Microsoft Dev Boxとは?開発環境仮想化ワークステーションサービスを解説!
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Microsoft Dev Boxとは?開発環境仮想化ワークステーションサービスを解説!
アンドエンジニア編集部
2022.07.29
この記事でわかること
米Microsoft社の「Microsoft Dev Box」は開発者が環境構築を気にせずコードを書くことに集中できる新サービス
開発環境構築には「ハードウェア環境」と「ソフトウェア環境」がありDev Boxではこれらをほとんど不要とする
Windows365はDevBoxのプラットフォームで、Cloud PCからアプリケーションやデータなどを安全に利用できるサービス

「Microsoft Dev Box」公開!

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米Microsoft社は2022年5月24日(現地時間)に同社主催の「Microsoft Build 2022」で、開発者向けのワークステーションを仮想化した新たなサービス、「Microsoft Dev Box」を発表しました。

Microsoft Dev Box(以下、Dev Box)はプロジェクトごとの開発環境構築の負荷を軽減し、開発者がコードを書く作業に集中できるようにする新サービスです。

Dev Boxはまだプライベートプレビューの段階ですが、数カ月内にはパブリックプレビューを始める予定だと発表しています。

【参考】:Introducing Microsoft Dev Box|Microsoft

Microsoft Dev Boxとは?

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Dev Boxにはすべての開発者向けに、Windows上で動作するIDE(統合開発環境)やSDK(ソフトウェア開発キット)、内部ツールなどがあらかじめ用意されたサービスで、「Azure」※クラウドより提供されます。

従来の開発スタイルでは、開発者たちは開発環境を整えるために多くの時間や労力と、細心の注意を強いられ、それらが大きなストレスとなっていました。しかし、Dev Boxサービスによって開発環境構築に掛かる問題が解決され、開発者がコーディング作業に集中することができるようになります。

これにより、開発に伴う初期投資、環境構築作業を軽減し、ソフトウェア開発の負荷軽減、生産性向上の効果が期待できます。

【参考】:Introducing Microsoft Dev Box and Azure Deployment Environments

【参考】:※クラウド コンピューティング サービス | Microsoft Azure

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開発環境構築とは

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Dev Boxはソフトウェア開発者の開発環境構築の負担軽減を図るサービスですが、そもそも開発環境の構築とは具体的にどのようなことを行うのかについて確認しておきましょう。

開発環境構築は、大きく分けると「ハードウェア環境の構築」と「ソフトウェア環境の構築」の2種類があります。それぞれの内容を見ていきましょう。

ハードウェア環境の構築

ハードウェア環境を構築する場合、最低限必要なものはパソコンとネットワークですが、一般的なオンプレミス(自社所有)環境にてハードウェアの環境構築を行う場合は、パソコンやネットワーク以外に、本番環境で利用するサーバやストレージなどの調達が必要です。

本番環境でのデータ量・アクセス数・ネットワーク容量などを見積もり、ハードウェア要件を明らかにします。そのハードウェア要件に従って、必要なサーバ・ストレージ・ネットワークの調達を行いますが、要件設定から予算確保・調達まで数カ月を要することがあります。

また、オンプレミスに対してクラウド利用の方法があります。ハードウェアのクラウド利用、IaaS(Infrastructure as a Service)を利用すればハードウェアの調達は不要となり、要件が明確になっていれば、必要なハードウェア環境はクラウドサービス側で最適な環境を用意してもらえます。

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ソフトウェア開発環境の構築

ソフトウェア開発の環境としては、ソースコードを書くためのテキストエディタとIDE(統合開発環境)に加え、コンパイラ・テストツール・タスクランナー・ソースコードのバージョン管理ツール・DBMS・Webサーバー・仮想化ツールなどが必要です。

これらをオンプレミス環境で整えるのは大変な負担ですが、PaaSを利用すれば、大きく負担軽減が図れます。PaaS(Platform as a Service)は、クラウド上で利用するサーバ・OS・データベース・プログラム実行環境などのミドルウェアなどのプラットフォームを提供するサービスです。

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Dev BoxはPaaS、IaaS、SaaSを一体化させたサービス

以上、ソフトウェア開発環境を構築する上で必要な工程や作業について解説しましたが、IaaSやPaaSを利用することで、これらをかなり軽減できることが分かります。

Dev BoxはこれらIaaSやPaaSに加え、Azure上のSaaS(Software as a Service)であるWindows365上で提供され、IaaS・PaaS・IaaSを一体にしたサービスです。

これにより、開発者が頭を悩ませる開発環境構築はほぼ不要なり、開発者はソフトウェア開発に専念することができます。

Windows365とは

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Dev BoxはAzureのSaaSの1つである「Windows365」上に構築されるサービスです。そこで、Dev Boxを理解するには、Windows365について知っておく必要があります。ここでは、Windows365について紹介していきます。

