UbuntuとLinuxの違いとは
Ubuntuはコミュニティ※で開発されているLinuxディストリビューションの1つであり、Linuxは様々なLinuxディストリビューションのベースとなっているカーネル(中核)です。
2022年5月時点で、Webサイト向けLinuxディストリビューションのシェア※は、Ubuntuが34%と圧倒的なシェアを占めており、UbuntuがLinuxの代表的な存在となっていることが分かります。
この記事ではLinuxとは何か、LinuxとUbuntuの違い、ディストリビューションとは、Ubuntu同じくLinuxディストリビューションの1つであるCentOSとの違いなど、様々な疑問にお答えしながらUbuntuの勉強を進めていきます。
これからLinuxを扱う予定のエンジニアの皆さんはぜひこの機会にLinuxについて理解を深めてください。
【参考】:Ubuntu | Ubuntu Japanese Team 【参考】:5月Webサイト向けLinuxシェア、Debianが増加 |マイナビナュース
Linuxとは
Linuxは広義にはWindowsやMac OSと同様のOS(基本ソフト)の一種です。WindowsやMac OSは有償でクローズドソースのOSですが、Linuxは無償で提供されているオープンソースのOSという点が大きく異なります。
Linuxは企業のサーバーOSではよく利用されています。またオープンソースであることから、Linuxをベースに新たなOSを手軽に開発できます。スマホなどでよく利用されるAndroid OSもLinuxをベースに開発されました。
Linux自体はOSのカーネル(中核)であり、厳密にいうとOSではありません。LinuxをOSとしてWindowsやMac OSのように利用するためには、不足している機能があり、その機能が追加されたものがディストリビューションという形でパッケージとして配布されています。
WindowsやMac OSではマウスなどを用いたGUI(Graphical User Interface)操作が主ですが、Linuxは基本的にコマンドラインを用いたCUI(Character-based User Interface)操作で利用します。
また上級者には意図的にCUIを使う人がいますが、CUIはコンピューターのリソース(CPUやメモリーなど)をあまり消費しないため、低スペックのパソコンでも快適に動くというメリットがあります。
【参考】:The Linux Kernel Archives
Ubuntuとは
UbuntuはオープンソースのLinuxディストリビューション(配布形態)の1つで、無料で利用することができます。Ubuntuは誰でも使えるOSを目指し、GUIベースで作られており、WindowsやMacOSと同じように使える点が特徴です。
また利用できるソフトも豊富で、Microsoft Officeに代わるOfficeソフトとして「LibreOffice」があります。他にLinux向けのGoogle ChromeやZoom、Teamsなども揃っています。画像編集ソフトとしてはLinux向けに「GIMP」などの高機能な画像編集ソフトも揃っています。
そのため、Windowsと同じような利用環境を無料で構築できる点がUbuntuの魅力です。
【参考】:LibreOffice|ホーム | 【参考】:GIMP|GNU Image Manipulation Program
LinuxとUbuntuのコマンドの違い
基本的にLinuxとUbuntuではコマンドの違いはありません。
ただし、LinuxディストリビューションはそれぞれDebian系(Debian、Ubuntu)やRedHat系(RHEL、CentOS)などがあり、ディストリビューションごとに固有のコマンドが一部にありますが、Linux共通のコマンドを覚えておけば、操作で困ることはないでしょう。
【参考】:Debian | Debian JP Project 【参考】:RHEL|Red Hat Enterprise Linux 【参考】:CentOS|The CentOS Project
Linuxディストリビューションとは
Linux自体はOSのカーネル(中核部分)であり、カーネルだけの状態ではユーザーはOSとして利用するのは困難です。
OSとして利用するためには、OSの機能を動かすためにいくつものソフトウェアが必要になります。ユーザーがこれらのソフトウェアを作ったり、集めたりしていては、OSを利用するのに大変な労力と時間が必要になります。
その手間と時間を省くためにディストリビューションが作られたのです。LinuxディストリビューションはLinuxOSを動かすのに必要なソフトウェアを集めてパッケージにしたもので、いくつもの種類があります。
一般的にLinuxOSと呼ばれているのは、このディストリビューションを指しています。
Linuxディストリビューションとして最初に登場したのはSlackwareで、最もシンプルなディストリビューションと言われています。
その後、Redhat、SuSE 、Fedora、Ubuntu、Vine、Debian GNU/Linuxといったディストリビューションが登場しています。どれもLinuxカーネルをベースにして、それぞれ異なる周辺ソフトウェアやアプリケーションが組みこまれています。
そのためにインストール形式やパッケージ管理方法などが異なっています。ディストリビューションには以下のような系統があり、ここで採り上げたUbuntuはDebian系に属しています。また人気のディストリビューションとしてはLinux Mintがありますが、MintはUbuntu系から派生したディストリビューションです。
