フィールドエンジニアはきつい仕事?
フィールドエンジニアのフィールド(Field)とは現場のことです。フィールドエンジニアは現場(客先)に出向いて、自社の製品やシステムが正しく動作し、それらをクライアントが有効に活用できるように最善の状態を保つ役割を担ったエンジニアです。
一方では、フィールドエンジニアの仕事に関して否定的な見方もあります。ネット掲示板やSNSにはフィールドエンジニアの仕事は「きつい」「やめとけ」といった否定的な意見が見られますが、ITの重要性が増す中でフィールドエンジニアの必要性が高まっています。
では、なぜ否定的な見方があるのか、その理由を探ってみましょう。この記事では、フィールドエンジニアを目指す方や、 フィールドエンジニアへの転職を検討されている方にフィールドエンジニアの仕事の実像について紹介しますので、ぜひ進路選択の参考にしてみてください。
フィールドエンジニアはきついと言われる理由と対策
フィールドエンジニアはITの普及や発展、その存続に欠かせない重要な職種ですが、それにもかかわらずフィールドエンジニアの仕事はきついという厳しい見方がある理由はどこにあるのでしょうか。その理由を以下に述べていきます。
24時間365日の対応が求められることがある
フィールドエンジニアの業務の1つとして、機器の故障やトラブル対応があります。緊急性が高いものでは24時間365日の対応が求められます。
機器によってサポート時間が異なりますが、緊急性を要するものでは対応の遅れや、対応のミスが大きな損失を招き、クレームに発展するケースもあります。このため、フィールドエンジニアには変則的なシフト勤務が求められ、これがストレスの原因となります。
働き方改革の影響、24時間営業店舗の減少、冗長構成の機器やネットワーク自動切換えルーターなどの普及により、フィールドエンジニアの夜間出動は大きく減少していると見られます。
常に最新技術や知識が求められる
フィールドエンジニアは製品納入や障害対応などを円滑に行うため、最新の製品知識やITスキルが求められます。常に知識やスキルを最新の状態に保たなければなりません。
企業の顔でもあるフィールドエンジニアは、知識とスキルによってクライアントの期待に応える役割を担っていますので、こうしたプレッシャーがストレスになり得ます。しかし、知識やスキルのブラッシュアップはキャリアアップの大きな力となりますので、前向きに取り組むことで克服できるでしょう。
故障はないのが当たり前の世界
IT技術の利用が当たり前の時代となり、それに比例して故障や障害のリスクは高まっています。IT化の進展によって、クライアントの価値観は変わり、システムトラブルに対する見方は厳しくなっています。「故障はないのが当たり前」という見方が一般化し、機器の故障や障害対応を行うフィールドエンジニアは大きなストレスを受ける状況になっています。
一方、製品競争に勝ち残るためには故障率を限りなくゼロに近づけることが求められ、高い品質基準を持つ企業ではフィールドエンジニアの負荷は減少しています。品質第一を掲げる企業への転職を目指すことが1つの解決策となります。
こうした企業の内情は外からは分かりにくいため、信頼できる転職エージェントに相談し、情報を得ることをおすすめします。
フィールドエンジニアをおすすめできる理由
ここまで、フィールドエンジニアの仕事が「きつい」といわれる理由について見てきました。その理由の多くがフィールドエンジニアに対する期待の裏返しでもありました。それは逆に考えてみれば、フィールドエンジニアの仕事は、やりがいのある仕事だと言えます。
ここからは、フィールドエンジニアの仕事をおすすめできる理由について見ていきましょう。
自分の努力が顧客評価に直結する
フィールドエンジニアは営業職とも似た立場であり、顧客との接点が非常に多い点が特徴です。自らの働き次第で顧客の満足を高めることができます。フィールドエンジニアは自分の努力の結果を顧客の反応で直接確認できる立場にあります。これは他のエンジニアにはない大きなメリットの1つです。
様々なキャリアパスを描ける
フィールドエンジニアは会社の顔として、クライアントと接する立場にあり、クライアントの期待に応えるために、最新知識や技術を吸収する立場にあります。その結果、フィールドエンジニアは常にスキルアップを図る機会があり、様々なキャリアパスを描けます。
自由な仕事環境にある
フィールドエンジニアの職場は現場であり、ある程度の自由裁量が認められる仕事環境にあります。デスクワークよりも体を動かすのが好き、人と接するのが好きな人にはうってつけの職場環境です。社用車で現場を巡回し、様々な顧客と接することができる仕事は、他のエンジニアにはなかなか味わえるものではありません。
フィールドエンジニアの年収と将来性
フィールドエンジニアの平均年収は、「マイナビエージェント 職種図鑑」で似た職種であるテクニカルサポート/ヘルプデスクでは310万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から「顧客サポート/ヘルプデスク」を参考にすると、平均年収390万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円ですので、テクニカルサポート/ヘルプデスクのエンジニアは一般平均年収よりも、やや低めであることが分かります。
フィールドエンジニアは、早いうちに現場(Field)感覚を養う目的で、若年層を中心にフィールドエンジニアを経験させる傾向があり、これが他のエンジニアよりも平均年収が低い理由の1つにあると考えられます。
ちなみにマイナビエージェント調査でのテクニカルサポート/ヘルプデスクの平均年収は20代で282万円、30代は368万円であることから、30代前半の方が中心層と考えられます。