Windows365はクラウドPC

Microsoftは2021年7月に新たなクラウドサービスとして、Windows365を発表しました。Windows365はOSを丸ごとAzure上に置き、アプリケーション・データ・設定などを安全にストリーミングするサービスです。そのアプローチによりMicrosoftは「Cloud PC」という新しいハイブリッドPCの領域を創造すると発表しました。

Windows 365が投入された背景には、テレワークが急速拡大し、オフィスでの勤務とテレワークの両方を組み合わせた「ハイブリッドワーク」が進展する中、分散環境でメンバーが安全にコラボレーションを行い、その成果を求められるようになってきたことがあります。

Azureにはそれまで「Azure Virtual Desktop」※という、仮想デスクトップサービスがありましたが、よりパワフルかつシンプル、セキュアなサービスとして登場したDev Boxは、ユーザ単位の月額固定料金での利用が可能となりました。

Windows365では、クライアントのOSは問いません。Windows以外にMac・iPad・Androidからも利用が可能です。また、企業や個人のPCでネットワーク環境があれば、どこからでもアクセスができます。

【参考】:Windows365|Microsoft

【参考】:※Azure Virtual Desktop|Microsoft

Windows365のメリットとデメリット

Windows365の概要について説明しましたが、そのメリットとデメリットについてまとめてみました。Dev Boxの詳細がまだ不明ですので、Dev BoxのプラットフォームとなるWindows365のメリット、デメリットを見ておきましょう。

■Windows365のメリット 1.クライアント側のOSやスペックを気にしなくて構いません。 2.月額固定料金のため、ユーザ管理や経費コントロールで悩む必要がありません。 3.データをクラウド側に持つため、PCやタブレットなどの紛失による情報漏洩リスクが大きく低減します。 4.ネットワーク環境さえあれば導入できるため、リモートデスクトップよりも導入がしやすくなります。 5.時間・場所・デバイスに関わらずWindows環境を利用できるため、テレワークに最適です。 6.導入時の初期設定、OSやアプリケーションソフトのバージョン管理などの管理工数を削減できます。

以上がWindows365の主なメリットです。次にデメリットを挙げておきましょう。

■Windows365のデメリット Windows環境・アプリケーション・データの利用がすべてネットワーク経由となるため、より強固で高品質のネットワーク環境が求められます。

以上がWindows365のデメリットです。

Microsoft Dev Boxを利用するメリット

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Microsoft Dev BoxはWindows365上に構築される、クラウド化された開発環境です。そのため前述のWindows365のメリットに加え、Dev Boxはソフトウェア開発環境において次のような4つのメリットが得られると考えられます。

1.開発環境負荷の解消と初期コスト削減

Dev Boxにより、新たな開発環境構築に関わる負荷やリソースの調達初期コストをほぼ解消できます。これまで、ハードウェアの調達・ハードウェア環境の構築・ソフトウェア環境の構築に数カ月を要していたところを、Dev Boxの利用により、大幅な工数短縮と時間短縮が可能です。

2.チームはソースコード記述に専念

Dev Boxによって開発環境構築に関わる負荷やコストが大きく軽減することで、開発者は開発環境構築以外にもワークステーションのメンテナンスに気を取られる必要がなくなります。これにより、ソースコードの記述などソフトウェア開発作業用に集中できます。

3.最適な開発環境を柔軟に確保

プロジェクト規模の増減に対し、開発者向けのポータルから現在のDev Boxイメージの作成や削除が柔軟に対応できるほか、複数のDev Box利用でタスクの並列化が行えるなど、最適な開発環境を柔軟に確保することができます。

4.Cloud PCの一元的な管理を実現

Dev Boxの仮想マシンはWindows365上に確保されるため、モバイルデバイス管理ツールの「Microsoft Intune」※1やデバイス管理総合ソリューションの「Microsoft エンドポイント マネージャー」※2を利用して、ハイブリッドPCとなる「Cloud PC」の一元的な管理を実現することができます。

以上のように、ソフトウェア開発に伴うさまざまな環境構築、維持管理に関わる手間や工数を削減し、ソフトウェア開発そのものに専念できるのが、Microsoft Dev Boxの大きなメリットと言えます。

【参考】:※1Microsoft Intune とは|Microsoft

【参考】:※2Microsoft エンドポイント マネージャー|Microsoft

Dev Boxがエンジニアの仕事を激変させる可能性が

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ここまで、Microsoft社が新たに始める「Microsoft Dev Box」の概要について解説しました。また併せて、開発環境構築に関する解説、Dev Boxのプラットフォーム(Platform)となったWindows365の概要説明を行いました。

エンジニアにとって開発環境を準備することは大変な仕事でしたが、Dev Boxがリリースされ広がると、ソフトウェア開発の概念が大きく変わる可能性があります。エンジニアの仕事を大きく変えるクラウドサービス、今後の動向は欠かさずチェックしていきたいですね。

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