Zorin OS 16.1のリリース
2022年3月10日、Zorin OS 16.1がリリースされました。16.1は、昨年2021年8月17日にリリースされたZeronOS 16のマイナーバージョンアップ版となります。今回の対応は、一言で言うとセキュリティ強化とハードウェア互換性向上のための修正版と位置づけられます。 【参考】:Zorin OS 16.1 Released & Humanitarian Aid for Ukraine
Zorin OSとは
Zorin OSとは、UbuntuベースのLinuxディストリビューションを指します。Zorin OS 16では、Ubuntu 20.04.3 LTSをベースに開発されています。Windows風デザインのデスクトップにより、Windows最新バージョンでサポートされないハードウェアでも軽快に動作させることができます。日本語表示や入力も行うことができます。 【参考】:Zorin OS 16 is Released
Lite エディションは、15年前の低スペックなコンピューターでも動作するとされており、Windows11に移行できないPCの受け皿としても期待されます。これまでは32ビット版が提供されていましたが、Zorin OS16では残念ながら64ビット版のみとなります。
Zorin OSのエディション
Zorin OSでは、「Lite」「Core」「Pro」の3つのエディションが用意されています。各エディションの違いを見ていきます。それぞれのエディションには以下の違いがあります。
・料金体系 「Lite」と「Core」は無料、「Pro」は有償版で39USドルとなります。
・エディション共通機能 LibreOfficeが全エディションに搭載され、Zorin AppearanceによるWindows風レイアウトをはじめとする標準デスクトップレイアウトに対応します。
・デスクトップ環境 「Lite」ではXFCEベースの軽量デスクトップレイアウトがサポートされます。「Core」ではGNOMEベースのアドバンスド デスクトップがサポートされます。「Pro」は、軽量デスクトップ・アドバンスド デスクトップの両デスクトップレイアウトに対応します。
・データ共有 「Core」「Pro」では、データ共有のためのZorin Connectに対応します。 【参考】:Zorin Connect
・「Pro」限定機能 macOS風・Windows11風などのデスクトップレイアウトが、追加選択できます。このほか画像編集ソフトやマウスキーボード共有機能、メモ書き編集、Wi-Fi DisplayやMiracastに対応するキャスト機能等のパッケージが含まれます。インストールサポートも受けられます。 【参考】:Zorin OS Pro
上記のほか、教育用に「Education」エディションも提供されています。 【参考】:Zorin OS 16.1 Education
Zorin OS 16のサポート期間
ZeronOSのメジャーバージョンは、およそ2年周期で提供を予定しています。Zorin OS 16は2021年8月17日にリリースされました。Ubuntu 20.04 LTSベースであり、2025年4月までソフトウェアアップデートならびにセキュリティパッチの提供がされる予定です。
旧バージョンのZorin OS 15においても、2023年4月までソフトウェアアップデート・セキュリティパッチが提供されます。
Zorin OS 16の主要機能
Zorin OS 15は2019年6月に登場しました。16では、Ubuntu 18.04 LTSベースからUbuntu 20.04 LTSベースに更新されています。Zorin OS 16は、メジャーバージョンとして以下の機能を提供しています。
デスクトップ関連の機能追加
デスクトップ関連では、以下の機能追加があります。
・デスクトップアピアランスの変更 アートワークや壁紙が更新され、動的に更新されます。
・マルチタップジェスチャー ワークスペースの実行状況確認や切り替えを、3本指や4本指のマルチタップジェスチャーで操作できます。
・タスクバー よりカスタマイズ可能なタスクバーが搭載され、起動中のアプリケーションの状態や進行状態が表示されます。
・Zorin Appearanceの更新 アプリのレイアウトを一新し、デスクトップのレイアウト変更・アプリやアイコンのテーマ変更・デスクトップフォントを選択しやすいようにレイアウトが見直されました。
・Windows 11風のレイアウト Zorin OS 16 Proでは、Windows 11風デスクトップレイアウトを設定できます。新しいグリッドメニュー・アクティビティの概要ボタン・タスクバーアイコンが前面中央に配置され、モダン操作が可能です。
・Jelly Mode デスクトップ上でウィンドウを動かすとグラグラと揺れ、最小化するとアプリのアイコンの中に押し込まれるアニメーション動作が搭載されます。Zorin Appearanceから有効化します。
アプリケーション関連の機能追加
アプリケーション関連では、以下の機能追加があります。
・Flathubの対応 新たにFlathubのリポジトリに対応します。対応リポジトリは、Zorin OS APT repositories・Ubuntu packages・Flathub・Snap Storeです。
・Windows App Support システムが、.exeまたは .msiファイル実行を認識し、最適なソフトウェアソースからアプリやゲームをロードできるようガイドします。