UbuntuとLinux Mintの大きな違いはUIで、UbuntuがMacOSに似ているのに対し、Linux MuntはWindowsに近いイメージという点です。
▪Slackware系:Slackware、SLAX(9からはDebianベース)、Plamo等 ▪Redhat(rpm)系:CentOS、Fedora、MIRACLE、PS2 Linux、RedFlag、SUSE、Turbo、Vine等 ▪Debian系:Debian/GNU Linux、KNOPPIX、Linspie、Omoikane、Ubuntu、Linux Mint等
UbuntuとCentOSの違い
数あるLinuxディストリビューションの中で、Ubuntuとともに知られたOSとして「CentOS」があります。両者はおなじLinuxディストリビューションであり、共通点も多いのですが、それぞれの成り立ちやコンセプト、用途が異なります。
▪CentOSは商用ディストリビューションである有償のRHEL(Red Hat Enterprise Linux)を元にした無料のOSです。
CentOSはRHELのクローンと呼ばれ、無償ではあるものの、RHELの利用経験者がいるような企業ではサーバーOSとして積極的に利用されています。
▪UbuntuはLinuxでは最もメジャーなコミュニティのDebianから派生したディストリビューションですが、その安定性に加え、革新的という特徴を持っています。使いやすさを追求しており、デスクトップOSとしてパソコンを中心に利用されています。
Ubuntuの特徴と強み
Ubuntuはどんな特徴やメリットがあるのかについて、見ていきましょう。
費用が掛からない
UbuntuはOSから様々なアプリケーションまで無償で利用することができ、WindowsやMacOSと同じような使いやすい環境を作ることが可能です。また比較的軽量のOSであるため、古くなって未使用となったパソコンなどでも使うことができます。
日本語利用環境が整っている
Ubuntuは日本での実績が豊富で、日本語での利用環境が整っています。Webサイトやフォーラムなどに日本語での解説や情報が充実しており、不安なく安心して利用ができます。
【参考】:Ubuntu日本語フォーラム
開発環境として使える
Pythonや Java、PHPやRubyなどのよく利用されているプログラミング言語は主にLinux上で開発されており、Windowsと比較しても、プログラミング環境や開発環境を作りやすいという面があります。
他、Linux版のVSCode、Chromeやコンテナ仮想化プラットフォームのDockerなども利用でき、本格的な開発環境を構築できる点はエンジニアにとって魅力的です。
【参考】:ubuntu - Official Image | Docker Hub 【参考】:Documentation for Visual Studio Code for Linux
定期的なアップデート
Ubuntuは毎年4月と10月に定期的なアップデートが行われています。これにより、不具合の改善や機能強化が保証されています。また、頻繁な変化を避けたいユーザー向けには長期サポートの「LTS(Long Term Support)」版も提供されており、ユーザーに寄り添ったきめの細かい対応をしているのもUbuntuの強みです。
Ubuntuのデメリット
以上、Ubuntuの主なメリットについて紹介してきましたが、Ubuntuにもデメリットはあります。Ubuntuを利用される方はメリット・デメリットを正しく理解し、納得をした上で利用することをおすすめします。
環境構築が必要
WindowsやMacOSはOSがインストールされ、すぐに利用できる形で提供されていますが、Ubuntuは自分でOSインストールし利用できるようにすることが前提のOSです。そのため、初心者にとっては利用できる状態にするためのハードルが高いのが難点です。
コマンドを覚える必要がある
UbuntuはWindowsやMacOSのようにマウスやタッチパッドを使ったGUI操作で基本的な操作ができる点がメリットですが、同時にCUIを使いこなすことで、様々な操作が軽快に素早く行えるのも特徴の1つです。
コマンド操作に慣れた上級者にとって、これは大きな魅力ですが、初心者はコマンド操作を覚えないとUbuntuの良さが半減してしまいます。
予想外に重たい
Linuxの強みは、リソース消費が少なく、低スペックのパソコンでも軽快に動く点ですが、UbuntuなどGUI重視のディストリビューションではOSが肥大化した結果、低いスペックのパソコンでは動作が重たくなるというデメリットが生じています。
最新のUbuntu Desktop 22.04.1バージョンでは、推奨スペック※としてCPUは「2 GHzデュアルコアプロセッサ以上」、メモリは「4GB」となっており、数年前に購入したようなパソコンにインストールする場合は注意が必要です。
【参考】:※Ubuntuを入手する | Ubuntu
Ubuntuを積極的に使ってみよう
ここまで、UbuntuとLinuxの違い、Ubuntuのメリット・デメリットについて解説をしました。
UbuntuはLinuxディストリビューションの中でも、シェア率が高く人気のOSです。使いやすさを狙いに改良が加えられたOSでありデスクトップOSとしても優れていますが、サーバーOSとしても利用が進んでいます。
さらに開発環境としても優れたOSですので、エンジニアを目指す方、プログラミングを勉強されている方はUbuntuを使ってみることをおすすめします。
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