも、システム開発の遅延挽回のために休日出勤をするケースもあります。
このようにシステムエンジニアの業務特性による休日出勤は稀にありますが、その分の代休を平日に取れることもあり、休日出勤を苦に感じない人も少なからずいます。
IT業界にはブラック企業が多い?
IT業界では、以前は長時間残業や徹夜を当たり前のように見る風潮がありましたが、働き方改革が叫ばれ、またコンプライアンス(法令順守)を重視する企業が増えた頃から、こうした風潮は消えていきました。
ベンチャー企業や中小企業の中にはブラック企業が一部残ってはいますが、大企業を中心にブラック企業は大きく減っていると考えて間違いありません。
こうしたブラック企業では、労働基準法違反・サービス残業が残っており、これらを理由に退職を決意するエンジニアがいます。
ITは職業寿命が短い
一部のIT職種では、職業寿命の問題があります。一時期「エンジニア35歳定年説」が広まったこともあり、ITエンジニアは他の職種よりも職業寿命が短いという考え方がIT業界の常識のようになっています。
システムエンジニアからプロジェクトマネージャー、システムコンサルタントといったキャリアパスを描けている人は別にして、多くのエンジニアが将来に不安を感じているのは否めません。とはいえ、ITエンジニアの役割は時代とともに変わっています。
ITなどのテクノロジーがビジネスを牽引し、そのITと経営を結びつけるのがITエンジニアの役割になってきました。また顧客との接点を作り出し、顧客体験を実現するのもITエンジニアの役目です。このようにITエンジニアの仕事は年齢という壁を越えてさらに広がっています。
文系学生や女性は向かない
20年ほど前までは、システムエンジニアは圧倒的に理系出身の男性が多かったという記憶がありますが、今や文系出身や女性のプログラマー、システムエンジニアは着実に増えていると感じます。
マイナビエージェントの記事※によれば、ITエンジニアの3割は文系出身者で占められています。
またシステムエンジニア・プログラマーの24%(マイナビAGENT※)は女性です。
「文系出身者や女性はITエンジニアは向かない」というのは偏見であり、過去の遺物と考えてよいでしょう。また、システムエンジニアはコミュニケーションスキルに優れ、経済や法律などの経営に必要な知識を兼ね備えている文系出身者や女性に向いているとの考え方もあります。
文系出身者や女性にとってIT業界のハードルが高いというのは思い込みや誤解が原因と考えて構いません。
【参考】:※システムエンジニア・プログラマー 気になる "あの" 比率(マイナビAGENT)
客先常駐を避けられない
社内SE(システムエンジニア)を希望していたのに、客先常駐SEにさせられたと失望感を抱くエンジニアの声を聴くことがあります。社風や制度が異なり、仲間が少ない客先常駐に抵抗を感じるエンジニアの気持ちは理解できます。
しかし、客先常駐SEは会社を代表して派遣されているわけですから、無能なSEはまず派遣されません。また、客先常駐SEは経験を積める、人脈を作れる、残業が少ないといったメリットもあります。
中には、客先常駐の方が待遇が良い、仕事がしやすいと感じる人も少なからずいますので、客先常駐を必ずしも忌避する必要はありません。
システムエンジニア職のメリットとデメリット
職種を選択する場合に、その職種のメリットとデメリットをしっかり押さえておくことが大切です。ここではシステムエンジニアのメリット、デメリットについて見ていきましょう。
システムエンジニアのデメリット
デメリットがあるとすれは、大きく分けて次の3つがシステムエンジニアのデメリットです。1つずつ確認してみましょう。
▪仕事量が多く忙しい
日本はITエンジニアの不足が深刻化しています。DXブーム、AIブームなどによって企業システムの刷新が大きな課題になっていることが背景としてあります。このため、ITエンジニアへの期待は高く、仕事量が多くなる傾向があります。
▪高いスキルを求められる
システムエンジニアはITエンジニアの中でも特に守備範囲が広いという特徴があります。分析力やコミュニケーションスキルに加え、プログラム言語知識やインフラの知識も求められます。業務範囲が広い分、常にスキルの更新が求められ、勉強をしなければなりません。
しかし、キャリアパスが豊富なのもシステムエンジニアの特性です。
▪責任感を求められる
システムは企業の成長と発展に欠かせない重要な役割を担っています。このシステム開発の中心に位置するのがシステムエンジニアです。システム開発は非常にやりがいのある仕事ですが、プレッシャーの掛かる仕事でもあり、強い責任感が求められます
システムエンジニアのメリット
数ある仕事のメリットの中から、システムエンジニアのメリットを3つに絞って紹介しましょう。
▪豊富なキャリアパスがある
システムエンジニアはコミュニケーションスキルやマネジメントスキルといったヒューマンスキルを求められ、しかもプログラミングスキルやインフラの知識など、さまざまなスキルを求められますが、その分だけ豊富なキャリアパスが用意されているというメリットがあります。
システムエンジニアのキャリアパスには、ITスペシャリスト、プロジェクトマネージャー、ITコンサルタント、セールスエンジニアからAIエンジニア、データサイエンティスト、インフラエンジニア、セキュリティエンジニア、IOTエンジニア、AR・VRエンジニア、など多くの選択肢があります。
中でもコンサルタント系は年齢による定年などを気にする必要がありません。
▪大きなやりがいを得られる
システム開発の目的は業務改善やビジネス強化などです。システム開発に対するクライアントの期待には非常に大きなものがあります。システムが完成し、実際に稼働を始めた後、クライアントを交えたレビューを行います。
その際に、クライアントから感謝の言葉を聴くことがありますが、これがシステム開発の大きな喜びであり、やりがいです。
自分が開発したシステムが現場の業務改善に役立ったり、売上増進に繋がったりした時の喜びはひとしおです。
▪将来独立しやすい
システムエンジニアは仕事柄、多くの人と接します。人脈を作りやすいのもシステムエンジニアならではです。こうした人脈の広さ、業務範囲の広さ、業務経験はフリーランスとして独立する際に大いに役立ちます。いつかは独立して、自分の会社を持ちたい、フリーランスとして自由に活動したいといった夢を抱くエンジニアは少なくありません。その中で、システムエンジニアはフリーランスに最も近い位置にいます。将来独立したい方は、システムエンジニアが向いています。
【参考】:マイナビIT エージェント
企業選びは重要な鍵
ここまで、「システムエンジニアは辛い」という仮説について、その検証を試みました。確かにシステムエンジニアの仕事は辛い面もありますが、仕事が辛くなる原因の多くは、職種の問題というよりは、企業選びに問題があります。
自分に合った企業、自らを伸ばしてくれる企業との縁がなければ、残念ながらやりがいや幸福感を得るのは難しくなります。システムエンジニアとなり、仕事が楽しいと思えて、生きがいを持って仕事に向かうには、就職や転職における企業選びが重要な鍵と言えます。
システムエンジニアになるには
システムエンジニアへの不安を払拭し、業界未経験からシステムエンジニアを目指すには、企業選びが重要だと分かりました。
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