フィールドエンジニアのキャリアパスは、その仕事の特性から、プログラマやシステムエンジニア、営業職など豊富にあります。
【参考】:テクニカルサポートとは? 仕事内容・年収・必要なスキルについて|マイナビITエージェント ※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
フィールドエンジニアとサービスエンジニアの違い
フィールドエンジニアの他にサービスエンジニアとして人材募集をしている企業がありますが、両者に違いはあるのでしょうか。サービスエンジニアとフィールドエンジニアは基本的には同じ職種ですが、敢えて違いを見出すと、サービスエンジニアはフィールドエンジニアよりも営業支援的要素が強いと考えられます。
また、一部の大手メーカーではカスタマーエンジニア(略称CE)と呼んでいるケースもあります。
フィールドエンジニアの将来性
フィールドエンジニアには営業的な要素や、エンジニア的要素があります。また現場(クライアント)に最も近い位置におり、様々な経験を積むことができます。フィールドエンジニアは地味な職種のイメージがありますが、IT化が急速に進む中、なくてはならない重要な職種です。
フィールドエンジニアは顧客対応や営業支援を通じて、最新の知識や技術を学ぶ機会に恵まれ、様々な経験を積むことができますので、明確なキャリアパスを描いている人には多くの可能性が広がります。
フィールドエンジニアはスキルが重視され、顧客から直接評価を受けやすいポジションです。努力によって結果を出せば、大きな飛躍が望める職種です。
フィールドエンジニアに向いている人とは
フィールドエンジニアがおすすめできる仕事である理由は解説しましたが、ここではフィールドエンジニアはどのような人に向いているのかについてまとめました。
機械が好きな人
機械いじりが好きで、機械に強い人でなければフィールドエンジニアは務まりません。フィールドエンジニアが扱うものの大半はハードウェアです。故障や不具合対応、メンテナンスを行うには、機械に直接触れる必要があります。
基盤や配線を見ただけで、苦手意識が働いてしまうような人はフィールドエンジニアには向きません。メカが大好き、機械いじりが得意な人にフィールドエンジニアは向いています。
コミュニケーションが好きな人
フィールドエンジニアは現場(クライアント企業)で実際に自社製品を利用しているユーザと接するため、クライアントと円滑なコミュニケーションを取る必要があります。そのためクライアントの立場でコミュニケーションができる人、人と接するのが好きな人がフィールドエンジニアに向いています。
人の役に立つのが好きな人
フィールドエンジニアがコールされてクライアントに出向く場合の多くは、製品の不具合対応です。製品が使えず困り果てているユーザを助けるのがフィールドエンジニアの役目です。ユーザの感謝の言葉が何より嬉しい、人の役に立ちたいという人には最適な仕事です。
メンタルが強い人
フィールドエンジニアは故障やトラブル対応が的確に行える人が求められます。緊急事態に陥っても、パニックにならず冷静に対応できる人です。クライアントの立場に立って気配り、心配りをしながら復旧作業を行えるメンタルの強い人が適しています。
フィールドエンジニアにおすすめの資格
フィールドエンジニアになる上で資格は必須ではありませんが、転職の際にはスキル証明となる資格があると有利になる可能性があります。ここでは、フィールドエンジニアを目指す人におすすめの資格を紹介します。取得する順番は転職希望先の仕事内容、試験日程や興味の度合い、自身のスキルレベルなどから資格を選択しましょう。
ITパスポート試験(IP)
ITパスポートは、ITの活用に関する基礎的な知識を証明する、IPA主催の国家試験です。全国の試験会場で、コンピューターを利用したCBT(Computer Based Testing)方式で受験します。フィールドエンジニアにはITの基礎知識が求められますので、転職においてはITの基本スキルを有する証明として、ITパスポートを取得しておくことをおすすめします。
【参考】:ITパスポート試験(IP|IPA)
機械設計技術者試験
機械設計技術者試験は、機械系のエンジニア能力を評価し、認定する試験です。一般社団法人日本機械設計工業会が主催、認定する民間資格です。機械系エンジニアのスキル証明となるため、就職や転職に活用できます。
資格は難易度により、1級から3級まであります。3級には特に受験資格はなく誰でも受験できますが、2級と1級の受験には、実務経験(級と学歴で異なる)が求められます。
【参考】:機械設計技術者試験|日本機械設計工業会
MCP資格(マイクロソフト認定資格)
MCP(Microsoft Certification Program)はマイクロソフトが実施、認定する世界共通の資格体系の総称です。様々なマイクロソフト製品や職場における役割ごとに資格が設けられています。必ずしもフィールドエンジニアの仕事に直接役立つものではないかもしれませんが、ITスキルのアピールには大いに役立つでしょう。
【参考】:マイクロソフト認定資格
フィールドエンジニアとして活躍できる企業を選ぶ
ここまで、フィールドエンジニアの仕事が「きつい」といわれる理由について見てきましたが、それらはフィールドエンジニアに対する期待の裏返しであることが分かりました。
フィールドエンジニアへの不安を払拭し、自分の理想とする働き方ができる企業に転職するには、自分自身に適した企業を選ぶことが重要です。クライアントの期待に応え、活躍させてもらえる企業との出会いが転職においては重要です。
しかし、数ある求人の中から、フィールドエンジニアとしての活躍を応援してくれる企業を見つけ出すのは容易なことではありません。
そこで利用を推奨するのがマイナビIT エージェントです。
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