PaaSとは?エンジニアに求められるクラウドの基本を知っておこう!
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PaaSとは?エンジニアに求められるクラウドの基本を知っておこう!
アンドエンジニア編集部
2024.02.02
この記事でわかること
PaaSはサーバやストレージなどのハード、データベースなどのミドルウェアを提供するクラウドサービス
PaaSなどのクラウドサービス誕生の最大の理由は、ITに関わるコストの削減にある
PaaSの利用には責任分界点の考え方があり、利用者の責任範囲についてしっかり対策を講じておくことが重要

PaaSとは

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PaaSは「Platform as a Service」の略称で、読み方は「パース」です。 皆さんが開発したプログラムを動かすためにはサーバやデータを保管するストレージ、データベースなどのミドルウェアなどが必要ですが、わかりやすくいえば、こうしたプラットフォームを提供するサービスがPaaSです。 後ほど解説しますが、クラウドサービスには他にIaaSやSaaSなどがあります

クラウドサービスとは

クラウドとはクラウド・コンピューティングを意味し、コンピュータの利用形態の1つです。クラウドの特徴として、利用者側には新たにコンピュータ(サーバ)の設置の必要がないことが挙げられます。

あたかも雲(クラウド)の中にあるサーバを地上から利用しているようなイメージです。このようなサービスを「クラウドサービス」と呼びます。

クラウドサービスとは?種類やメリット・デメリットをわかりやすく解説

クラウドサービスの歴史と普及の理由

エンジニアの皆さんはシステム概念図を書く際に、ネットワーク上に雲の絵を描くと思います。ネットワーク図に雲の絵が出現したのは比較的新しく、Google社の当時のCEOであるエリック・シュミット氏が2006年に「クラウド・コンピューティング」という言葉を使ったことがクラウドの起源と言われています。 続いて、同じ年にAmazonのクラウドサービスである「AWS」が登場し、急速にクラウドサービスが普及を始めました。

クラウドサービス誕生の最大の理由は、ITに関わるコストの削減です。近年、PCを使った仕事が当たり前になった一方、従業員にPCを配布し、そのソフトウェアの管理、データの管理に膨大なコストが掛かったことから、IT関連コストの増大が問題化し始めました。 クラウドサービスは、企業内の個々のサーバやストレージ、個々人のPCに分散していたITリソースを集約して管理することで、IT関連コストの削減を可能としたのです。

これがクラウドサービスの普及の大きな要因です。

クラウドサービスの種類

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クラウドサービスには、PaaSを含めて「IaaS」「SaaS」「HaaS」の4つの提供形態があります。利用者はそれぞれのニーズに合わせて、サービスを選択することができます。以下、クラウドサービスの種類について見ていきましょう。

参考資料:NIST によるクラウド・コンピューティングの定義

IaaSとは(PaaSとの違い)

PaaSとよく類似するクラウドサービスとして「IaaS」があります。IaaSとは「Infrastructure as a Service」(読み方はイァース)の略語で、その名の通りインフラを提供するクラウドサービスです。IaaSの具体的なサービス内容は、サーバ・ストレージ・ネットワークなどのITインフラの提供です。

一見、IaaSとPaaSとよく似ていますが、PaaSはIaaSの提供するインフラに加え、OSやミドルウェア(データベース、開発ツールなど)がセットになっており、ソフトウェアをセットするだけで直ぐに使える点がIaaSとの大きな違いです。

SaaSとは

SaaSとは「Software as a Service」(読み方はサーズ)の略語で、ソフトウェアを提供するクラウドサービスです。クラウド上に用意されたソフトウェアを、インターネット接続できるPCやスマホから、いつでも、どこでも利用できるサービスです。

事例としては、GoogleのGmaii・Google Drive・MicrosoftのOffice365・Zoomなど、誰もが利用しているサービスがあります。SaaSはインフラやプラットフォーム、あるいはソフトウェア開発を意識する必要がなく、利用する上でのハードルは非常に低い点が大きな特徴と言えます。

HaaSとは

HaaSは「Hardware as a Service」(読み方はハース)の略語で、IaaSの原型と言われています。クラウドサービスの展開が始まった当時はHaaSが主流でしたが、最近ではIaaSやPaaSに取って代わられました。OSを除いたハードウェアに限定したサービスや、ストレージサービスをHaaSと称する場合もあります。

PaaSのメリット

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PaaSの概念について理解できたところで、PaaSのメリットについて見ていきましょう。PaaSを含むクラウドサービス利用の最大のメリットは、IT関連コストの削減ですが、PaaSの具体的なメリットとしては以下の3点が挙げられます。

サーバなどの環境構築に関わるコストと手間の軽減

PaaSはクラウド環境上にサーバやOS、ミドルウェア(データベースや開発ツール)などが一式準備されており、オンプレミス(企業内に設備する方式)と比べて初期費用を抑制できます

開発着手への期間短縮ができる

自前でサーバやOS、ミドルウェアなどのプラットフォームを構築するには設計から稼働まで数カ月を要することもありますが、PaaSでは直ちにソフトウェア開発に着手できるため、開発着手までの期間を大幅に短縮できるのが大きなメリットです。