・新しいSound Recorderアプリ 音声を録音し、ボイスメモ作成やポッドキャスト利用等に活用できます。
その他の機能追加
その他のアップデートとして、パフォーマンス改善が挙げられます。カーネルからデスクトップまで最適化されており、旧タイプのPCでも支障なく動作します。アニメーション動作もスムーズに実行します。
Zorin OS 16.1の機能追加
Zorin OS 16.1は、セキュリティ強化とハードウェア互換性向上のマイナーバージョンアップ版です。12世代インテル Coreプロセッサーや、NVIDIAグラフィックスなどの最新ハードウェアがサポートされます。この他、LibreOfficeの最新バージョンをはじめとするプリインストールのアプリケーションが更新されています。
Zorin OSの利用方法
Zorin OSの利用にあたり、推奨環境とスペックを確認しておきます。 【参考】:Zorin OS System Requirements
Zorin OSの「Core」「Pro」エディションでは、 1GHz Dual Core 64bit CPU・2GBメモリ・1024x768解像度ディスプレイが必要です。ディスク容量は「Core」が15GB、「Pro」が40GB必要となります。
「Lite」エディションでは、 1GHz Single Core 64bit CPU・1GBメモリ・800x600解像度ディスプレイ・10GBディスク容量が必要です。確かに公表されている通り、15年前のPCでも動作する可能性は高そうです。
将来的にはRaspberry Piのサポートも検討されているとのことです。
Zorin OSの導入準備
Zorin OSは、準備としてZorin OSをダウンロードし、USBインストールドライブからインストールします。ダウンロード用にISOファイルが提供されています。USBブータブルの容量ですが、「Lite」「Core」は4GB、「Pro」は8GB必要です。ブータブル作成には、balenaEtcherなどを使用します。ここまでの作業はおよそ10分から20分ほどです。 【参考】:Zorin OS Download 【参考】:balenaEtcher
Zorin OSのインストール
インストール用USBブータブルが作成できたら、システムバックアップ後USBインストールデバイスを起動します。ブートメニューで「Try or Install Zorin OS」を選択します。ここで、NVIDIAグラフィックカードを組み込んでいるPCでは、「Try or Install Zorin OS (modern NVIDIA drivers)」を選択することもできます。 【参考】:Install Zorin OS
インストール用システムが起動したら、メニューより「Try Zorin OS」で事前確認をするか、「Install Zorin OS」でインストール実行を指定します。
「Install Zorin OS」では、必要に応じ「Installation type」から「Install Zorin OS alongside [your current operating system]」でデュアルブート指定、「Erase disk and install Zorin OS」でZorin OSのみ使用、「Something else」でマニュアルパーティショニング、このいずれかを指定することができます。
Zorin OSのアップデート
Zorin OS 16.1を利用するには、上記手順で新規インストールするか、16からアップデートすることで利用できます。アップデートにはソフトウェアアップデータから更新可能です。それ以前のバージョンからのアップデートには、バックアップアプリでデータのバックアップとリストアを行います。 【参考】:Upgrade Zorin OS 【参考】:Zorin OS Back Up Files
Zorin OSの操作と利用
Zorin OSは、Windows風デスクトップ操作が可能ですので感覚的に操作が可能です。Zorin OSでは、あらかじめWindowsで一般的なGoogle Chrome・Zoom・Slack・Dropbox・TeamViewerなどが利用可能となっています。 【参考】:Zorin OS Switch Your Organization From Windows in 5 Steps
必要に応じて、ソフトウェアストアからアプリを追加インストールすることもできます。Windowsアプリの実行や代替製品についても情報が公開されていますので、事前に確認しておくと良いでしょう。 【参考】:Zorin OS Install Apps 【参考】:Zorin OS Windows App Support 【参考】:Zorin OS Alternatives to Windows Apps
企業ユーザで、Zorin OSのインストールやセキュリティ設定等の管理をまとめて実施する場合は、Zorin Gridが準備中ですので、リリースをお待ちください。 【参考】:Zorin Grid Coming Soon
Windowsからの移行先として検討してみましょう
Zorin OSは、Windows風デスクトップレイアウトが提供されており、日本語入力にも対応します。サポート終了のWindows、あるいはWindows 10からWindows 11へ移行ができない方も、軽量のOSのためにハードウェアの延命使用が可能となります。まずは実際の操作感を確認し、選択肢として検討することをおすすめします。
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