運用コストの低減が可能

PaaSは基本的に従量課金制が採用されており、利用した分だけ費用を支払うのが一般的です。さらに災害対策などのディザスタリカバリーサービスまで提供され、運用に関わるコストの低減が期待できます。

PaaSのデメリット

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PaaSは環境構築コストや期間の短縮が可能であり、運用面を含めてコストメリットがありますが、一方では以下のようなデメリットもあります。その点を十二分に意識した上で、セキュリティや運用設計を行う必要があります。

責任分界点に注意

PaaSは大変お手軽なサービスですが、すべてお任せというわけではありません。セキュリティ対策やアプリケーションの問題でサービス提供側や、他の利用者に対して損害を及ぼした場合には重大な損害賠償請求を受ける可能性もあります。 どの事業者でも事業者側と利用者側の「責任分界点」を明確にしており、利用者責任の範囲においては、対策を十二分に講じておく必要があります。

自由度は低い

オンプレミス環境の場合は、自己責任でプラットフォームの変更が可能ですが、PaaSの場合は一定の制約があります。たとえば、一部の特殊な言語やミドルウェアの提供が制限されるなどの制約があり、オンプレミス環境からの単純移行ができないケースがあるといった問題があります。

PaaSの代表的な例

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PaaSにはどのようなサービスがあるのでしょうか?PaaSの代表的なサービスについて一覧で見てみましょう。

PaaSのサービス一覧

▮コンピューティングサービス ネットワークを介してコンピュータのリソースを提供する基本的なサービス形態です。AWSの「AWS Lambda」などは、あらかじめサーバを確保せずとも、関数の定義でプログラムを実行することが可能です。

▮データベースサービス クラウド上でデータの保存や共有が行えるサービスで、ストレージサービスとも呼ばれます。 OSやDBMSなどがあらかじめインストールされており、開発者の負担が少なく、すぐにデータベースの構築ができます。

▮ビッグデータ解析サービス 大量に入手したデータは解析が必要です。オンプレミスの場合は、大量データの解析が行えるスペックを持ったサーバや解析ソフトウェア、ストレージが必要ですが、これらを意識することなく、ビッグデータの解析に必要なツールや環境を提供するサービスです。

PaaSの提供企業

PaaSを含む、クラウドサービスの提供企業を見てみましょう。最近のシェアとしては、Amazon Web Services(AWS)が世界シェアの約1/3を占め、Microsoft(Azure)、Google (GCP)と続いています。他、中国のAlibaba、IBMなどが追随しています。

PaaS導入で注意すべきこと

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PaaSは年率30%近い勢いで利用が増加しています。それはPaaS導入のメリットが注目されているからですが、PaaSにも落とし穴があります。そこをしっかり見極めて注意しながら進めることが求められます。ここでは、PaaS導入で注意すべき点について解説します。

コスト見積もりをしっかり行う

PaaS導入の目的の1つに挙げられるのが、IT関連コストの削減ですが、しっかりシミュレーションを行い、精査しておくことが重要です。PaaSは低い初期コストで始められるのが利点です。 確かに基本サービスだけを見れば、オンプレミスよりは遥かに低い金額でスタートできますが、オプションサービスの利用によって想定外のコストが発生することも忘れてはなりません。

先ほども述べた通り、クラウドサービスには責任分界点があります。利用者側のセキュリティの脆弱性などによって、事業者や他の利用者に損害を負わせるリスクが高まります。 コスト面だけに囚われず、安全性や運用面などの点からもPaaS利用のメリットを明確にし、掛かるコストをしっかり精査し、総合的に判断をした上で利用するようにしましょう。

セキュリティ対策や災害対策をしっかり行う

PaaSでは、提供しているサービスに対しては提供側がセキュリティ責任を負っていますが、利用者側のデータやコンテンツ、アプリケーションのセキュリティに関しては利用者責任です。 利用者側のシステムや運用面に脆弱性があり、データ漏洩やアプリケーションの改ざんなどが行われた場合、提供側では一切責任を持ってくれません。 従って、利用者側の責任範囲に関しては、セキュリティ設計をしっかり行い、万が一にもセキュリティ事故が起きないよう手当しておく必要があります。

PaaSの動向と将来性

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経済産業省は2021年5月に発表したデジタル産業に関する現状と課題の中で、「今後クラウドサービスが社会・経済の重要インフラになる」と述べており、我が国のクラウド化を支える企業の必要性に言及しています。また、同省の資料デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討では、DX推進におけるクラウド利用の必要性を説いています。

このように国を上げてクラウド化を進めているように、クラウドサービスの中心的サービスであるPaaSは今後も引き続き期待を集めるでしょう。

私たちエンジニアとしても、クラウド利用を積極的に進める立場に立ち、率先してクラウド化に貢献していくことが求められています。活躍できるエンジニアを目指す皆さんはぜひ、この記事を参考にしてクラウドの基礎知識を身につけ、クラウド利用の推進者となることをおすすめします。

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